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山縣良和と考える10代の「学び」。変幻自在な自分を知ること

山縣良和と考える10代の「学び」。変幻自在な自分を知ること

GAKU
インタビュー・テキスト
杉浦太一(CINRA, Inc. 代表取締役)
撮影:鈴木渉 編集:後藤美波(CINRA.NET編集部)

社会も変わっていくし、自分も変わることができる。自分が変幻自在であると気づくことってすごく大事だと思う。

―子供たちのポテンシャルを見つけて、輝かせるというアプローチについて、具体的にはどのように考えていますか? 時代を問わず、自分では気づかないまま自分に「ダメだ」っていう烙印を押してしまっている子も多いと思うんです。

山縣:僕はまず自分自身を認められるよう、素直になることがすごく大事だと思っているので、そういう環境を作ることですね。それと一つの価値観だけに引っ張られないように、多面的に物事を見られる状況にしておくっていうことだと思います。

山縣良和

―色んなクリエイティビティに触れることは、多様な価値観を知っていくことにも繋がりますよね。GAKUのプログラムもそうですが、創造性を学ぶということは、必ずしもアーティストになるという意味ではなくて、これから生きていく上で大事なことであるというイメージでしょうか。

山縣:そうですね。今ってとにかく世の中の状況が刻一刻と変わっていきますよね。100年前、50年前と比べても、世界の様々な土地やルーツを持った人々とコミュニケーションできる機会が増えています。一つだけじゃないバリューが押し寄せてくる状況の中で、自分が変幻自在であると気づくことってすごく大事だと思うんです。

社会も変わっていくし、自分も変わることができる。GAKUは、自分には色んな可能性があるっていう気づきが起こる場所になればいいなと思っています。だからクリエイションを学んでどこかの業界を目指すということより、もっと本質的に、生きる力になればいいなと思います。

山縣良和

―生きる力というのは、何かを作りたいとか、表現したいっていう内から発する衝動のようなものでしょうか?

山縣:「生きたい」でも良いと思います。自分のことや世界を肯定して──もちろん否定もしても良いんですが──最終的には自分と世界が「ありかもな」っていう気持ちが芽生えたら良いですね。

GAKU室内

「こんな人がいていいんだ」「こういう考え方もあっていいんだ」って思える人と出会ったから希望を持てる。

―クリエイティブっていうとどこか限られた人のためのものというイメージもあると思いますが、パルコが作ってきたカルチャーもみんながアクセス可能なものになっていますよね。

山縣:そうですね。だから、いわゆる特権的な部分を取り除きながらやっていくということも僕らの課題です。既存の教育機関に馴染めなかった子や不登校の子、何かしらの理由で学校に行けない子たちにも来てもらいたいですし、そういう体制を作っていきたいと思っています。

―僕は「Inspire High」を立ち上げるなかで、色んな教育サービスや事業に携わっている方々にお話を伺ったんですが、共通点が2つあると感じました。1つ目は自分の経験に立脚しているということ。2つ目は、それで終わっていなくて、世界や人間に対して何らかの希望や信頼があるっていうことでした。

山縣:僕もそれは本当に感じるんですけど、そういう風に思える人と出会ったからじゃないかなと思います。「こんな人がいていいんだ」「こういう考え方もあっていいんだ」って思える人と出会う、そういう体験をするっていう。

GAKU室内

山縣:それと僕は葛藤しながらやっていくっていうことがすごく大事だと思っていて。だからこそ、希望を持ちながらも葛藤している人と出会うことは大きな意味があると思います。

―山縣さん自身は、そういう出会いが過去にあったんですか?

山縣:そうですね。教育現場で言えば、僕が通っていたロンドンの学校の先生はそういう存在でした。特に何かを言われたというわけではないんですが、その人の空気感とか態度とかちょっとした言葉に、すごく大きな世界を感じる方で。それを味わったのは僕としては救いでした。

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施設情報

GAKU

10代の若者たちが、クリエイティブの原点に出会うことができる「学び」の集積地。アート、映像、音楽、建築、料理など、幅広い領域で、社会の第一線で活躍するアーティストやデザイナー、先進的な教育機関が、10代の若者に対して、本質的なクリエイティブ教育を実施する。10代の若者が、本物のクリエイターと実際に出会い、時間を過ごし、ともに考え、試行錯誤をしながらクリエイションに向き合うことで、まだ見ぬ新しい自分や世界、すなわち、原点のカオスに出会うことを目指す。ディレクターには、writtenafterwards(リトゥンアフターワーズ)のデザイナー山縣良和を迎え、世界的評価を受けるファッション・スクール「ここのがっこう」、カルチャーWEBメディアCINRAによるオンラインラーニングコミュニティ「Inspire High(インスパイア・ハイ)」などが集まり、感性、本質的な知識、自己と他者の原点を理解する精神を育むプログラムを構成する。

プロフィール

山縣良和(やまがた よしかず)

2005年セントラル・セント・マーチンズ美術大学を卒業。在学中にジョン・ガリアーノのデザインアシスタントを務める。2007年にリトゥンアフターワーズを設立。2008年より東京コレクションに参加。2014年に毎日ファッション大賞特別賞を受賞。2015年には日本人として初めてLVMHプライズのセミファイナリストにも選出された。またファッション表現の研究、学びの場として、2008年より「ここのがっこう」を主宰。「GAKU」のディレクター。

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