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勝井祐二と山本精一が語る 踊るという文化とROVOが瀕する転換点

勝井祐二と山本精一が語る 踊るという文化とROVOが瀕する転換点

ROVO『ROVO』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:池野詩織 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

楽曲を磨き上げる場として、観客が音楽に参加するための踊る場としての「ライブ」という文化が新たな局面を迎えていることは、ROVOにとってどんな意味を持つのか?

―これから先のことはまだわからないですけど、リモートで曲を作るバンドも増えてきたなかで、新たな作曲法を見つけたのは今後にとっても大きいかもしれないですね。

勝井:ただ、僕も含めてROVOのメンバーは、リモートはあんまり得意じゃない人が多いんじゃないかな。僕がデモ録ったのもiPhoneだったし(笑)。

山本:スタジオで叩き台を作って、ライブで仕上げていくっていうのが今までのパターンだったから、ライブができなくなると、そこをどうするのかは考えなきゃいけなくて。ROVOの曲ってライブでお客さんの反応を見ながらどんどん変わっていって、最終的な完成に辿り着いてたから、それができなくなっちゃうのが一番ヤバいかなって思いますね。

―確かに、「ライブバンド」としてのROVOにとって、そこは大きな問題ですね。『LIVE FOREST』でいち早く有観客ライブをやったリアリティはそこにあると思いますし、今後もまったくライブができない状況ではないにしろ、少なくともこれまでとは変わっていくでしょうからね。

勝井:僕はもともとお客さんとの関係性や距離感に疑問を持ちながら、20代半ばまで普通のフォーマットのロックバンドをやってきて、たまたま訪れたイギリスのレイヴにカルチャーショックを受けて、それでROVOというバンドをはじめたんです。

僕らがダンスミュージックを演奏して、お客さんも「踊る」っていう行為を通じて音楽に参加するのが一番アクティブというか、一番能動的だと思ってやってきたけど、今はその文化自体が成立するかどうか、新たな局面を迎えている。

勝井:みんなが能動的に踊る、参加するっていう場所を20年以上作ってきたけど、これからはそれをそのままやってもダメだと思い知って、自分にとってのこのバンドのあり方を改めて考えると……山本さんは家で一人で音楽作るじゃないですか? 僕はステイホーム期間に一人で音楽を作る気分には全然ならなくて。

山本:俺はずっと宅録ですから、ペース自体は変わらない。

勝井:僕は音楽を作ることは全然してなくて、3か月ぶりくらいに人と一緒に演奏したときにはっきりわかったのは、僕は人と演奏するのが好きなんです。もっと言うと、自分たちのバンドで演奏するのが一番好き。一人じゃなにもしないなって強く思いました。

「ありとあらゆる可能性が内包された状態が今だっていう」(山本)

―アルバムのラストナンバー“SAI”も非常に印象的な仕上がりでした。

勝井:“SAI”は今回最後にできたんですけど、コロナで家に引きこもってミックス前のアルバムをずっと聴いてるなかで意味合いが違って聴こえるようになった曲なんですよね。特に、“NOVOS”から“SAI”の流れかな。もともと聴こえてなかったような意味合いが感じられるようになってきたんです。

ROVO“NOVOS”を聴く(Apple Musicはこちら

―“SAI”に関しては、『ROVO』というアルバムのフィナーレでありつつ、新たな時代へ向けたファンファーレのようにも聴こえました。

勝井:次へ向けた、これからに向けた曲のように聴こえてきましたね。『LIVE FOREST』の本編が終わって、「今はそうじゃない」っていう話をしたあとに、アンコールでこの曲を演奏したんです。もともと予定はしていたんですけど、この曲でよかったなとすごく感じて、あの状況にフィットしてたと思います。あと、この曲は山本さんのギタープレイが最高で、これテイク1なんですけど、プレイバックで聴いたときに、「このギターは絶対消さないでください」ってお願いしましたもんね。

山本:俺は結構適当に弾いたんですけどね(笑)。だから、もうちょっとやりようあるかなって思ってましたけど、でも結局テイク1が一番いいんです。それはホントにそう。

ROVO“SAI”を聴く(Apple Musicはこちら

―山本さんにはアートワークのこともお伺いしたくて、前作『Ⅺ』で地球がモチーフに使われていて、今回もその延長にあるように感じたのですが、なにか意図はありましたか?

山本:前作もそうだったっていうのは気がつきませんでした。あんまり考えてなくて、自然に出てきたんですけど……地球全体の危機なんじゃないですか?(笑)

―はい、そんなふうにも受け取っちゃいます(笑)。

山本:今回、自分のなかでは卵みたいなイメージなんですよ。ヨーロッパの絵とかって、よく卵が釣り下がってるものがあって。

勝井:宗教画ですか?

山本:そうそう。あれがすごく奇妙で、根源的ななにかがあるんじゃないかなって思っているんです。

ROVO『ROVO』ジャケット
ROVO『ROVO』ジャケット(Amazonで見る

勝井:古代中国で、神様に願いを伝えるときの入れもののことを意味する、「SAI」っていう文字があるんです。ちょっと卵と近いものがありますよね。神様に願いを入れた入れものを差し出すときに音がして、それが「音」っていう漢字の基にもなってるらしくて、やっぱり音っていうものにはそういう祈りとか願いみたいなものが付随してるんだなと思いましたね。

―言ってみれば、“SAI”をはじめ、このアルバムには、これから先の世界に向けた祈りや願いが込められていると。

勝井:今振り返ると、そうなっているという事ですね。

山本:このジャケに関しては、いろんな可能性が内包された状態ってことですね。殻が割れて、どういうものが出てくるかはまだわからない。だから、希望だけではないかもしれなくて、もしかしたら、ホントにヤバいものが出てくるかもしれない。ありとあらゆる可能性が内包された状態が今だっていう、そういうことじゃないかなと思っていますね。

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リリース情報

ROVO『ROVO』
ROVO
『ROVO』(CD)

2020年9月9日(水)発売
価格:2,970円(税込)
WGMPCI-071

1. SINO RHIZOME
2. KAMARA
3. ARCA
4. AXETO
5. NOVOS
6. SAI

イベント情報

『ROVOニューアルバム『ROVO』発売記念LIVE』

2020年10月23日(金)
会場:愛知県 名古屋TOKUZO
開場 19:00 / 開演 19:30(2部制:換気休憩あり)
自由席:限定50席
前売:4,000円(ドリンク別)

2020年10月25日(日)
会場:東京都 渋谷TSUTAYA O-EAST
開場 18:00 / 開演18:30(2部制:換気休憩あり)
指定席:限定300席
前売:4,300円(ドリンク別) / 当日:5,000円(ドリンク別)

プロフィール

ROVO
ROVO(ろぼ)

「何か宇宙っぽい、でっかい音楽をやろう」と、勝井祐二と山本精一を中心に結成。バンドサウンドによるダンスミュージックシーンの先駆者として、シーンを牽引してきた。驚異のツインドラムから叩き出される強靱なグルーヴを核に、6人の鬼神が創り出す音宇宙。音と光、時間と空間が溶け合った異次元時空のなか、どこまでも昇りつめていく非日常ライブは、ROVOでしか体験できない。国内外で幅広い音楽ファンから絶大な信頼と熱狂的な人気を集める、唯一無二のダンスミュージックバンド。2020年9月9日、12枚作目となる新作『ROVO』をリリースした。

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