
エレ片が14年続けてこられたわけ。アートのように作られるコント
エレ片『光光☆コントの人』- インタビュー・テキスト
- 島貫泰介
- 撮影:永峰拓也 編集:川浦慧(CINRA.NET編集部)
エレキコミックのやついいちろう&今立進と片桐仁がタッグを組んだ「エレ片(えれかた)」は今年で結成14年。ラジオの担当番組『JUNKサタデー エレ片のコント太郎』も同じ年月を重ね、コントライブも2020年で13回を数える。さらに、それぞれ別の大学の落語研究会で出会ってから約25年間つきあいを続けているというのだから、3人は本当にラブラブだ。
そんな彼らのライブDVD『光光☆コントの人』が1月29日にリリースされた。「だんだん飽きてきた」という理由で、これまでとは違うロジックで作った6本のコントは、不思議な感触で始まり、不思議な感触で終わる。異色の作品に至った理由を、DVDリリースと新作ライブを控えた3人に聞いた。
なぜ、エレ片は14年も活動を続けてこれたのか?
―今日はもうすぐリリースされる『光光☆コントの人(以下、ピカピカ)』について主に聞きに来たのですが、どのくらいネタバレOKなのかなと。中身を楽しみにしてる人もいますよね?
今立:あ、ぜんぜん大丈夫です。
やつい:全部大丈夫。
片桐:いまはネタバレ云々言ってられる時代じゃないですからね!
今立:いっそオチも全文掲載しましょう。
やつい:あの意味のわからないオチを(笑)。

エレ片(えれかた)
上:片桐仁、左下:やついいちろう(エレキコミック)、右下:今立進(エレキコミック)
エレキコミックのやついいちろう・今立進、片桐仁からなるお笑いユニット。2006年からラジオ番組『JUNKサタデー エレ片のコント太郎』(TBSラジオ)を放送、ライブ活動も精力的に行なう。
―まず、エレ片自体についてから話を始めたいのですが、活動を開始されてから14年ですよね。エレキコミックのおふたりと片桐さんっていう変則的なユニットであるにもかかわらず、これだけ長く続いたっていうのはなかなかすごいことだと思うんです。仲良くやってこれた秘訣はなんでしょう?
片桐:ラジオが終わらず、これまで続けさせてもらえたからですよね。もちろんライブありきだけれども。
やつい:ずいぶんやってきたよなー。『ピカピカ』で12回目だけど、10回目の区切りで1stシーズンを終えて、11回目からは新しいことをやろうぜ、これまでにやってないことをやろうぜ、っていうのがコンセプトになるくらいだし。
得意だった笑いの手法を全部やめたのが「新コントの人」シリーズで、それをもう一段階進めたのが『ピカピカ』です。
―エレ片やエレキのコントは、やついさんの実体験から生まれることが多いと聞いたのですが、今回の大きなストーリーになっている「三姉妹」の設定もそう?
やつい:三姉妹そのものは後付けだけど、大友康平さんが相撲を見にきているっていうのもテレビで見た実話です。実体験は、けっこう使ってます。
―じゃあ三姉妹ネタが最初にあったわけじゃないんですね。
今立:それは、全体がけっこう出揃ってからのアイデアです。
やつい:もともと、全部別のネタのつもりで作っていたんですけど、今回やたらと女子ネタが多いことに気づいて。じゃあ、これ全部同じ女の子たちの話でもいけるぞ、ってなって三姉妹の話にしてみました。
―最初のネタの「光猪(ひかりいのしし)」を見ているときは「はて、これは一体何の話?」となりました。
今立:なりますよね(笑)。
―それで第2章以降に進むと、どうやらさっきと同じ人物の話らしいと理解できてきて、次第に手塚治虫の漫画を見ている気持ちになるという。
片桐:スターシステムね(特定のキャラクターが、他の作品にも登場する描き方のこと)!
やつい:猪を出したのも、公演の年が「亥(いのしし)」だったからでした。そんなこと、1年経ったいまとなっては全員が忘れ去った設定で。というか、ライブのときも伝わらなくて「今年の干支はなんだったでしょう?」という説明が必要だったくらい伝わらないネタ(笑)。そんな猪がピカピカ光ると。それで『光光☆コントの人』なんです。
今立:わかんないよ! だいたい2019年の2月っていう、もはや新年感も薄れている時期のライブで(笑)。
片桐:いいじゃないですか。コントなんだから。自由があるんだから。
―そうですね。最初のぐにゃっとねじれたような感覚が、徐々に設定が明かされていって堂々たる「サーガ」感を生むという。
片桐:よく「サーガ」なんて言葉を使ってくれますよね。ありがとうございます。
リリース情報

- 『光光☆コントの人』
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2020年1月29日(水)発売
価格:3,666円(税込)
PCBE-56333本編:
光猪 / オープニング / 三姉妹 / 夕陽の詩人 / カフェ女子ババア / 三兄弟 / UFO / エンディング特典映像:
片桐催眠キックボクシング
エレ片3人による副音声コメンタリー出演:やついいちろう(エレキコミック)、今立進(エレキコミック)、片桐仁
プロフィール

- エレ片(えれかた)
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エレキコミックのやついいちろう・今立進、片桐仁からなるお笑いユニット。2006年から放送しているラジオ番組『JUNKサタデー エレ片のコント太郎』(TBSラジオ)を放送、ライブ活動も精力的に行なう。