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ナツノムジナ×田渕ひさ子のセッション&対談 音と言葉で熱く語る

ナツノムジナ×田渕ひさ子のセッション&対談 音と言葉で熱く語る

ナツノムジナ『淼のすみか』『HARVEST』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:田中一人 編集:山元翔一

リハーサルで“7月”をやったとき、ステージ袖から吉村さんがチラッと見ているのがわかったんですよ。(仲松)

—田渕さんとナツノムジナの直接的な出会いは、2011年に、地元の沖縄でブッチャーズと共演したときだったんですよね?

仲松:そうですね。当時はまだ半分コピー、半分オリジナルみたいな感じで、高校生バンドとして沖縄で活動していて。あるとき、ブッチャーズの“ファウスト”をカバーしたんですけど、その演奏を、桜坂セントラル(ライブハウス)のタケマサさんという方が観てくださっていたんです。それで、ライブ後に粟國がタケマサさんに呼ばれて、「来年、ブッチャーズが沖縄に来るから、オープニングアクトやらない?」って言われて「やります!」って。

—地元の高校生バンドがブッチャーズのオープニングアクトをやるって、すごいことですよね。

仲松:もう本当に。四人ともブッチャーズが大好きだったから、嬉しくて嬉しくて。嬉しすぎて、「当日、“7月”やっちゃおうぜ!」ってなったんですよ。

左から:田渕ひさ子、ナツノムジナ(粟國智彦、仲松拓弥、久富奈良、窪田薫)
左から:田渕ひさ子、ナツノムジナ(粟國智彦、仲松拓弥、久富奈良、窪田薫)

—本人たちの前でカバーって、すごい度胸ですね……。しかも、代表曲である“7月”を!

窪田:恐れ知らずですよねぇ(苦笑)。

仲松:普通、怖くてできないよね(苦笑)。本番の1週間前くらいに、事の重大さに気づいたんです。「これ、ヤバいんじゃない?」って…。

田渕:ふふふふふ(笑)。

仲松:リハーサルで“7月”をやったとき、ステージ袖から吉村さんがチラッと見ているのがわかったんですよ。「うわっ、見てる!」と思って……怖くて表情は見ることができなかったですけど、リハが終わった直後、吉村さんとひさ子さんがTwitterで褒めてくださったんです。それで、「よかった~、許された~!」って(笑)。

窪田:しかも、僕らの番が終わったあと、吉村さんに「今日、ストラトで弾きたいから貸して」って言われて、あの日、吉村さんは仲松のギターでステージに上がったんだよね。

—それもすごい出来事ですね……。

仲松:ステージで吉村さんが“7月”を弾いたとき、同じギターなのに、鳴りの違いに驚きました。「エフェクターが違うから」とか、「アンプが違うから」とか、そんな単純な理由でもなく、根本の音が全然違った。1弦1弦の音の広がりや奥行きが、全部吉村さんの色で……衝撃でしたね。

粟國:曲が始まる前に、吉村さんがジャラ~ンって弾くコードの音が、聴いたことあるようで、絶対に真似できない音だったんだよね。

仲松:そうそう、普通のコードを押さえているだけなのにね。

粟國:僕はあの日まで、CDのなかで出会う素晴らしい音楽と、自分との間に距離があったような気がするんです。常に、自分の理想を入れ込みながら音楽を聴いていた、というか。

でもあの日、実際にブッチャーズを観て、オープニングアクトまでやらせてもらって、素晴らしい音を鳴らす人たちと、同じステージでギターを弾くことができて……「もしかしたら自分も、あんなふうにすごい音を出せるようになれるかもしれない」って思ったんです。それまで持っていた理想に、現実味を感じられるようになったというか。曲作りをするのも、「もっと大きいものを追い求めていいんじゃないか?」って、想像する領域が広がった感じがしたし。

窪田:きっとああいう経験がなかったら、理想が理想のままだったかもしれないね。

仲松:うん、「楽しいからやっている」みたいな感じじゃなくて、「ちゃんとバンドを続けたい」って思うようになったのも、あの日がきっかけだと思う。

レコーディングしたセッション音源を確認する五人
レコーディングしたセッション音源を確認する五人

ナツノムジナ『natsunomujina – EP』(2015年)収録曲

誰がカバーしても吉村さんは喜ぶわけではなくて。ナツノムジナの四人だったからよかったんだと思うんですよね。(田渕)

田渕:私、ブッチャーズで高校生の頃のナツノムジナと対バンしたときのことはハッキリと覚えているんですけど、あのとき使っていたベースって……。

窪田:TUNEの青いベースですかね(笑)。

田渕:そうそう! とてもブッチャーズの曲を弾くようなベースではないんですよ(笑)。むしろ、フュージョンとかポップスとかの人が使う楽器で。それで“7月”を弾いていて、「なんだ、これは~!」って(笑)。

四人:(爆笑)。

田渕:「とにかく、すげぇ若いぞ」って思いました。「しかも、“7月”やっちゃうのかよっ!」って(笑)。“7月”って、ブッチャーズでも「ここぞ!」というときにしかやらないスペシャルな曲で。自分がメンバーになってからも、“7月”をやる / やらないの法則は結局わからずじまいの曲だったんですよ。「その“7月”をやってるで~!」って(笑)。

仲松:ですよねぇ……(苦笑)。

田渕:でも、吉村さんは大層ご満悦でしたよ(笑)。もちろん、誰がカバーしても喜ぶわけではなくて、ナツノムジナの四人だったからよかったんだと思うんですよね。

田渕ひさ子
田渕ひさ子

田渕:スレた若者が、いろんな機材を仕込んで“7月”をやるわけではなく、本当にピュアな気持ちで演奏しているのがわかるから。それに、歌がよかった。もし変なビブラートとかかけて歌ってたら、吉村さんから「バンッ!」ってくらっていたと思う(笑)。

四人:ははははは(笑)。

田渕:でも、あのときから粟國くんの歌は本当によかったから。あと、私が覚えているのは本番前にみんながレッドブルを飲んでいたら、吉村さんが「おいっ! お前らはまだコーラとジャンプで十分だろっ!」って怒っていたことで。あれは面白かった(笑)。

窪田:ちょうどレッドブルとかを覚え始めた頃だったんですよ(笑)。

仲松:背伸びしたかったんです(笑)。……吉村さんに言われて、そっと缶を置きましたけど(笑)。

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イベント情報

『HARVEST』
『HARVEST』

2018年3月24日(土)
会場:東京都 新代田 FEVER
出演:
ナツノムジナ
CHIIO
GRASAM ANIMAL
ベランダ
料金:前売2,000円 当日2,500円 『淼のすみか』LP&ポスター付限定チケット4000円(全てドリンク別)

リリース情報

ナツノムジナ
『淼のすみか』(LP)

2018年3月28日(水)発売
価格:¥3,000(税込)
トーキョー=コミューン / FSJM2

[SIDE-A]
1. 灯台
2. 暈
3. 凪
4. 泊地
5. 艀

[SIDE-B]
1. 深海
2. 辷る
3. 天体
4. 伴侶
5. 渚にて

ナツノムジナ『淼のすみか』
ナツノムジナ
『淼のすみか』(CD)

2017年9月6日(水)発売
価格:2800円(税込)
FSCT-1008

1. 灯台
2. 暈
3. 凪
4. 泊地
5. 艀
6. 深海
7. 辷る
8. 天体
9. 伴侶
10. 渚にて

toddle
『Vacantly』(CD)

2016年7月27日(水)発売
価格:2,808円(税込)
KICS-3397

1. Disillusion
2. Beat Rotates
3. Branch in the Road
4. Parallel Lanes
5. Bitter Hours
6. Cloud Eater
7. Stirrer
8. Right-Hand Drive
9. Where the Alley Ends
10. Round Arrow
11. Vacantly
12. Illuminate

プロフィール

ナツノムジナ
ナツノムジナ

2010年、沖縄にて、高校の入学を目前に粟國智彦の呼びかけにより小学校の頃の同級生でナツノムジナを結成。同年の10月ごろにベーシストが抜け、現メンバーの窪田薫が加入。2011年7月、bloodthirsty butchersのライブのオープニングアクトを務めたことをきっかけに音源作成を決意。同年10月、に山本精一のオープニングアクトを務めたライブで2曲入りの音源『黒点/渚にて』を販売開始。2012年、窪田が一足先に東京に上京することになり活動休止。2013年、メンバー全員が上京をし、東京で活動を再開。2015年、自主製作音源の『natsunomujna-ep』を4月にリリース。同年にLAMAやbonobosと共演。2016年、自主企画『Pale』を定期的に開催。同年9月に2曲入りカセット『Driftage vol.1【艀・凪】』を会場限定でリリース。2017年、3月に2曲入りの7inchレコード『Driftage vol.2【天体・月の裏側】』を会場限定でリリース。9月に初の全国流通版1stフルアルバム『淼のすみか』をリリース。

田渕ひさ子(たぶち ひさこ)

福岡県出身。1975年12月9日生まれのO型。13歳でギターを始めて以来、途切れることなくギャルバンでギターを弾き続ける。19歳でNUMBER GIRLに加入し、98年に上京。2002年に解散し、toddleを始める。03年bloodthirsty butchersにメンバーとして加入。寝た子も起こす強烈なギターが印象的だが、toddleでは初めてのボーカルも担当し、これまでとは違った一面を見せる。忙しい毎日を送りつつ、色んなことを日々イメトレ中。

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