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ermhoiの「声」を輝かせている生い立ち、思想、知識、機材を取材

ermhoiの「声」を輝かせている生い立ち、思想、知識、機材を取材

KORG
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:豊島望 編集:矢島由佳子(CINRA.NET編集部)

ソロアーティストとしてだけでなく、ermhoi×小林うてな×ジュリア・ショートリードによる「Black Boboi」でも活発的に音を届け、今年は『FUJI ROCK FESTIVAL』のレッドマーキーに出演。さらには常田大希率いるmillennium paradeのボーカルや作詞でもその才能を輝かせている、ermhoi(エルムホイ)。

美しくも、どこか歪なサウンドで聴き手の心を揺さぶる彼女の音や歌は、一体どのようにして作られるのでしょうか。Black Boboiのワンマンライブ『Colusite』(2019年11月16日、渋谷WWW Xにて開催した)に向けてリハーサル中の彼女を訪ね、ライフストーリーはもちろん、日本人とアイルランド人のダブルとしてのアイデンティティや、「政治と表現」というトピックまで、じっくりと話してもらいました。

小さい頃から頭の中に広がっていた、音楽の世界地図

日本人の父親とアイルランド人の母親のあいだに生まれ、山梨県で育ったermhoiさん。姉と2人姉妹の彼女は、小さい頃から様々な種類の音楽に触れてきました。

ermhoi:父親はジャズやボサノバ、クラシックなどをよく聴いていて、母親は1960年代のロックや日本の民族音楽っぽいロック、たとえばソウル・フラワー・ユニオンなどが好きでした。姉は最先端のロックやポップスに夢中だったし、家では常に音楽がジャンルレスで流れているから、友達とかが遊びに来ると「変な家だよね」とよく言われていましたね(笑)。

楽器にも早い段階で興味を持ち始めました。近所の人からピアノを習っていたし、小学生ではトランペットも始めました。なにか大きなきっかけがあって音楽に目覚めたとかではないんです。ただそこに音楽があって、気がついたら始めていたような感じでした。

ermhoi(えるむほい)<br>日本とアイルランド双方にルーツを持ち、独自のセンスで様々な世界を表現する、トラックメーカー、シンガー。2015年1stアルバム『Junior Refugee』をSalvaged Tapes Recordsよりリリース。以降イラストレーターやファッションブランド、演劇、映像作品やTVCMへの楽曲提供、ボーカルやコーラスとしてのサポートなど、ジャンルやスタイルに縛られない、幅広い活動を続けている。2018年に小林うてなとJulia Shortreedと共にBlack Boboi結成。2019年よりmillennium paradeに参加。
ermhoi(えるむほい)
日本とアイルランド双方にルーツを持ち、独自のセンスで様々な世界を表現する、トラックメーカー、シンガー。2015年1stアルバム『Junior Refugee』をSalvaged Tapes Recordsよりリリース。以降イラストレーターやファッションブランド、演劇、映像作品やTVCMへの楽曲提供、ボーカルやコーラスとしてのサポートなど、ジャンルやスタイルに縛られない、幅広い活動を続けている。2018年に小林うてなとJulia Shortreedと共にBlack Boboi結成。2019年よりmillennium paradeに参加。

自分の好きな音楽を主体的に選ぶようになったのは、中学生になった頃。セネガル人のミュージシャン、ユッスー・ンドゥールに出会ったことがきっかけで、まずはアフリカの音楽に傾倒していきました。

ermhoi:当時、家族でたまたま東京に映画を観に行くことがあって、今はなき「シアターN渋谷」という映画館で『ユッスー・ンドゥール 魂の帰郷』(2006年製作、監督はピエール=イヴ・ボルジョー)を観たんです。ユッスーがジャズやヒップホップのルーツ、その背景にある黒人奴隷の歴史を辿る、旅の模様を追ったドキュメンタリーなんですけど、その中で流れていたアフロミュージックに衝撃を受けて。今まで聴いたことのないエスニックなサウンドと、聴き馴染みのあるロックやポップスが混じり合っているのがものすごくかっこいいと思ったんですよね。

その日の帰りに、アウマウ・サンガレのCDを勢いで購入して。友達に聴かせて「ん? なにこれ?」なんて言われながらも(笑)、「ああ、私はこれが好きだなあ!」と強く感じました。

アウマウ・サンガレ『Oumou』を聴く(Apple Musicはこちら

学校の課題で「ロックミュージックの歴史」を研究したのもこの頃でした。ermhoiさんの通う中学校では、1年通して自分の好きな物事について研究するという、大変ユニークで素晴らしい課題があったそう。

ermhoi:ある生徒は「宇宙」について、ある生徒は「ゴキブリ」について(笑)、とことん調べましょうっていう。私は当然、音楽にしか興味がなかったので、何人かでグループを組んで「ロックの歴史」を研究することにしました。

インターネットで検索すれば時代ごとにアーティストも掘り下げられて、しかもネットに出てくるバンドのCDが、結構家にあって。ジャニス・ジョプリンやThe Beatles、The Band……The Libertinesなんかもありましたね。そのうち自分でもやってみたくなって、友達とバンドを組んでみたり、誘われて歌ってみたりするようになっていきました。

ermhoi

高校生になると、ヨーロッパの音楽にも興味を持つようになったermhoiさん。そのきっかけとなったのは、当時の恋人との出来事でした。

ermhoi:当時付き合っていた人から、「ジャケ買いしたんだけど、好きじゃなかったからあげるよ」と言われて受け取ったのが、Beirutの1stアルバム『Gulag Orkestar』(2006年)で。それが私には、ものすごく刺さったんですよね。1音目を聴いただけでウルッとくるというか、心を直接揺さぶられた気分になって。そこからバルカン半島の音楽などを聴くようになりました。金管楽器の気持ちよさに気づけたのは、自分がトランペットを吹いていたのも影響しているかもしれないです。

Beirut『Gulag Orkestar』を聴く(Apple Musicはこちら

初めて作ったアルバムが常田大希や石若駿らの耳に入り、さらに世界が広がった

ermhoi

そんなermhoiさんが、本格的な音楽活動を始めたのは大学生の頃でした。それまでバンド活動も短期的だったり、ゲストボーカルという形で参加したりするくらいだったのですが、上京し周囲の人たちに触発されて、DTMによる音楽制作にのめり込んでいきます。

ermhoi:CocoRosieというアコースティックデュオが、浴室で録音したギターや歌を重ねて音源を作っているのを知って、「音楽って自由なんだ、なにか自分でもできそう」と思ったんです。

ermhoi:ちょうど周りにDTMをやっている人が多かったので、彼らに教えてもらいながら、まずはGarageBandで多重録音をやり始めました。本当はバンドがやりたかったんですけど、あまり計画力とかないし、人にお願いするのも気が引けて。それで家にこもって曲を作り、SoundCloudに上げては、人の反応を見て楽しむという日々を過ごしていました。

最初の頃は、ギターで1フレーズのループを作り、そのキーを変えて展開を作るというめちゃくちゃシンプルな内容。フリークフォーク的な感じでやりたいと思っていたんです。そこにシンセを入れ始めたら楽しくなってきて。シンセポップとかそういう要素が混じるようになっていきました。

そのあと、大学の先輩のジャズバンド・Mr.Elephantsにボーカリストとして加入。イベントで共演したCRCK/LCKSの小西遼さんや石若駿さんとも親交を深めていきました。

ermhoi:その縁で、CRCK/LCKSやものんくるなどジャズよりのポップスを奏でる人たちと仲良くなって、いろんなイベントに誘ってもらえるようになったんです。ermhoi名義の1stソロアルバム『Junior Refusee』(2015年)をリリースしたのもその頃ですね。

そのアルバムを聴いてくれた石若くんとか東京塩麹の額田くんが、常田大希くん(King Gnu / millennium parade)に音源を渡してくれて、それがきっかけとなってDaiki Tsuneta Millennium Parade(millennium paradeの前身プロジェクト)への参加が決まったり、自分を取り巻く世界がどんどん広がっていきました。

ermhoi『Junior Refusee』を聴く(Apple Musicはこちら

ermhoi
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コンピューター

Apple「MacBook Pro」

DAWソフト

Ableton「Live」

オーディオインターフェイス

Native Instruments「KOMPLETE AUDIO 6」

鍵盤

KORG「prologue」

ボリュームペダル

KORG「XVP-20」

MIDIキーボード

KORG「microKEY」

Native Instrument「KOMPLETE KONTROL M32」

音源

KORG「volca kick」

ARTURIA「MicroFreak」

Ableton「Novation Launchpad」

マイク

SHURE「58β」

ヘッドフォン

beyerdynamic「DT 770 PRO」

リリース情報

Black Boboi『Red Mind / 4 hours』
Black Boboi
『Red Mind / 4 hours』

2019年6月1日(土)配信

1. Red Mind
2. 4 hours

イベント情報

millennium parade
『millennium parade live 2019』

2019年12月3日(火)
会場:大阪府 Namba Hatch

2019年12月5日(木)
会場:東京都 STUDIO COAST

プロフィール

ermhoi
ermhoi(えるむほい)

日本とアイルランド双方にルーツを持ち、独自のセンスで様々な世界を表現する、トラックメーカー、シンガー。2015年1stアルバム『Junior Refugee』をSalvaged Tapes Recordsよりリリース。以降イラストレーターやファッションブランド、演劇、映像作品やTVCMへの楽曲提供、ボーカルやコーラスとしてのサポートなど、ジャンルやスタイルに縛られない、幅広い活動を続けている。2018年に小林うてなとJulia Shortreedと共にBlack Boboi結成。2019年よりmillennium paradeに参加。

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