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細美武士が語るthe HIATUSの10年。バンドという絆を育てた道のり

細美武士が語るthe HIATUSの10年。バンドという絆を育てた道のり

the HIATUS『Our Secret Spot』
インタビュー・テキスト・編集
矢島大地(CINRA.NET編集部)
撮影:関信行

本当の意味でのバンドになるために10年間やってきたと思う。

―喧嘩が強そうーー武装するか素っ裸で立ち向かうか。その両方があるとは思いますけど。それが脱ぐ方向にリアリティを感じられるようになったのは、どうしてですか。

細美:これは言葉でもなんでもそうだけど、言い訳や説明なく言い切ったものは潔いしカッコいいじゃないですか。やっぱり格言になるようなものって、何ページにも亘るものじゃなく、1行くらいで言い切れているもので。前フリも、誤解されないように補足することも必要もない……そういう意味で、ストレートですよね。

細美武士

―丸腰で堂々と立てるのが一番強い。

細美:ドバーッとやるカタルシスも大好きなんだけどね。ただ、口数は少ないけど野太い、みたいなカッコよさ……。その発想自体は、『A World Of Pandemonium』(3rdアルバム / 2011年)でアコースティックに振り切って、『Keeper Of The Flame』(4 tアルバム / 2014年)で俺がほとんどエレキギターを弾かなくなった辺りからずっとあってね。その上で今回は、迷った時にとにかく「安易に音を足すのはやめようぜ」っていう発想で作ってました。それは、時代性云々とはまた別の意味で、バンドにとっての新しいチャレンジだった気がしますね。

―サウンドデザインの面で時代性・音楽を取り巻く環境の変化を反映したのは、あくまでthe HIATUSというバンドの音楽として過不足ないグルーヴを追求するためだ、という話ですか。

細美:最終的にそのふたつの試みは、同じところに着地したっていう感じですかね。たとえばボーカルの面で言うと、今回はキーの低い楽曲が多いんですよ。

―そうですよね。細やかな抑揚を大事にしたソウルフルな歌唱を獲得されている。そうなっていったのはなぜだと思います?

細美:これまでも、ボーカルとして新しい表現――大きい声で高いキーを出す以外の歌・メロディにもトライしたかったんですけど、なかなか上手くいかなくて。エレキギターが2本、3本でっかく鳴ってるトラックの中でキーの低い歌を歌っても、聴こえないんだよね(笑)。だけど、the HIATUSを10年やってようやく、キーが低い歌でも前に出るようなアンサンブルを作る余裕が生まれたのが大きいんだと思う。

the HIATUSアーティスト写真<br>左から:ウエノコウジ、masasucks、細美武士、柏倉隆史、伊澤一葉
the HIATUSアーティスト写真
左から:ウエノコウジ、masasucks、細美武士、柏倉隆史、伊澤一葉

最初は、「バンドだぜ」って言う白々しさや胡散臭さみたいなものが俺の中にもあったんだよね。

―これまでもthe HIATUSは音楽として実験的な側面も強かったと思うし、特に初期は、バンドというよりも細美さん個人のプロジェクトとして、ELLEGARDENで鳴らしていたメロディックパンクの外へ行こうとする向きも強かったと思うんです。でも『Keeper Of The Flame』や『Hands Of Gravity』(5thアルバム / 2016年)、そして今作にかけての変遷で5人がフラットなバンドになって、バンドアンサンブルの原始的な気持ちよさをそのまま鳴らそうとする様が伝わってきたんですね。そういう意味で言うと、the HIATUSが10年をかけてバンドとしての肉体を得た作品とも言えますか。

細美:ああ。実際、最初は「ソロプロジェクト」って言ってたもんね。そこから本当の意味でバンドになりたくてやってきたと思う。振り返ってみると、ELLEGARDENが活動を休止して、そこで俺が「新しくバンド組もうぜ」って言っても、事実として俺にはそれまでのキャリアがあったわけじゃないですか。しかもそれぞれに素晴らしいキャリアのあるメンバーを集めてさ。

それを「バンドだぜ」って言う白々しさや胡散臭さみたいなものが俺の中にもあったんだよね。やっぱりバンドって、ガキの頃から始まって、ケンカして、お互いの環境の変化をともに経験しながら、自分の中になかったアイデンティティを持ったミュージシャンになっていく――基本的にはそういう過程を踏むものだと思ってるから。

―そうですよね。

細美:そういうバンドの根本を考えると、ひとつの部屋にみんなを入れてドアを閉め切っちゃうやり方はあまりに商業的すぎるんだよね。そうじゃなくて、出入り自由なのに自然とみんながそこにいるようにならないと――それがバンドだから。だから最初は「ソロプロジェクト」って言ってたんだろうし。

だけど、5人で一緒に日本を何周もして10年やってるうちに、誰もthe HIATUSが俺のソロプロジェクトなんて思わなくなったと思うんだよ。ちゃんとケンカして、辛い想いも多幸感のある光景も共有したから、今の幸せな状況やこの作品があるんだと思う。今は5人の距離がむちゃくちゃ近いし、家族だと思ってるからね。

細美武士

―そうして築いてきた関係性と絆をそのまま音楽にした結果、5音それぞれが映える生身の楽曲、体温を感じさせる歌に直結していったとも言えますか。

細美:ああ、バンドとしてもシンガーとしても、より一層生身に近づいてきたのかもね。俺個人で言っても、「いい歌ってなんだろう」っていうのはより一層考えるようになって、1テイクに対する集中力も変わったと思う。やっぱり本来の「歌」って、当たり前だけど地の部分じゃん。でも機械で綺麗に整頓されることが普通になってきているでしょ。ただ、そうやって整頓された歌って、2、3回聴く分にはいいけど、長くは聴けないんだよね。

2016年から開催されているジャズクラブツアー『Jive Turkey』の模様
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リリース情報

the HIATUS『Our Secret Spot』
the HIATUS
『Our Secret Spot』(CD)

2019年7月24日(水)発売
価格:2,592円(税込)
UPCH-20519

1. Hunger
2. Servant
3. Regrets
4. Time Is Running Out
5. Chemicals
6. Silence
7. Back On the Ground
8. Firefly / Life in Technicolor
9. Get Into Action
10. Moonlight

イベント情報

『Our Secret Spot Tour 2019』

2019年7月31日(水)
会場:東京都 Zepp Tokyo

2019年8月1日(木)
会場:東京都 Zepp Tokyo

2019年8月6日(火)
会場:福岡県 Zepp Fukuoka

2019年8月8日(木)
会場:広島県 BLUE LIVE 広島

2019年8月21日(水)
会場:宮城県 仙台GIGS

2019年9月3日(火)
会場:愛知県 Zepp Nagoya

2019年9月4日(水)
会場:愛知県 Zepp Nagoya

2019年9月11日(水)
会場:新潟県 新潟LOTS

2019年9月13日(金)
会場:北海道 Zepp Sapporo

2019年9月18日(水)
会場:大阪府 Zepp Osaka Bayside

2019年9月19日(木)
会場:大阪府 Zepp Osaka Bayside

2019年9月24日(火)
会場:香川県 高松festhalle

『the HIATUS 10th Anniversary Show at Tokyo International Forum』

2019年10月1日(火)
会場:東京都 東京国際フォーラム ホールA

プロフィール

the HIATUS
the HIATUS(ざ はいえいたす)

細美武士(Vo,Gt / MONOEYES、ELLEGARDEN、the LOW-ATUS)、ウエノコウジ(Ba / ex-thee michelle gun elephant、Radio Caroline、武藤昭平 with ウエノコウジ)、masasucks(Gt / FULLSCRATCH、RADIOTS、J BAND)、柏倉隆史(Dr / toe)、伊澤一葉(Key)によるロックバンド。2009年に細美武士を中心に活動をスタート。これまでに5枚のアルバムをリリースし、2014年には日本武道館公演を開催した。7月24日に6thアルバム『Our Secret Spot』をリリース。

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