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崎山蒼志が戸惑い混じりに語る、『日村がゆく』以降の喧騒の日々

崎山蒼志が戸惑い混じりに語る、『日村がゆく』以降の喧騒の日々

『J-WAVE 30th ANNIVERSARY FESTIVAL INNOVATION WORLD FESTA 2018 Supported by CHINTAI』
インタビュー・テキスト
武田砂鉄
撮影:松永つぐみ 編集:山元翔一

吉増剛造さんって、とにかく言葉が力強いじゃないですか。この力強い言葉を自分に入れていきたいと思っていて。

—自転車乗るのが苦手だって『日村がゆく』ではおっしゃっていましたけど、自転車って一度乗れるようになると絶対乗れなくならないじゃないですか。

崎山:あっ、でも、小学校2年生のときは乗れたんですよ。それなのに、そこから乗れなくなっちゃって……最近は乗れるようになりましたけど。

—どんな物事でも、自転車と同じように、一度できるようになると、できなかった頃を全く思い出せなくなりますよね。音楽もそうではないですか。

崎山:そうかもしれないですね。ちょっともったいないというか、「あの感覚ではもうできない」っていうのは少し怖いですね。できないってことは、狭まっちゃうってことでもあるから。でも、そこからまた新しい感じでいければいいかなと思っています。

崎山蒼志

—今、自分から吐き出される言葉を増やそうとするために、具体的にこういうものに接している、というのはありますか。

崎山:君島大空さんっていう音楽家が大好きなんですけど、その方からいただいた吉増剛造さんの詩集を読んでいるところです。吉増さんって、とにかく言葉が力強いじゃないですか。この力強い言葉を自分に入れていきたいと思っていて。

—吉増剛造さんの詩って、理解するというより体感する感覚が強いと思います。どう読んでいますか。

崎山:とにかくパワーを感じますし、どういうふうに言ったらいいかわからないんですけど、(おでこの前あたりに手で輪を作りながら)「ここら辺」を書いてるって感じがしますね。

—整理して説明する理由なんてない、ってことですかね。「ここら辺」にグッときて、自分の「この辺り」が反応している、っていう。共感とかではなく。

崎山:そういうことです。第三者にこれを説明するのって難しいですよね。

—そういう、「ここら辺のアレ」を探し出すのが上手くなったって感覚はありますか。

崎山:どうなんですかね……探し出すというか、五月雨式にいろいろなものを見て、という感じです。

崎山蒼志

最初の頃の曲は、今、聴き直すと、「これはなんだろうな」って思うことがある。

—曲は学校から帰って、夕方に作ることが多いそうですね。

崎山:最近はだんだん変わってきてますね。かといって夜型というわけでもなく、移動中にメモを書いたりするようになりました。本当、最近ですけど。

—そもそも、歌詞を書くときは、断片で考えるんですか。

崎山:そうですね、情景をイメージします。妙な違和感のある情景が好きなので、そういう情景を頭のなかで思い浮かべて考えて書いたりしています。でも最近は、曲を作るときにそれをどんどん省いていく。省いたあとで、また改めて考える、という繰り返しで。

—違和感のある情景というのは、崎山さんが実際に見た情景なのか、それとも頭のなかで練り込んだ情景なのか、どちらなのでしょう。

崎山:練り込んだものですね。想像力のなかで、その情景を考えています。もちろん、人と話して思うことも少しはありますけど。

崎山蒼志

—崎山さんの音楽は、複雑なのかシンプルなのかすらわからないところがありますが、ご自身ではどう見ていますか。

崎山:最近は、歌詞を書くときにいろいろと考えているんですけど、最初の頃の曲は、今、聴き直すと、「これはなんのことだろう?」って思うことがあります。一節一節でそういう部分があったりする。だからそれを今は、当初とは違う意味で解釈しています。そういう意味では、複雑なのかもしれません。自分で書いているときは複雑ではなくシンプルと思っているんですけど、見返すとごちゃごちゃしているから。

—月日を経ていくうちに、楽曲が別のものに変わっていくイメージがあるんですか。

崎山:ありますね。そもそも、声変わりもあったんで、今は“五月雨”もキーを半音下げてやっていて。それに、ライブで弾くごとに徐々に手数が増えていくんです。あれ? 弾くの大変になってるなって。

—“五月雨”は中学1年生の頃に作った曲ですよね。

崎山:そうです。もう3年経ってるので、自分にとっては結構前ですね。

バンドは、もうちょっと大人になったときにはじめてみても面白いかな、とは思っています。

—ものを作るって意味で、中学時代に入った美術部での活動の影響は大きいですか。

崎山:いや。実はあまり真面目にやってなくて……仲いい友達とずっと喋っていて、なかなかスケッチが進まないみたいな。

—美術部に入ろうとした理由はあったんですか。

崎山:なんか、運動部とか怖いなって(笑)。

—怖いですよね、運動部で大成している人は。いまだに怖いです。じゃあ、平穏を保つために……。

崎山:美術部が比較的安全だったんです(笑)。

崎山蒼志

—1つ年上の人とバンドを組んでいたんでしたよね。

崎山:はい。1つ上の人たちが受験勉強に入ったところでバンドは活動休止になりました。中学1年生のときはバンドがやりたかったんです。でも、メンバーとも1つ離れてるし、運動部の方だったし……。

—ここでも運動部への警戒が。

崎山:サッカー部でした。仲はいいんですけど、音楽の趣味が全然違う。音楽の趣味が違うことはいいことだと思うんですけど、歳も違うし、あちらはバイトもやっていて、都合が合わなくなることが多かったので。それもあって、もう1つのバンドをはじめたんですが、一旦活動休止って感じですね。

—今後、バンドをやりたいという気持ちは強いんですか。

崎山:もうちょっと大人になったときにはじめてみても面白いかな、とは思っていますね。

崎山が所属するバンド、KIDS Aのライブ映像。バンドは2018年7月より活動を休止中

—1人でやることと複数人でやることの違いってなんでしょうか。

崎山:1人だと弾き語りなので、音数はすごく少ないですよね。もっといろいろと音を作りたいけど……でも、今でも意外と、自分の表現したい感じでできているんです。

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リリース情報

『夏至/五月雨/神経』
崎山蒼志
『夏至/五月雨/神経』(CD)

2018年9月15日(土)発売
価格:1,000円(税込)
SLRL-10034

イベント情報

『J-WAVE 30th ANNIVERSARY FESTIVAL INNOVATION WORLD FESTA 2018 Supported by CHINTAI』

2018年9月29日(土)、30日(日)
場所:東京都 六本木ヒルズ

出演者:
9月29日(土)
[TALK]
池上高志(東京大学大学院情報学環教授)
岩田洋夫(筑波大教授)
江渡浩一郎(メディアアーティスト / 産総研主任研究員)
太田雄貴(国際フェンシング連盟理事 / 公益社団法人 日本フェンシング協会会長)
落合陽一(メディアアーティスト / 筑波大准教授)
GAKU-MC(ミュージシャン)
亀田誠治(音楽プロデューサー)
川田十夢(開発者 / AR三兄弟)
串野真也(ファッションデザイナー)
斎藤由多加(シーマン人工知能研究所)
ジェイ・コウガミ(デジタル音楽ジャーナリスト)
ジョン・カビラ(J-WAVEナビゲーター)
鈴木貴歩(エンターテック・アクセラレーター)
高城剛(クリエイティブ・ディレクター)
竹内薫(サイエンス作家)
田原総一朗(ジャーナリスト)
蔦谷好位置(音楽プロデューサー)
西野亮廣(お笑いタレント / 絵本作家)
ハリー杉山(J-WAVEナビゲーター)
VERBAL(m-flo / PKCZ)
古澤明仁(株式会社RIZeST 代表取締役社長)
皆川賢太郎(公益財団法人 全日本スキー連盟 / 常務 兼 競技本部長)
三宅陽一郎(ゲーム開発者)
山崎直子

[LIVE]
m-flo
Open Reel Ensemble
KREVA
崎山蒼志
DE DE MOUSE
Tommy(AI アーティスト)
藤本実
POINT

9月30日(日)
石川善樹(予防医学研究者)
宇野常寛(評論家 / PLANETS代表)
落合陽一(メディアアーティスト /筑波大准教授)
海堂尊(作家)
川田十夢(開発者 / AR三兄弟)
後藤正文(アーティスト)
小山宙哉(漫画家)
佐渡島庸平(編集者 / コルク代表)
サッシャ(J-WAVEナビゲーター)
杉本真樹(医療イノベーター)
土屋敏男(テレビプロデューサー)
羽生善治(将棋棋士)
堀潤(ジャーナリスト)
前田裕二(SHOWROOM代表)
箕輪厚介(編集者)
箭内道彦(クリエイティブ・ディレクター)

[LIVE]
ASIAN KUNG-FU GENERATION
androp
伊東篤宏
AR三兄弟
Awesome City Club
カサリンチュ
中山晃子
武藤将胤

プロフィール

崎山蒼志
崎山蒼志(さきやま そうし)

母親が聞いていたバンドの影響もあり、4歳でギターを弾き、小6で作曲を始める。2018年5月9日にAbemaTV「日村がゆく」の高校生フォークソングGPに出演。独自の世界観が広がる歌詞と楽曲、また15歳とは思えないギタープレイでまたたく間にSNSで話題になる。2018年7月18日に「夏至」と「五月雨」を急きょ配信リリース。リリック・ビデオは公開3週間で100万回再生を越え、Spotifyのバイラル・チャートでも1位に輝いた。ある朝、起きたらtwitterのフォロワー数が5,000人以上増えていて、スマホの故障を疑った普通の高校1年生。

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