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ROTH BART BARON三船と本質的議論 ロックは本当に死んだのか?

ROTH BART BARON三船と本質的議論 ロックは本当に死んだのか?

ROTH BART BARON『HEX』
インタビュー・テキスト
柴崎祐二
撮影:馬込将充 編集:山元翔一

デビュー以来、国内外のインディーロックと共振しながら深遠な歌世界を湛えた独自のオルタナティブフォークロックを作り上げてきたROTH BART BARON。前作から約3年、待望となる新アルバム『HEX』が11月7日にリリースされた。

今年8月にCINRA.NETにて公開した、三船雅也と編集者・若林恵の対談でも触れられていたとおり、バンドとリスナーが様々な形で対話・交流を行う「P A L A C E(β)」というクローズドのFacebookページを立ち上げるなど、音楽そのものへの創作に加えて、今この世界で「新たに繋がっていく」ことへの実践も行う彼らは、どのような意識をもって新作の制作に臨んだのか。前作リリース以来今日までの3年間は、EPのリリースやフェス出演など慌ただしく充実の活動を送っていたようであったが、その実、ロックミュージックを愛するがゆえの苦悩を味わった日々でもあったという。

今回、三船雅也との対話から見えてきたのは、音楽への真摯な希求であるとともに、ロックミュージックを、いや、音楽文化というものを取り巻く状況への、鋭く、そして優しい視線だった。

すでにミイラ化した「ロック的なもの」をずっと信仰し続けるっていうのは、2018年に取るべき態度じゃない。

—先日立ち上げとなった、クラウドファンディングを用いたプロジェクト「P A L A C E (β)」のFacebookページでは、現在どのような活動が行われているのでしょうか?

三船:「P A L A C E (β)」はもともと、お客さんも含めた周りの人たちと「ファンクラブとは違うなにか」を通じた繋がりを作れないかと考えて立ち上げたものなんです。参加してくれた人にアルバムを作るところを見てもらって、バンドというものを一緒に体験するようなところまで密接になったらどうなるんだろうという興味があって(参考記事:ROTH BART BARON×若林恵 21世紀のバンドはどうあるべきか?)。

一般的なクラウドファンディングってなにかモノでお返しすることが多いですけど、今回僕らは体験としてお返ししたいなと。いろんなことにトライしていて、たとえば、制作途中のアートワークについて意見をもらったり、グッズのアイディアを出し合ったり、また、生配信のブロードキャストで『フジロック』のベストアクトをシェアしたり、みんながお気に入りの音楽でプレイリストを作ったり、そうやって参加者もバンドもコミュニケーションをとりながら、コンテンツを楽しんでいます。そして純粋に音楽活動も含めて、一緒にアルバムを作り上げていく。そのプロセスも込みで、僕らのアイデアだけでなくみんなで大きくしていくイメージかな。

三船雅也(ROTH BART BARON)
三船雅也(ROTH BART BARON)

三船:でも、結構クラウドファンディング自体に否定的な人もいたりして。「ロックバンドがそういうことやってくれるな」って、面と向かって「P A L A C E (β)」の参加者から言われたことがあって(笑)。

—いわゆる「そんなのロックじゃない」的な意見ということですか?

三船:そうだと思います。意見を伝えてくれるのもありがたいし、僕自身楽しんでいるところもあるんですけど(笑)。でも、たかだか50年くらいの「あるべきロックバンド像」に縛られてやりたいことができないのは違うと思う。僕はそこには拘泥したくないからこそ、むしろ「P A L A C E (β)」をやっているという気持ちもあります。

これまで語られてきた、すでにミイラ化した「ロック的なもの」をずっと信仰し続けるっていうのは、2018年に取るべき態度じゃないだろうと思うんです。もちろんこのプロジェクトをはじめるにあたってビビっていた部分もあったけど、2018年だからこそできること、やってみたいことを自分に正直に解放する。リスクを取らずに生きること自体に、一番リスクがあるんじゃないかな、と。

三船雅也(ROTH BART BARON)

三船:それは今回のアルバム『HEX』のテーマとも重なっているんです。人との繋がりや、これまでと違う世界と出会うこととか、この世とあの世をどうグラデーション的に繋げて考えていくのかという意識。人間同士の見えない繋がりをどう可視化するかっていうのが、このアルバムの1つのテーマだと思うんです。

—実際のアルバム作りにおいても「P A L A C E (β)」の存在に影響された部分はありますか?

三船:アルバムのレコーディングをしている様子を生中継したんですけど、そこでみんなから意見や感想をもらったので、具体的な面でも影響は少なからずあると思います。

—今までの録音芸術、特にロック誕生以降数十年におけるポップミュージックの制作法というのは、基本的にスタジオや自室などの排他的な空間で行われるというのが常識だったと思うのですが、それを取っ払ってしまいたかったという狙いもあるのでしょうか?

三船:それはあると思います。たとえば、日本のインディーミュージックが盛り上がったと言われたこの10年くらいって、シーンやコミュニティーができつつあるとメディアからも言われたりしたけど、実際僕らも含めて開かれた繋がりがあったかっていうと、意外とそうでもなくて……。

—そういう意味においても、かつて「ロック的」とされるものが今この時代にどういう意義を持ちうるのか? ということへの問題意識を持っているということでしょうか。

三船:そういう側面はあると思います。

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リリース情報

ROTH BART BARON『HEX』
ROTH BART BARON
『HEX』(CD)

2018年11月7日(水)発売
価格:2,700円(税込)
PECF-1163

1. JUMP
2. Homecoming
3. Innocence
4. HEX
5. Hollow
6. VENOM ~天国と地獄~
7. GREAT ESCAPE
8. JM
9. SPEAK SILENCE
10. HAL

ROTH BART BARON
『HEX』(LP)

2018年11月10日(土)、11月11日(日)よりNEWTOWN先行販売
価格:3,240円(税込)
TYOLP1004

[Side A]
1. JUMP
2. Homecoming
3. Innocence
4. HEX
5. Hollow
[Side B]
1. VENOM ~天国と地獄~
2. GREAT ESCAPE
3. JM
4. SPEAK SILENCE
5. HAL

イベント情報

『ROTH BART BARON“HEX”TOUR 2018-2019』

2018年11月10日(土)
会場:宮城県 仙台 メディアテーク 1階オープンスクエア
出演:ROTH BART BARON
料金:無料(ドリンク別)

2018年12月8日(土)
会場:京都府 木屋町 UrBANGUILD
出演:
ROTH BART BARON
キツネの嫁入り
料金:2,800円(ドリンク別)

2018年12月9日(日)
会場:東京都 渋谷 WWW
出演:ROTH BART BARON
料金:3,500円(ドリンク別)

2018年12月22日(土)
会場:石川県 金沢 puddle/social
出演:
ROTH BART BARON
noid
料金:3,000円(ドリンク別)

2018年12月23日(日)
会場:富山県 砺波 若蔵酒造“大正蔵”
出演:
ROTH BART BARON
Robin's Egg Blue
and more
料金:3,000円(ドリンク別)

2019年1月12日(土)
会場:熊本県 蔦屋書店 熊本三年坂
出演:ROTH BART BARON(アコースティックライブ)
料金:3,000円(ドリンク別)

2019年1月13日(日)
会場:福岡県 薬院 UTERO
出演:ROTH BART BARON
料金:3,500円(ドリンク別)

2019年1月14日(月・祝)
会場:山口県 岩国 ロックカントリー
出演:
ROTH BART BARON
and more
料金:3,500円(ドリンク別)

2019年1月18日(金)
会場:愛知県 名古屋 JAMMIN'
出演:ROTH BART BARON
料金:3,500円(ドリンク別)

2019年1月19日(土)
会場:大阪府 心斎橋 Clapper
出演:ROTH BART BARON
料金:3,500円(ドリンク別)

2019年1月20日(土)
会場:広島県 福山 Cable
出演:
ROTH BART BARON
空中ループ
Oz
and more
料金:3,000円(ドリンク別)

2019年2月2日(土)
会場:北海道 札幌 SOUND CRUE
出演:
ROTH BART BARON
chikyunokiki
BENBE
料金:3,000円(ドリンク別)

2019年2月3日(日)
会場:北海道 札幌 CURTAIN CALL
出演:
ROTH BART BARON
BENBE
chikyunokiki
料金:2,500円(ドリンク別)

2019年2月10日(日)
会場:静岡県 浜松 舘山寺
出演:
ROTH BART BARON
and more
料金:3,000円(ドリンク別)

『NEWTOWNジャム・コンサート』

日程:2018年11月10日(土)、11月11日(日)
会場:東京都 多摩センター デジタルハリウッド大学 八王子制作スタジオ(旧 八王子市立三本松小学校)
出演(五十音順):
[10日]
阿部芙蓉美
おとぎ話
キイチビール&ザ・ホーリーティッツ
クレモンティーヌ
柴田聡子
寺尾紗穂
七尾旅人
ロロ×EMC
[11日]
カネコアヤノ
折坂悠太(合奏)
曽我部恵一
betcover!!
Homecomings
眉村ちあき
ROTH BART BARON

プロフィール

ROTH BART BARON
ROTH BART BARON(ろっと ばると ばろん)

三船雅也(vo/g)、中原鉄也(dr)による東京を拠点に活動している2人組 folk rock band。2014年、1stAL『ロットバルトバロンの氷河期』を真冬のフィラデルフィアにて制作。2015年には2ndAL『ATOM』をカナダ・モントリオールのスタジオで現地ミュージシャンとセッションを重ねレコーディングし、Felicityレーベルよりリリース。LIVE ではホーン隊やビザールインストゥルメント様々な楽器を演奏するマルチプレイヤーが演奏をサポート。活動は日本国内のみならずUS・ASIA等にも及ぶ一方、国の重要文化財『山形・文翔館』での公演も成功させる等、独創的な活動内容とフォーク・ロックをルーツにしながらもテクノロジーを貪欲に取り入れていく新しい音楽性で、世代を超え多くの音楽ファンを魅了している。また、サマーソニック、フジロックなど大型フェスにも出演。2017年にはライジングサン・フェスティバル、ボヘミアンステージにて地元ミュージシャンとともに11人編成で圧巻のパフォーマンスを披露し、最終日の大トリを飾った。同年イギリス・ロンドン現地プロダクションからオファーをきっかけにEP盤『dying for』を製作。そして遂に、2018年11月7日待望のフルアルバム『HEX』を発表。発表に向けたクラウド・ファンディングを開始し、バンドとリスナーが繋がる新しい場所を作る『P A L AC E (β)』プロジェクトを立ち上げた。

関連チケット情報

2018年12月8日(土)〜1月12日(土)
ROTH BART BARON
会場:UrBANGUILD(京都府)
2018年12月9日(日)
ROTH BART BARON
会場:Shibuya WWW(東京都)
2018年12月23日(日)
「雑SQUARE」 Robin’s Egg Blue/ROTH BART BARON
会場:若鶴酒蔵大正蔵(富山県)
2019年1月13日(日)
ROTH BART BARON
会場:福岡・UTERO(福岡県)
2019年1月18日(金)
ROTH BART BARON
会場:JAMMIN’(愛知県)
2019年1月19日(土)
ROTH BART BARON
会場:アメリカ村 CLAPPER(大阪府)
2019年2月10日(日)
ROTH BART BARON
会場:舘山寺(静岡県)

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