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椿昇がバッサリ斬る、社会とアートの関係「京都の街に革命を」

椿昇がバッサリ斬る、社会とアートの関係「京都の街に革命を」

『ARTISTS' FAIR KYOTO』
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:伊藤真 編集:宮原朋之(CINRA.NET編集部)

ギャラリーやキュレーターではなく、アーティストが主役となる異色のアートフェアである、『ARTISTS' FAIR KYOTO』。2018年にはじめて開催され、その挑発的なメッセージとともに大きな注目を集めた催しが、今年も帰ってくる。

会場を倍以上に拡張し、出品作家も増え、新たに公募枠も設けて開催される今回に向けて、ディレクターである椿昇は「さらに挑発的なものにする!」と宣言している。昨年はレポートとして同フェアの模様をお伝えしたが、今年は椿に加え、出品作家で作家選出にもかかわるアーティストユニットのYotta、そして運営に関わる京都府文化芸術課の村上暁子の3組を招いて、開催に向けての意気込みを聞いた。

文化や芸術の経済効果に期待が集まるなか、それに対する不安や批判、幻滅の声もけっして少なくない昨今。アーティストとカネと社会はどんな関係を結んでいけるのだろう。

いまの世界が抱えている問題そのものをアートフェアが体現してしまっている。(椿)

—昨年の第1回目の『ARTISTS' FAIR KYOTO』(以下、『AFK』)で取材させていただいた際(椿昇が発案 アート業界を覆す破天荒なアートフェアを京都で取材)、椿さんは「日本のアートにも革命が必要なんですよ!」と訴えていました。昨年の『AFK』はかなり好意的な評価が寄せられたと聞いていますが、革命は起きましたか?

椿:いや、革命やなくてテロな! 失敗したらテロで、成功しないと革命にならない。そして、成功したかと言えば、まだわからん(笑)。

そもそも僕はアートフェアをやる気は全然ないわけですよ。世界中で山のように行われているアートフェアは、言ってみればグローバル経済、キャピタリズム(資本主義)の権化ですよ。よいことも悪いことも起こっていて、肝心のアーティストは翻弄されている。

価格がバカみたいに上がって、投機の対象になったり。よく知られたベテラン作家ばかりがもてはやされて、新人には光が当たらずに消えていく。いまの世界が抱えている問題そのものをアートフェアが体現してしまっているんです。

左から:山脇弘道(Yotta)、椿昇、村上暁子(京都府文化芸術課)、木崎公隆(Yotta)
左から:山脇弘道(Yotta)、椿昇、村上暁子(京都府文化芸術課)、木崎公隆(Yotta)
『ARTISTS’ FAIR KYOTO 2019』ロゴ
『ARTISTS’ FAIR KYOTO 2019』ロゴ(サイトを見る

—世界的に話題になり始めたので、あわててバンクシーのグラフィティーを行政が保護したりだとか、ちょっと狂騒的ですよね。

椿:「流行」っていうクレバス(氷河などに形成される深い割れ目)に落っこちたアーティストの屍が累々と転がっているのをずっと見てきたし、自分と同期のアーティストたちもほとんど消えてしまった。資本主義にのっとった既存のアートフェアだけでは、多様なアーティストが生き延びていく視点からは課題もある。だからこそ、『AFK』は「アーティストフェア」と名乗っている。

椿昇
椿昇

椿:イメージとしては道の駅の産直野菜の販売。アーティスト(生産者)と、コレクター(エンドユーザー / 消費者)が直接つながる場所を実現する。いまのアートマーケットのシステムは、両者のあいだにギャラリーやオークションハウスが入ってマージンを吸い上げるシステムが基本型。

もちろんそれによって経済規模が大きくなっていったのは事実だけど、細かい多様性は失われて、可能性のある小さな才能がクレバスに落っこちていくのをほとんど止められない。僕が実現したいのは、ビッグアーティストを輩出して金儲けすることではなくて、もっとたくさんのアーティストが普通に食えるような環境、システムを再構築していくことなんですよ。

100歳まで生きるアーティストがたくさんいる社会のほうが絶対ええやん。(椿)

椿: 1回目をやるときに村上さんからは「現状、京都にアートを買う文化が見えない」って話を聞いたんですよ。たしかにマーケットを作るのは大変なんやけど、そこについてはシステムの力でなんとかなると、僕は思っているの。

例えば日本のスポーツって個人競技でも、卓球や水泳はグループになった途端にがーっと強くなる。関西はアーティスト同士結構仲良しで、協働に適している。この環境を生かせばアスリートみたいなシステムも作れると思うし、単発でばらばらにやっているより科学的。

椿昇
椿昇

椿:これは京都ではなくて東京・高円寺の例だけど、「BnA HOTEL Koenji」は宿泊費のなかから数%が必ずアーティストに入るっていう仕組みを採用していて、派手に作品を売って終わりじゃない。制作活動の「持続可能性」を意識してる。金の卵を産むガチョウに賭けるんじゃなくて、毎日1個コンスタントに卵を産むことができて100歳まで生きるアーティストがたくさんいる社会のほうが絶対ええやん。

—アートのボリュームゾーンがきちんとある社会、ということですね。

椿:そうそう。僕らアーティストは農民みたいなもの。流行が去って、飢饉の時代が来ることを経験的に察知できるから、自分の活動が誰にも相手にされへん時代が来ることもわかるし、それがどこかで逆転することも知ってる。だからこそ、活動の主導権をキュレーターやギャラリストに全権委任せず、自らも活動しないとダメなんだよ!

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イベント情報

『ARTISTS' FAIR KYOTO 2019』

2019年3月2日(土)、3日(日)
会場:京都府 京都府京都文化博物館別館、京都新聞ビル印刷工場跡
時間:10:00~18:00
料金:1,000円(学生無料 要・学生証) ※京都新聞ビル印刷工場跡は無料

『ARTISTS' FAIR KYOTO 2019:BLOWBALL』

2019年2月初旬~3月下旬 ※各会場によって開催時期が異なります。
会場:京都府 KYOTO ART HOSTEL kumagusuku、スプリングバレーブルワリー京都、下鴨茶寮、BnA Alter Museum、ワコールスタディホール京都

プロフィール

Yotta(よた)

木崎公隆、山脇弘道による現代アートのユニットです。ジャンルや枠組みを横断し、多様な価値の創造を目指して活動を続けています。現在は自分達のアイデンティティを顧みる「イッテキマスNIPON 」シリーズを製作中。プロジェクト形式で「モノとコト」を創造します。

村上暁子(むらかみ あきこ)

京都府文化スポーツ部文化芸術課主査。ARTISTS’ FAIR KYOTO担当。

椿昇(つばき のぼる)

京都市立芸術大学美術専攻科修了。1989年のアゲインストネーチャーに「Fresh gasoline」を出品、展覧会のタイトルを生む。1993年のベネチア・ビエンナーレに出品。2001年の横浜トリエンナーレでは、巨大なバッタのバルーン《インセクト・ワールド-飛蝗(バッタ)》を発表。2003年、水戸芸術館にて9.11以後の世界をテーマに「国連少年展」。2009年、京都国立近代美術館で個展「椿昇 2004-2009:GOLD/WHITE/BLACK」を、2012年、霧島アートの森(鹿児島)にて「椿昇展“PREHISTORIC_PH”」を開催。2013年瀬戸内芸術祭「醤+坂手プロジェクト」ディレクター。青森トリエンナーレ2017ディレクター。

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