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バンド・Ryu Matsuyamaに取材。そのルーツにある「痛み」の正体

バンド・Ryu Matsuyamaに取材。そのルーツにある「痛み」の正体

Ryu Matsuyama『Leave, slowly』
インタビュー・テキスト
三宅正一
撮影:永峰拓也 編集:山元翔一、飯嶋藍子
2017/05/19

イタリアで生まれ育ったフロントマンの名前をそのままバンド名に冠したピアノスリーピース、Ryu Matsuyamaがニューアルバム『Leave, slowly』を完成させた。

初の全国流通盤となった前作『Grow from the ground』から約1年半、インディーR&Bやポストロックなど多様なジャンルを昇華した壮大なサウンドスケープをよりダイナミックに解放し、人生を旅になぞらえ自問自答を繰り返した果ての答えを提示する全編英語のリリックを豊潤かつヒューマニスティックな感触に富んだメロディーに乗せている。

その音楽性のみならずメンバーのキャラクター性を見ても、このバンドは相違なるもの同士のアイデンティティーを折衷することで、比類なきポップミュージックを提示しようという気概を感じさせる。メンバー三人と語り合いながら、Ryu Matsuyamaの本質に迫った。

CM音楽を作って「本当の意味でのポピュラーミュージックとはなんぞや?」って深く考えるようになった。(Ryu)

―前作『Grow from the ground』のときに、自分たちの音楽性を「アンビエントポップ」と言っていましたね。

Tsuru(Ba):ああ、言ってましたね!

左から:Jackson、Ryu、Tsuru
左から:Jackson、Ryu、Tsuru

―新作『Leave, slowly』を聴いて、もはやそれもしっくりこない気がしました。自分たちではどう思いますか?

Jackson(Dr):もはやそういうことじゃないね。

Ryu(Pf,Vo):うん、あらためて考えたらアンビエントポップは違うなと思いました(笑)。

Jackson:結局、どのジャンルにも置きにいってないんだよね。今回、明るい曲も多いし、よりはみ出してると思います。その幅が僕らのポップスの秘訣というか。

Ryu:あと、音源だけを聴くと「ヒーリング要素が多いよね」みたいな感想をよく言われるんですけど、僕らはそれがイヤなんですよ。リミッターなしで音楽を作ると、ミニマリズムを極めたBGMを作ったり、アート側にいくバンドではあると思うんですけど、アンビエントな感じを薄くして、そういうところを打破したかった。歌詞はポップス的ではないと思うんですけど、曲はすごくポップだと思ってます。ポップスであることは忘れたくないんです。

―なぜポップスでありたいと思うんですか?

Ryu:悪い言い方ですけど、音楽でオナニーをしたくないんですよね。より多くの人に伝わってしてほしいというさみしがり屋の願望が強いから(笑)。僕はここ2年くらいで職業作家としてCM音楽を作っているので、その影響も大きいと思います。

CM音楽ってクライアントが喜ぶ曲を作るという発想が大事なので、「本当の意味でのポピュラーミュージックとはなんぞや?」って深く考えるようになった。このバンドで作る音楽の最初の目的はマーケットではないんだけど、自己満足では終わらない、自分たちが求めるポピュラーミュージックを追求したいとより強く思うようになりました。

幼少期からずっと自分のアイデンティティーに悩みながら育ってきました。(Ryu)

―Ryu Matsuyamaはバックグラウンドも音楽的なルーツもバラバラな三人のプレイスタイルや感性が、それこそ折衷されていることが大きなポイントだと思っていて。

Ryu:うん、そうですね。

―それが成立しているのは、Ryuくんのコミュニケーション能力があってこそだと思うんです。Ryuくんは普段からすごく社交的じゃないですか。このコミュニケーション能力の高さはイタリアで生まれ育ったというバックグラウンドも影響しているのかなと。

Ryu:自分でも社交性はあると思います。空気を読む癖がついているというか。イタリア人って空気を読まないイメージがあると思うけど、実は人を楽しませたり、場を和ませるための空気の読み方がすごく上手い人種なんです。僕はそれに加えて日本人としての礼儀作法を大切していて、そういうダブルの国民性が自分の中にあるのかなと。

Ryu
Ryu

―いわゆるアイデンティティークライシスみたいなことは起きなかったんですか?

Ryu:ありましたよ。幼少期からずっと自分のアイデンティティーに悩みながら育ってきました。日本人でありながらイタリアで生まれてしまって、最初はイタリア語しか話せなくて。イタリアの友だちからは「おまえは日本人だ」と言われ、日本人の友だちからは「イタリア人だ」と言われる環境で育ってきましたし。

イタリアはレイシストもけっこう多いので、早い段階で「自分は何者なんだろう?」という疑問も生まれるんですよね。小学生くらいからそういう疑問がどんどん強くなっていきました。

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リリース情報

Ryu Matsuyama『Leave, slowly』
Ryu Matsuyama
『Leave, slowly』(CD)

2017年5月17日(水)発売
価格:2,300円(税込)
PCCI-00001

1. And seek for water
2. To a Sunny Place
3. Do it Again
4. The Way to Home
5. In this Woods
6. Domus
7. Crazy
8. In the beginning

イベント情報

Ryu Matsuyama Oneman Live
『Landscapes』

2017年5月27日(土)
会場:東京都 渋谷 WWW
料金:前売3,000円 当日3,500円(共にドリンク別)

プロフィール

Ryu Matsuyama
Ryu Matsuyama(りゅう まつやま)

ピアノスリーピースバンド。イタリア生まれイタリア育ちの Ryu(Pf,Vo)が2012年に「Ryu Matsuyama」としてバンド活動をスタート。2014年、結成当初からのメンバーであるTsuru(Ba)にJackson(Dr)を加え現メンバーとなる。2014年に1stミニアルバム『Thinking Better』を自主制作し、ライブ会場、iTunesで販売。2015年にはタワーレコードレーベルより2ndミニアルバム『Grow from the ground』をリリース。2016年2月六本木Super Deluxeにてワンマンライブを行う。2017年5月17日、ミニアルバム『Leave, slowly』をリリース、5月27日にはWWWでワンマンライブを開催する。

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