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「音楽は言語のようになる」ジェフ・ミルズが音楽の進化を語る

「音楽は言語のようになる」ジェフ・ミルズが音楽の進化を語る

ジェフ・ミルズ&ポルト・カサダムジカ交響楽団『Planets』
インタビュー
湯山玲子
テキスト:重信綾 撮影:豊島望 編集:山元翔一

音楽はアルファベットのような、まったく違うタイプの言語となるのだと思う。(ジェフ)

湯山:先ほど、ジェフさんは「音楽の進化」ということをおっしゃっていましたが、『Planets』において、電子音楽とクラシック音楽の融合という側面以外でのトライはあったのでしょうか。

ジェフ:音楽はパワフルなものであり、特に若い頃には宗教的に聴くような時期があると思います。でも人は、歳を取るにつれ、さまざまな責任が出てくることで、音楽に依存するような生き方ができなくなる……だからこそ、音楽にもっと意義のある「Purpose(目的)」を持たせることが重要だと思うんです。

もちろん、楽しめるものであるという前提はありますが、単なる「娯楽」に止まらず、音楽には「何かを説明する」ということができるのではないか。音符やコードやテクスチャーなどで、「何かを説明する」ことができたら、まったく新しい時代に突入することができると思うんです。それは、1970年代のジャズや、80年代のヒップホップに匹敵するような、その時代に起きていたことを「説明する」音楽にもなる。

ジェフ・ミルズ

湯山:音楽で何かを「説明する」というのは、太陽系の各惑星をチュートリアル的に描くという『Planets』での試みそのものですよね。

ジェフ:そうです。これからは誰かがより言語的な音楽を作り出して、リスナーがそれを聴くという状況になるのではないかと考えています。そして、そのような音楽がVRなどとつながることで、さまざまな場所へ人々を連れて行くことができる。

音楽を聴いて解釈するということだけでない、まったく別の領域へ進化していくことができるのではないかと考えているんです。そうしたときに、音楽はアルファベットのような、まったく違うタイプの言語となるのではないだろうかと思います。

五嶋:『Planets』を聴いたときに、すぐに宇宙や惑星のことを調べ始めました。それは、ジェフさんが音楽で何を言わんとしているのかを理解したいと思ったからです。表層的なレベルの話かもしれませんが、自然にあなたのメッセージを受け取っていたのですね。

ジェフ:そうして調べながら聴くようなオタク気質な人は、きっといると思うんです。私ならそうします(笑)。それに、ほとんどのエレクトロニックミュージックには制限がありません。インディペンデントですし、人々は何でも自分の好きなようにやればいい。

五嶋:ジェフさんがそのように考える背景には、ようやくサウンドが持つすべての可能性を試すことができる時代になったということでもあるでしょうね。人は何百年もの間、様々な楽器を作り、求める音を追求したわけですが、いまはコンピューターを駆使すれば好きな音を何でも手に入れられる時代です。だから、そこから選んで、アレンジして、組み合わせればいい。作曲はついに、意志とイマジネーションがあれば、無限の可能性を手に入れたと言えますよね。

ジェフ:そうですね。100年後には、ホルストがやったこと、冨田勲さんがやったこと、私がやったことを、誰かがさらに推し進めて、新しいものを生み出すかもしれません。

左から:ジェフ・ミルズ、五嶋龍

五嶋:惑星については、我々もまだ知らないことがたくさんありますからね。惑星についての新しい事実がわかれば、そこからまた変わっていくでしょうし。

湯山:実際に『Planets』は、惑星に関する新たな科学的発見が出てくるたびに更新されていく予定なんですよね。そのこと自体も非常に興味深いです。「音楽の進化」という壮大なお話をしてくださいましたが、ジェフさんがこれから挑戦しようとしている次のステップについて教えてください。

ジェフ:水星から始めて、惑星を探索していくようなシリーズを作りたいですね。そうして音楽が宇宙や惑星について説明するツールになりうるということを、理解してもらいたいと考えています。

また、ブラックホールのプロジェクトについても考えていきたいと思っています。ブラックホールについては、研究が進んで新しい情報が出てきていますし、どんな音にすべきかというアイデアもすでにあります。とても激しくて、心地よくはない、そういった音。これをオーケストラで演奏する方法についても考えています。

五嶋:ブラックホールに吸い込まれるような効果を、どうやって音で表現するのか。音がないことで表現するのか、音そのもので表現するのか……。とても興味深いですね。いろいろな物理的な力を音楽で表現するのも面白いでしょうし可能性は無限です。

ジェフ:おそらくバイオレントな雰囲気でテンポも早いものになるのではないかと思います。その後はダンスを目的にしたバージョンも作りたいですね。

五嶋:それはすぐにでも聴きたいです!

左から:五嶋龍、ジェフ・ミルズ、湯山玲子

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イベント情報

爆クラ!presents
『ジェフ・ミルズ×東京フィルハーモ二ー交響楽団×バッティストーニ クラシック体感系II -宇宙と時間編-』

2017年2月22日(水)
会場:大阪府 フェスティバルホール
DJ:ジェフ・ミルズ
指揮:アンドレア・バッティストーニ
オーケストラ:東京フィルハーモニー交響楽団
ナビゲーター:湯山玲子

2017年2月25日(土)
会場:東京都 渋谷 Bunkamura オーチャードホール
DJ:ジェフ・ミルズ
指揮:アンドレア・バッティストーニ
オーケストラ:東京フィルハーモニー交響楽団
ナビゲーター:湯山玲子

リリース情報

ジェフ・ミルズ&ポルト・カサダムジカ交響楽団『Planets』初回生産限定盤
ジェフ・ミルズ&ポルト・カサダムジカ交響楽団
『Planets』初回生産限定盤(Blu-ray+CD)

2017年2月22日(水)発売
価格:4,104円(税込)
UMA-9090/9091

[Blu-ray]
1. Introduction
2. Mercury
3. Loop Transit 1
4. Venus
5. Loop Transit 2
6. Earth
7. Loop Transit 3
8. Mars
9. Loop Transit 4
10. Jupiter
11. Loop Transit 5
12. Saturn
13. Loop Transit 6
14. Uranus
15. Loop Transit 7
16. Neptune
17. Loop Transit 8
18. Pluto
※ファイナルオーケストラバージョン(5.1ch / ステレオ)
※ジェフ・ミルズほかによるインタビュー映像を収録
[CD](オリジナルエレクトロニックバーション)
1. Mercury
2. Venus
3. Earth
4. Mars
5. Jupiter
6. Saturn
7. Uranus
8. Neptune
9. Pluto

ジェフ・ミルズ&ポルト・カサダムジカ交響楽団『Planets』通常盤
ジェフ・ミルズ&ポルト・カサダムジカ交響楽団
『Planets』通常盤(2CD)

2017年2月22日(水)発売
価格:3,024円(税込)
UMA-1090/1091

[CD1](ファイナルオーケストラバージョン)
1. Introduction
2. Mercury
3. Loop Transit 1
4. Venus
5. Loop Transit 2
6. Earth
7. Loop Transit 3
8. Mars
9. Loop Transit 4
10. Jupiter
11. Loop Transit 5
12. Saturn
13. Loop Transit 6
14. Uranus
15. Loop Transit 7
16. Neptune
17. Loop Transit 8
18. Pluto
[CD2](オリジナルエレクトロニックバーション)
1. Mercury
2. Venus
3. Earth
4. Mars
5. Jupiter
6. Saturn
7. Uranus
8. Neptune
9. Pluto

プロフィール

ジェフ・ミルズ

1963年デトロイト市生まれ。エレクトロニック・ミュージック、テクノ・シーンのパイオニアとして知られるDJ/プロデューサー。Axis Records主宰。2007年、フランス政府より日本の文化勲章にあたるChevalier des Arts et des Lettresを授与される。近年では各国オーケストラと共演、日本科学未来館館長/宇宙飛行士 毛利衛氏とコラボレイトした音楽作品『Where Light Ends』を発表、また日本科学未来館の館内音楽も手がける。ジャクリーヌ・コー監督、ジェフ・ミルズ主演のアート・ドキュメンタリー・フィルム『MAN FROM TOMORROW』は、パリ、ルーブル美術館でのプレミアを皮切りにニューヨーク、ロンドンの美術館などで上映される。2015年、東京にてアート作品展示会『WEAPONS』を開催するなど、その活動は音楽だけにとどまらない。2017年2月22日には『PLANETS』をリリース。

五嶋龍(ごとう りゅう)

ニューヨーク生まれ。7歳でパシフィック・ミュージック・フェスティバルにおいて、パガニーニのヴァイオリン協奏曲第1番を演奏しデビューを飾った。その後、ソリストとして日本国内のオーケストラはもとより、ワシントン・ナショナル交響楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団など世界各地のオーケストラと共演。演奏活動のみならず、ニューヨークでは同市教育委員会の協力のもと『五嶋龍 “Excellence In Music”(音楽優秀賞)』を通じて公立高校生に奨学金を授与する活動に加え、中南米・アフリカ・アジアでの教育活動・国際文化交流・社会貢献にも積極的に取り組む。10年間にわたりフジテレビのドキュメント番組「五嶋龍オデッセイ」で成長過程が紹介された他、数々のメディアで特集が組まれるなど注目を集める。2015年10月より「題名のない音楽会」(テレビ朝日系列)の司会を務める。ハーバード大学(物理学専攻)を卒業。公益社団法人日本空手協会 参段。ニューヨーク在住。3月にベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団(指揮:エリアフ・インバル)と共演するコンサートを、東京・横浜・大阪・群馬で開催する。

湯山玲子(ゆやま れいこ)

著述家。文化全般を独特の筆致で横断するテキストにファンが多い。20代のアネキャンから、ギンザ、50代のハーズまで、全世代の女性誌にコラムを連載、寄稿している。著作に『女ひとり寿司』(幻冬舎文庫)、『クラブカルチャー!』(毎日新聞出版局)、『女装する女』(新潮新書)、『四十路越え!』(ワニブックス)、『ビッチの触り方』(ワニブックス)、上野千鶴子との対談『快楽上等! 3.11以降を生きる』(幻冬舎)、『ベルばら手帖』(マガジンハウス)等。月1回のペースで、爆音でクラシックを聴く、『爆クラ』イベントを開催中。(有)ホウ71取締役。日本大学藝術学部文藝学科非常勤講師。

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