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リ・ファンデが叫ぶ、心の凹み はぐれ者が自分の色を愛せるように

リ・ファンデが叫ぶ、心の凹み はぐれ者が自分の色を愛せるように

リ・ファンデ『HIRAMEKI』
インタビュー・テキスト
ドリーミー刑事
編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

レコーディングは、坂本龍一や星野源も御用達の名門スタジオにて。ゲストを招き、2日間の胸が高鳴る旅行のような時間を閉じ込めた

―今回収録された8曲はそれぞれ聴きごたえのある楽曲ですが、1曲ずつ積み上げていった総和がアルバムになったのか、それともアルバムのイメージを8曲に分解したのか、どちらのほうが近いですか?

:1曲ずつ積み上げていったらこうなった、というのが答えですね。2017年に前作を出してから、ゲストを招いたライブを何本もやってるんですけど、それぞれのライブに合わせて新曲を書いていたんですよね。

たとえばSCOOBIE DOと一緒にライブやるときにはダンスチューンがほしいなと思って“Believer”を書いたり、学生時代から憧れていたシアターブルックとやるならと“おかしなふたり”を作ったり……共演者の方と一緒に作りたい空間や雰囲気をイメージしながら、3年かけて楽曲を形にしてきました。なので自分の内面だけを発信しているというよりも、そのライブで過ごす時間や空間のことを考えた曲になっていると思います。

リ・ファンデ“Believer”を聴く(Apple Musicはこちら

―去年リリースされた7インチシングル“熱風の急襲”と“イントネーション”はどちらも入っていませんね。

:もともと、その2曲をアルバムの核にした10曲入りのアルバムにしようとしていたくらい思い入れが深い曲だったんです。だけど、録音したスタジオが違うせいか、どこか馴染まないところがあって、散々悩んだんですけど思い切って外しました。

―やっぱり音質や録音、スタジオの空気感といった要素がこのアルバムにとっては大切だったということですか?

:今回は1970年代からあるONKIO HAUSというスタジオで録音したんです。松任谷由実さんとか坂本龍一さん、最近では星野源さんも録音しているような名門スタジオ。そしてミックスはnever young beachやペトロールズもやっている池田洋さんにお願いしています。

コロナは抜きにしても、とにかくスタジオでガっと一発録りしまくったその2日間が特別なもので。バンドのメンバーに加えて、ゲストで参加してくれた奇妙さん、晴子ちゃん、SaToAが来たり帰ったりするその場の空気も含めて、でっかい旅行に行ったような記憶の塊になっているんです。

リ・ファンデ『HIRAMEKI』レコーディングの様子 / 撮影:Daisuke Murakami
リ・ファンデ『HIRAMEKI』レコーディングの様子 / 撮影:Daisuke Murakami
リ・ファンデ『HIRAMEKI』レコーディングの様子 / 撮影:Daisuke Murakami

―リ・ファンデというアーティストは、レーベルもないし事務所もないし、バンドですらない、真のインディペンデントというか、本当のひとりぼっちじゃないですか。ライブの出演オファーするのもレコーディングのスケジューリングも全部自分でやらなきゃいけないし。にもかかわらず、これだけの才能が集まって、演奏も録音も質の高いアルバムを作ったのは本当に驚きなんですよね。音質も含めて「高いクオリティーの作品を作ってやるんだ!」という野心のようなものはありましたか?

:クオリティーということはあまり意識しませんでしたね。それよりも、ちゃんと自分のパーソナリティとか、好きなものを好きと感じている気持ちとか、レコーディングのウキウキ感とか、そういうものをしっかりと出すことを大事にしました。

ここ数年、台北に毎年行ってるんですけど、街の雰囲気がすごく開放的で優しいんです。“chap! chap!”という曲はその印象が強く反映された曲ですね。SUGARCATという現地のバンドがすごく好きで、彼らも含めて台湾の若い子の音楽は、純粋で、純朴で、それでいてセンスもいい。仲間と自然発生的に好きな音を鳴らしている感じが素敵なんですよ。台湾もそうだし韓国のソウルとかもそうですけど、街から伝わってくるアジア的なダイナミック感と仲間を大事にする気持ちがとてもいいなと。

リ・ファンデ“chap! chap!”を聴く(Apple Musicはこちら

:普段、日本で音楽を作っていると、「この水準まで達してないといけない」とか「世の中的にこうだからこうしなきゃ」みたいな気持ちになるんですけど、そこから離れてやってみようという気持ちになれたんですよね。

―表面的な出来映えや品質みたいなことに囚われすぎず、音楽に対する根本的なスタンスであったり、人と人の関係性に目を向けて作品を作っていったということですね。

:そういう意識がありつつ、僕らが本当に好きな音楽を演奏している空気を大事にしたんです。そういう空気が記録された作品を作りたいと思っていたんですよね。

―そういう気持ちがバンドの演奏の一体感や有機的な広がりに現れている気がします。

:そうですね。お互いのよさが出るようないい関係になっていると思います。僕はお互いが眉間にしわを寄せて何かを作るということがいいことだって全然思わないんです。

たとえば誰かと一緒にカフェに行ったときだって、お互いのことを話したり聞いたりするほうがいい時間になるし、素敵じゃないですか。モノを作るときも一緒で、いきいきとした演奏はそれぞれが個性や得意なプレイを出すことだし、それぞれのプレイにみんなが呼応して音楽が作られていくのが一番いいと思う。僕は前作のリリースから3年くらいかけて曲を書いてきたわけですけど、それは僕がみんなで食事に行くお店だけを決めるというくらいの感覚なんです。

リ・ファンデ“すべ”を聴く(Apple Musicはこちら

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リリース情報

リ・ファンデ『HIRAMEKI』
リ・ファンデ
『HIRAMEKI』(CD)

2020年10月14日(水)発売
価格:2,200円(税込)
LEEH-002

1. シャイニング
2. Whisper(feat.奇妙礼太郎)
3. おかしなふたり(feat.Haruko Madachi)
4. すべ
5. chap! chap!
6. Believer
7. ずっと君のもの
8. Black

イベント情報

『Tears Rock Show Ueno編』

2020年10月18日(日)
会場:東京都 YUKUIDO工房
出演:リ・ファンデ / 曽我部恵一

『Tears Rock Show』

2020年11月21日(土)
会場:兵庫県 神戸 旧グッゲンハイム邸
出演:リ・ファンデ / 奇妙礼太郎

2020年11月22日(日)
会場:愛知県 名古屋 金山ブラジルコーヒー
出演:リ・ファンデ / 奇妙礼太郎

2020年11月28日(土)
会場:東京都 青山月見ル君想フ
出演:リ・ファンデ(band set)

プロフィール

リ・ファンデ
リ・ファンデ

2015年11月3日にROSE RECORDSからLee&Small Mountainsとして『Teleport City』を7inch+CDフォーマットにてリリース。2017年1月20日、デビューフルアルバム『カーテン・ナイツ』を発売。同年2月26日、下北沢THREEにて、曽我部恵一を招いて開催されたレコ発はソールドアウト。10月にはTSUTAYA O-nestで初のワンマンライブを行った。2018年は自主企画イベント『Love can move mountain!』を精力的に展開。SaToA、いーはとーゔ、The Wisely Brothers、SCOOBIE DO、奇妙礼太郎、シアターブルックなどを招き、下北沢を中心に活動。2019年夏からはリ・ファンデ名義で活動をスタート。2020年10月ソロとしてファーストアルバム『HIRAMEKI』をリリース。

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