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パノラマパナマタウンが掬いあげる、社会の中で死んじゃってる心

パノラマパナマタウンが掬いあげる、社会の中で死んじゃってる心

『GINGAKEI探索in MADO』
インタビュー・テキスト・編集
矢島由佳子(CINRA.NET編集部)
撮影:小杉歩

本当に、メンバーそれぞれに役割があって、かなりいいバランスだなと思ってる。(浪越)

―こういう好奇心旺盛な岩渕さんの生き方について、他のメンバーはどう見てるんですか?

田村:まあ……そうやんな……(低い小声)。

岩渕:こっわ(笑)。

浪越(Gt):本当に、メンバーそれぞれに役割があって、かなりいいバランスだなと思っているんですけど。それぞれに趣味として自分で動いて吸収しているものがあって、その中で岩渕は見たことないものを見に行ったり、いろんなカルチャーに対しての好奇心旺盛な役割で。僕はそういうのがあまり得意じゃないというか、インドア派やし、カルチャー的なものには閉鎖感を感じてしまうというか……。やっぱり人それぞれに好きなことがありますからね。

浪越康平
浪越康平

岩渕:確かに、メンバーと話すときにいつも思うのが、「自分の好きなものはもう100%面白いし、誰にとっても絶対面白い」って思い込んじゃう節があるということで。「これ面白そう」というのがあったら、絶対チェックして調べて行くもんだっていう、自分の行動原理が頭の中にあるけど、「全員がそうじゃないよ」「独り善がりになってるよ」ということをメンバーに言われて気づくことはあって。

田村:好きなもののおすすめって、言い方を間違えると厚かましく感じるからなあ。

岩渕:(田村)夢希と2人で話してたら、言ってることがまったくわからないときが結構あって(笑)。真逆のことを考えてるときがあるんですよ。

田村:岩渕って、結局主観タイプだと思うんです。なにに対しても。

岩渕:タノも結構主観タイプ。

タノ:そうやな、物事を比較で見れないタイプ。曲を作るときは、最初は主観でも、バンドでやるものとして主観と客観の配合比率は考えるけど……。

浪越:このアルバムなんか本当にその典型的な例だと思ってて。岩渕とタノが主観的に突っ走ってたところで、最終的に僕がそこを相対的に見て、どういうリード曲がいるのかを考えて、“Dive to Mars”の曲をバンッて出せたことでひとつの作品にまとまったような気はしてるから。そういうまとめ役が僕は好きなので。

左から:タノアキヒコ、田村夢希、岩渕想太、浪越康平
左から:タノアキヒコ、田村夢希、岩渕想太、浪越康平

―4人結構バラバラなんですね(笑)。『GINGAKEI』って、誰しもに銀河系のように輝くものがあって、だから私は私の中の銀河系を信じるし、あなたの輝くものも尊重するし、ということを歌ってるじゃないですか。

岩渕:はい。

―それを、そもそもこのバラバラの4人が、バンドの中で日々やってるんだなと思いました(笑)。

岩渕:ああ、本当にそうだと思います。4人の好きなものとか、4人の生きてきた道は違うけど、それらが全部絶対ここには入ってるし、話し合って話し合って4人が納得するものを作ったっていうのも、そうだと思いますね。

左から:タノアキヒコ、田村夢希、岩渕想太、浪越康平
左から:タノアキヒコ、田村夢希、岩渕想太、浪越康平

今って、音楽を聴き流せる時代だからこそ、ただただ聴き込んでもらう時間を作るのは大事だなと思った。(岩渕)

―11月23、24日には、渋谷ヒカリエ8FのMADOにて、アルバムを体感できる『GINGAKEI探索 in MADO』を開催しました。歌詞を読み込まないと解けない謎解きゲームや、自分のオリジナルジャケットが撮影できるフォトブース、Tシャツの手刷り体験など、やってみていかがでしたか?

会場内でみんなが謎解きに挑んでいる様子
会場内でみんなが謎解きに挑んでいる様子
好きなデザインが刷れるTシャツ
好きなデザインが刷れるTシャツ

岩渕:謎解きに関しては、曲の隅々まで聴かなきゃわからないから、何回も聴くじゃないですか。今って、音楽を聴き流せる時代だからこそ、イヤホンをつけて他の情報をなにも入れずにただただ聴き込んでもらう時間を作るのは大事だなと思ったし、それを楽しみながらやってもらえたと思うのでよかったですね。

田村:岩渕らしい問題やなあと思いましたけど。主観の塊(笑)。だって、解けなかったですよね?

―ヒントがなければ全然無理でした(笑)。

タノ:みんな何時間もおってすごかったな。

浪越:確かに。もう2~3時間います、みたいな人もたくさんいたもんな。

ヒントを与えてくれる、謎解きマスターIWAの映像。1時間に数回だけ流れるため、行き詰まった人たちはその映像を見入っていた
ヒントを与えてくれる、謎解きマスターIWAの映像。1時間に数回だけ流れるため、行き詰まった人たちはその映像を見入っていた
メンバーがサプライズで会場に来た場面
メンバーがサプライズで会場に来た場面

浪越:最初「写真展にしようか」とかも言ってたんですけど、それって本当に押し付けがましいというか。こっちが「こうだ」って言って、それをただ受け取ってもらうより、頭使ってもらうのはよかったなって思いましたね。

岩渕:やっぱり能動的に動いてほしいというか。『GINGAKEI』の中に入ってもらうということはできたんじゃないかなと思ってて。一人ひとりが輝いてる、一人ひとりが面白い、一人ひとりが作れる、というのが言いたいことだったから、フォトブースを作ったり、手刷りのTシャツも「作ったTシャツを売ります」ではなく自分でデザインを決めてプリントできるというやり方をやったし。アルバムのコンセプトを伝えるという意味でもよかったなと思うし、なにより来てる人がめっちゃ楽しそうでよかったです。

自分のオリジナルジャケットを撮影できる、フォトブース
自分のオリジナルジャケットを撮影できる、フォトブース
パノラマパナマタウン『GINGAKEI』ジャケット
パノラマパナマタウン『GINGAKEI』ジャケット(Amazonで見る

―ちなみに、岩渕さんが歌舞伎町の人間レストランでやる『俺の命はクリスタルガイザー何本分なのよ?』展は、なんなんですか?

『俺の命はクリスタルガイザー何本分なのよ?』展
『俺の命はクリスタルガイザー何本分なのよ?』展(サイトを見る

岩渕:クリスタルガイザーを定期便で届くようにしてるんですけど、飲み干して、袋に入れてゴミ出しして、また届くみたいな、そのプロセスがすっごい虚しいなと思って。水に生かされてるみたいだなって。そもそも、水が売られてるのがちょっと怖いじゃないですか? これが資本主義、みたいな。

―わかります。500mlのミネラルウォーターを人が買うようになったのって、ここ20年くらいの話ですもんね。

岩渕:水にラベルをつけたら売り物になるっていう事実が、自分の中ですごく気持ち悪くて。だから昔から歌詞とかに「ミネラルウォーター」って入れてたんですけど。なので今回は、クリスタルガイザーを人が行き交うところに置いたら普段持ち得ないような意味を持つんじゃないかなと思って、新宿の至るところに置いて撮った写真を展示するのと、俺が路上でひたすら3時間くらいクリスタルガイザーを飲むだけの映像を流します。

あと、水がずっと無限に循環するクリスタルガイザーのオブジェを作ってます(笑)。それが人生じゃないですか、命じゃないですか。飲んで、捨てて、また水が入ってきて、というのを繰り返すだけで死んでいくから。……というのを表現できたらなあと思ってます。

岩渕想太
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リリース情報

パノラマパナマタウン『GINGAKEI』
パノラマパナマタウン
『GINGAKEI』(CD)

2019年11月13日(水)
価格:1,980円(税込)
AZCS-1087

1. Dive to Mars
2. 目立ちたくないMIND
3. ずっとマイペース
4. Chopstick Bad!!!
5. HEAT ADDICTION ~灼熱中毒~
6. エイリアン
7. GINGAKEI

イベント情報

『パノラマパナマタウン 「銀河探索TOUR 2019-2020」』

2020年1月13日(月・祝)
会場:大阪府 BIGCAT

2020年1月19日(日)
会場:東京都 恵比寿 LIQUIDROOM

『俺の命はクリスタルガイザー何本分なのよ』
『俺の命はクリスタルガイザー何本分なのよ』

2019年12月16日(月)~12月25日(水)
会場:東京都 歌舞伎町 人間レストラン
時間:18:00~5:00

プロフィール

パノラマパナマタウン
パノラマパナマタウン

メンバーは岩渕想太(Vo,Gt)、浪越康平(Gt)、タノアキヒコ(Ba)、田村夢希(Dr)。福岡、広島、大阪、神戸と、それぞれ出身の異なる4人が、神戸大学の軽音楽部で集まり、結成されたオルタナティヴロックバンド。ロックとヒップホップ両方に影響を受けた、熱いライブパフォーマンスと独特なワードセンスを武器に奔走する4人組。2015年、ロッキング・オンが主催する『RO69JACK』でグランプリを獲得し、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』へ初出演。「MUSICA」「A-Sketch」「SPACE SHOWER TV」「HIP LAND MUSIC」が「MASH A&R」として主催する4社合同オーディションでグランプリを獲得。2016年3月には初の全国流通盤となる『SHINKAICHI』をリリース。2018年1月17日、メジャーデビューミニアルバム『PANORAMADDICTION』をリリース。2019年2月13日、1stフルアルバム『情熱とユーモア』をリリース。2019年11月13日にミニアルバム『GINGAKEI』をリリースし、同月15日からアルバムをひっさげてのツアー『銀河探察TOUR 2019-2020』を開催。年内はゲストを迎えた2マン公演で全国をまわり、年明けには大阪BIGCAT、恵比寿LIQUIDROOMでもワンマンライブも決定している。

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