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スガダイローが語る理想の演奏。渋さ知らズから学んだ美しさとは

スガダイローが語る理想の演奏。渋さ知らズから学んだ美しさとは

『スガダイロー・プロジェクトvol.3「大群青」』
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:長谷川健太郎 編集:宮原朋之

常にアナーキーなセッションを繰り広げてきたジャズピアニストのスガダイロー。向井秀徳、渋さ知らズ、七尾旅人ら曲者揃いのミュージシャンのみならず、異ジャンルのパフォーミングアーツ、現代美術の飴屋法水、contact Gonzo、さらにはバスケットボールという「どうやって対決するの?」とクエスチョンマークが浮かぶようなセッションまで手がけてきた彼は、まるで野武士のような粗暴さと、剣豪の鋭敏さを兼ね備えた人物だ。

そんな彼が、現在水戸芸術館で『スガダイロー・プロジェクト』を展開している。これまで山下洋輔、田中泯などの手練れとのセッションを成功に導き、そして7月、最後のvol.3に挑もうとしている。今回、自身のチーム「大群青」を率い、多数のゲストとのバトルを構想するスガと、この企画を立ち上げた水戸芸術館の音楽部門学芸員である高巣真樹、そして後半登場するスペシャルゲスト、茨城県非公認キャラねば~る君との公演打ち合せを直撃した。大団円に向けて突き進む、スガの心積もりを聞く。

その場でなにができるか、なにを起こすかを大事にしてるんです。(スガダイロー)

―今回の『スガダイロー・プロジェクト』に限らず、スガさんはさまざまな「対決」を繰り広げてきました。それはなぜですか?

スガ:動機とか特にないんですよね。俺は「やれ」と言われたことはなんでもやるタイプなので(笑)。

左から:水戸芸術館 音楽部門学芸員・高巣真樹、スガダイロー
左から:水戸芸術館 音楽部門学芸員・高巣真樹、スガダイロー

―もう7年近く前になる『SPECTACLE in the Farm』では、バスケ選手と対決してますね。すごく奇抜な発想でびっくりしました。

スガ:こっちから細々要求するんじゃなくて、その場でなにができるか、なにを起こすかを大事にしてるんですよ。だからあのときも、単純に「ボールと共演するにはどうすれば?」って考えた。

―じゃあ、それで選手に来てもらって。

スガ:彼ね、選手じゃないんですよ、じつはドラマー。音楽好きなバスケ選手にするか、バスケができるドラマーにするかで悩んで、結局ドラマーを選んだの。「ドラムを叩いているつもりでプレーしてね」と。

スガダイロー
スガダイロー

―ややこしい(笑)。どうりで構成力のあるバスケ選手だと思いました。

スガ:そこだけは作戦です。

音楽好きな方たちの価値観を揺さぶるような場が作れないかと、ずっと考えていたんです。(高巣)

―具体的にお話を伺っていきたいのですが、水戸芸術館では昨年の11月からプロジェクトを実施してきました。vol.1とvol.2と様々な対決を経て、ついに7月のスガさん自身の大編成でエンディングを迎えますね。

スガ:これも、やっぱり依頼があってのことなんですよ(笑)。

高巣:話は2年前に遡るんです。水戸のライブハウスで、はじめてスガダイロートリオのライブを観て、とにかく衝撃的でした。スガさんの演奏を観たことがある方ならわかると思うんですが、まるでピアノが発火するんじゃないかというくらい尋常でないエネルギー。それで2日間、片道小一時間かけて自転車で通って、「これは一緒に仕事をしたい!」と思ったのがきっかけです。

水戸芸術館 音楽部門学芸員・高巣真樹
水戸芸術館 音楽部門学芸員・高巣真樹

スガ:チャリで来てたんだ!

高巣:それで企画を考え始めたんですが、水戸芸術館は音楽、演劇、美術とそれぞれの専用空間を持っているので、ひとつのジャンルにとらわれず、それらを縦横無尽に橋渡しするような企画がやりたいと思いました。

水戸芸術館の館長は、初代が音楽評論家の吉田秀和、現在は指揮者の小澤征爾が務めていて、音楽公演に関してはまさにクラシック音楽の真髄に迫るような内容のものが多く、それを支持してくださるお客様もたくさんいらっしゃいます。でも一方で、ジャンルという壁を越えて、音楽好きな方たちの価値観を揺さぶるような場が作れないかと、ずっと考えていたんです。

―そこで、異種格闘技戦的にクロスオーバーな活動をするスガさんと出会ったんですね。

高巣:そうなんです。

スガ:思わぬオファーで嬉しかったですよ。ただ、大規模公演をこれまでほとんど意識せず、いつも場当たり的にこなしてきた自分だからさ、これは大変なことになったぞ……、そしていまに至ってます(笑)。

―vol.1とvol.2をやってみていかがでしたか?

高巣:すごい反響でした。Vol.1では山下洋輔さんと、“シャボン玉”“遠くへ行きたい”といった童謡や歌謡曲をもとに対決したり、「序破急」というコンセプトでの即興演奏をお届けしたのですが、ファンの方からは「山下さんがこんなに煽られているのははじめて観ました」という感想をいただきました。

『SUGADAIRO PROJECT vol.1 スガダイロー×山下洋輔(ピアノ)「狂演」』公演時の様子
『SUGADAIRO PROJECT vol.1 スガダイロー×山下洋輔(ピアノ)「狂演」』公演時の様子

スガ:スタンダードジャズって、俺たちは「誰でも知ってるだろう!」って思いがちだけど、ジャズファンしか知らないですからね。だったら、誰でもぜったいに知っている曲を弾く方が面白いだろうと思ったんですよ。

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イベント情報

{作品名など}
『スガダイロー・プロジェクトvol.3「大群青」』

2017年7月22日(土)
会場:茨城県 水戸芸術館 ACM劇場
出演:
スガダイロー
Dr.Firebone
池澤龍作
吉田隆一
櫻井亜木子
福原千鶴
星衛
辻祐
佐藤史織
ジュンマキ堂
ノイズ中村
志人
石川広行
納豆の妖精・ねば~る君
河内大和
早瀬マミ
荒悠平
高橋保行
and more
料金:一般3,500円 25歳以下1,000円

プロフィール

大群青
大群青(だいぐんじょう)

かつて三度笠に股旅姿で、都内を荒し回った狂気のアヴァンギャルド集団『Little Blue』。U-zhaan&Aki Ueda、STERUSSとの共演など華々しくも壮絶な立ち回りを演じながら数年前、密かに旅立っていった三人が、どこで出会って見つけたか、強力な仲間たちを引き連れ帰って来た!もうリトルなんて言わせない!洋楽器、和楽器いずれ劣らぬ演奏家達が入り混じり繰り広げられる、その名は『大群青』!混沌と混迷のその先は底なしの海か、大空か、はたまた群青の洞窟か!毎度繰り広げられる大事件の現場へぜひともお立ち会い下さい~!

スガダイロー

ピアニスト・作曲家。1974年生まれ。神奈川県鎌倉育ち。洗足学園ジャズコースで山下洋輔に師事、同校卒業後米バークリー音楽大学に留学。田中泯や飴屋法水など共演を重ねる。2012年、志人(降神)との共作アルバム『詩種』、2013年星野源「地獄でなぜ悪い」参加、後藤まりこ「m@u」参加、2014年「山下洋輔×スガダイロー」、2015年ソロ作品集「Suga Dairo Solo Piano at Velvetsun」、2016年9月、夢枕獏とのダブルネームで制作されたBOOK+CD作品「蝉丸-陰陽師の音-」を発表するなど精力的にリリースを重ねる。2015年、サントリーホール主催ツィンマーマン「ある若き詩人のためのレクイエム(日本初演)」にスガダイロー・カルテットを率いて参加。2015、2016年KAAT神奈川芸術劇場にて白井晃演出「舞台 ペール・ギュント」「舞台 マハゴニー市の興亡」の音楽監督を担当。水戸芸術館にて2016年11月~2017年7月「スガダイローPROJECT(全3回)」を行う。

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