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CRCK/LCKSの哲学と特異性 中村佳穂、Charaらの手紙から紐解く

CRCK/LCKSの哲学と特異性 中村佳穂、Charaらの手紙から紐解く

CRCK/LCKS『Temporary』『Temporary vol.2』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:関信行 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

ジャズを軸にしながらノンジャンル的なポップスを標榜する音楽性にしろ、個人と集団のあり方を問い直すような活動姿勢にしろ、CRCK/LCKSというバンドは2015年の結成以来、一貫してラジカルな姿勢を貫いている。

10月に発表された1stアルバム『Temporary』、そしてその2か月後という短いスパンでリリースされる新作EP『Temporary vol.2』――過渡期にあるバンドの「今」=「Temporary」を表すタイトルは、タイムラインに「今」が連なる現代をも反映しているかのよう。やはり、明確な哲学を持ったバンドは面白い。

今回CINRA.NETでは、そんなCRCK/LCKSというバンドの特異性を改めて解き明かすべく、長塚健斗(WONK)、Megu(Negicco)、TENDRE、Chara、中村佳穂という縁の深いアーティスト5組に手紙をしたためてもらった。小田朋美と小西遼とともにその手紙を読みながら、彼らのここまでの歩みを振り返る。

CRCK/LCKS(くらっくらっくす)<br>左から:小田朋美、小西遼<br>2015年結成のポップスバンド。ジャズ界隈をメインに活動していた彼らによるポップスは、ハイセンスな楽曲群に加え、そのフィジカルの強さにより各方面から賞賛を獲る。メンバーそれぞれがcero(小田朋美)、TENDRE(小西遼)、菅田将暉(越智俊介)、くるり(石若駿)などJ-POPの中心をサポートし、着実にプレイヤーとして、バンドとして成長を見せるなか、2019年10月16日に1stフルアルバム『Temporary』を発表。アルバムツアーファイナル同日に新作EP『Temporary vol.2』をリリースする。
CRCK/LCKS(くらっくらっくす)
左から:小田朋美、小西遼
2015年結成のポップスバンド。ジャズ界隈をメインに活動していた彼らによるポップスは、ハイセンスな楽曲群に加え、そのフィジカルの強さにより各方面から賞賛を獲る。メンバーそれぞれがcero(小田朋美)、TENDRE(小西遼)、菅田将暉(越智俊介)、くるり(石若駿)などJ-POPの中心をサポートし、着実にプレイヤーとして、バンドとして成長を見せるなか、2019年10月16日に1stフルアルバム『Temporary』を発表。アルバムツアーファイナル同日に新作EP『Temporary vol.2』をリリースする。(過去記事:CRCK/LCKS、誰もが認める「超絶テクバンド」の制作スタジオへ

小西が小田に初めて明かす、CRCK/LCKS立ち上げ時の青写真

―今回はCRCK/LCKSと縁の深いアーティストの方々からのお手紙を読みつつ、改めて、「CRCK/LCKSとはどんなバンドなのか?」に迫りたいと思います。まずは、小田さんとドラムの石若駿さんとは東京藝術大学つながりでもあるWONKから、長塚健斗さんです。

増した聴きやすさと変わらぬエグさ。気持ち良くて格好良くて癖になる。この変態集団どこまで進化するんだろう。

WONK 長塚健斗
WONK・長塚健斗(「Yogee New Waves×WONK対談 東京インディーは今さらに面白い」より / 撮影:小田部伶)
WONK・長塚健斗(「Yogee New Waves×WONK対談 東京インディーは今さらに面白い」より / 撮影:小田部伶)

小田(Vo,Key):嬉しい! でも「変態集団」と思われてたのか(笑)。

小西(Sax,Vocoder,Synth,etc):音楽的に「変態」というより、人柄を見て言われてる気がする(笑)。でも、「増した聴きやすさと変わらぬエグさ」が両立していて、そのうえで「進化」と言ってくれてるのは、シンプルに嬉しいですね。

CRCK/LCKS『Temporary』を聴く(Apple Musicはこちら

―CRCK/LCKSとWONKの共通点として、ジャズを背景に持つミュージシャンがバンドを組んで、ポップスの領域に進んだということが挙げられますよね。それは国内外における2010年代のひとつの流れだったように思うのですが、CRCK/LCKSの活動において、そういった時代性はどの程度意識していたと言えますか?

小田:私は正直、ほとんど意識してなくて、シンプルに「演奏家として信頼できる人たちと一緒に音楽をやりたい」っていうところが大きかったです。

小西:小田はそうだろうね。頭いいし、いろんなことを知っているけど、アウトプットはもっと感覚的なところでやってるだろうから。

小田朋美(おだ ともみ)<br>作曲家、ヴォーカリスト、ピアニスト。ソロ活動をはじめとし、「DC/PRG」(Key)、「CRCK/LCKS」(Vo,Key)、「VOICE SPACE」(作曲)、「Toyota Ceili Band」(Pf)に在籍。他にも、「cero」ライブサポート(Key,Cho)や、ASA-CHANG&巡礼との共演、日本各地で行われる津軽三味線の名手・高橋竹山の演奏会ピアニストなど。FINAL SPANK HAPPY、ODのお友達。2016年よりCMやドラマ等の映像音楽制作を開始し、作曲・ボーカル・ピアノの三本柱で活動中。東京芸術大学音楽学部作曲科卒業。
小田朋美(おだ ともみ)
作曲家、ヴォーカリスト、ピアニスト。ソロ活動をはじめとし、「DC/PRG」(Key)、「CRCK/LCKS」(Vo,Key)、「VOICE SPACE」(作曲)、「Toyota Ceili Band」(Pf)に在籍。他にも、「cero」ライブサポート(Key,Cho)や、ASA-CHANG&巡礼との共演、日本各地で行われる津軽三味線の名手・高橋竹山の演奏会ピアニストなど。FINAL SPANK HAPPY、ODのお友達。2016年よりCMやドラマ等の映像音楽制作を開始し、作曲・ボーカル・ピアノの三本柱で活動中。東京芸術大学音楽学部作曲科卒業。
小田朋美『グッバイブルー』(2017年)を聴く(Apple Musicはこちら

小西:あくまで俺と駿の間での話ですけど、ロバート・グラスパーの『Double Booked』(2009年)は青春の一枚で。トリオとThe Robert Glasper Experimentという2つの編成で、ライブとスタジオ録音による2部構成のアルバムなんですけど、ここでいよいよジャズとヒップホップの境界が曖昧になってくるんですよね。

「ジャズの人がヒップホップをやる」じゃなくて、「ヒップホップをやっているんだけど、ジャズの匂いがしている」「ジャズをやっているんだけど、ヒップホップのビートが鳴ってる」というふうに。あのアルバムがそういう流れの先駆けだったと個人的に捉えていて、CRCK/LCKS立ち上げの時点では念頭にありました。

ロバート・グラスパーの『Double Booked』を聴く(Apple Musicはこちら

―2009年の作品だから、2010年代の指針となったとも言えそうですね。

小西:RH Factor(ジャズトランペット奏者のロイ・ハーグローヴが率いるプロジェクト)からロバート・グラスパーにつながる流れを意識しつつ、でもそれを普通にやっても面白くない。

日本語で、歌モノで、俺たちなりのやり方は何だろうって考えたとき、もともと小田はシンガーソングライターとして活動していたし、他のメンバーもジャズ以外の要素は強かったので、変にジャズやヒップホップのフィールドに寄せちゃうのは面白くないなと。今思えばですけど、そういうことは考えながらやっていたかもしれない。

小田:そうなんだ、初めて聞いた!

CRCK/LCKS『CRCK/LCKS』(2016年)を聴く(Apple Musicはこちら

小西:「このトラックのあそこのビートが」みたいにリファレンスを示しながらやっちゃうと、みんな割とできちゃうから、既存のものに寄っていっちゃうんだよね。だから直接口にはせずに、反応を見てるほうが面白いかと。

グラスパーのカバーこそやらなかったけど、最初のライブのときだけはRH Factorのカバーはやったし、逆に小田寄りで考えてYMOの“Perspective”をやったり。そういうジャンルに囚われない混ぜ方が楽しいんじゃないかと思っていたんです。

小西遼(こにし りょう)<br>作編曲家・サックスプレイヤー。洗足音楽大学在籍時より国内外のジャズフェスティバルに参加、様々なコンテストにて優秀な成績を残す。2011年、バークリー音楽院へ奨学金を得て留学、北米でもツアーやレコーディング等を経験したのちに同音楽院首席卒業。NY滞在の後、2015年に帰国。「象眠舎」主宰。挾間美帆とのユニット「Com⇔Positions」を立ち上げる。CRCK/LCKSリーダー。
小西遼(こにし りょう)
作編曲家・サックスプレイヤー。洗足音楽大学在籍時より国内外のジャズフェスティバルに参加、様々なコンテストにて優秀な成績を残す。2011年、バークリー音楽院へ奨学金を得て留学、北米でもツアーやレコーディング等を経験したのちに同音楽院首席卒業。NY滞在の後、2015年に帰国。「象眠舎」主宰。挾間美帆とのユニット「Com⇔Positions」を立ち上げる。CRCK/LCKSリーダー。
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リリース情報

CRCK/LCKS『Temporary vol.2』
CRCK/LCKS
『Temporary vol.2』(CD)

2019年12月18日(水)発売
価格:2,000円(税込)
APLS-1913

1. かりそめDiva
2. IDFC
3. interlude#1
4. Crawl
5. interlude#2
6. 素敵nice
7. Rise

CRCK/LCKS『Temporary』
CRCK/LCKS
『Temporary』(CD)

2019年10月16日(水)発売
価格:2,750円(税込)
APLS1912

1. KISS
2. 嘘降る夜
3. Searchlight(Album ver.)
4. ひかるまち
5. La La La - Bird Song
6. 春うらら
7. ながいよる
8. demo #01
9. 病室でハミング(Live Ver.)

イベント情報

『CRCK/LCKS 1st full album「Temporary」release tour final』

2019年12月18日(水)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-EAST
料金:前売3,500円 当日4,000円

プロフィール

CRCK/LCKS
CRCK/LCKS(くらっくらっくす)

小田朋美、小西遼、井上銘、越智俊介、石若駿からなるポップスバンド。2015年結成。2016年4月に1stEP『CRCK/LCKS』を発表。ジャズ界隈をメインに活動していた彼らによるポップスは、ハイセンスな楽曲群に加え、そのフィジカルの強さにより各方面から賞賛を獲る。メンバーそれぞれがcero(小田朋美)、TENDRE(小西遼)、菅田将暉(越智俊介)、くるり(石若駿)などJ-POPの中心をサポートし、着実にプレイヤーとして、バンドとして成長を見せるなか、2019年10月16日に1stフルアルバム『Temporary』をリリース。タワーレコードのバイヤーが選ぶ「タワレコメン」への選出、タワーレコードが仕掛ける店頭展開プログラム「未来ノ和モノ」への選出などポップスバンドとして充分に注目を集めている。アルバムツアーファイナル同日に新作EP『Temporary vol.2』をリリース。

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