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THE BACK HORNが語る、20年の歩みと「自立」の時代の生き方

THE BACK HORNが語る、20年の歩みと「自立」の時代の生き方

THE BACK HORN『BEST THE BACK HORN II』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:西槇太一 編集:川浦慧、矢島由佳子
2017/10/25

結成20周年を来年に控え、THE BACK HORNがキャリア2枚目のベストアルバム『BEST THE BACK HORN II』を発表した。2008年以降のシングルとアルバムからのリードトラックを中心としたDISC-1には、彼らが時代とどのように向き合ってきたのかが克明に記録され、宇多田ヒカルとのコラボレーションによる名曲“あなたが待ってる”や、勇壮なバグパイプが20周年を祝福する新曲“グローリア”も収録。ファン投票による人気曲を集めたDISC-2、ミュージックビデオ集のDISC-3も併せ、バンドの20年の歩みが濃密に凝縮された作品だと言えよう。

THE BACK HORNの代名詞といえば「KYO-MEI」であり、安易な共感ではなく、一人ひとりが本当の意味で心震わせることこそを、彼らは信条としてきた。そして、2011年の東日本大震災を経て、自らの表現をもう一度見つめ直した先で、菅波栄純がこの日の取材中に何度も繰り返したのは「自立」という言葉だった。それはまさに「KYO-MEI」の背景となる重要な考え方であり、現代のキーワードだと言ってもいいのではないかと思う。

もし10年前にTHE BACK HORNが産声を上げていたら、今とは違うバンドになってただろうなって。(松田)

—2008年からの10年を振り返ると、「繋がり方」が変化した10年だったように思います。国や会社、家族といった繋がりに変化が生じて、その一方では、SNSなどによって新たな繋がりが生まれた。ロックフェスのオーバーグラウンド化というのも、繋がりの方の変化の一例だったように思える。そんな中で、「KYO-MEI」を掲げるバンドの表現がどう変化していったのかをお伺いしたいです。

松田(Dr):「KYO-MEI」という言葉自体は昔からあったんですけど、前はそこまで意識的ではなかったんです。それこそ、結成10周年を迎えて振り返ったときに、より自覚的になっていったんですよね。

最初はとにかく「自分たちが自分たちであるために、どういう音楽を作るべきか」とか「どこにも属さない自分たちの歩み方」とか、そんなことばっかり考えてました。

—そこから10年をかけて少しずつ変わっていったと。

松田:最初の武道館(2008年)までに少しずつバンドが受け入れられて、いろんな広がりを見せていく中で、「みんながいるからこそ、俺たちは存在できる」って実感して。そこから、「じゃあ、その人たちにもっと響く音楽を作るには」って、だんだん自覚的になっていったんです。

「繋がり方」の話でいうと、SNSがまだなかったのは大きかったかもしれないですね。いろんな情報が耳に入ってこなかったからこそ、自分たちの道を歩んで来れた。だから、もし10年前にTHE BACK HORNが産声を上げていたら、今とは違うバンドになってただろうなって思います。

松田晋二
松田晋二

菅波(Gt):今はSNSでエゴサすれば情報が見られるけど、THE BACK HORNが始まった頃はまだ2ちゃんが主流で、漫画喫茶で自分たちに対する文句を見て、怒りを高めて歌詞に反映させたりしてましたね。「てめえら、待っとけよ!」みたいな(笑)。

—ハハハ(笑)。

菅波:SNSが普及してから、より直接的に交流ができるようになって、今だとそれが曲作りに影響を与えたりもしてますよね。僕たちの場合はそこまで「交流」という感じじゃないけど、ミュージシャンによっては、そういうところの意見を曲作りに反映させたりもしているから、繋がり方の変化によって、曲を作ることの意味自体も変わってきたのかなって。

菅波栄純(Gt)
菅波栄純(Gt)

(震災を経て)ただ寄り添うだけじゃなくて、背中を押したり、今ここで一緒に生きてる喜びを共有したいっていう気持ちが強くなりました。(山田)

—ベストアルバムのDISC-1には2008年からの楽曲が収録されていますが、やはり大きかったのは2011年の震災以降の変化だと思います。

THE BACK HORN『BEST THE BACK HORN II』
THE BACK HORN『BEST THE BACK HORN II』(Amazonで見る

松田:そうですね。2010年に『アサイラム』(8thアルバム)を出したんですけど、当時は次なる自分たちの音楽を探してる時期だったんです。そんな中で震災が起きたので、一回自分たちの歩みを止めて、今目の前で起きていることに対して、どういった形で意思表明をするか考えた。

それで生まれたのが“世界中に花束を”だったんです。その曲を持って、全国を回ったことで、音楽のあり方をより深く考えることができました。東北でライブをしたときのお客さんの表情がものすごく心に残って、当たり前だと思ってたことが当たり前じゃなかったって、改めて受け止めたというか。

—震災以降の表現は、より「生」や「光」に向かった印象があります。もちろん、その裏側には「死」や「闇」があるわけですけど、グラデーションの割合が変わったというか。

山田(Vo):そうかもしれないですね。もともと光から目を背けてたわけじゃないけど、リアリティーを求めたときに、眩しすぎるものへの拒否感はあったと思います。でも、感情移入できないくらいに辛い思いをしてる人たちがいる中で、「眩しすぎる」とか言ってる場合なのかって気持ちになったんですよね。

ちゃんと光を表現するのってすごく体力がいることだけど、聴いてくれる人の背中を押したりとか、今ここで一緒に生きてる喜びを共有したりしたいっていう気持ちが強くなりました。

山田将司(Vo)
山田将司(Vo)

—その意味では、“世界中に花束を”の後にリリースされた“シリウス”が起点だったように思います。僕の中で、『リヴスコール』(2012年発売、9thアルバム)、『暁のファンファーレ』(2014年発売、10thアルバム)、『運命開花』(2015年発売、11thアルバム)って「三部作」みたいなイメージがあるんですけど、“シリウス”の冒頭の歌詞<共に生き歩んだ日々 支え続けてくれた人 立ち尽くすあなたの為 今何ができるのだろう>っていうのが、一貫したテーマだったように思うんです。

THE BACK HORN『リヴスコール』
THE BACK HORN『リヴスコール』(Amazonで見る

THE BACK HORN『暁のファンファーレ』ジャケット写真
THE BACK HORN『暁のファンファーレ』ジャケット写真(Amazonで見る

THE BACK HORN『運命開花』ジャケット写真
THE BACK HORN『運命開花』ジャケット写真(Amazonで見る

菅波:三部作感……確かにあるかも。“世界中に花束を”を作ったときに、自分たちの道筋が少し見えた部分があって。ああいう祈りのような曲を持ってライブをする意味を感じながら全国を回ったんですけど、“シリウス”はその後にできた曲で、「祈り」というよりも、もっとメッセージ性の強いものを書こうっていうイメージが最初からありました。

自分たちに発破をかけるというか、「ミュージシャン、行け!」みたいなことも歌ってるつもりだし、自分たちの周りが少し混乱してる中で、みんなでガーッと動いてる感じも歌詞に乗せたから……ある意味、まだ完結してない曲だと思うんです。あのときの混沌とした状況を、写真でパッと収めたようなものというか。

岡峰(Ba):今回のベストには2008年からの10年が入ってますけど、感覚的には、やっぱり震災がひとつの区切りで、そこから考え方自体を見直したような感じがあります。

岡峰光舟
岡峰光舟

岡峰:マツ(松田)も言ってたように、音楽を当たり前にやってたこと自体が普通じゃなかったって気づいた。震災直後に広島でライブをしたときは、ただ演奏するだけでめちゃめちゃ緊張して、でも喜びもすごくあったんです。単純に、アンプからでかい音出して演奏できること自体が幸せなんだなって、改めて感じましたね。

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リリース情報

THE BACK HORN『BEST THE BACK HORN II』TYPE-A
THE BACK HORN
『BEST THE BACK HORN II』TYPE-A(2CD+DVD)

2017年10月18日(水)発売
価格:4,860円(税込)
VIZL-1237

[CD1]
1. 覚醒
2. 戦う君よ
3. 閉ざされた世界
4. 世界中に花束を
5. シリウス
6. シンフォニア
7. バトルイマ
8. シンメトリー
9. コワレモノ
10. ビリーバーズ
11. 悪人
12. その先へ
13. 魂のアリバイ
14. With You
15. あなたが待ってる
16. 孤独を繋いで
17. グローリア
[CD2]
1. ひょうひょうと
2. 声
3. コバルトブルー
4. 赤眼の路上
5. 扉
6. 枝
7. 晩秋
8. ジョーカー
9. 罠
10. 冬のミルク<New Recording>
11. 美しい名前
12. 何処へ行く
13. 上海狂騒曲
14. 刃
15. 泣いている人<New Recording>
16. 無限の荒野<New Recording>
[DVD]
1. 戦う君よ
2. 閉ざされた世界
3. シリウス
4. 世界中に花束を<New Recording>
5. シンフォニア
6. バトルイマ
7. シンメトリー
8. コワレモノ
9. ビリーバーズ
10. 悪人
11. その先へ
12. With You
13. あなたが待ってる
14. 孤独を繋いで
15. 泣いている人<New Recording>
『Extra Video』
1. 戦う君よ(葛藤編)
2. 戦う君よ(狂乱編)
3. 戦う君よ(妄執編)
4. 戦う君よ(鬱屈編)
5. シンフォニア(1cut ver.)

THE BACK HORN
『BEST THE BACK HORN II』TYPE-B(2CD)

2017年10月18日(水)発売
価格:3,456(税込)
VICL-64842/3

[CD1]
1. 覚醒
2. 戦う君よ
3. 閉ざされた世界
4. 世界中に花束を
5. シリウス
6. シンフォニア
7. バトルイマ
8. シンメトリー
9. コワレモノ
10. ビリーバーズ
11. 悪人
12. その先へ
13. 魂のアリバイ
14. With You
15. あなたが待ってる
16. 孤独を繋いで
17. グローリア
[CD2]
1. ひょうひょうと
2. 声
3. コバルトブルー
4. 赤眼の路上
5. 扉
6. 枝
7. 晩秋
8. ジョーカー
9. 罠
10. 冬のミルク<New Recording>
11. 美しい名前
12. 何処へ行く
13. 上海狂騒曲
14. 刃
15. 泣いている人<New Recording>
16. 無限の荒野<New Recording>

イベント情報

『THE BACK HORN マニアックヘブンツアーVol.11』

2017年11月3日(金・祝)
会場:愛知県 名古屋 BOTTOM LINE

2017年11月5日(日)
会場:宮城県 仙台 Rensa

2017年11月10日(金)
会場:福岡県 福岡 DRUM Be-1

2017年11月15日(水)
会場:北海道 札幌 PENNY LANE24

2017年11月26日(日)
会場:大阪府 梅田 umeda TRAD

2017年12月1日(金)
会場:香川県 高松 DIME

2017年12月2日(土)
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO

2017年12月22日(金)
会場:石川県 金沢 AZ

2017年12月24日(日)
会場:東京都 新木場 STUDIO COAST

プロフィール

THE BACK HORN
THE BACK HORN(ざ ばっくほーん)

1998年結成。“KYO-MEI”という言葉をテーマに、聞く人の心をふるわせる音楽を届けていくというバンドの意思を掲げている。2001年シングル『サニー』をメジャーリリース。FUJI ROCK FESTIVALやROCK IN JAPAN FESTIVAL等でのメインステージ出演をはじめ、近年のロックフェスティバルでは欠かせないライブバンドとしての地位を確立。そしてスペインや台湾ロックフェスティバルへの参加を皮切りに10数カ国で作品をリリースし海外にも進出。黒沢清監督映画『アカルイミライ』(2003年)主題歌「未来」をはじめ、紀里谷和明監督映画『CASSHERN』(2004年)挿入歌「レクイエム」、乙一原作『ZOO』(2005年)主題歌「奇跡」、アニメ『機動戦士ガンダム00』(2007年)主題歌「罠」、水島精二監督映画『機動戦士ガンダム00 -A wakening of the trailblazer-』(2010年)主題歌「閉ざされた世界」、熊切和嘉監督とタッグを組み制作した映画『光の音色 –THE BACK HORN Film-』など、そのオリジナリティ溢れる楽曲の世 界観から映像作品やクリエイターとのコラボレーションも多数。2012年に、激動の一年を経て制作されたアルバム『リヴスコール』を発表。その収録曲「世界中に花束を」は、収益金が震災復興の義援金として寄付されている。そして2017年、第一弾シングルとして宇多田ヒカルとの共同プロデュース楽曲「あなたが待ってる」、第二弾シングルとして「孤独を繋いで」をリリース。秋には6年振り3度目となる日比谷野外大音楽堂のワンマンライブと、恒例のスぺシャルイベント『マニアックヘブンツアーVol.11』の開催が決定し、2018年のバンド結成20周年へ向けて活動を加速させている。

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