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田中理来と高岩遼、ブラザーな二人。厳しい世を生き抜いていく

田中理来と高岩遼、ブラザーな二人。厳しい世を生き抜いていく

『渋谷シャドウ』
インタビュー・テキスト
三宅正一
執筆協力:笹谷淳介 撮影:YURIE PEPE 編集:矢島由佳子

田中理来の中身はB-BOY。本物の兄弟かのように意気投合した主演の2人

左から:谷健二、田中理来、高岩遼
左から:谷健二、田中理来、高岩遼

―今回、キャスティングに関して監督はどのくらい意見を出したんですか?

:基本的にはほぼ100%ですね。今回のキャスティングは『MOOSIC LAB』が音楽をテーマにしているということもあったので、たまたま仲のよかったレーベルの方に相談をしたら、高岩遼っていう奴がいますよと紹介されたんです。脚本家の子は高岩くんのことを知っていて、僕も一度本人に会ってみたいってことで、大阪のフェスにお邪魔させてもらったんだよね?

高岩:そうですね。韻シストさんが主催していた『OSAKA GOOD VIBES 2019』(2019年4月29日開催)に監督が来てくれたんですよ。

:そうそう! 最初は、SANABAGUN.(以下、サナバ)を主題歌にどうですかって話だったんですけど、それだとマンマすぎるなって思ったんです。僕は高岩くんに興味があったので、役者としてどうだろう? という風に話を進めていくと、より「面白いな」って思ったんですよね。

―実際に会って、ピンとくるものがあったんですね。

:なんか圧がすごいというか(笑)。カッコいいですよね、やっぱり。ライブをしてるときがめちゃくちゃカッコいいんですよ。それって、役者さんが演技をしてるときにカッコよく見えるのと同じだと思う。それに勘所もいいなって。

高岩遼
SANABAGUN.“Stay Strong”ミュージックビデオ

―一方で、田中さんはどういった形で?

:田中くんは、以前に一緒にドラマを撮ったことがあったんです。『メンドル学園』(TOKYO MX)というメンズアイドルがたくさん出演するドラマだよね。

田中:ありましたね。僕がまだXOX(キスハグキス)っていうアイドルグループでやってるときで。僕らが先生役で他のアイドルたちにいろんなことを教えていくっていう(笑)。

高岩:え、何を教えるの?

:チェキの撮り方とか(笑)。チェキはこうやって撮るんだよ! って。

田中:(笑)。そのときの撮影で監督にはお会いしましたね。

:あんまり若い俳優の知り合いがいないんですけど、そういえばXOXがいたなと思って連絡したんです。映画だとダサい感じに映っていますけど、現場で会ったときのXOXって、いわゆるイケてるグループなんですよね。

田中:初めて監督に会ったときは僕、髪の毛の色が白でしたもんね(笑)。

:そうだったね。だから少し不安ではあったんですよ。ずっと東京住んでますみたいな感じの子がこの役に合うのかなって。でも顔合わせに来たとき、普通の大学生だったので(笑)。

田中理来(たなか りく)<br>1997年5月23日生まれ。2014年、ソニー・ミュージック・WEGO主催の全国オーディション『ボーイズ・グランプリ2014』でグランプリ受賞。2015年12月にXOXのメンバーとしてメジャーデビューするも、2020年3月にメンバー全員が卒業。ドラマ『許してもらえない』、舞台『伏魔殿』等で主演を務め、ラッパーとしてシンガーFUKIを客演に迎えて配信限定リリースした『143 feat. FUKI』はSpotify JPバイラルチャートTOP50内に選出。様々な分野で活動の幅を広げている。
田中理来(たなか りく)
1997年5月23日生まれ。2014年、ソニー・ミュージック・WEGO主催の全国オーディション『ボーイズ・グランプリ2014』でグランプリ受賞。2015年12月にXOXのメンバーとしてメジャーデビューするも、2020年3月にメンバー全員が卒業。ドラマ『許してもらえない』、舞台『伏魔殿』等で主演を務め、ラッパーとしてシンガーFUKIを客演に迎えて配信限定リリースした『143 feat. FUKI』はSpotify JPバイラルチャートTOP50内に選出。様々な分野で活動の幅を広げている。

―2人はこの映画のオファーが来たとき、どう受け止めたんですか? 高岩さんは数年前にRyohuさんと一緒に自主制作した『ストリート兄弟』という短編のモキュメンタリー的なムービーも制作したじゃないですか。

高岩:ありましたねぇ(笑)。

ショートフィルム『ストリート兄弟』

高岩:そういった過去の思い出もありつつ、今回は正式に俳優のオファーが来たぞと。現場もミュージシャンのそれとは違って、周りは俳優さんだらけ、それがやばいなっていうのが最初の印象でした。今までは、どんな現場でも高岩遼としてやれてたんですけど、今回は「バイトの初日感」がすごくて、それがすごく楽しかった。目を輝かせながら読み合わせとかをしてましたね。

―脚本の内容はどうでした?

高岩:役名がリョウで、渋谷の不良、兄弟を探しに来た奴の兄貴役か、なるほどって。若干俺と被るところがあるなと思って、これはかなり難しいんじゃないかって思いましたね。サナバの“M・S”みたいに狂った警官の役だったら入りやすいんだけど、高岩遼が高岩遼じゃないリョウを演じるっていう、似てるけど俺じゃない人間を演じるのは、すごくチャレンジしがいがあるなって。

SANABAGUN.“M・S”ミュージックビデオ

―でも結果的にSANABAGUN.として演奏するシーンもあるし、実質「高岩遼」として出演してるわけじゃないですか。普段言っているようなセリフもあったしね。『ストリート兄弟』もそうだったけど、俳優としても高岩遼は高岩遼を演じ続ける説が浮上しそうだなと(笑)。

高岩:確かに。サナバの高岩遼だなって感じですよね。

:セリフも一応、当て書きといえば当て書きですしね。

高岩:そうなんですよ。監督が最初にヒアリングをしてくれて。いつもの俺が落とし込まれているセリフではあったんですよね。

左から:高岩遼、谷健二、田中理来

―理来さんはどうでしたか、今回のオファーを受けて。

田中:もともと舞台やドラマには出させてもらっていましたけど、主演で映画を1本撮らせてもらえると聞いたときはめちゃくちゃ嬉しかったです。それまではずっと音楽で食っていくんだろうなと思っていたんですけど、この話をいただいて、何か新しいことが見えるかもと思って楽しみにしてました。

本を読んでみると、名前が同じリクで田舎の大学生ということもあって。撮影当時は僕も大学生だったので、これはあてがえてもらっているのかなと思いました。僕は東京に来て5年くらい経つんですけど、1年目の初々しさを思い出しながら演じたいなって思ってましたね。

―相方が高岩遼だと知って、どうでしたか?

田中:僕、もともと遼さんのことは知っていたんですよ! 中高とバンドをしていて、サナバのことも知っていて。かれこれ8年前くらいから見てたんですよね。

高岩:路上ライブの映像を見てくれていたみたいで。

田中:だからお話をいただいたとき、SANABAGUN.の遼さんと一緒に演れると聞いてすごく嬉しかったんです。

高岩:理来ってアイドルグループ出身だけど、B-BOYなんですよ。BUDDHA BRANDが好きで、今もBATICAでソロでイベントに出てラップやってるんです。

―それは昔からやっていたんですか?

田中:はい、事務所には黙聴でやっていましたね……。今はグループも卒業したのでソロで音楽をやってる感じです。今日はこんなキチッとした格好をしてますけど、普段はキャップを被って、デニムにエアフォースっていうのが好きなんです。

高岩:俺のことを知ってくれてるのも嬉しかったし、しかも出身も東北で一緒なんですよね。

バトシン、田中理来︎“143 feat. FUKI”を聴く(Apple Musicはこちら

上から:谷健二、田中理来、高岩遼

―監督は現場でそんな2人の演技の掛け合いを見てどうでしたか?

:高岩くんは演技の経験が全くなかったから少し不安な部分もあったんですけど、撮影の短い期間、実質4日か5日間で、どんどん上手になっていくんですよね。本読みの段階では上手くなかったけど、現場に来てすごく上達した感じ。どんどん顔つきが変わってくるんですよ。吸収力は早かったなって思いますね。

―監督にこう言われていますけど。

高岩:いや、必死だったんで、感覚はないですけどね。ただ、俺は滑りたくて、恥ずかしくなりたかったんですよ。

―それはどうして?

高岩:楽しかったからかな。俺は普段ミュージシャンとして、音楽という中のコード進行やリズム、音程がコミュニケーションのツールじゃないですか。でも今回はそれがない。言葉だけの表現ってなかなか経験しないことだし、しっかりした人たちとやりながら、ずっと滑り倒していくくらいのイメージでやってました。確かに観てると笑けてくるんですよ。うわ、滑ってるな、ダッセーみたいな(笑)。でもそれも赤裸々で面白いんですよね。

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作品情報

『渋谷シャドウ』

2020年11月28日(土)から渋谷ユーロスぺ―スで公開

監督:谷健二
出演:
田中理来
高岩遼
皆川暢二
永山竜弥
坂ノ上茜
田中シェン
高崎二郎
中野マサアキ
岩間俊樹
関口アナン
橘美緒
両角周
澤田拓郎
堀ノ内翼
三浦健人
馬場良馬

プロフィール

谷健二(たに けんじ)

広告代理店を長年勤めた後、2013年『リュウセイ』で長編デビュー。新宿バルト9をはじめ全国で上映、高崎映画祭などにも招待される。2本目となる『U-31』は、沖縄国際映画祭でワールドプレミア上映され、2016年8月に全国で順次公開。最新作は2018年公開の『一人の息子』、高崎映画祭で上映されたのち、渋谷ユーロスペースで異例の1か月間のレイトショー上映。映画製作以外の代表作は、ドラマ(TOKYO MX)『メンドル学園①②』、TVCM「アサヒ緑健」、舞台『VOTE』、PV『ベリカ2号機(欅坂46 渡辺梨加 個人PV)』、書籍『cinefil BOOK(編集長)』などがある。

田中理来(たなか りく)

1997年5月23日生まれ。2014年、ソニー・ミュージック・WEGO主催の全国オーディション『ボーイズ・グランプリ2014』でグランプリ受賞。NHK『天才てれびくんMAX』てれび戦士、NHK Eテレ『オトナヘノベル』、AbemaTV『私の年下王子さま』等に出演。ドラマ『許してもらえない』主演、舞台『伏魔殿』主演、映画『渋谷シャドウ』主演。ラッパーとしてシンガーFUKIを客演に迎えて配信限定リリースした『143 feat. FUKI』がSpotify JPバイナルチャートTOP50内に選出。様々な分野で活動の幅を広げている。

高岩遼(たかいわ りょう)

肩書き不明。1990年8月27日生まれ、岩手県宮古市出身。平成生まれのヒップホップ・チームSANABAGUN.、ニュー・サムライ・ロックンロールバンドTHE THROTTLEのフロントマンとして活躍。2つのバンドと並行して、13人の表現者集団SWINGERZの座長としても活動。2013年から2016年12月までの約3年の間にSANABAGUN.、THE THROTTLE、SWINGERZのプロジェクトで行った路上ライブの回数は4000回を超えた。2018年10月17日、総勢20名以上のミュージシャンを従えた待望のソロデビューアルバム『10』がユニバーサルミュージックよりリリース。このアルバムにて『NISSAN PRESENTS JAZZ JAPAN AWARD 2018』ニュー・スター部門受賞。2020年8月、自らの30年を綴った自叙伝『30』を発売。一筋縄ではいかない、アグレシッブな活動を常に続けている。株式会社オフィス高岩代表。

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