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小山健×たなかみさき、SNSを語る。いいね!の数より大事なこと

小山健×たなかみさき、SNSを語る。いいね!の数より大事なこと

『SNS展』
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:鈴木渉 編集:木村直大

描きたい絵を、自由に上げていいからSNSなのに、「いいね」の数を気にしてしまったら、本末転倒。(たなか)

小山:でも、昔ながらの漫画家さんとかは、そんな軟派なことはしないので、そこに対する「俺、何やってるんだろう」感は、ずっとあるんですよね。自分は軟派だなあって……。

—そういう居心地の悪さみたいなものを感じるときもある?

小山:あります、あります。何か裏口入学みたいだなと思って。自分が昔から憧れていた漫画家さんやイラストレーターさんと自分は、すごく違うなあって。だから、自分からは「SNS発」とか言わないようにしているんですよね。別にウェブでしか描かないわけではないので。

たなか:それは作家にとって、結構デリケートな話題ですよね。

小山:そうなんですよね。何でもやろうと思っているから、「ウェブ専門」といわれるのも、ちょっと違うというか。

左から:たなかみさき、小山健

—SNSで作品を発表する際に、何か気をつけていることってありますか?

たなか:「いいね」がたくさんつくのは嬉しいんですけど、あんまり意識しないようにはしています。たとえば、男女の絵がすごくウケたなら、そういうのはしばらく描かないようにしようとか。SNSが評価のすべてになってしまうのも、何か違うなと思って。

自分の描きたい絵を、自由に上げていいからSNSなのに、そこで「いいね」の数を気にしてしまったら、どうしてもそっちに寄ってしまって、好きな絵が描けなくなってしまうじゃないですか。それは本末転倒だから、避けたいなと思って。だから、たまに逆行したりするんです。顔も描かずに乳首ボーン、股間バーンみたいな絵を描いたり(笑)。もちろん、「いいね」が増えるのは嬉しいんですけど、それに対する反発心もあるんですよね。

たなかみさき

SNSが、単なるツールとわかってから、やっと視野が開けてきたというか。(小山)

小山:僕の場合は、「あるあるネタ」をやったら、すごくウケるんですよね。そうやって広がるのは嬉しいんですけど、そういうものを描き続けるのも、何か違うというか。僕は、そもそも日記漫画を描いていたので、たとえそれがくだらなくても、共感されなくても、描くというのは意識してるかもしれないです。

あまりに相手に合わせ過ぎても、多分先がないと思うんですよね。最近SNSで見かけて面白いなって思ったのは、「フォロワーの数は、支持者の数じゃなくて、自分に向けられた銃口の数だ」という言葉で。ホントそうだなって思いますよね。

たなか:私は、何かにカテゴライズされそうになったら逃げるっていう癖があって。何々のイラストレーターみたいなキャッチフレーズがつくと、「あ、やばい、このジャンルからは抜けよう」みたいな。

「何々っぽい」とか、何々界隈の人とか、このジャンルだって、他人に決められるのは怖いなって思うんですよね。そうなると、どんどん自分がなくなっていくような気がするから。だから、Instagramに投稿しながら、Instagramに飲み込まれないように戦っているところがあるかもしれないです。

たなかみさき

小山:実際、飲み込まれた人たちが、たくさんいますからね。「あるあるネタ」の甘い蜜を吸って(笑)。僕も一時期、めちゃめちゃSNSにハマったときがあって。それこそダークサイドに陥ったというか、いかにウケるか、いかにシェアされるかしか考えてなかった頃がありました。

—その頃は、どんなものを描いていたんですか?

小山:もう、ストレートに悪口を描いてました。それで世の中を変えてやろうみたいな。SNSを、ただのツールだと思ってなくて、それで世界を変えるぐらいのことを思っていたんです。まあ、変わるはずもないんですけど。あの頃は、ちょっと危なかったと思います。

—その状態から、どうやって抜け出したんですか?

小山:「オモコロ」で描いている人たちのSNSの使い方とかを見て、ちょっと我に返ったんですよね。その人たちは、もう淡々とボケるっていうのをやっていて。SNSを、単なるツールとして使っているだけなんですよね。それがわかってから、やっと視野が開けてきたというか。

小山健

—SNSをやることによって、考え方が先鋭化してしまう人って、結構多いですよね。

小山:そうなんですよね。そのときは時事ネタとかもどんどん拾いにいって、手あたり次第に話題に乗っかるみたいなことをやっていて。そういうものを描くと、たしかに広がったりはするんですけど、それをそのままやっていても、先がないなって思ったんです。

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イベント情報

『SNS展』

主催:CINRA, Inc
特別協賛:LINEモバイル
参加アーティスト・キュレーター:
のん
菅本裕子
小山健
能町みね子
燃え殻
濱田英明
たなかみさき
最果タヒ
塩谷舞
UMMMI.
藤原麻里菜
東佳苗
ほか

2018年4月10日(火)まで公募作品の受付中。詳しくは公式サイトへ

プロフィール

小山健(こやま けん)

東京都在住。
会社員時代に趣味でブログに描いていたマンガ「手足をのばしてパタパタする」をきっかけにマンガやイラストを様々なところで執筆。
2013年に独立以降、雑誌・書籍・ウェブなどで幅広く活動中。
ときどきイベントに出て絵を描いたりしゃべったりもします。

たなかみさき

1992年11月14日生まれ。埼玉県出身。日本大学芸術学部を卒業後、熊本に移り住みフリーランスのイラストレーターとして活動。2017年春からは東京に拠点を移し主にグッズ制作、出版物に関わりながら活動中。お酒、歌謡、哀愁をこよなく愛し、それらは作品の中で色気を匂わせている、誰もが感じた事のある、あの青春を追い求めて。

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