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寿司くんが『文化庁メディア芸術祭』受賞 岡崎体育との制作を語る

寿司くんが『文化庁メディア芸術祭』受賞 岡崎体育との制作を語る

『文化庁メディア芸術祭』
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:豊島望 編集:宮原朋之、山元翔一

岡崎さんのライブは、とにかく見たことのないスタイルだった。

―悪意を感じさせない程度の毒も計算だったと。

こやま:それがウケたからバズったと思うんですけど、実際に見た人の反応は、さほどネガティブなものがあった記憶はなくて。「めっちゃ面白い!」「これ、相当手間かかってるやん」みたいな感じでした。「最後のシーンはドローン使ってるのかな」「いや使ってへんやろ」みたいな、ちょっとした議論も起きて。もちろん、楽曲そのものの評判がよかったですしね。すごく嬉しくて、公開した日の夜に岡崎さんと地元のガストへ行って祝杯をあげました(笑)

こやまたくや

―お二人のそもそもの出会いをお聞きしたいんですけど、こやまさんと岡崎さんは、同じ宇治中学校出身なんですよね?

こやま:はい。でもそれはあとになって知ったことなんです。出会いは、まさに「メディア芸術祭」に応募したアニメーション『寿司くん』で。僕がインターネットにアップしていた動画を岡崎さんが見てくれて、Twitter経由で連絡をくださったのがきっかけです。

それ以前にも、「ミュージックビデオを撮るんだったら、寿司くんにお願いしたいな」みたいなことも呟いてくださっていたんですよね。それで、「じゃあ僕、ライブを観に行きますね」って。共通の知り合いがいたので、連れて行ってもらい、そこで初めてライブを観ました。

―そのライブのときの印象はどうでした?

こやま:めちゃめちゃ面白かったです。まだ岡崎さんのフォロワーが300人くらいの頃で、お客さんも全然少なかったけど、とにかく観たことのないスタイルだったんですよ。

“家族構成”という曲を初披露してたんですけど、パソコンで普通に曲を流しながらフリップを見せていくっていう……ほとんど芸人なんですよ、やってることが(笑)。口パクやし、お笑い劇場でやってるようなパフォーマンスなのに、曲のクオリティーがめちゃめちゃ高い。そのパフォーマンスを観て、「これ、そのまんま映像作品にできるな」って思ったんです。

ありきたりなものに対して「ダサい」と思っているんです。

―ミュージックビデオって、それこそ岡崎さんが“MUSIC VIDEO”の歌詞で指摘しているような謎のフォーマットがいくつもあるじゃないですか。誰もがなんとなく「変だよなあ」と思っていたことを、メタ視点でアプローチしたのが、とにかく斬新で面白かったんですよね。

こやま:ありがとうございます。

―あのメタ視点を踏まえた上で、お二人が次にどこへ向かうのかが気になります。

こやま:その、ひとつの答えが“感情のピクセル”だったんですよね。ちょっとパロディー精神というか、メタ視点がきつ過ぎましたけど(笑)。楽曲だけじゃなくて映像もメタやったし。

―ああいったラウドなバンド音楽が好きな人に、ある意味「アンチ」だと受け取られてしまって批判もあったそうですね。

こやま:僕らとしても、別に特定のジャンルを揶揄したりバカにしたりするつもりはなく、ありきたりなものに対して「ダサい」と思っているし、ありきたりなことはしたくないから結果的に奇を衒ってしまうんです。“感情のピクセル”も、イントロ、Aメロ、Bメロとめちゃくちゃありきたりなことをあえてやって、サビでひっくり返すということをやっているんです。

―“MUSIC VIDEO”同様、“感情のピクセル”の楽曲としてのクオリティーは相変わらず高くて、対象となる音楽をちゃんと研究していないと、あそこまでのレベルにはいかないと思うんですよね。その辺がうまく伝わらず、もどかしく思ったり、窮屈に感じたりすることはありますか?

こやま:うーん、有名になればなるほど角が立つっていうのはあると思いますね。「MUSIC VIDEO」を出したときは全く無名だったから、「ああ、なんかやっとるわ」みたいな感じだったのだと思うんです。

“感情のピクセル”もほとんどの人は面白がってくれたんですけど、一部の人からは「バカにしてんのか?」みたいなことは言われました。むしろバカにしてたらあそこまではやらないと思うんですけどね。

こやまたくや

映像は「総合芸術」って言われますけど、いろんな要素が確かにあるんですよね。それがすごく楽しかった。

―こやまさんが、映像をやろうと思ったきっかけは何だったんですか?

こやま:ずっと音楽が好きで、高校に入学したら軽音楽部に入ってバンドを組みたかったんです。でも、僕が入った高校に軽音部がなくて、それなら自分で作ろうと人を集めて申請も出したんですけど、全然取り合ってもらえず。「だったらもう、好きな音楽をかけまくったる!」と思って放送部に入ったんです(笑)。ただ、放送部って音楽をかけるだけじゃなくて、映像作品も作ってて。やってみたらすごく面白かったんですよね。

当時、放送コンテストのドキュメンタリー部門みたいなところに、完全なコントを出したら全国大会まで通ってしまったんです。そこで、自分の作品を観て会場の人たちが笑っている様子に、快感を覚えてしまったんですよね(笑)。

こやまたくや

―映像制作のどんなところに惹かれたのでしょう。

こやま:映像は「総合芸術」って言われますけど、いろんな要素が確かにあるんですよね。それがすごく楽しかったんだと思います。

―それで大阪芸術大学の映像学科に進学されたと。3年生のときに『メディア芸術祭』に応募したとのことでしたが、その際に気になった作家はいましたか?

こやま:橋本麦さんとノガミカツキさんが手がけた、group_inouの「EYE」は、発想とそれを実現できる技術力がすごいと思いました。僕と同世代の作家の作品ということもあり、ずっと気になっていますね。

『第19回 文化庁メディア芸術祭』(2015年)で「新人賞」を受賞

―こやまさんが影響を受けた映像作家はどの辺りの方なのですか?

こやま:石橋義正さんが、小学生の頃から大好きでした。マネキンを使った『オー!マイキー』や『バミリオン・プレジャー・ナイト』などが有名ですね。かなりブラックユーモアが強く、小学生が見たらアカンような内容で(笑)。たぶん『寿司くん』の世界観は石橋さんからの影響が大きいと思います。あえてシュールな画角で撮ったり、ベタなことはしないようにしたり。

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イベント情報

第21回 文化庁メディア芸術祭 作品募集

募集期間
2017年8月1日(火)~10月5日(木)日本時間18:00必着

募集部門
4部門(アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガ)
※プロ、アマチュアおよび自主制作作品、商業作品を問わず応募できます。

アート部門
インタラクティブアート、メディアインスタレーション、映像作品、映像インスタレーション、グラフィックアート(写真を含む)、ネットアート、メディアパフォーマンス等

エンターテインメント部門
ゲーム(テレビゲーム、オンラインゲーム等)、映像・音響作品(ミュージックビデオ、自主制作・広告映像等)、空間表現(特殊映像効果・演出、パフォーマンスを含む)、ガジェット(プロダクト、ツールを含む)、ウェブ(ウェブプロモーション、オープンソースプロジェクトを含む)、アプリケーション等

アニメーション部門
劇場アニメーション、短編アニメーション、テレビアニメーション、オリジナルビデオアニメーション(OVA)等

マンガ部門
単行本で発行されたマンガ、雑誌等に掲載されたマンガ(連載中の作品を含む)、コンピュータや携帯情報端末等で閲覧可能なマンガ、同人誌等の自主制作のマンガ等

『第20回 文化庁メディア芸術祭受賞作品展』

2017年9月16日(土)~9月28日(木)
会場:東京都 NTTインターコミュニケーション・センター、東京オペラシティ アートギャラリーほか
入場料無料

受賞作品:
アート部門
大賞
Ralf BAECKER『Interface I』
優秀賞
吉原 悠博『培養都市』
『Alter』制作チーム(代表:石黒浩/池上高志)『Alter』
Benjamin MAUS / Prokop BARTONÍČEK『Jller』
Ori ELISAR『The Living Language Project』
新人賞
津田道子『あなたは、翌日私に会いにそこに戻ってくるでしょう。』
Rosa MENKMAN『DCT: SYPHONING. The 1000000th interval.』
Nina KURTELA『The Wall』

エンターテインメント部門
大賞:
庵野秀明/樋口真嗣『シン・ゴジラ』
優秀賞:
市原えつこ『デジタルシャーマン・ プロジェクト』
川嵜鋼平/中野友彦/中村裕美/橋本俊行/宇田川和樹/天野渉『NO SALT RESTAURANT』
『PokémonGO』制作チーム(代表:野村達雄)『Pokémon GO』
『UnlimitedCorridor』制作チーム(代表:松本啓吾)『Unlimited Corridor』
新人賞:
岡崎体育/寿司くん『岡崎体育「MUSIC VIDEO」』
Ryo Kishi『ObOrO』
Marcel BUECKNER / Tim HEINZE / Richard OECKEL / Lorenz POTTHAST / Moritz RICHARTZ『RADIX | ORGANISM / APPARATUS』

アニメーション部門
大賞:
新海誠『君の名は。』
優秀賞:
山田尚子『映画『聲の形』』
Alê ABREU『父を探して』
Anushka Kishani NAANAYAKKARA『A Love Story』
Anna BUDANOVA 『Among the black waves』
新人賞:
堤大介/ロバート・コンドウ『ムーム』
Emma VAKARELOVA『I Have Dreamed Of You So Much』
Arturo "Vonno" AMBRIZ / Roy AMBRIZ『Rebellious』

マンガ部門
大賞:
石塚真一『BLUE GIANT』
優秀賞:
高井研一郎/原作:林律雄『総務部総務課 山口六平太』
ユン・テホ/訳:古川綾子/金承福『未生 ミセン』
筒井哲也『有害都市』
松本大洋『Sunny』
新人賞:
灰原薬『応天の門』
清家雪子『月に吠えらんねえ』
畑優以『ヤスミーン』
功労賞:
飯塚正夫
梯郁太郎
高野行央
松武秀樹

リリース情報

ヤバイTシャツ屋さん『パイナップルせんぱい』初回限定盤
ヤバイTシャツ屋さん
『パイナップルせんぱい』初回限定盤(CD+DVD)

価格:1,620円(税込)
UMCK-9922

[CD]
1. ハッピーウェディング前ソング
2. 眠いオブザイヤー受賞
3. とりあえず噛む
4. ハッピーウェディング前ソング(岡崎体育 remix)
[DVD収録内容]
・ヤバイTシャツ屋さんのパイナップルツアー
・沖縄・ナゴパイナップルパークでオフを楽しむメンバーの姿を収録

ヤバイTシャツ屋さん『パイナップルせんぱい』通常盤
ヤバイTシャツ屋さん
『パイナップルせんぱい』通常盤(CD)

価格:1,188円(税込)
UMCK-5636

1. ハッピーウェディング前ソング
2. 眠いオブザイヤー受賞
3. とりあえず噛む
4. ハッピーウェディング前ソング(岡崎体育 remix)

ヤバイTシャツ屋さん『Tank-top of the DVD』
ヤバイTシャツ屋さん
『Tank-top of the DVD』(DVD)

2017年9月20日(水)発売
価格:3,500円(税込)
UMBK-1253

[収録曲]
・オープニングドキュメンタリー「タンクトップ神誕生」
・Tank-top of the world
・寝んでもいける
・メロコアバンドのアルバムの3曲目ぐらいによく収録されている感じの曲
-MC1-
・L・O・V・E タオル
・DQNの車のミラーのところによくぶら下がってる大麻の形したやつ
・Don’t stop SNS
・ZIKKA
-MC2-
・ウェイウェイ大学生
・天王寺に住んでる女の子
・週10ですき家
・喜志駅周辺なんもない
-MC3-
・とりあえず噛む
・反吐出る
・流行りのバンドのボーカルの男みんな声高い
・スプラッピ スプラッパ
・無線LANばり便利
・ネコ飼いたい
・ヤバみ
-アンコールMC-
・肩 have a good day
・あつまれ!パーティーピーポー
<おもしろ特典映像>
おもしろライブ当日のおもしろメンバーのおもしろ様子

プロフィール

こやまたくや

京都府出身、大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業。24歳。「寿司くん」名義でアニメ・ミュージックビデオなどの映像作品を中心に制作活動を行う。ロックバンド、ヤバイTシャツ屋さんのギターボーカルとしても活動中。

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