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渡辺俊美×木暮栄一の映画&文学談義 文豪たちの映画評にうなる

渡辺俊美×木暮栄一の映画&文学談義 文豪たちの映画評にうなる

『映画に魅せられた文豪・文士たち-知られざる珠玉のシネマガイド-』
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:田中一人 編集:飯嶋藍子

僕、the band apartを始めるまで、実はずっとラッパーを目指していたんです。(木暮)

―TOKYO No.1 SOUL SETの始まりはどんな感じだったんですか?

渡辺:僕らが始めた頃は、バンドブームが全盛で……汗をかいて拳を振り上げるみたいなものが人気だった。でも、僕らは、もっとクールにやろうよっていう感じで始めていて。「これでどうだ!」じゃなくて、「こういうのもありますけど、あなたはどう感じますか?」っていう、時代に対する問い掛けをしたんだと思います。

―なるほど。そういうところは、木暮さんのthe band apartにもあったんじゃないですか?

木暮:そうかもしれないですね。僕らは、いわゆるメロコアシーン周辺にいたけど、ちょっと他のパンクバンドとは違ったところがありました。

渡辺:そう、グルーヴがすごくおしゃれだったよね。The Clash(ロンドンパンクの代表的なバンド)って、ドラマーのトッパー・ヒードンがもともとジャズドラムをやっていたから、他のパンクバンドとどこか違っていたんだけど、それと近い感じがした。

―木暮さんも、もともと別のジャンルのドラムを叩いたりしていたのですか?

木暮:いや、僕は今のバンドで初めてドラムを叩き始めたようなもんなんです。バンドが始まったのが1998年なんですけど、その頃って日本語ラップがっすごいブームになっていたじゃないですか。

渡辺:そうだね。

木暮:僕、the band apartを始めるまで、実はずっとラッパーを目指していたんです。

渡辺:え、そうなんだ?

木暮:フリースタイルも、ちょっとやっていたんです。そのグルーヴ感みたいな影響は、ひょっとしたらあるかもしれない。そう、だから、スチャダラパーのアルバムで、初めてTOKYO No.1 SOUL SETの存在を知って、聴くようになったんです。俊美さんの歌がとにかく衝撃でした。

渡辺:(笑)。当時みんながラップをやっているなか、僕はラップができないから歌ってやろうと思って。メンバーにやらせてくれって頼んで、突然歌い出したんですよ。でも、ヒップホップの王道ネタの上で、高らかに歌うっていうのが、僕としては結構革命的だったというか。

木暮:超やられました。

渡辺:自分でもそこは、やった感じがある(笑)。歌そのものは、別に新しいわけではないけど、ラップと合わせることによって、新しさが生まれたんです。やっぱり、昔のものには、なにかしら新しいものが隠れているんですよね。それは映画だって同じで、昔観た映画も、今観たら感想が違っていたりするじゃないですか。

木暮:そうですよね。さっきの池波正太郎の『道』のコメントにも通じるというか。

芸術的なものは特に、古いものからヒントを得て、新しいものができていると思う。(渡辺)

―では最後に、本展の見どころを、改めて語っていだけますか?

渡辺:芸術的なものは特に、温故知新というか、古いものからヒントを得て、新しいものができていると思うんですよ。今だとたとえばSuchmosとか、まさに古いエッセンスを新しいものに昇華していると思うんです。

そういう意味で、今回の展示は若い人たちもいろいろ刺激になるんじゃないかな。「このポスターをモチーフになにか描いてみよう」とか「この言葉をヒントに歌詞を書いてみよう」とか直感を得られると思うし、自分がどういう勘を持っているのか調べにきて欲しいですね。

―なるほど。木暮さんは、いかがですか?

木暮:結構名前が知られている作家たちの素朴な思いがうかがい知れることが魅力だと思います。「~だよね」みたいな、話し言葉が混ざっている文章も結構あるじゃないですか。こういう普段は見えない作家の「隙」が新鮮で、これまで以上にそれぞれの作家が近くに感じられました。

この人たちも自分たちと同じように映画を楽しんでいるんだなって。で、その親近感をきっかけに、その人の小説を読んでみたくなったり、新たな興味が湧きました。

渡辺:かつての淀川長治さん(『日曜洋画劇場』の解説を約32年にわたり務めた映画評論家、雑誌編集者)みたいに、その当時のことを今の人たちに向かって語りかけてくれる人が最近いなくなってしまったじゃないですか。映画そのものだけではなく、その映画が当時どんなふうに見られていたのかっていう空気感も含めて知りたいですよね。

―当時は、ビデオテープもなかったし、いろいろな意味で現在とは異なりますよね。

渡辺:ホントそうですよね。だから、ポスターや映画に関する文章、その行間からにじみ出るエネルギーが半端ないと思いました。そういう熱に触れることができるのが、この展示の醍醐味だと思います。

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イベント情報

『映画に魅せられた文豪・文士たち-知られざる珠玉のシネマガイド-』

2017年4月22日(土)~6月11日(日)
会場:東京都 練馬区立石神井公園ふるさと文化館
時間:9:00~18:00
休館日:月曜
料金:一般300(200)円 高校生・大学生200(100)円 65~74歳150円
※中学生以下と75歳以上無料
※()内は20名以上の団体料金
※身体障害者手帳・愛の手帳・精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方と付き添いの方1名は一般150円、高校生・大学生100円

講演会『出版人のひとりごと―映画と私―』

2017年5月27日(土)
会場:東京都 練馬区立石神井公園ふるさと文化館 多目的会議室
時間:13:30~15:00
出演:早川浩(株式会社早川書房 代表取締役社長)
定員:100名(抽選)
料金:無料
※申込は往復はがき、またはメールで受付中、5月16日必着

プロフィール

渡辺俊美
渡辺俊美(わたなべ としみ)

福島県出身。1990年代初頭「TOKYO No.1 SOUL SET」のボーカル&ギタリストとしてデビュー。福島県で生まれ育ち、福島県人バンド「猪苗代湖ズ」でも活動、2011年にNHK紅白歌合戦に出場。2014年にエッセイ本『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』を発表し、ベストセラーに。翌年にはNHK BSプレミアムでドラマ化。2016年、東日本震災から5年。震災復興の活動で大空に飛ぶ花と復興への想いを表現したANA“東北FLOWER JET オリジナルソング”の作詞・作曲を手掛ける。

the band apart
木暮栄一(こぐれ えいいち)

the band apartのドラマー、作詞作曲担当。現在までのバンドのリリース全てのアートワークを手がけている。また、DJとしても渋谷Organ Bar、三宿Webのレギュラーイベントを中心に活動中。2015年に eiichi kogrey 名義でのソロ7インチをNIW! Recordsからリリースし、現在までに3枚の7インチ・レコードを発表している。2016年には、同名義で東方神起、□□□(クチロロ)のリミックスなども手がけた。7月中旬リリース予定でthe band apartとして8枚目の新作アルバムを制作中。

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