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堀込高樹が振り返る、20年の歩みと変遷。キリンジとKIRINJIの違い

堀込高樹が振り返る、20年の歩みと変遷。キリンジとKIRINJIの違い

KORG
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:豊島望 編集:矢島由佳子

堀込高樹にとって、「キリンジ」と「KIRINJI」に向かう姿勢はどう違う?

2013年4月、弟・泰行さんがキリンジを脱退。数か月後には、新メンバー5人(楠均さん、千ヶ崎学さん、田村玄一さん、弓木英梨乃さん、コトリンゴさん)を迎えた6人編成のバンドとして、KIRINJIが再始動することが発表されました。

高樹:兄弟ユニットのときは、箱庭的で内向きな印象があったと思うんですね。同世代のミュージシャンと交流がたくさんあったわけでもないし。だから次は、いろんな人が出入りしやすいというか、「ひとつの強い個性があって、それを中心に人が集まっている」という感じではなく、しっかりとした個性のある人たちが集まった形にしたかったんです。

堀込高樹

新生KIRINJIは2014年に『11』、2016年に『ネオ』をリリース。弓木さんやコトリンゴさんがリードボーカルを取ったり、RHYMESTERと本格的なコラボを行ったりと、これまでとは一変して「開かれたバンド」になっていきます。

とはいえ2人から6人と大幅にメンバーが増え、バンドを維持していくことは、高樹さんにとって大変ではなかったのでしょうか。

高樹:バンドだと「次になにをするか?」を常に考えなければならないのが、ユニットと違うところなんですね。2人のときは、お互いに曲を持ち寄って、「これはいい」「あれはよくない」と言いながら作っていくだけで(笑)。「キリンジ」の頃は、過去の自分よりもいい曲を書きたいという「自分との戦い」だけだったんですけど、今のKIRINJIでは「世間」に対してどう対峙するかを意識するようになりました。「今、世の中にはこういう音楽が溢れていて、日本の音楽シーンはこんな感じ。そこに対して自分たちは、どういう音楽を投げかけるか?」というところに気持ちが向いているんですよね。

それは高樹さんにとって、とても大きな変化だったのではないでしょうか。バンドというひとつの「社会」を作ったからこそ、外の社会と向き合うようになった。

高樹:そうだと思います。曲を次々と書けるようになったのも、バンドになって可能性が広がったからでしょうね。新しいことを常にやりたくなるし、自分のなかで手垢がついたようなことでも、他人が歌ったり、演奏したりすることで新しくなるわけですから。「いくらでもなんでもできるな」という気持ちになっています。

堀込高樹

歌詞がストレートになった最新作。どんな心境変化があった?

さて、そんなKIRINJIの最新作『愛をあるだけ、すべて』は、昨年いっぱいでコトリンゴさんがバンドを抜け、5人編成で作った初めてのアルバム。これまで以上にリズム隊がフィーチャーされ、バンドアンサンブルにエレクトロな要素を融合したチャレンジングな楽曲が並んでいます。

高樹:まずは“AIの逃避行 feat. Charisma.com”ができたのですが、その時点で「ダンスミュージック的なアプローチを生演奏で行う」という方向に今回のレコーディングは進んでいくだろうなと思いました。“時間がない”が決定的でしたね。キックだけ先に録ってからスネアとハットを重ね、ベースとギターはそれぞれ別々に録ったり。そういう曲がいくつかあって、本作のムードを支配している気がします。

“AIの逃避行 feat. Charisma.com”は前半が歌、後半がいつかさん(Charisma.com)のラップ。ラップが入った瞬間にグルーヴが増して面白くなったんです。僕自身はヒップホップのシーンからは遠いところにいるけれど、ひとつの歌唱スタイルとしてラップはすごく面白いと思っています。打楽器的な要素もあるし、言葉もたくさん詰め込めるし。下手なソロを入れるくらいなら、ラップを入れたほうがかっこいいですよね。

歌詞も、手の込んだ比喩や暗喩を散りばめていたこれまでの楽曲に比べると、ストレートで感情的なものが増えています。言葉のチョイスも、“悪夢を見るチーズ”の<ヤバみ感じる>や“非ゼロ和ゲーム”の<ぐぐれよ>など、これまでの高樹さんからすると意外な印象も……。

高樹:今回は、サビのメロディーが長いフレーズではなく、短いフレーズの繰り返しが多いので、文章を乗せていくというよりも、単語を乗せていく感じになったんですよね。そうすると、より直接的だったり、感情的だったりするというか。“明日こそは”や“silver girl”は特にそうで、結果的にストーリーを描く歌詞が、割合としては減りました。ダンスっぽい曲が多いので、そういう曲にややこしい歌詞を乗せても、聴く側にダイレクトに届かないと思ったんです。

「ぐぐれよ」という言葉はもう一般的になってきているというか、むしろ使われなくなってきていますよね。なのであえて入れてみました。「ヤバみ感じる」はちょっとかわいい感じがしませんか?(笑) 僕は「ワロタ」って言葉が嘲笑っぽくて嫌いで、「KIRINJI6人になった、ワロタ」とか言われたら「うるせーばか!」って思うけど、「兄の歌、ヤバみ感じる」って言われたらちょっと嬉しいかもしれない(笑)。

堀込高樹

今年でメジャーデビュー20周年を迎えたKIRINJI。今後の抱負について訊きました。

高樹:新しい音楽スタイルを、どこまで自分のなかに取り込めるかを今後も試していきたいですね。自分のソングライティングの、根幹の部分はずっと変わらない気がしていて、それと相性のいい新しいスタイルを常に探っていくことになるんじゃないかなと思います。そうやって、新しい音楽と古い音楽を行き来しながら、ずっと曲を作り続けられたらいいですね。

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機材リスト

コンピューター
Apple「iMac Retina 4K」

DAWソフト
Apple「Logic Pro X」

オーディオインターフェース
RME「Fireface UFX」

ギター
Fender「Stratocaster」
Gibson「J-45」
Gibson「Les Paul Deluxe」
Guild「フルアコ(モデル名不明)」

シンセサイザー / キーボード

エフェクター
BOSS「VO-1 Vocoder」
TC-HELICON「VoiceTone C1」

マイク
NUEMANN「TLM67」

へッドフォン
audio-technica「AHT-M50x」
SONY「MDR-CD900ST」

リリース情報

KIRINJI『愛をあるだけ、すべて』初回限定盤
KIRINJI
『愛をあるだけ、すべて』初回限定盤(CD+DVD)

2018年6月13日(水)発売
価格:3,996円(税込)
UCCJ-9214︎

[CD]
1. 明日こそは/It's not over yet
2. AIの逃避行 feat. Charisma.com
3. 非ゼロ和ゲーム
4. 時間がない
5. After the Party
6. 悪夢を見るチーズ
7. 新緑の巨人
8. ペーパープレーン
9. silver girl
[DVD]
・“AIの逃避行 feat. Charisma.com”PV
・“時間がない”PV
※ DVDは初回限定盤に付属

KIRINJI『愛をあるだけ、すべて』通常盤
KIRINJI
『愛をあるだけ、すべて』通常盤(CD)

2018年6月13日(水)発売
価格:3,240円(税込)
UCCJ-2156︎

1. 明日こそは/It's not over yet
2. AIの逃避行 feat. Charisma.com
3. 非ゼロ和ゲーム
4. 時間がない
5. After the Party
6. 悪夢を見るチーズ
7. 新緑の巨人
8. ペーパープレーン
9. silver girl

イベント情報

『KIRINJI TOUR 2018』

2018年7月14日(土)
会場:福岡県 西鉄福岡 スカラエスパシオ

2018年7月19日(木)
会場:大阪府 梅田CLUB QUATTRO

2018年7月20日(金)
会場:愛知県 名古屋CLUB QUATTRO

2018年7月25日(水)、7月26日(木)
会場:東京都 渋谷CLUB QUATTRO

料金:各公演6,480円(ドリンク別)

スタジオ情報

Bigfish Sounds
Bigfish Sounds

サウンドエンジニア・プロデューサーの柏井日向が代表を務めるブッキングエージェント。2018年、プライベートスタジオ「Bigfish Sounds」を完成させ、斬新なサウンドを世に送り出すサポートをしています。

プロフィール

KIRINJI
KIRINJI(きりんじ)

1996年10月、実兄弟である堀込高樹、堀込泰行の二人で「キリンジ」を結成。1997年CDデビュー。オリジナルアルバム10枚を発表。2013年4月12日をもって堀込泰行が脱退。兄弟時代17年の活動に終止符を打つ。以後、堀込高樹がバンド名義を継承、2013年夏、新メンバーに田村玄一/楠 均/千ヶ崎 学/コトリンゴ/弓木英梨乃を迎え、バンド編成の「KIRINJI」として夏フェス出演を皮切りに再始動。2014年は8月に通算11枚目となるアルバム『11』をリリース。2015年11月にはスペシャルアルバム『EXTRA 11』を発表するなど、バンドならではの新機軸を次々と打ち出した。2016年8月、2年ぶり通算12枚目となるニューアルバム『ネオ』を発表。グループ史上初の試みとなる外部アーティストとのコラボレーションナンバー『The Great Journey feat. RHYMESTER』をはじめ、新たなフェイズに突入したKIRINJIサウンドをいかんなく表現し絶賛を浴びた。12月に東京・大阪で開催した『KIRINJI LIVE 2017』をもってキーボードのコトリンゴが脱退。グループとしてまた新たな一歩を踏み出した。

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シャムキャッツ“逃亡前夜”

楽曲のビートにのせて流れる色鮮やかな、ばっちりキマった画。その中で、重力まかせに寝転んだり、うなだれたりするメンバーの身体や、しなやかな演奏シーンが美しい。どの瞬間を切り取っても雑誌の表紙のようで、約5分間、全く飽きがこない。(井戸沼)

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