特集 PR

物作りに熱心なチョコプラ長田庄平が見るルドン、ロートレック

物作りに熱心なチョコプラ長田庄平が見るルドン、ロートレック

インタビュー・テキスト
飯嶋藍子
撮影:前田立 編集:久野剛士(CINRA.NET編集部)

三菱一号館美術館の開館10周年を記念して、三菱一号館の竣工年である1894年にフォーカスした『1894 Visions ルドン、ロートレック展』が開催中。トゥールーズ=ロートレックがパリに生きる華やかな人々やその町の空気を描きデザインまで施したポスター作品、この年、初めて色彩の作品を発表したルドンの幻想的なパステル画はもちろん、ルドンと同じ師を持つ山本芳翠をはじめとする明治洋画の旗手たちの絵画など、アートとプロダクトが交わってきたこの時代の作品、122点が展示されています。

今回、本展覧会をチョコレートプラネットの長田庄平さんが鑑賞。テレビで見ない日はないほどの人気っぷりの長田さんですが、芸人になる前は嵯峨美術短期大学でプロダクトデザインを学び、陶芸教室の講師をしていたといいます。芸人として活躍する現在も小道具を自作している彼の物作りのルーツ、そしてロートレックやルドンから受ける刺激について語ってもらいました。

長田庄平(おさだ しょうへい)<br>1980年1月28日、京都府に生まれる。2005年NSC東京校11期生。お笑いコンビ、チョコレートプラネットの一人。キングオブコント2008、2014、2018のファイナリスト。『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)、『有吉の壁』(日本テレビ系)、『パズドラ』(テレビ東京系)にレギュラー出演中。シソンヌとのコントユニット「チョコンヌ」のライブ映像を収録したDVD『チョコンヌ2020』を2020年10月リリース。
長田庄平(おさだ しょうへい)
1980年1月28日、京都府に生まれる。2005年NSC東京校11期生。お笑いコンビ、チョコレートプラネットの一人。キングオブコント2008、2014、2018のファイナリスト。『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)、『有吉の壁』(日本テレビ系)、『パズドラ』(テレビ東京系)にレギュラー出演中。シソンヌとのコントユニット「チョコンヌ」のライブ映像を収録したDVD『チョコンヌ2020』を2020年10月リリース。

角度を変えて観たり、素材や質感に注目するのも絵画鑑賞のおもしろさ

最近はあまり絵画展に行けていないという長田さんですが、展示室に一歩足を踏み入れると、じっくり一つひとつの作品を堪能されていました。「ポスター作品が本当にすごい」と、特にアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(以下、「ロートレック」)の作品に心惹かれた様子です。

長田:ロートレックの絵画には工業的なポスターデザインの要素もあるから、すごく身近に感じられるし、見やすさがあります。見やすいからこそ、ダイレクトに自分の感性に染み込んでくるので、美術の知識がなくても楽しめますね。

1860年に現在の20区制となったパリ。電灯が街を照らし、自転車が走り始め、演劇やスポーツ競技も盛んになっていきます。急速な近代化は人々の生活水準を向上させた一方、下層大衆層の貧富の差を広げることにも。

そんな中、伯爵家の生まれのトゥールーズ=ロートレックは、労働階級が集まるセーヌ右岸のモンマルトル地区の酒場やダンスホール、キャバレーやカフェコンセールなど、活気溢れる夜の街に没頭するようになり、そこに生きる踊り子や歌手を題材にした作品を制作していきます。

長田:圧倒的なセンスっていうか……とにかくすごいです。この展覧会の中でも、僕としてはやっぱりロートレックが特に印象的。彼のセンスのよさって、もう元から持ってるものが違う感じがして。生まれ育ちで培われたセンスがありながら、堅苦しいわけではなく、ポップさもある。そのバランスに惹かれました。

ロートレックの『コーデュー』(1893年 / リトグラフ/紙 / 三菱一号館美術館)にはとくにそれを感じます。普通、人物と床の色ってわけたくなるじゃないですか。なのに、彼はわけない。自分で書いたフォントの使い方も秀逸ですし、ロートレックの描く人々の表情も、リアリティーがあって惹きつけられます。

長田庄平
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの作品。1880年代後半からパリで流行し始めた、カラー・リトグラフ(多色石版画)で刷られた色彩豊かなポスターの技法を用いて、1891年にポスター作家としてデビュー。グラフィックアーティストとしても活躍した。長田さんは、ロートレックの大胆な色使いに強く惹かれている様子を見せた。
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの作品。1880年代後半からパリで流行し始めた、カラー・リトグラフ(多色石版画)で刷られた色彩豊かなポスターの技法を用いて、1891年にポスター作家としてデビュー。グラフィックアーティストとしても活躍した。長田さんは、ロートレックの大胆な色使いに強く惹かれている様子を見せた。

自身も馴染み深い工業デザインにも通じるセンスを持つトゥールーズ=ロートレック作品に感嘆しながらも、ルドンの『神秘的な対話』(1896年頃 / 油彩/画布 / 岐阜県美術館蔵)の前でも足を止めます。

長田:ルドンが色彩をたくさん使って描く世界観、独特でかっこいいですね。『神秘的な対話』は、ともすれば絵が台無しになってしまいそうな蛍光色を使っていますが、その色があるからこそ信仰的で神秘的な雰囲気が引き立てられていて。

目の前にいる人や、そこにある世界を、愛情を持って描くロートレックと打って変わって、幻想的な心象世界を表現するルドン。そんなルドンの作品を前に、長田さんは「ルドンからは世の中がどう見えてるんだろう?」と呟きます。

長田:こういう情景を描けることに対して、ルドンのそれまでの人生まで考えちゃいますよね。僕の視点では、たとえば『グラン・ブーケ(大きな花束)』(1901年 / 三菱一号館美術館蔵 / 以下『グラン・ブーケ』)みたいな花、描けないですから。彼自身のこと、その歴史を知りたくなる、そういう魅力があります。家で見る映画と映画館で観る映画が違うように、特に『グラン・ブーケ』は写真で見るよりも実際に観ることで受け取り方が全然変わる。生で観ると妖艶さや禍々しい印象をすごく感じました。

オディロン・ルドン『グラン・ブーケ(大きな花束)』(1901年 / 三菱一号館美術館蔵)。ルドンは同世代の印象派が外界に意識を向けていたのに対し、内面の夢と想像の世界からインスピレーションを得ていた。木炭と石版画を使った「黒」の作品を多数発表していたが、1894年以降にはパステルや油彩画などの色彩の作品を発表する。「まるで後ろから光を当てているみたいですね」と口にするなど、長田は展示手法にも興味を示していた。
オディロン・ルドン『グラン・ブーケ(大きな花束)』(1901年 / 三菱一号館美術館蔵)。ルドンは同世代の印象派が外界に意識を向けていたのに対し、内面の夢と想像の世界からインスピレーションを得ていた。木炭と石版画を使った「黒」の作品を多数発表していたが、1894年以降にはパステルや油彩画などの色彩の作品を発表する。「まるで後ろから光を当てているみたいですね」と口にするなど、長田は展示手法にも興味を示していた。
オディロン・ルドン『ポール・ゴビヤールの肖像』(1900年 / 岐阜県美術館蔵)
オディロン・ルドン『ポール・ゴビヤールの肖像』(1900年 / 岐阜県美術館蔵)

様々な角度から、近い距離で作品を眺め、「画材はなにを使っているんですか?」「この紙はなんですか?」と素材にも興味津々。ロートレックがムーラン通りの売春宿に滞在しながら、売春婦たちの生活を描いた連作『エル(彼女たち)』(1896年 / リトグラフ/紙 / 三菱一号館美術館蔵)の紙質の違いや、モネなどの油彩画の質感を味わいます。

長田:素材、気になっちゃうんですよね。ロートレックのポスターも、まずしっかりした土台に描くんだろうというイメージがあったので、実物を観て「こんな感じの紙に描いているんだ!」とびっくりしました。『アリスティド・ブリュアン、彼のキャバレーにて』(1893年 / リトグラフ/紙 / 三菱一号館美術館蔵)も紙の質感がおもしろくて。絵画には凹凸が絶対にあるじゃないですか。観る角度によって絵の印象が変わってくるのも、実物の絵画を観るおもしろさだと思います。モネが絵の具を重ねて描いた様も、「こんなに薄くて細いタッチで描いてるんだ」とか「ここまで力強く描いてるんだ」とか、ダイレクトじゃないと伝わらないものがありますよね。特にロートレックの細かい吹付のニュアンスは実際観るからこそわかるものでした。

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック『アリスティド・ブリュアン、彼のキャバレーにて』(1893年 / リトグラフ/紙 / 三菱一号館美術館蔵)
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック『アリスティド・ブリュアン、彼のキャバレーにて』(1893年 / リトグラフ/紙 / 三菱一号館美術館蔵)
Page 1
次へ

イベント情報

『1894 Visions ルドン、ロートレック展』

2020年10月24日(土)~2021年1月17日(日)
会場:東京都 東京・丸の内 三菱一号館美術館
時間:10:00~18:00
(祝日を除く金曜と会期最終週平日、第2水曜日は21:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜
月曜日*年末年始の12月31日(木)、2021年1月1日(金)
*月曜日が祝日の場合と12月28日(月)、2021年1月4日(月)は開館
料金:一般2,000円 高校・大学生1,000円 小・中学生無料(音声ガイド付)

プロフィール

長田庄平(おさだ しょうへい)

1980年1月28日、京都府に生まれる。2005年NSC東京校11期生。お笑いコンビ、チョコレートプラネットの一人。キングオブコント2008、2014、2018のファイナリスト。『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)、『有吉の壁』(日本テレビ系)、『パズドラ』(テレビ東京系)にレギュラー出演中。シソンヌとのコントユニット「チョコンヌ」のライブ映像を収録したDVD『チョコンヌ2020』を2020年10月リリース。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

あらかじめ決められた恋人たちへ“日々feat.アフロ”

何かを我慢することに慣れすぎて忘れてしまいそうになっている「感情」を、たった10分でこじ開けてしまう魔法のようなミュージックビデオ。現在地を確かめながらも、徐々に感情を回転させていくアフロの言葉とあら恋の音。人を傷つけるのではなく、慈しみ輝かせるためのエモーションが天井知らずの勢いで駆け上がっていった先に待ち構えている景色が、普段とは違ったものに見える。これが芸術の力だと言わんばかりに、潔く堂々と振り切っていて気持ちがいい。柴田剛監督のもと、タイコウクニヨシの写真と佐伯龍蔵の映像にも注目。(柏井)

  1. ドラマ『ここぼく』が描いた日本社会のいま。危機感と真実の追及 1

    ドラマ『ここぼく』が描いた日本社会のいま。危機感と真実の追及

  2. 佐藤健とシム・ウンギョンが共演 サントリーウイスキー「知多」新動画 2

    佐藤健とシム・ウンギョンが共演 サントリーウイスキー「知多」新動画

  3. 記録映画『東京オリンピック2017』に七尾旅人らがコメント ポスター到着 3

    記録映画『東京オリンピック2017』に七尾旅人らがコメント ポスター到着

  4. スチャとネバヤン、同じ電波をキャッチしちゃった似た者同士 4

    スチャとネバヤン、同じ電波をキャッチしちゃった似た者同士

  5. 羊文学を形づくる「音」 6つの日本語曲を選んで3人で語り合う 5

    羊文学を形づくる「音」 6つの日本語曲を選んで3人で語り合う

  6. 坂口恭平が語る「死なないという勝ち方」。画狂老人・北斎に学ぶ 6

    坂口恭平が語る「死なないという勝ち方」。画狂老人・北斎に学ぶ

  7. ジム・ジャームッシュ特集上映ポスター&チラシ12種、大島依提亜がデザイン 7

    ジム・ジャームッシュ特集上映ポスター&チラシ12種、大島依提亜がデザイン

  8. 青春音楽映画『ショック・ドゥ・フューチャー』予告編、石野卓球らコメント 8

    青春音楽映画『ショック・ドゥ・フューチャー』予告編、石野卓球らコメント

  9. 自己不信や周囲の目にどう向き合う? 女性アスリートの6篇の物語 9

    自己不信や周囲の目にどう向き合う? 女性アスリートの6篇の物語

  10. ちゃんみなが経験した、容姿に基づく中傷と賛美 自らラップで切る 10

    ちゃんみなが経験した、容姿に基づく中傷と賛美 自らラップで切る