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M/M(Paris)のアート 想像力を刺激する「あなた」の物語作り

M/M(Paris)のアート 想像力を刺激する「あなた」の物語作り

渋谷PARCO
インタビュー・テキスト
長嶋太陽
撮影:黒羽政士 編集:久野剛士(CINRA.NET編集部)

ビョークのアートワーク、ジル・サンダーのロゴ、ロエベのグラフィック。世界中の人々の記憶の中に生き続けるアートディレクションを手がけるM/M(Paris)。彼らが追い求めるのは、「感情の対話」だという。インタビュー中、「Do you understand?」と優しく尋ねるその姿は、彼らの哲学を象徴しているようだった。そして、インタビュアーの目を見つめ、手元のノートにさまざまなデッサンを描きながら、ゆっくりと話してくれた。

そんな今回の対話は、渋谷パルコの新しいビジュアルにまつわる話をスタート地点にして、最終的に現代を生きる私たちに必要な思想、行動に行き着く。彼らの言葉を借りるなら、こうなるだろう。「今ここで語っているのは、あなたの人生についての物語です」と。

デザインの巨匠2名が感じる、日本文化とパルコの価値

―お二人は日本の文化に影響を受けたと過去のインタビューで話されていますが、どういった部分に魅力を感じるのか、お聞かせいただけますか?

マティアス:文化が日常生活の一部になっている点が、特に好きですね。少なくともわたしたちにはそう見える、ということですが。さまざまなディテールに文化の存在を感じます。物質的なものだけでなく、人々の思考や行動、そして「消費」にも文化的な視点が関わっているという印象です。

ミカエル:たとえば、日本に来るたびに、文化と生活をつなぐショップが増えていて驚きます。僕が見てきた世界中のどんな国よりも文化との接点になるような店がたくさんある。ビジュアルのディテールが作り込まれていくみたいに、街に店が増えています。

M/M(Paris)(エムエムパリス)<br>左から、ミカエル・アムザラグ、マティアス・オグスティニアック。1992年に結成された、パリを拠点に活動するクリエイティブユニット。20年以上にわたりファッション、アート、音楽、デザインと多分野において活躍し、象徴的かつ影響力の強いデザイン&アートで世界中の人々を魅了している。
M/M(Paris)(エムエムパリス)
左から、ミカエル・アムザラグ、マティアス・オグスティニアック。1992年に結成された、パリを拠点に活動するクリエイティブユニット。20年以上にわたりファッション、アート、音楽、デザインと多分野において活躍し、象徴的かつ影響力の強いデザイン&アートで世界中の人々を魅了している。
M/M(Paris)がジャケットを手掛けたビョーク『Biophilia』を聴く(2011年 / Apple Musicはこちら

マティアス:これは私たちの受け取る感覚で、どこに焦点を当てるか、という話でもあるから、一般論ではないかもしれません。ただ、日本について知るほどに細部が大切にされていることに気づきます。日本の人々の目は鍛えられているからこそ、コンセプチュアルなアート作品が受け入れられているし、生み出されているのかな、と。創作する上での余白が許されているので、日本の仕事はとても楽しいです。

―パルコとの取り組みのきっかけには、いまお話しいただいたようなクリエイティブにまつわる姿勢への共感がありましたか?

マティアス:そうです。パルコのはじまりは、ファッションとともにありました。COMME des GARÇONS(コムデギャルソン)の川久保玲、Yohji Yamamoto(ヨウジヤマモト)の山本耀司という、芸術、ファッション、文化を混ぜ合わせる創造的な人物たちと特別な関係を築いて、ただ物が買えるだけの百貨店とは違う、有機的な生態系を生んできたのです。そこにシンパシーを覚えます。流行でもなく、着飾るためのものでもない。ファッションとは、食事をしたり、演劇や映画を観たり、通りを歩いたり……そういった現実世界の登場人物が着る服を提案するということです。その壮大なビジョンを体現しながら、パルコは、パルコになっていったのです。

M/M(Paris)のマティアス・オグスティニアック
M/M(Paris)のマティアス・オグスティニアック

―パルコとM/M(Paris)の関係は2014年からはじまっています。そこから、パルコのイメージを決定づけるようなアートワークを手がけていますね。今回制作されたビジュアルは、過去との繋がりを感じさせながら、全く新しい感覚をもたらしています。

マティアス:素朴さと新しさを両立するために試行錯誤を重ねました。変わらないけど新しい。一度消えて、復活するようなイメージです。パルコのロゴをもとに、抽象化してアルファベットを表意文字に戻していったんです。文字でアニメーションを作るような感覚ですね。その表意文字には、パルコの内側にあるプログラムを表すキャラクターを当てはめています。Pはファッション、Aがエンタテインメント、Rはアート、Cはフードで、Oがテクノロジー。これは、パルコの本来的な価値を明示しています。

ミカエル:また、ロゴは、クリスマスに飾るツリーと同じような役目を持っています。たとえばキリスト教にとっての十字架は、本来の意味が変化して伝統的な記号となりましたね。宗教的な意味合いではなく、ロゴは「象徴」になりうるものということです。

M/M(Paris)が手掛けた渋谷PARCOのビジュアル
M/M(Paris)が手掛けた渋谷PARCOのビジュアル
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店舗情報

渋谷PARCO
渋谷PARCO

東京都渋谷区宇田川町15-1
営業時間:10:00~21:00 ※一部店舗異なります

プロフィール

M/M(Paris)(えむえむ ぱりす)

ミカエル・アムザラグとマティアス・オグスティニアックによって1992年に結成された、パリを拠点に活動するクリエイティブユニット。20年以上にわたりファッション、アート、音楽、デザインと多分野において活躍し、象徴的かつ影響力の強いデザイン&アートで世界中の人々を魅了させている。彼らの手掛ける多くの作品でオリジナルのタイポグラフィを用いられることがあり、表現方法の一つとしてタイポグラフィの重要性の高さが窺え、2003、2004、2012年度の東京TDC賞(タイポディレクターズクラブ)も受賞。また、ファッション、音楽関係の仕事が顕著で、これまでのコラボレーションワークとして、A.P.C.、Balenciaga、Calvin Klein、Dior Homme、Givenchy、Jil Sander、Loewe、Louis Vuitton、Missoni、Sonia Rykiel、Stella McCartney、Yohji Yamamoto、Yves Saint Laurentなどのビックメゾンやデザイナーが連なる。音楽の分野でも、2013年にグラミー賞の最優秀レコーディング・パッケージ賞を受賞したビョークの『Biophilia』を代表に、ヴァネッサ・パラディ、カニエ・ウェスト、マドンナといった著名アーティストのアルバムアートワークやミュージックビデオを手掛ける他、『Vogue Paris』、『Purple Fashion Magazine』、『Arena Homme+』、『Interview Magazine』等の雑誌のアートディレクションも手掛ける。また、2012年には、活動20周年記念として500ページを越える作品集を出版した。

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