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原田郁子×高城晶平対談 クラムボンとceroの世代を超えた共通点

原田郁子×高城晶平対談 クラムボンとceroの世代を超えた共通点

『FUJI & SUN'19』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:松永つぐみ 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

2月19日にZepp Tokyoで行われたフィッシュマンズの主催イベント『闘魂 2019』は、日本の音楽シーンにおける今年最初のハイライトだったと言っても過言ではないだろう。佐藤伸治が急逝した1999年以来、20年ぶりの開催となった『闘魂』に出演したのは、茂木欣一が『POLY LIFE MULTI SOUL』(2018年)を聴いて衝撃を受け、声をかけたというcero。アンコールではフィッシュマンズのステージに高城晶平と角銅真実も参加し、この日ボーカリストを務めたクラムボンの原田郁子とハナレグミとともに、“JUST THING”と“Weather Report”を歌い上げたことは、多くの人の心に刻まれたはず。

そして、原田郁子と高城晶平がクラムボンとceroとして再び顔を合わせるのが、5月11日と12日に静岡県・富士市で開催される新しいキャンプフェス『FUJI & SUN』。エルメート・パスコアールやセオ・パリッシュ、林立夫と矢野顕子らによるセッションなど、普遍的かつオルタナティブな充実のラインナップを、富士山の麓で映画やスポーツとともに楽しめる魅力的なフェスとなっている。原田と高城に『闘魂 2019』を振り返ってもらうとともに、ふたりの考える理想のフェス像について聞いた。

「どうやったらこういう存在になれるんだろう?」って、クラムボンは憧れのバンドでした。(高城)

—おふたりはフェスの現場などで顔を合わせることはありつつも、きちんと共演したのは先日の『闘魂 2019』が初めてだったそうですね。

高城:いろんな意味で、自分の人生におけるイニシエーション(通過儀礼)になった日でしたね。フィッシュマンズという存在が大きいのはもちろんなんですけど、我々はちょうど2000年に高校1年生で、クラムボンやハナレグミをよく聴いてたんです。荒内くん(荒内佑。ceroのキーボード担当)がクラムボンのことめちゃくちゃ好きで、『id』(2002年)とか『imagination』(2003年)のCDを貸し合ったりしてて。

原田:ええ! まったくその片鱗は伺えなかったですけど……(笑)。

高城:いやいやいや! 荒内くん、あんまりそういうの出さないですけど、めちゃ好きなんですよ。なので、その頃のことをぼんやり……思い出さないようにしていました。緊張するから(笑)。

左から:原田郁子(クラムボン)、高城晶平(cero)
左から:原田郁子(クラムボン)、高城晶平(cero)

高城:でも、やっぱりいろいろ考えちゃって……2000年代の初頭って、自分たちにとっては、「インディーズ」みたいな文化が日本でも花開いた時代に思えるんです。特に、クラムボンは「テープツリー」(ライブでのジャムセッション音源の録音を許可し、それを交換し合うなどしてファン同士の交流を生み出すことを狙いとした試み)をやったり、酒蔵でライブをしたり、そういうユニークな活動一つひとつをチェックしていました。

—音楽だけではなく、活動の仕方も追っていたと。

高城:そういう活動の仕方があるなんて、そもそも知らなかったんです。もっと大きい規模感で動いているバンド活動のあり方しか知らなかったけど、こういう形で自分の音楽を提示していく未来もあるのかなって、そのとき思ったんですよね。その頃にはもう音楽活動をはじめていたから、「どうやったらこういう存在になれるんだろう?」って、憧れのバンドでした。

高城晶平(たかぎ しょうへい)<br>様々な感情、情景を広く「エキゾチカ」と捉え、ポップミュージックへと昇華させる音楽集団ceroのメンバー。これまでceroとして4枚のアルバムをリリースし、いずれの作品も高評価を獲得。2019年1月、ソロプロジェクト・Shohei Takagi Parallela Botanicaが始動。阿佐ヶ谷のカフェバーrojiを営む。
高城晶平(たかぎ しょうへい)
様々な感情、情景を広く「エキゾチカ」と捉え、ポップミュージックへと昇華させる音楽集団ceroのメンバー。これまでceroとして4枚のアルバムをリリースし、いずれの作品も高評価を獲得。2019年1月、ソロプロジェクト・Shohei Takagi Parallela Botanicaが始動。阿佐ヶ谷のカフェバーrojiを営む。

—クラムボンはメジャーのレーベルから作品をリリースしつつ、2000年代の早い段階で自分たちの事務所を作って、そこを基盤に活動をしていたわけですよね。

原田:事務所の立ち上げに関しては、想像していたよりずっと早くて、そうせざるを得ない状況があったからなんですけど。1999年にデビューしてからっていうのは、ちょうど音楽業界全体が縮小していくような時期でもあって、自分たちのようなバンドにも少なからず影響はあった。

でも、クラムボンって、「これはできない」「ここまではできる」みたいな条件のなかで、それをひっくり返すというか、「だったら」って、とんちみたいな発想でやってきたところがあるんですよね。たとえば、バンドでツアーを回ろうとすると予算の兼ね合いが出てくるのは当然なんですけど、車1台で、全部サウンドシステムを乗っけて、メンバー、PA、スタッフの最少人数でだったら、たくさんの街に行けるんじゃないか? ライブハウスじゃなくても面白い会場を回れるんじゃないか? って。

原田郁子(はらだ いくこ)<br>1975年、福岡生まれ。1995年にスリーピースバンド「クラムボン」を結成。歌と鍵盤を担当。バンド活動と並行して、ソロ活動も精力的に行っており、これまでに4枚のソロアルバムを発表。2010年には、吉祥寺の多目的スペース&カフェ『キチム』の立ち上げに携わる。
原田郁子(はらだ いくこ)
1975年、福岡生まれ。1995年にスリーピースバンド「クラムボン」を結成。歌と鍵盤を担当。バンド活動と並行して、ソロ活動も精力的に行っており、これまでに4枚のソロアルバムを発表。2010年には、吉祥寺の多目的スペース&カフェ『キチム』の立ち上げに携わる。

—そういったなかで、酒蔵や洞窟でのライブもあったと。

原田:そうですね。レコーディングもですけど、ライブの現場でも、安くてコンパクトでクオリティーの高い音が鳴るっていうようなデジタルの機材が出てきてて、ミトくんは常に少し先を見ながら、PAの西川さんといろんなことを試行錯誤したり、取り入れながらやっていましたね。

高城:早かったですよねえ。

原田:レコード会社を離れて独立したのは2015年なんですけど、「メジャーだとやりたいことがやれないから」というわけではなく、実際そういうふうにも見えてなかったみたいで(笑)。「よくOKしてもらえたね」っていうような、モノラル版とステレオ版の2枚組(2005年発表の『てん、』)を出させてもらったり。さっき高城くんが言ってくれたように、たしかにメジャーにいながらインディー的な発想だったのかも。

高城:『Re-clammbon』(2002年に発表された、過去の楽曲をリアレンジしたアルバム)もありましたよね。「アレンジの軸を動かしてもいいんだ」っていう発想には、ceroもすごく影響を受けていて、クラムボンがいたから病的にアレンジを変えるバンドになっちゃったんですよ(笑)。でも、過去のアンセムを今の自分たちにフィットした形に置き換えるのって、風通しがいいなって思いますね。

クラムボン『Re-clammbon』を聴く(Apple Musicはこちら

—ceroのリアレンジアルバム、ぜひ聴いてみたいです。

高城:やりたいですよー。

原田:聴いてみたい! だけど、ceroはきっとライブがそうなってるんだよね?

高城:ライブで満足しちゃって、録音までたどり着かないんです(笑)。でも、いずれそういう作品も発表してみたいですね。

—近年のクラムボンは2000年代の延長で、自分たちでCDを作り、手売りツアーを行っているわけで、それもすごいことですよね(参考記事:クラムボンが一歩踏み出して話す、アーティストの「お金」の話)。

高城:インプットに自覚的な人は多いけど、アウトプットの部分を先読みしてやれる人ってすごく少ない。でも、それこそが今一番必要とされている知恵だと思うんですよね。

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イベント情報

『FUJI & SUN‘19』
『FUJI & SUN‘19』

2019年5月11日(土)、5月12日(日)
会場:静岡県 富士山こどもの国

5月11日出演:
エルメート・パスコアール&グループ
セオ・パリッシュ
青葉市子
WONK
大友良英スペシャルビッグバンド
小林うてな
セドリック・ウー
cero
竹原ピストル
DJみそしるとMCごはん
七尾旅人
マテウス・アサト・トリオ
D.A.N.
やけのはら
5月12日出演:
林立夫 special session with 矢野顕子ほか
悪魔の沼
Ovall
空間現代
クラムボン
田島貴男(ORIGINAL LOVE)
Chara
DSPS
DJスプリンクルズ
bird
MOROHA
Yogee New Waves
吉澤嘉代子
YOUFORGOT
料金:
前売 2日通し券15,000円 1日券8,000円
当日 2日通し券16,000円 1日券9,000円

プロフィール

原田郁子(はらだ いくこ)

1975年、福岡生まれ。1995年にスリーピースバンド「クラムボン」を結成。歌と鍵盤を担当。バンド活動と並行して、ソロ活動も精力的に行っており、これまでに4枚のソロアルバムを発表。2010年には、吉祥寺の多目的スペース&カフェ『キチム』の立ち上げに携わる。近年は、クラムボンが自身のレーベル「トロピカル」より3枚のミニアルバムを発表し、独自の販売方法を試み、ジャンル問わずの約300店舗にまで広がりを見せている。

高城晶平(たかぎ しょうへい)

様々な感情、情景を広く『エキゾチカ』と捉え、ポップミュージックへと昇華させる音楽集団ceroのメンバー。これまでceroとして4枚のアルバムをリリースし、いずれの作品も高評価を獲得。2019年1月、ソロプロジェクト・Shohei Takagi Parallela Botanicaが始動。阿佐ヶ谷のカフェバーrojiを営む。

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