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神谷圭介×三浦直之 激変期だからこそ、表現者になるチャンスはある

神谷圭介×三浦直之 激変期だからこそ、表現者になるチャンスはある

『Directed by You –ソニーと創る「60秒フィルム」–』
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:鈴木渉 編集:川浦慧(CINRA.NET編集部)

演劇を始めたときの心境に近い、コロナ以降の演劇の模索

―三浦さんはコロナ以降、ロロでZoomを使った連作短編通話劇シリーズ『窓辺』を継続的に発表しています。それらを見ていても、登場人物は自宅の一室にいることや、オンラインでやりとりするという、事前の「環境」を意識した作劇を感じます。

ロロのZoom演劇『窓辺』シリーズのビジュアル
ロロのZoom演劇『窓辺』シリーズのビジュアル

三浦:本当のことを言えば、オンライン上で作るものは基本的に演劇ではない、って僕は思ってるんですけどね。

Zoomでやろうと思ったのは、今年2月に上演した『四角い2つのさみしい窓』という作品がきっかけの一つなんです。この作品は、舞台上と客席のあいだに「透明な壁」が存在している世界っていう設定で、そこではVR演劇がものすごく発達している話でした。

―VRを使ったオンラインイベントの試みもコロナ以降に多くありますね。現在の状況を少し予見してるようでもあります。

三浦:『四角い2つのさみしい窓』を構想しはじめたときに「演劇の客席のホスピタリティを、どこまでこちら側が作っていけるのか?」ってことを考えていました。演劇の根本にはすごく暴力的なものがあって、たとえば観客が舞台に上がって上演を破壊してしまう可能性だってあるわけです。その可能性が潜在的に許されている。でも、観客はそれをしない、ってことが演劇のすごく大事なところだと僕は思うんですね。

―まさに俳優と観客が一緒に舞台を作るということですね。裏返せば「舞台を壊さないという約束」を相互に結んでいるとも言えます。

三浦:アングラ演劇のテント芝居を観にいったりすると、空間がめちゃくちゃ狭いから、みんなで「もう一人座れるようにしましょう。せーの!(と言って席を詰める)」なんて感じで、ぎゅうぎゅうになって観るんですよ。むしろそういう体験こそが演劇だと思っているので、『四角い2つのさみしい窓』のような透明な壁が生まれて、舞台上にも客席にも干渉できない状態は、もう演劇とは呼べないんじゃないかってことを思って作ったんです。

ところがコロナの状況が広がってコンビニに行ったりすると、本当にレジとお客さんのあいだに透明なシートが垂らされるようになっている。それを見て「もうちょっとこのことを考えたいな」と思ったので、オンライン上の作品づくりをやってみる気になったんです。

三浦直之

神谷:なるほどね。Zoomを使った演劇をかなり早い段階からやってる方は多くいらっしゃいましたけど、三浦さんはそういう意識があったんですね。

三浦:いま、オンラインで演劇やってる人はめちゃくちゃタフだと思いますよ。先日、岡田利規さんが「最初に飛行機を作ろうとしていた人たちは、何度も実験に失敗してる。その状態はいまの、いろんな人がオンライン演劇に挑戦してる状況に似ていて、自分はそれが楽しい」とおっしゃってましたが、そのコメントに僕も共感します。まだまだ「楽しい」とまでは自分は言えないけれど、実験に挑戦している感じはすごくあります。

神谷:僕らは7月に予定していた公演が中止になって、そのかわりにオンラインで何かをやろうとはならなかったんですけど、もうちょっと違うかたちとして、映像媒体に適したかたちで作り直す作業をしてみよう、って感じになってます。

―コロナが模索のきっかけになったというか。

三浦:そう思います。なんというか……演劇をやり始めたときの心境に近いんです。僕はアニメとかマンガとかサブカルチャーが大好きで、演劇を全然観ずに演劇を始めちゃったんですよ。だから初期のロロでは、アニメのシーンを生身で再現することが自分にとっては「演劇をする」ってことで、ずっと実験してたんですね。だから、盛大に滑ったりしてきたんですけど(苦笑)。強いて言えば、その「滑り」の感覚を、オンライン演劇でいままさに経験してるっていう。久々に。

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イベント情報

「Directed by You –ソニーと創る『60秒フィルム』–」

ソニースクエア渋谷プロジェクト内での撮影体験
期間:2020年7月10日(金)~2020年9月末
会場:東京都 渋谷モディ1階 ソニースクエア渋谷プロジェクト

ソニースクエア渋谷プロジェクトでは、まるで家の中のような舞台セットが登場。そこで参加者がショートフィルムの監督として作品を演出。ソニーの最新フラッグシップスマートフォン「Xperia 1 II(エクスペリア ワン マークツー)」を使って撮影します。用意されたシナリオをどんな風に演じさせるかは参加者次第です。ライティングや小道具も選び、カメラの設定やカメラアングルを自由に変えながら撮影を行います。
撮影した映像には、プロのクリエイターがソニーのAI技術を使って制作したオリジナルのBGMが加わるとともに、監督として自分の名前がクレジットに入り、世界で一つのショートフィルムが完成します。完成した作品は、シアターエリアで上映されます。自分のスマートフォンに転送し、持ち帰ることもできます。
7月10日(金)からは、神谷さんの制作したコメディ編「トロフィー」「恩返し」「記念日」の3本からシナリオを選択、8月7日(金)からは、三浦さんの制作した恋愛編3本を含めた6本の中から選んで体験できます。

「Directed by You –ソニーと創る『60秒フィルム』–」オンライン編

期間:2020年6月30日(火)~2020年9月末

「60 seconds -One room-」と題し、設定されたテーマに沿ってそれぞれが自由に60秒のショートフィルムを制作。シナリオ、演出、撮影方法は自由です。BGMを使用の場合は、ソニースクエア渋谷プロジェクト公式サイト内からダウンロードしたものをご利用ください。
作品が完成したら「#ソニーと創る60秒フィルム」と「#ソニースクエア渋谷」のハッシュタグをつけてTwitterもしくはInstagramでぜひ投稿してみてください。
投稿された作品は、ソニースクエア渋谷プロジェクト内シアターで上映。
また、シナリオライター、カメラマン、音楽プロデューサー等それぞれのクリエイターの目線から選ばれた作品は、渋谷モディ壁面の大型街頭ビジョン「ソニービジョン渋谷」で上映される他、プロのクリエイターから直接レビューを受け、ショートフィルムについて話すワークショップ(7月31日、9月4日に実施)に参加することができます。

クリエイター選定作品対象期間
コメディ編:募集終了
恋愛編:8月7日(金)~8月下旬

ワークショップの生配信や関連情報は、ソニースクエア渋谷プロジェクト公式Twitter(@SonySquareSP)で随時発信しています。

アンケート情報

本記事をご覧いただいた読者の皆様に簡単なアンケートを実施しております。以下のフォームよりご回答いただけますと幸いです。

プロフィール

神谷圭介(かみや けいすけ)

コントユニット「テニスコート」のメンバー。俳優/シナリオライター/イラストレーター。テニスコートとしてナンセンスコメディーをベースとしたコント公演を重ねる。テニスコートとしてEテレ「シャキーン」に構成として参加。現在はコーナー出演。書籍、文章執筆のほか、デザイン、映像制作など多岐にわたり活動。主な著書『あたらしいみかんのむきかた』(小学館)。

三浦直之(みうら なおゆき)

ロロ主宰/劇作家/演出家/シナリオライター。1987年生まれ、宮城県出身。2009年、主宰としてロロを立ち上げ、全作品の脚本・演出を担当。古今東西のポップカルチャーを無数に引用しながらつくり出される世界は破天荒ながらもエモーショナルであり、演劇ファンのみならずジャンルを超えて老若男女から支持されている。脚本提供、歌詞提供、ワークショップ講師など、演劇の枠にとらわれず幅広く活動中。

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