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勝井祐二と山本精一が語る 踊るという文化とROVOが瀕する転換点

勝井祐二と山本精一が語る 踊るという文化とROVOが瀕する転換点

ROVO『ROVO』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:池野詩織 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

結成から四半世紀、12作目にして到達した新境地ーー「分離がいい」を通り越して、演奏から性格とか人柄まで見えてくる

―そんななかでROVOの新作がリリースされるわけですが、12枚目にして初のセルフタイトル作になりました。このタイトルはどのタイミングで決めたんですか?

勝井:ベーシックを録ったのが1月なんですけど、そのあとのダビング作業をしてるくらいだったかな。「セルフタイトルでもいいんじゃないか?」って話が出て、すぐに決定ではなかったと思うけど……最初に言ったのは山本さんですよね?

山本:かなあ? まあ、いろいろ話してるなかで、今回セルフタイトルでいいんちゃうかなって。こんな状況だし、「もう一度リセットする」みたいな感じで。

勝井:でも、「コロナだからリセット」ってわけでもないんですよね。

―録った時点で手応えがあって、コロナによる状況の変化がそれを後押しした、みたいな感じでしょうか?

山本:そんな感じかもしれないですね。そういえば、セルフタイトルなかったなって。

―『RAVO』(2010年)はありましたよね。あれからちょうど10年目というのも、区切りを感じます。

勝井:あのアルバムも相当手応えがあって、セルフタイトル的な意味合いもありましたしね。あと、ハルちゃん(迫田悠)が一回卒業したのがあのあとで(関連記事:『クリエイターのヒミツ基地』 Volume15 迫田悠(映像作家))。

山本:で、今回もう一度アートワークをやってもらうから、そういう意味合いもあるね。

勝井:「リセットが完了した」みたいなことなんですかね?

山本:まあ、もっと自然に出てきたというか、あんまり考えてなかった気はするけど。

勝井:僕が思ったのは、今回特に演奏がいいんですよ。それはものすごいテクニカルで、速弾きがどうとかってことじゃなく、邪魔し合ってないというか。ドラムが2台ありますから、通常のバンドに比べて音数は多いんです。でも、それぞれの演奏が絶妙にハマっていると感じることがすごく多かったので、僕としても、これはセルフタイトルでいいんじゃないかと思いました。

ROVO“ARCA”を聴く(Apple Musicで聴く / Spotifyで聴く

山本:年数がいってるバンドなので、余計な力が抜けてるんじゃないですかね? 過不足ない感じになっているかもしれない。粗さが感じさせる面白さもあるけど、今回グチャグチャってなってるところはあんまりなくて。

益子くん(シンセサイザー、ミックス / マスタリングを手がける益子樹)が「オリジナルの音のまんまで、ダイナミズムが最高潮に達するような音作りをコロナの期間にすごく研究した」って、それをしきりに言ってて、ドラムのまとめ方とかは確かにそれをすごく感じましたね。

勝井:この間マスタリングをしに益子くんのスタジオに行って、大きいスピーカーで確認したんですけど、あそこで聴くと「分離がいい」とかってレベルじゃなくて、性格とか人柄まで見えてくるんですよね。

芳垣さん(ドラム&パーカッション担当の芳垣安洋)のバスドラムの踏み方ひとつでも、すごく繊細にこの場面を捉えて、そっとバスドラを踏んでるからこそ太い倍音が出てるんだな、とか。今までは「ちゃんとグルーヴが出ているか」とか「はっきり分離しているか」とか、そういう観点で聴いてたんですけど、それを遥かに通り越して、そこに本人がいるかのごとく聴こえてくる。それは初めての経験でした。

―1曲目の“SINO RHIZOME”と、3曲目の“ARCA”が山本さんの作曲ですね。“SINO RHIZOME”はこれまでも何度か更新されている“SINO”の最新版かと思いますが、リズムが入ってくる前、序盤はポストプロダクションで作られてるわけですか?

勝井:いや、この曲も他の曲と同じように、頭から最後までみんなで演奏してるんです。

ROVO“SINO RHIZOME”を聴く(Apple Musicはこちら

山本:“ARCA”は3~4曲分のモチーフを混ぜていて。

勝井:この曲、どんどん展開していくから交響曲みたいですよね。

山本:メドレーっていうかね(笑)。でも、今回のアルバムは勝井くんが作った“KAMARA”と“AXETO”が一番特徴的だと思ってて、今までなかったタイプの曲だし、僕のなかでこの2曲は近いっていうか。

勝井:近いですね。兄弟曲みたいな。この2曲が似てるのは、同じ日に作曲したからなのも大きいんですけど、とはいえ僕のなかではそれぞれのイメージがあって。“AXETO”は1980年前後くらいのポストパンク / ファンクみたいな、それにプラスして、僕ここ何年もタイを行き来してて、タイの人たちと交流があるので、タイの歌謡曲みたいなメロディーがちょっと入っているなと感じます。歌メロみたいなイメージで、それは“KAMARA”もそうかも。

ROVO“KAMARA”を聴く(Apple Musicはこちら

山本:「なんでいきなりこういうのが出てきたんだ?」って思いました。だから、今回この2曲が新機軸というか、異質な感じで、俺はすごく好きですね。

勝井:今までは、思いついたメロディーとかフレーズを譜面にして、みんなに見てもらってたんですけど、今回作曲のやり方を変えたんです。2018年に『沖縄スパイ戦史』(大矢英代、三上智恵による共同監督作)っていう映画のサントラを手がけて、それはスタジオでエレクトリックバイオリンの即興演奏のライブをやるみたいに、イメージが湧いた瞬間に録って、それをベーシックにリズムやメロディーを加えて作ったんですけど、今回ROVOでも同じことをやったんです。

家で楽器とエフェクターを広げて、ルーパーでループさせながら、メロディーやアクセントを足していって、小っちゃいスピーカーで鳴らして、それをiPhoneで録って、譜面にすることなく、みんなに聴いてもらうっていう。即興でやるとアイデアがたくさん出てきて、曲がいっぱい作れるんですよね。なので、今回採用されなかった曲もいっぱいあって、なかにはみんなに大爆笑された曲もありました(笑)。

ROVO“AXETO”を聴く(Apple Musicはこちら

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リリース情報

ROVO『ROVO』
ROVO
『ROVO』(CD)

2020年9月9日(水)発売
価格:2,970円(税込)
WGMPCI-071

1. SINO RHIZOME
2. KAMARA
3. ARCA
4. AXETO
5. NOVOS
6. SAI

イベント情報

『ROVOニューアルバム『ROVO』発売記念LIVE』

2020年10月23日(金)
会場:愛知県 名古屋TOKUZO
開場 19:00 / 開演 19:30(2部制:換気休憩あり)
自由席:限定50席
前売:4,000円(ドリンク別)

2020年10月25日(日)
会場:東京都 渋谷TSUTAYA O-EAST
開場 18:00 / 開演18:30(2部制:換気休憩あり)
指定席:限定300席
前売:4,300円(ドリンク別) / 当日:5,000円(ドリンク別)

プロフィール

ROVO
ROVO(ろぼ)

「何か宇宙っぽい、でっかい音楽をやろう」と、勝井祐二と山本精一を中心に結成。バンドサウンドによるダンスミュージックシーンの先駆者として、シーンを牽引してきた。驚異のツインドラムから叩き出される強靱なグルーヴを核に、6人の鬼神が創り出す音宇宙。音と光、時間と空間が溶け合った異次元時空のなか、どこまでも昇りつめていく非日常ライブは、ROVOでしか体験できない。国内外で幅広い音楽ファンから絶大な信頼と熱狂的な人気を集める、唯一無二のダンスミュージックバンド。2020年9月9日、12枚作目となる新作『ROVO』をリリースした。

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