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CHAIインタビュー USツアー後に日本人コンプレックスを大肯定

CHAIインタビュー USツアー後に日本人コンプレックスを大肯定

CHAI『ほめごろシリーズ』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:永峰拓也 編集:矢島由佳子
2017/04/26

アメリカ人は、みんな「私はかわいい」って思っているし、実際にそう言葉にして言うからね。(カナ)

マナ:私たちは四人とも、普通の家庭で生まれ育って、親がミュージシャンなわけでもない。親のことは尊敬しているけど、そもそも、小さい頃から期待されて生きてきたわけじゃないからね。「かわいいね」って言われて育つっていうことを、あんまり体験していないから。

カナ:そうそう。だからこそ、誰かひとりでも「いい」って言ってくれる人がいると、それで自信がついて、今、こうなっています(笑)。なんだかんだで、勘違いでも、私たちは自分のこと、すごくかわいいって思っているから(笑)。

人には絶対に個性があると思うし、それぞれに必ずよさがあると思う。それを見つけられていない日本の教育の仕方が、私は好きじゃないです。アメリカの人って、教育の段階から「君はここの個性がいいんだよ」って言われ続けて、リスペクトし合っているから、自信を持てるんですよね。みんな「私はかわいい」って思っているし、実際にそう言葉にして言うからね。だから、日本の教育の在り方から変えてほしい!

「『私、かわいい』と思う勘違いって大事だよ」と歌う1曲

マナ:そうだよね。もっと、いいところを見つけ合えればいいのにって思う。「なんで褒めてあげないの?」って。「その子に期待しているからこそ、怒る」っていう教育の仕方があるけど、それって間違っていると思う。怒られた子が傷ついて泣いて、それでハングリー精神が生まれるのかもしれないけど……ちゃんと褒めてあげたら、その子は自信がついて、もっと頑張るのに。誰だって褒められると嬉しいんだから。だから、私たちがまず褒めたい!

―今言ってくださったことが明確にメッセージとして投げかけられているのが、EPの最後に収録されている“sayonara complex”ですよね。これは、CHAIにとって最初の代表曲になる名曲だと思います。この曲はどういうふうに生まれたんですか?

マナ:まず、PHOENIXの“If I Ever Feel Better”がイメージの根本にあって。歌詞を書くうえで、「さよならコンプレックス」っていうのはひとつのテーマだったんです。この曲の歌詞は、初めてみんなで考えたんですよ。

―作詞クレジットは「CHAI」になっていますね。

ユウキ:ものすごく考えました。大きなテーマすぎて、言葉にすると重くなっちゃう気がしたんですよね。だからと言って、面白おかしくして、私たちが伝えたいことを間違ってもいけないから。

カナ:<かわいいだけの私じゃつまらない>っていう部分を、一番伝えたかったね。

ユウキ:ここ、一番考えたよね。みんなに伝わる言葉で、でもCHAIらしく伝えようって。

マナ:そう。ふとした瞬間になにかを持ちきれなくなったり、自信を失くしたときに聴いてほしくて。でも、CHAIがこういう曲をやっていいのかどうか、あんまりわからなかったんです。今まで激しい曲ばっかりやってきたなかで、イメージしていなかったCHAIなりのバラードになったから。でも、今やりたいのはこれだから、いいかと思って。CHAIなりのエモさです。

CHAI

―「エモい」にも、いろんな種類があると思うんですけど、“sayonara complex”の曲調はとてもメロウだし、歌詞的には<good night sweet dreams>と歌われる通り、「眠り」の曲ですよね。今のCHAIにとって一番言いたいことが刻まれたメッセージソングが、こうした「安堵」や「穏やかさ」に包まれた曲調になっているところが、CHAIらしさなんだろうと思います。

ユウキ:応援ソングを歌いたくないっていうのはあるよね。「大丈夫」「君ならできる」とか、わざわざ言うのも鬱陶しいじゃないですか。そういうことは、そもそもCHAIに求められているとも思っていないから。

―いわゆる応援ソングにせずに人を肯定する歌を作るのって、どういったバランス感覚で作ればいいと思ったんですか?

カナ:そうだなぁ……でも、基本的に曲を聴けば性格丸わかりじゃない? “ボーイズ・セコ・メン”のセコい男に引っ掛かっちゃう感じって……めっちゃマナじゃん(笑)。

マナ:みんな一度はあるよね~(笑)。

カナ:きっと、私たちにとっての「頑張れ」の言い方が、こんな形なんだと思う。

マナ:そもそも「頑張れ」っていうタイプではないからね。それより、どこか一部分、人のいいところを見つけて褒めるほうがかっこいいし、それは、常にネガティブな自分に向けて言っている部分もあって。ピンポイントで褒めて、「そこだけは自信もって!」みたいな。あとは気軽に行こうって(笑)。

―1個いいところがあれば、それ以外は緩くてもいいよって、すごく優しい肯定の仕方ですよね。

マナ:うん。人は、1個あれば強いから!

CHAI

「かっこつける」というフィルターがあると、エンタメはできないから。(ユウキ)

―前回のインタビューでは、CHAIは「欲望を見つけるために戦っている」と言っていました。今、CHAIを突き動かす欲望は、どんなものですか?

ユウキ:もっと海外に行きたいという気持ちは、アメリカに行ってから余計に強まりました。イギリスにもヨーロッパにも台湾にも行きたいし、早くいろんな人に見てもらいたいっていうもどかしさがあります。「早く気づいて!」っていう。

カナ:近いうちに絶対に行きたいね。

ユウキ:あと、『グラミー賞』はやっぱり取りたい。アメリカに行ったとき、STAPLES Center(『グラミー賞』の会場)にも行ったんですよ。その日はバスケットの試合をやっていたのでなかには入れなかったんですけど、The GRAMMY Museum(『グラミー賞』の歴史がわかる資料館)に行って、トロフィーも見てきました。建物の前にあるマンホールに、歴代受賞者の名前が書いてあって。

カナ:5つくらい空白があったよね。あのなかにCHAIの名前を刻もう(笑)。

―先日の『第59回グラミー賞』は見ましたか?

ユウキ:見ました! ビヨンセがすごかった。妊婦さんの姿で歌っていて、もうほんと、お腹が大きいんだけど、母性の神みたいな(笑)。本当に神々しかった。音楽が素晴らしいのはもちろんだけど、ちゃんとエンターテイメントだった。そう、アメリカに行って、エンターテイメントの大事さがすごくわかった気がするんですよ。

―というと?

ユウキ:「魅せる」ということが、すごく大事なんだって思ったんです。ただ音楽をやる人になるんじゃなくて、ダンスをしたり、見せ方も含めて、ひとつのショーを魅せるという点で、CHAIもエンターテイメントをやりたいなって。だからこそ余計、かっこつけたくないなって思う。「かっこつける」というフィルターがあると、エンタメはできないから。

CHAI

―ビヨンセも、妊婦である自分のあるがままを曝すことで、エンターテインしたわけですもんね。人は、ありのままであることでエンターテイメントになる。今、政治的な混乱が世界的に噴出しているからこそ、エンターテイメントであることは、すごく重要な気がします。

マナ:テキサスで、マドンナの“Material Girl”のカバーをやったんですよ。ドナルド・トランプとのことがあったから(マドンナはトランプの政策に対して強く抗議する言動を行っていて、テキサス州はトランプ陣営だったこともあり、マドンナの楽曲をオンエアしないと発表したラジオ局もあったほどだった)、日本を出発するまでは「マドンナはやめとけ」って周りからかなり言われたけど、「いいものはいい!」と思ってやったら、やっぱりブーイングされずにすごく盛り上がって。

カナ:曲をやるとき、「ミュージック・イズ・フリーダム!」ってユナが叫んでから、ドラムを叩くんですよ(笑)。

―ユナさん、かっこいいです。

ユナ:うん、ありがとうございます(笑)。

CHAI

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リリース情報

{作品名など}
CHAI
『ほめごろシリーズ』(CD)

2017年4月26日(水)発売
価格:1,728円(税込)
OTEMOYAN record / CHAI-0001

1. Sound & Stomach
2. クールクールビジョン
3. ボーイズ・セコ・メン
4. ヴィレヴァンの
5. sayonara complex

イベント情報

『“ロード・ツー・ダ・GRAMMYs” season3』

2017年5月24日(水)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
CHAI
Helsinki Lambda Club
料金:前売2,500円(ドリンク別)

プロフィール

CHAI
CHAI(ちゃい)

ミラクル双子のマナ・カナに、ユウキとユナの男前な最強のリズム隊で編成された4人組「NEO - ニュー・エキサイト・オンナバンド」、それがCHAI。誰もがやりたかった音楽を全く無自覚にやってしまった感満載という非常にタチの悪いバンドで、2016年の春以降、突然いろんな人が「CHAIヤバい」と韻を踏みながら口にし始め、ある日突然ノンプロモーションなのにSpotify UKチャートTOP50に代表曲『ぎゃらんぶー』が突如ランクイン!(※最高位36位)。2017年『SXSW』出演と初の全米8都市ツアーも大成功におさめ、4月26日に今現在のCHAIのヤバさがすべて詰め込まれた2nd EP『ほめごろシリーズ』をリリース。その常軌を逸したライブパフォーマンスを観てしまった全バンドマンがアホらしくなってバンド解散ブームすら起こりかねないほど、彼女たちに触れた君の2017年度衝撃値ナンバーワンは間違いなく「NEOかわいいバンド」、CHAIだよ!

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