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秋山黄色×佐藤寛太対談 互いに認め合う「異常さ」、交わる遊び心

秋山黄色×佐藤寛太対談 互いに認め合う「異常さ」、交わる遊び心

秋山黄色『サーチライト』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:関信行 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)、飯嶋藍子

「『楽しむ』とか『笑いたい』っていうポジティブな部分から生まれたものだけでもの作りをしたい」(秋山)

左から:秋山黄色、佐藤寛太

―“サーチライト”はドラマ『先生を消す方程式。』の主題歌ですが、どのようにできあがっていった曲なのでしょうか?

秋山:曲の欠片は去年の段階でできていたんです。僕はどっちかっていうと作るのが速いほうで、1曲作るのに30分っていう場合もあるんですけど、その欠片は珍しくすぐにかたちにはできなくて、僕の感覚としてはボツだったんですね。

で、今回ドラマのお話をいただいたときも、「これでもいいけど、頭の中にはこれよりよくできると思っちゃってる余白がある」みたいな感じでわりと行き詰まってて。そんなときに偶然この曲を引っ張り出せたんです。この曲が完成するために必要だったのは、僕自身のエネルギーじゃなくて、他のパーツだったんだって、そのとき思ったんですよね。

秋山黄色“サーチライト”を聴く(Apple Musicはこちら

―「ドラマ」という自分以外のパーツが必要だったと。

秋山:僕のもの作りはひとりが鉄則だったんです。でも自分が徐々に成長して、餅は餅屋というか、僕の専門じゃない分野は人に任せるようになっていった結果、自分の中の理想がこれまでよりも高くなって。

そうすると、自分の力だけだとそこには届かないっていう初めての経験をして、曲が完成しなかったのは自分がマックスを出せてないからじゃなかったということに気付いたんです。この曲の持つ意味を対外的に与えられて、ようやくピースがハマった感じがしたんですよね。

―『先生を消す方程式。』というドラマのどんな部分が楽曲にハマったんですか?

秋山:このドラマって、本当に強烈な内容なんです。脚本を読んだときに、「なんだこのやりたい放題は?」と思って。でも、そのフィーリングが自分とすごく合ってたんですよね。

寛太:僕は脚本の鈴木おさむさんに良くしていただいていて、ご本人を知ってるのもあって、このドラマもやりたい放題やってるんじゃないかと感じてました(笑)。

秋山:僕が絶対必要だと思ってるのが遊び心なんです。趣味で作ってる音楽がたまたまプロフェッショナルなお仕事とリンクしたからお金が発生してるって考えで。おそらくそのうち均衡が取れなくなると思うから、かなり泡沫ではあるんですけど、今はそれを満喫してる。

自分が作るものはある程度やりたい放題のぶつけ合いでありたいと思うけど、他のアーティストと話していちばん感じるのが、そこにかける熱の違いなんですよね。僕は本当に全部を遊びでやりたいんですよ。

―それは決して「適当」みたいな、軽い意味ではないということですよね。

秋山:「楽しむ」とか「笑いたい」っていうポジティブな部分から生まれたものだけでもの作りをしたいんです。今回はドラマもすごくやりたい放題だったから(笑)、僕がプロとしてやるお仕事に、初めて自分がもともと持ってる感覚を持ってこれた。

で、「ひとりでやる」っていう鉄則がひとつ壊れたことで、「だったらいくところまでいきたい」と思った。そんなときに、僕の中での行く先が寛太さんだったんです。寛太さんは「楽しむ」とか「笑いたい」の集合体みたいな人ですしね。

左から:秋山黄色、佐藤寛太

「これだけ真っ直ぐな歌詞って、自分を大きく見せようとしてる人には書けないと思う」(寛太)

―寛太さんは“サーチライト”という曲をどう感じて、どう映像に落とし込もうと考えたのでしょうか?

寛太:秋山くんのスタンス的に「楽しんでやっていい」っていうのは伝わってきていたんですけど、今回の曲は今までにないくらいどストレートだったので、どう表現するかは結構考えました。

ただ、秋山くんには不思議なオーラがあるというか、この人が救う人っていっぱいいるんじゃないかと思ったんです。僕の動画では救えない人たちでも、この楽曲を僕のフィルターを通して届けることができれば、何か与えることができるんじゃないかって、そういうパワーを感じる曲だと思いました。

―光と影の使い方が非常に印象的ですが、こだわったポイントを教えてください。

寛太:受け取る人次第だとは思うんですけど、僕の中では意味のある映像になっていて。ネットでずっと活動してきたうえで、SNSによって、普通の人がすごく大きく見えることもあれば、悪く見えたり、暴走し始めたりすることも感じてきて。それを影で表せないかなと。

寛太:秋山くん自身の影がものすごく大きくなっていて、実際秋山くんのことをそう見てる人もいると思うけど、これだけ真っ直ぐな歌詞って、自分を大きく見せようとしてる人には書けないと思うんです。

―確かに。

寛太:なので、この曲は等身大の部分を大事にしたくて。影が離れて、対峙するシーンのあと、最後にバンドメンバーがいて、サーチライトのような光がバーッと降り注ぐ。その中に秋山くんが何も持たずに乗り込んでくる感じ、その姿を見たときは痺れましたね。

秋山:打ち合わせでこの案をいただいて、何が来ても驚かない心の準備はしてたんですけど……ニヤッとしてしまったというか。この曲は青春ロックというか、ポップパンクみたいな曲で、今、こういうバンドめちゃめちゃ多いし、ミュージックビデオの前例もいろいろある中、モノクロの案が出てきて……「なるほどね」ってなりました(笑)。

左から:秋山黄色、佐藤寛太
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リリース情報

秋山黄色『サーチライト』
秋山黄色
『サーチライト』

2020年11月13日(金)配信

プロフィール

秋山黄色(あきやま きいろ)

1996年3月11日生まれ。栃木県宇都宮市出身。中学生の頃、TVアニメ『けいおん!』に影響されベースを弾き始め、高校1年生の時に初のオリジナル曲を制作。その後、YouTubeやSoundCloudなど、ネット上で楽曲を発表するところから音楽キャリアをスタート。2017年12月より宇都宮と東京を中心にライブ活動を開始。2018年6月に自主レーベルBUG TYPE RECORDSより第1作目となる“やさぐれカイドー”を配信リリースし、Spotifyバイラルチャート(日本)で2位にランクインし、「出れんの!?サマソニ!?」枠で「SUMMER SONIC 2018」へも出演。2019年2月には、Spotify「Early Noise 2019」に選出された。2019年1月には1stミニアルバム『Hello my shoes』を、8月には『夕暮れに映して』を配信リリース。「SPACE SHOWER RETSUDEN NEW FORCE 2019」や「JFL presents FOR THE NEXT 2019 supported by 日本セーフティ J-WAVE推薦“NEXT BREAK ARTIST”」にも選出された。ロックフェスに立て続けに出演し、9月にはTSUTAYA O-Crestにて初めてのワンマンライブを開催。2020年1月放送開始のTVドラマ『10の秘密』の主題歌である初めての書き下ろし曲“モノローグ”が話題に。新曲“サーチライト”がテレビ朝日系土曜ナイトドラマ『先生を消す方程式。』の主題歌となっている。

佐藤寛太(さとう かんた)

動画クリエイター。カンタ名義で、大学でお笑いサークルで出会ったトミーとともに「水溜りボンド」として活動。2015年からYouTubeへの動画投稿を開始し、実験、検証、ドッキリに加え、ヤバいTシャツ屋さんや北村匠海とのコラボ動画など、幅広いジャンルの動画を毎日投稿している。2020年からは初の冠番組『水溜りボンドの○○いくってよ』(テレビ神奈川)、ラジオ番組『水溜りボンドのオールナイトニッポン0』に出演。本名の佐藤寛太名義では、室井雅也“ヒロインは君で”、岸洋佑“ごめんね”を始め多数のミュージックビデオを手がけるなど、映像監督としても活動している。

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