特集 PR

CRCK/LCKS、誰もが認める「超絶テクバンド」の制作スタジオへ

CRCK/LCKS、誰もが認める「超絶テクバンド」の制作スタジオへ

KORG
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:豊島望 編集:矢島由佳子

ジャズシーンを中心に活躍中の錚々たるメンバーが集まった5人組バンド、CRCK/LCKS(クラックラックス)。変拍子やポリリズムを導入した超絶的なアンサンブルの上に、とびきりポップなメロディーが乗った不思議なサウンドは、一度聴いたら病みつきになること必至。すでにリリースされている2枚のミニアルバム『CRCK/LCKS』『Lighter』はジャズ界のみならず、J-POPやインディロックシーンでも熱い注目を集めています。

現在は3枚目のミニアルバムをレコーディング中で、早くも新境地へ向かいつつあるという彼ら。その創造力は一体どこから生まれているのでしょうか。バンドの中心人物である小田朋美さん、小西遼さんに話を聞きました。

2人の真逆な幼少期ーー親がピアノの先生だった小田と、アウトドア少年だった小西

母親がピアノ教室の先生をしていたこともあり、幼少期からピアノを習っていたという小田朋美さん。クラシック音楽に慣れ親しみ、バッハが好きだったそうですが、いつしか譜面どおりに演奏することよりも「作曲家になりたい」という気持ちのほうが強くなっていきました。一方、小西遼さんはボーイスカウトに参加するほどアウトドアが大好きな少年で、ピアノを習い始めたのは小学校6年生と割と遅いスタートでした。

小田(Vo,Key):クラシックピアノを習いつつ、テレビから流れてくるJ-POPも聴いてましたね。「クラシック至上主義」みたいなものは全然なかったし、中学の頃はカラオケで歌うのが大好きでした。大学では作曲科を専攻したのですが、途中から「やっぱり歌いたい」と思って、在学中からライブハウスで歌っていたんです。

小田朋美
小田朋美

小西(Sax,Vocoder,Synth,etc):小学生の頃は、2週間くらい家に帰らずキャンプに行ったり、パイロットになりたくて「宇宙航空青少年団」というパイロット育成団体に入ったりしてました(笑)。そのくせ、あまり集団行動は得意じゃなかったんですよね。

ある日、学校の音楽の時間に、隣の席のやつが手元を見ずにピアノを弾いているのを見て「あ、かっこいい」と思ったんです。それで母親に頼み込んで、ピアノ教室に入らせてもらいました。当時は水泳、塾、ボーイスカウト、そして「宇宙航空青少年団」に入っていたので、「どれか1つ辞めなさい」と言われて「宇宙航空青少年団」を辞めました。高いところが嫌いだからパイロットは無理だな、と(笑)。

小西遼
小西遼

一方で小西は、ジャズも否定するほどの「クラシック至上主義」に傾倒していく

とにかく、好きになったものはとことん追求しないと気が済まない小西さん。クラシックピアノを習ううちに、小田さんとは逆に「クラシック至上主義」だった時期もあったそうです。

小西:実は小学校のときの隣のクラスの担任が、平原綾香さんのお母さんだったんです。つまり旦那さんは有名なサックス奏者、平原まことさん。それもあって、学校にサックスとかを持ってきて、全校生徒に演奏してくれたりして。それを聴いて、「サックスかっこいい」と思って吹奏楽部に入り、“ルパン三世のテーマ”とかを演奏しているうちにジャズが大好きになってました(笑)。

最初はジャズとかもバカにしてたんですよ。親父からは「サックスやってるならジャズも聴け」と言われてチャーリー・パーカーやジョン・コルトレーンを教えてもらっても、「こんなテキトーに演奏してる音楽なんか聴けねえ」とか思って(笑)。

でも結局、中学からスカパラ(東京スカパラダイスオーケストラ)やPE'Zにハマって練習しまくりましたね。高校に上がった頃にはもう、自分で曲を作ったりライブハウスのジャズセッションに参加したりして。その縁で仕事をもらうようになり、高校の頃からレストランで演奏していました。

新作のレコーディングスタジオにて
新作のレコーディングスタジオにて

小田:クラシック至上主義ではなかったと言いながら矛盾するのですが、私は小さい頃、作曲家が世界で一番偉いと思っていたんです。「バッハやベートーヴェンの曲が、今も残っているなんてヤバイ!」って(笑)。

同じ芸術でも、たとえば絵画だったら、作品が残ったとしてもそれ1点だけじゃないですか。音楽は、「楽譜」というメディアを使っていろんな人が歌ったり演奏したり、そこでまたさまざまな形に変化して受け継がれていく。それを考えると、「音楽を作る」ってすごいことだなあと思ったんです。だから、作曲のほうに気持ちが向いていったんでしょうね。理論とかを習うよりも先に、とにかく自由に弾いて、自由に作曲することが楽しかった。

小西:へえ! 俺は完全にロジカル人間だったよ。楽典とか理論書は読みまくったし、音がわかる前にすべて理論で理解しようとしてた。本当に正反対だね(笑)。

習い始めたのが遅かったのもあって、ピアノは超真面目に最初の1年間練習はしたんですけど、そのときの先生がガチガチのクラシック出身で。絶対音感とかを叩き込まれているうちにピアノがつまらなくなってしまって、それでジャズに傾倒していったところもあったかもしれないです。

ただ、スパルタだったおかげで、3年でショパンを暗譜で弾けるようになったし、そこでベーシックな技術を身につけられたのはよかったと思っています。キャンプをやるのとかと一緒で、とにかく新しいことを覚えるのが楽しくて仕方なかったんでしょうね。坂本龍一の譜面を買ってきて、「メジャー7th、クソお洒落な響きだな!」とか興奮していましたから(笑)。

小田の譜面。7thコードが連なっている
小田の譜面。7thコードが連なっている

「弱さ」がコンプレックスだった小田と、漫画『BLUE GIANT』のように生きてきた小西

高校を卒業し、小田さんは東京藝術大学作曲科へ入学、小西さんは洗足学園音楽大学に入学し、バークリー音楽大学へ留学します。音楽一辺倒の学生生活になるかと思いきや、2人ともそうはなりませんでした。

小田:私は大学に入る前に、哲学や心理学のような、音楽とは全然違うことをやりたいと思う時期があったんです。本を読むのが好きで、遠藤周作や、彼に影響を与えたヨーロッパの文学『ボヴァリー夫人』のギュスターヴ・フローベールなどを読み耽っていました。

彼らは「人間の弱さ」を徹底的に描いているんですよね。その頃の私は、自分のことをものすごく弱い人間だと思っていて、その弱さに対する罪悪感もあった。そんな自分を許したい、肯定したいという気持ちが、哲学や心理学、遠藤周作に傾倒した理由かもしれません。たとえばCRCK/LCKSの“パパパ!”の歌詞には、その頃の心境が少し反映されているような気がします。

小西:そこは俺も一緒。高校のときに演劇にハマって戯曲を読んだり、寺山修司や野田秀樹、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、つかこうへい、筒井康隆の本を読み漁ったりしてた。それで「俺は、音楽がやりたいんじゃないんだ。自己表現がしたくて、そのためのツールとして音楽が必要だったんだ」と、高校時代に気づいたんです。

だったらなにかひとつ、人より秀でたものが必要だなと。でも日本の大学にいると自分が1番のサックス奏者だと思い上がってたところ、バークリーに行ったら、自分より上手いやつらがたくさんいて。「これは、サックス1本でやっていくのは無理だな」と思い知らされましたね。だからサックスを極めつつも、作曲や編曲などマルチでできるよう、全体的な基礎力を高めることにしたんです。

左から:小田朋美、小西遼

小田:私も芸大に入って、短期留学したときとかに、めちゃくちゃすごい演奏家を目の当たりにしたんですよ。「譜面なんて関係ない」みたいな演奏を見て、楽譜の有効性に限界を感じてしまったというか。楽譜どおりに弾けただけでは全然ダメだとわかったし、人そのものが持っているエネルギーに惹かれるようになっていったんです。

なんていうんだろう……自分自身が「詩」になりたいというか。音楽だけじゃなくてインスタレーション的なことや、美術の世界に足を踏み込んだり、ダンスの人とコラボしたり。「タレントになりたい」というのとも違うんですけど、私そのものが「媒体」になりたいなと。でも、そのためには小西と同じで、なにかひとつ極めるのが必要で、私にとってそれはピアノや歌、作曲なんだろうなと思ったんです。

2人とも、一流が集まる環境に身を置いたからこそ、自分が目指すべき道を明確にイメージできるようになったのかもしれません。

Page 1
次へ

スタジオ機材リスト

[小田朋美]
コンピューター
Apple「Mac Book Pro」

DAWソフト
Steinberg「Cubase」

オーディオインターフェース
RME「Fireface UCX」

キーボード
KORG「Grandstage」
KORG「minilogue」
WALDORF「Blofeld」

[小西遼]
コンピューター
Apple「Mac Book Pro」

DAWソフト
Apple「Logic Pro」

オーディオインターフェース
Steinberg「UR22」(デモ制作用)

シンセサイザー / キーボード
KORG「microKORG XL+」
CASIO「CZ-5000」
brother「Auto Emillion」
Roland「JX-03」

音源
KORG「KAOSS PAD 2」
KORG「KAOSSILATOR」
KORG「X911」

アウトボード
BOSS「ME-20」
BOSS「RE-20」

リリース情報

CRCK/LCKS『Lighter』
CRCK/LCKS
『Lighter』(CD)

2017年7月5日(水)発売
価格:1,944円(税込)
DDCZ-2159

1. Get Lighter
2. パパパ!
3. Non-Brake
4. すきなひと
5. エメラルド
6. 傀儡

プロフィール

CRCK/LCKS
CRCK/LCKS(くらっくらっくす)

2015年初頭にアメリカへの音楽留学から帰ってきた小西遼を中心に同年4月に結成。2015年6月より都内のライブハウスを中心にライブ活動を展開する。2016年に4月に1stEP『CRCK/LCKS』をリリース。斬新かつポップなサウンドで多くの音楽ファンやミュージシャン、音楽業界関係者から注目をされる。メンバーは自身のラージアンサンブル象眠舎の活動や挟間美帆との共演、あっこゴリラや韻シストのライブサポートなど多彩な活動で注目される小西遼。DC/PRGの活動やceroのサポート参加、ASA-CHANG&巡礼との共演にTVドラマやCMへの楽曲提供など多方面の活動を行う音楽家小田朋美。自身のリーダーアルバムを3枚発表しジャズシーンにおいて若手ナンバー1ギタリストとの呼び声も高い井上銘。くるりをはじめ様々なミュージシャンのライブサポートやアルバム参加で音楽ファンから熱い注目を集めるドラマー石若駿。2017年3月より、Shunské G & The Peasでの活動や菅田将暉、大比良瑞希のサポートとしても活躍する人気ベーシスト越智俊介が加入。2017年7月5日 2nd EPとなる『Lighter』をリリース。2017年8月20日『SUMMER SONIC 2017』出演。2018年2月からアイドルグループNegiccoの『SPRING 2018 TOUR~あなたの街に花束を~』にてライブサポートとして参加(2月25日梅田クアトロ、3月18日恵比寿リキッドルーム)。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

中村佳穂『SING US “忘れっぽい天使 / そのいのち”』(live ver.)

古来、歌というものは、すなわち「祈り」だった。中村佳穂というシンガーの歌を聴いて思うのはそんなこと。リリース前の音源を事前配布し、来場者と歌うという試み自体もすごいが、各々の歌う声が重なることにより生まれるエネルギーの躍動はもっとすごい。私たちは、ディスプレイを前にそんな音楽の奇跡を目の当たりさせられる。(山元)

  1. 『音楽チャンプ』を制覇した16歳。琴音の謎めいた素顔に迫る 1

    『音楽チャンプ』を制覇した16歳。琴音の謎めいた素顔に迫る

  2. SPANK HAPPY再始動 2人が今、ここで組む理由を語る 2

    SPANK HAPPY再始動 2人が今、ここで組む理由を語る

  3. 舞台『家庭教師ヒットマンREBORN!』キャラビジュ第2弾&追加キャスト発表 3

    舞台『家庭教師ヒットマンREBORN!』キャラビジュ第2弾&追加キャスト発表

  4. 崎山蒼志が“夏至”“五月雨”のPVを同時公開、初音源の配信も決定 4

    崎山蒼志が“夏至”“五月雨”のPVを同時公開、初音源の配信も決定

  5. 「究極の一瞬を表現できる」loundrawが明かすイラストの強さ 5

    「究極の一瞬を表現できる」loundrawが明かすイラストの強さ

  6. 山崎賢人が医師役、新ドラマ『グッド・ドクター』主題歌はandrop“Hikari” 6

    山崎賢人が医師役、新ドラマ『グッド・ドクター』主題歌はandrop“Hikari”

  7. 吉沢亮が杉野遥亮に宣戦布告『あのコの、トリコ。』予告編 主題歌はNissy 7

    吉沢亮が杉野遥亮に宣戦布告『あのコの、トリコ。』予告編 主題歌はNissy

  8. 『ULTRA JAPAN』第1弾でZedd、ニーナ・クラヴィッツ、Afrojackら19組 8

    『ULTRA JAPAN』第1弾でZedd、ニーナ・クラヴィッツ、Afrojackら19組

  9. 和田アキ子トリビュート盤に横山健、Toshlら13組、ジャケはビートたけし作 9

    和田アキ子トリビュート盤に横山健、Toshlら13組、ジャケはビートたけし作

  10. ハンバート ハンバートが又吉直樹とダンスを披露 “虎”PV公開 10

    ハンバート ハンバートが又吉直樹とダンスを披露 “虎”PV公開