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ゴスペラーズとSIRUPが語る、ソウルミュージックとは「エモ」

ゴスペラーズとSIRUPが語る、ソウルミュージックとは「エモ」

The Gospellers 25th Anniversary tribute『BOYS meet HARMONY』
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:永峰拓也 編集:矢島大地、矢島由佳子(CINRA.NET編集部)

ソウルミュージックが持つ、吐き出すような痛みや苦しみを心から理解するのは難しいけど、「エモさ」という感情は引き継ぐことができる。(SIRUP)

—R&Bやアカペラなどの「歌声」の魅力について、お二人はどうお考えですか?

黒沢:一言で言えば「エモい」というところだと思いますね。「エモロック」ではなく、「エモR&B」?(笑) 息を合わせながらハモっていても、どこか魂の奥が煮えたぎっているというか。今回UNIONEが“熱帯夜”を選んでくれたときは、嬉しさの反面「大丈夫か?」という思いもあって。あれこそ、言ってることも大したことない、エモさしかない歌詞ですから(笑)。

“熱帯夜 / UNIONE”を聴く(Apple Musicはこちら

黒沢:僕ら「ゴスペラーズ」と名乗っていますが、みんなクリスチャンではないし。今のアンビエントR&Bは「エモさ」とは逆のベクトルですけど、相変わらず「エモの現在形」を模索し続けているのがゴスペラーズだと思います。

—「エモいR&B」のイディオムってどういうものでしょう。コーラスの積み方とか?

黒沢:それもあるし、反復の気持ちよさや、循環コードの気持ちよさも含まれるでしょう。でも一番は、「最低限の決めごとさえ守れば、あとはなにをやってもいい」という自由さじゃないでしょうか。

日本人が最も苦手な「整理整頓された自由さ」というやつですね。決められたルールの中で、お互いをリスペクトし合いながら自由に動くっていう。両極を行き来しながらバランスを取っていくことが大事なんじゃないかなと。我々もまだ模索中ですけどね。

—なるほど。単に声をぴったり重ねていくだけがコーラスじゃないんですね。

黒沢:もちろんアカペラのように、精緻なハーモニーが求められる場合もあります。ただ、僕らはメンバー全員性格も声も全く違うので、それが混じり合った気持ちよさもある。そこを活かすには、「協調性」とともに「多様性」が大事なんです。

SIRUP:「エモ」っていうのは僕もすごくしっくり来ますね。ソウルミュージックが持つ、吐き出すような痛みや苦しみを、日本で生きている僕らが心から理解するのは難しいけど、「エモさ」という感情は引き継ぐことができる気がします。

左から:黒沢 薫(ゴスペラーズ)、SIRUP

黒沢:あと、我々ゴスペラーズが選ぶ言葉というのは、いわゆる「歌謡の言葉」なんですよ。最近の音楽に比べて音節が大きい。詩は主に安岡(優)が書いていて、彼なりのメソッドがいくつかあるようですが、納得のいくスタイルを作るまでは大変だったみたいです。最近はDANCE☆MANともコラボをしていて、それも「勉強になった」と言ってましたね。

SIRUP:ああ、なるほど。

黒沢:逆にSIRUPの場合、英語の発音もキレイだから、すごくスムースに日本語と英語を行き来してるんだよね。たとえば英語の発音はいいのに日本語になると届かなくなってしまったり、その逆だったりするシンガーって結構いるんだけど、SIRUPはそこのバランスがすごくいい。

SIRUP:ありがとうございます。僕自身も、他の人が歌っているのを見てそのバランスが気になっていたので、KYOtaro名義の頃から模索を続けていました。それがうまく形になったのは、SIRUP名義になってからかなと思います。

SIRUP

—そういう意味で、“永遠に”は普段の歌い方とは違う技能が要求されたのでは?

SIRUP:そう思います。自分がやっている音楽はそれこそ音節が無限にあるというか。ラップも入ってくるし、英語と日本語で一緒に韻を踏んだりしている。“永遠に”は、高校生の頃から歌い込んでいるから自分の体に染み込んでいるとはいえ、やはり音節が大きい分、ごまかしが効かないと思いましたね。

一番いいのは、音楽をたくさん聴くことですかね。(黒沢)

—シンガーって、声が楽器ですし普段のメンテナンスも大変だと思うのですが、どんなことを心がけていますか?

黒沢:最近はボイストレーニングにも定期的に行っていますし、もともと喘息持ちなので、タバコの煙は吸わないように気をつけてます。

グループの中で比較的高い声を出す曲が多いので気をつけてはいますね。でも、一番いいのは音楽をたくさん聴くことですかね。僕は、この歳にしては聴いている方だと思いますよ(笑)。しかも若い世代との交流もある方なので、そういう人たちをフックアップしたい気持ちもあるんです。近所のお節介オバちゃんみたいでしょ。

SIRUP:いやいや(笑)。でも、本当に黒沢さんはしょっちゅう現場に観に来てくれはるので、僕らも背筋が伸びる思いです。しかも新しい音楽をめちゃくちゃ聴いてますよね。

SIRUP

—最近だとどの辺を聴いてますか?

黒沢:今よく聴いているのはジョーイ・ドーシック(モッキーのライブサポートでも知られるシンガーソングライター)。ブルーノ・マーズはもちろんずっと好きですし、H.E.R.もここ最近のお気に入りですね。この間、ハワイでバカンスしていたときにクラブでかかっていたネリーの“Ride Wit Me”もよかった(笑)。

日本人も結構聴きますよ。Friday Night Plansや、eill、NEIGHBORS COMPLAINともよく一緒にイベントやっているし。

SIRUP:H.E.R.は結構ゴスペルっぽいですよね。声のメンテナンスの話でいうと、高い声を出すシンガーって、新しい訓練法も出てきて世の中にたくさん登場していると思うんですけど、ただ高い声を出すだけじゃなく、黒沢さんほどパワフルに出せる人は滅多にいなくて。波形で見ると、こんなに(両手を広げて)太い声がバーって出る。普通無理なんですよ、あんな歌い方(笑)。それは今回、“永遠に”を歌ってみて改めて思い知らされました。

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リリース情報

V.AThe Gospellers 25th Anniversary tribute『BOYS meet HARMONY』
V.A
The Gospellers 25th Anniversary tribute
『BOYS meet HARMONY』(CD)

2019年3月20日(水)発売
価格:2,700円(税込)
KSCL-3136

1. 永遠に / SIRUP
2. ミモザ / COLOR CREATION
3. 新大阪 / Da-iCE
4. 熱帯夜 / UNIONE(ユニオネ)
5. ポーカーフェイス / Creepy Nuts
6. 星降る夜のシンフォニー / FlowBack
7. 月光 / XOX
8. 星屑の街 / SOLIDEMO
9. ひとり / 港カヲル from グループ魂

  • Apple Musicで聴く
  • イベント情報

    『ゴスペラーズ 25th Anniversary tribute live 〜BOYS meet HARMONY〜』

    2019年3月25日(月)
    会場:東京都 Zepp DiverCity

    出演:
    ゴスペラーズ
    COLOR CREATION
    大野雄大(from Da-iCE)
    XOX
    SIRUP
    SOLIDEMO
    FlowBack
    UNIONE

    リリース情報

    SIRUP
    『FEEL GOOD』(CD)

    2019年5月29日(水)発売
    価格:3,024円(税込)
    RZCB-87001

    プロフィール

    ゴスペラーズ
    ゴスペラーズ

    1991年に早稲田大学のアカペラサークル「Street Corner Symphony」で結成し、94年にキューンミュージックよりメジャーデビュー。2000年リリースのシングル“永遠に”がロングセールスを記録し、『ひとり』は、アカペラ作品としては日本音楽史上初めてセールスチャートのベスト3入りを果たした。日本のボーカルグループのパイオニアとして、アジア各国でも作品がリリースされている。

    SIRUP
    SIRUP(しらっぷ)

    R&B / ソウル、HIPHOPなどをベースに、ジャンルを超えて様々なクリエイターとコラボレーションし、新しいものを生み出していく。その変幻自在なボーカルスタイル、五感を刺激するグルーヴィーなサウンド、そして個性的な歌詞の世界観でリスナーを魅了する。SIRUPは、「Sing & Rap」からなる造語。

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