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THE BACK HORNが語る、20年の歩みと「自立」の時代の生き方

THE BACK HORNが語る、20年の歩みと「自立」の時代の生き方

THE BACK HORN『BEST THE BACK HORN II』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:西槇太一 編集:川浦慧、矢島由佳子
2017/10/25

気づくと流されちゃうような、今ってそういう世の中な気がするんですよね。(菅波)

—松田さんは震災以降の表現の変化について、どのように感じられていますか?

松田:THE BACK HORNはずっと生と死を歌ってきましたけど、最初の10年は、みんなで死を意識することで「俺たちは生きてる」ってことを伝えたかったんですよね。それを歌詞とか楽曲の世界観に極限まで詰め込んで、「俺たちはいつか死ぬんだよ。でも、瞬間瞬間と向き合って全力で行こうぜ」って。

でも、震災が起きて、誰もが死を目の当たりにしたときに、その設定を入れる必要がなくなったんです。そこから「じゃあ、THE BACK HORNとして何を鳴らすべきか」を改めて考えて、それが『リヴスコール』以降の3作に繋がっていったというか。

THE BACK HORN

菅波:主義主張みたいなものとは絶妙に距離をとりたい気持ちもあったんですよね。「ただひたすらでかい音を鳴らす人たち」みたいな感じでもいたいなって、心のどこかで思ってた。

だから、さっき光舟(岡峰)が言ったことがある意味すべてというか。アンプでドーンと鳴らして、自分たちのテンションが上がることで、みんなのテンションも上がるっていうのがすべてで、そこに主義主張が入り過ぎちゃうと、本来の音楽の存在意義とはかけ離れちゃうと思うんですよね。

—確かに、『暁のファンファーレ』や『運命開花』では、もう少しメッセージが抽象化されていったような印象があります。

菅波:昔は、やたらめったら「希望と絶望」とか「生と死」の話をインタビューとかでしてたんですけど、それはしなくなりましたね。それはさっきマツが言ってたような時代性、全員にとっての暗黙の了解になったってことだと思う。

—以前菅波さんに単独でインタビューをさせていただいたときに、「現代の音楽にはセーフティーネットの役割があると思う」という話をしました(その人気はどこから? ロックバンドTHE BACK HORNの独自性)。その意識は今も強いですか?

菅波:社会からこぼれ落ちそうな気持ちに対するセーフティーネットになってる自覚はありつつも、「俺たちがあなたを助けます」って表明してしまうのはまた違うと思うんです。

それをしちゃうと、「同じ痛みを共有する人たち」みたいになっちゃう。今俺たちがバンドマンとしてやるべきはそういうことじゃないと思うんです。あくまで自立した状態でいて、その上で、ライブのような場所においては、どこまでも心を開くことが必要なんじゃないかなって。常に自立した状態で、曲の中ではひたすら開くとか、そういうメリハリが今は大事な気がする。

菅波栄純

—あくまでアンプからでかい音を鳴らすロックバンドとして存在した上で、その先にメッセージ性もあるというか。

菅波:その行程にこだわっておかないと、すぐごちゃごちゃになる世の中だなって。ごちゃごちゃになって、「あれ? これがやりたかったんだっけ?」って、気づくと流されちゃうような、今ってそういう世の中な気がするんですよね。

「この感じのままやっていくのが正解なんだ」って、自分たちで気づけたのがでかかった。(岡峰)

—昨年出た“With You”と、今年出た“あなたが待ってる”の2曲は、それぞれ亀田誠治さんと宇多田ヒカルさんをプロデューサーに迎えていて、曲調も含めて、新たなフェーズに入ったような印象がありました。一度四人でやり切ったような手応えを『運命開花』で感じたからこそ、外部の人を招き入れたという側面もあったのでしょうか?

松田:あったと思います。『運命開花』に関して、「また新しいTHE BACK HORNのスタンダードを作りたい」っていう意図はあったんです。それを経て、次はプロデューサーに入ってもらって何か発見できればって思ったんですけど、実際やってみると、よりTHE BACK HORNらしさを引き出してもらったなって。

宇多田さんに関しては、ホントに「ここじゃなかったらやれなかった」っていう奇跡的なタイミングで、そういうことが『運命開花』以降の流れで起こったのは、偶然なんだけど、何か繋がっているものがあるようにも思います。

松田晋二

岡峰:「変化を求めてプロデューサーを入れた」みたいな感覚はなくて……結果としては、「俺らTHE BACK HORNでよかったんだね」って思わせてくれたんですよね。ずいぶん長くやってきた分、今の自分らでは気づかない部分の手入れをしてほしかったんですけど、むしろ「別に手入れするとこないよ」って教えてくれたというか、「この感じのままやっていくのが正解なんだ」って、自分たちで気づけたのがでかかった。それで次の“孤独を繋いで”もできたし、“グローリア”もそうかな。

岡峰光舟

菅波:“With You”と“あなたが待ってる”も、“孤独を繋いで”と“グローリア”も、俺らの中では同じ幹から出てきた感じがあって、それに気づかせてもらえたのはよかったなって。プロデューサーにそこを教えてもらったことで、さらに制作意欲が湧いて、今もそれが続いているので、すごく意義は大きかったと思います。

—何か新しいものを加えてもらったというより、もともとあったものを、よりよい形で引き出してもらえたということですね。

松田:結局「変化」は人に頼っちゃいけないというか、自分たちで探さないといけないんだなって。他の人とやることで「それは違うよ」って言われるのかと思いきや、「いや、ここがいいんだよ」って、むしろ引っ張ってくれた。自分たちの見直しっていうのは、自分たちじゃないとできないんだなって、そういう意味でも勉強になりました。

左から:松田晋二、山田将司

菅波:今回はタイミング的にもすごくよかったけど、基本は自分たちで見つけにいかないとなっていうのは思います。これまでそれで失敗したり、道に迷ったりもしたにせよ、自分たちを見つめ続けてきたことに間違いはなかったなって。

やっぱり「自立したバンドでありたい」っていうのが大きいんですよね。もちろん、時には人に頼ったりもするし、甘えたりもするし(笑)、仲間同士で肩組んで酒飲んだりもするけど、基本的には「一人でちゃんと立てる」っていうところを目指すべきかなって。THE BACK HORNはこれまでフラフラしながらも、自立して歩んで行くってことをやってきたバンドだと思うんです。

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リリース情報

THE BACK HORN『BEST THE BACK HORN II』TYPE-A
THE BACK HORN
『BEST THE BACK HORN II』TYPE-A(2CD+DVD)

2017年10月18日(水)発売
価格:4,860円(税込)
VIZL-1237

[CD1]
1. 覚醒
2. 戦う君よ
3. 閉ざされた世界
4. 世界中に花束を
5. シリウス
6. シンフォニア
7. バトルイマ
8. シンメトリー
9. コワレモノ
10. ビリーバーズ
11. 悪人
12. その先へ
13. 魂のアリバイ
14. With You
15. あなたが待ってる
16. 孤独を繋いで
17. グローリア
[CD2]
1. ひょうひょうと
2. 声
3. コバルトブルー
4. 赤眼の路上
5. 扉
6. 枝
7. 晩秋
8. ジョーカー
9. 罠
10. 冬のミルク<New Recording>
11. 美しい名前
12. 何処へ行く
13. 上海狂騒曲
14. 刃
15. 泣いている人<New Recording>
16. 無限の荒野<New Recording>
[DVD]
1. 戦う君よ
2. 閉ざされた世界
3. シリウス
4. 世界中に花束を<New Recording>
5. シンフォニア
6. バトルイマ
7. シンメトリー
8. コワレモノ
9. ビリーバーズ
10. 悪人
11. その先へ
12. With You
13. あなたが待ってる
14. 孤独を繋いで
15. 泣いている人<New Recording>
『Extra Video』
1. 戦う君よ(葛藤編)
2. 戦う君よ(狂乱編)
3. 戦う君よ(妄執編)
4. 戦う君よ(鬱屈編)
5. シンフォニア(1cut ver.)

THE BACK HORN
『BEST THE BACK HORN II』TYPE-B(2CD)

2017年10月18日(水)発売
価格:3,456(税込)
VICL-64842/3

[CD1]
1. 覚醒
2. 戦う君よ
3. 閉ざされた世界
4. 世界中に花束を
5. シリウス
6. シンフォニア
7. バトルイマ
8. シンメトリー
9. コワレモノ
10. ビリーバーズ
11. 悪人
12. その先へ
13. 魂のアリバイ
14. With You
15. あなたが待ってる
16. 孤独を繋いで
17. グローリア
[CD2]
1. ひょうひょうと
2. 声
3. コバルトブルー
4. 赤眼の路上
5. 扉
6. 枝
7. 晩秋
8. ジョーカー
9. 罠
10. 冬のミルク<New Recording>
11. 美しい名前
12. 何処へ行く
13. 上海狂騒曲
14. 刃
15. 泣いている人<New Recording>
16. 無限の荒野<New Recording>

イベント情報

『THE BACK HORN マニアックヘブンツアーVol.11』

2017年11月3日(金・祝)
会場:愛知県 名古屋 BOTTOM LINE

2017年11月5日(日)
会場:宮城県 仙台 Rensa

2017年11月10日(金)
会場:福岡県 福岡 DRUM Be-1

2017年11月15日(水)
会場:北海道 札幌 PENNY LANE24

2017年11月26日(日)
会場:大阪府 梅田 umeda TRAD

2017年12月1日(金)
会場:香川県 高松 DIME

2017年12月2日(土)
会場:広島県 広島CLUB QUATTRO

2017年12月22日(金)
会場:石川県 金沢 AZ

2017年12月24日(日)
会場:東京都 新木場 STUDIO COAST

プロフィール

THE BACK HORN
THE BACK HORN(ざ ばっくほーん)

1998年結成。“KYO-MEI”という言葉をテーマに、聞く人の心をふるわせる音楽を届けていくというバンドの意思を掲げている。2001年シングル『サニー』をメジャーリリース。FUJI ROCK FESTIVALやROCK IN JAPAN FESTIVAL等でのメインステージ出演をはじめ、近年のロックフェスティバルでは欠かせないライブバンドとしての地位を確立。そしてスペインや台湾ロックフェスティバルへの参加を皮切りに10数カ国で作品をリリースし海外にも進出。黒沢清監督映画『アカルイミライ』(2003年)主題歌「未来」をはじめ、紀里谷和明監督映画『CASSHERN』(2004年)挿入歌「レクイエム」、乙一原作『ZOO』(2005年)主題歌「奇跡」、アニメ『機動戦士ガンダム00』(2007年)主題歌「罠」、水島精二監督映画『機動戦士ガンダム00 -A wakening of the trailblazer-』(2010年)主題歌「閉ざされた世界」、熊切和嘉監督とタッグを組み制作した映画『光の音色 –THE BACK HORN Film-』など、そのオリジナリティ溢れる楽曲の世 界観から映像作品やクリエイターとのコラボレーションも多数。2012年に、激動の一年を経て制作されたアルバム『リヴスコール』を発表。その収録曲「世界中に花束を」は、収益金が震災復興の義援金として寄付されている。そして2017年、第一弾シングルとして宇多田ヒカルとの共同プロデュース楽曲「あなたが待ってる」、第二弾シングルとして「孤独を繋いで」をリリース。秋には6年振り3度目となる日比谷野外大音楽堂のワンマンライブと、恒例のスぺシャルイベント『マニアックヘブンツアーVol.11』の開催が決定し、2018年のバンド結成20周年へ向けて活動を加速させている。

関連チケット情報

2019年4月27日(土)〜4月28日(日)
ARABAKI ROCK FEST.19
会場:みちのく公園北地区 エコキャンプみちのく(宮城県)
2019年6月5日(水)
ACIDMAN/ストレイテナー/THE BACK HORN
会場:Zepp Tokyo(東京都)
2019年6月7日(金)〜6月9日(日)
I ROCKS 2019 stand by LACCO TOWER
会場:群馬音楽センター(群馬県)
2019年6月21日(金)
ACIDMAN/ストレイテナー/THE BACK HORN
会場:Zepp Nagoya(愛知県)
2019年6月28日(金)
ACIDMAN/ストレイテナー/THE BACK HORN
会場:Zepp Osaka Bayside(大阪府)

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