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Ryohuが追求するヒップホップのフォルム 立役者・冨田ラボと語る

Ryohuが追求するヒップホップのフォルム 立役者・冨田ラボと語る

Ryohu『DEBUT』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:小田部伶 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

「『愛してる』って恥ずかしがらずに言える歳になってきた」――Ryohuがデビューアルバムに込めたラッパーとしてのリアル

左から:冨田恵一、Ryohu

―リリックの話も伺いたいのですが、本作は、非常にパーソナルな人生について綴られているものが多いですよね。

Ryohu:そうですね。自分たちで作ったビートの上に、「Ryohu」という存在が乗ることででき上がる音楽でなければいけない、ということは意識していました。このアルバムを出す前までは、「僕がすげえ楽しいことをしているときに、一方ではすごく大変な思いをしている人がいるんじゃないか?」みたいなことを考えがちだったんですよね。

「善と悪」とか「白と黒」とか、そういうことを考えてラップに落とし込むのが好きだったんですけど、でも、そういうことをラップにするのは一旦やめようと思って。結局、そういうのってラップよりもエッセイみたいな文章にしたほうが伝わるんですよね。ラップだと勢いがあるぶん、ちょっとアンニュイな表現になって伝わり切らなくなってしまうところがあるなと思って。

冨田:なるほどね。

Ryohu:それよりも、もっと新しい自分の表現の仕方を模索したいなと思ったときに、やっぱりラッパーといえば、自分の人生をラップするっていうのがあるじゃないですか。僕はギャングスタでもなかったし、家が貧しくもなかったし、海外のラッパーなんかとは全然違う人生だなと思うんですけど、それも悪くはない、誇れる人生だなと思ったんですよね。今だったら、自分の人生を恥ずかしがらずにラップできるというか、「愛してる」って恥ずかしがらずに言える歳になってきたというか。

―Ryohuさんは去年ご結婚されて、今はお子さんもいらっしゃるんですよね。そういったことも、今作のリリックには反映されていますよね。

Ryohu:そうですね。ラッパーって、普段の振る舞いも含めて活動の一環だと思うんです。クラブでライブの出番終わりにバーで飲む、みたいな、そういうところも周りから見られているのもラッパーだと思うんですけど、そういう意味でも、自分のリアルなものをちゃんと歌いたかったというか。

家族とか友達は昔から大事だけど、今は家族も増えたし、その大切さがより実感できている。今の僕がそれをリリックに反映することは、クラブのバーカウンターでかっこつけるのと同じくらい大事なことだと思ったんです。

Ryohu“Eternal”を聴く(Apple Musicはこちら

Ryohu:僕はもうクラブでは飲まないですけどね、どんなヤツが来るかわからないので(笑)。

冨田:ははは(笑)。

―冨田さんもお子さんがいらっしゃいますけど、ご家族の存在がご自分の作る音楽に影響を与えることはあると思いますか?

冨田:僕は歌詞を書かないので直接的にはわからないけど、間接的には影響ないわけないですよ。家族の存在は人生にとってとても大きいことですからね。

たとえばつい先日、中3の息子が僕の身長を抜いたんですよ。子どもがどんどん大きくなって、中学生になって、遂に身長を抜かれた。これって、下らないといえば下らないことなんですけど(笑)、そんなことでも人にはなにがしかの影響があるものなんです。自分の子どもって、要するに、本当にリアル次世代なので。

Ryohu:そうですよね。

冨田:身長とはいえ、「次の世代も成長して超えていくんだなあ」という実感が芽生える。こういうことは、深層心理的にすごく影響があると思いますね。

左から:Ryohu、冨田恵一

Ryohu:僕は子どもができてから、音楽を聴かなくなりましたね。前は、奥さんが仕事に行っている間、目的がなくても曲を作ったり、音楽を聴く時間にしていたりしたんですけど、今は子どもがいるから家にいて面倒を見ることが第一になって。音楽を作ったり聴いたりする時間は最近、明らかに減りましたね。

冨田:子どもが小さいと、どうしてもそうなるよね。

Ryohu:最近、SNSを見ていたらSpotifyの年間まとめみたいなのをみんなシェアしたりしているじゃないですか。もし、自分の年間ランキングを作ったらどの曲が一番になるだろうと考えたら、たぶん、反町隆史の“POISON”なんですよ。

冨田:なんで?(笑)。

Ryohu:“POISON”を流すと、子どもが泣きやむんですよ。もう、ハモれるくらい聴いてますね。

Ryohu『DEBUT』初回限定版ジャケット
Ryohu『DEBUT』初回限定版ジャケット(Amazonで見る
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リリース情報

Ryohu『DEBUT』初回限定盤
Ryohu
『DEBUT』初回限定盤(2CD)

2020年11月25日(水)発売
価格:4,180円(税込)
VIZL-1824

[CD1]
1. The Moment
2. GMC
3. Heartstrings
4. You
5. Tatan's Rhapsody
6. Somebody Loves You
7. No Matter What
8. Foolish
9. Anytime, Anywhere, Anyone
10. True North
11. Level Up
12. Eternal
13. Rose Life

[CD2]
1. Flower
2. Thread
3. Cloud

Ryohu『DEBUT』通常盤
Ryohu
『DEBUT』通常盤(CD)

2020年11月25日(水)発売
価格:3,300円(税込)
VICL-65438

1. The Moment
2. GMC
3. Heartstrings
4. You
5. Tatan's Rhapsody
6. Somebody Loves You
7. No Matter What
8. Foolish
9. Anytime, Anywhere, Anyone
10. True North
11. Level Up
12. Eternal
13. Rose Life

プロフィール

Ryohu
Ryohu(リョフ)

ヒップホップクルー・KANDYTOWNのメンバーとしても活動するラッパー / トラックメーカー。10代より音楽活動を始める。OKAMOTO'Sのメンバーと共にズットズレテルズとして活動。2016年、KANDYTOWNとして1stアルバム『KANDYTOWN』をリリース。2017年にはソロとして本格始動し、EP『Blur』(2017年)、ミックステープ『Ten Twenty』(2018年)を発表。Base Ball Bear、Suchmos、ペトロールズ、OKAMOTO'S、あいみょんなど様々なアーティストの作品に客演する。2020年11月、1stアルバム『DEBUT』をリリースした。

冨田ラボ
冨田ラボ(とみた ラボ)

音楽家、音楽プロデューサー。冨田ラボとして今までに6枚のアルバムを発表、最新作は2018年発売の『M-P-C “Mentality, Physicality, Computer”』。冨田ラボの元に今の音楽界に欠かせないアーティストたちが集結、次の時代のPOPSを提示する名盤として話題となる。音楽プロデューサーとしても、キリンジ、MISIA、平井堅、中島美嘉、ももいろクローバーZ、矢野顕子、RIP SLYME、椎名林檎、木村カエラ、bird、JUJU、坂本真綾、夢みるアドレセンス、Uru、藤原さくら、Negicco、鈴木雅之、VIXX、スガシカオ、新しい地図、Naz、kiki vivi lily、高野寛、数多くのアーティストにそれぞれの新境地となるような楽曲を提供する他、自身初の音楽書「ナイトフライ -録音芸術の作法と鑑賞法-」が、横浜国立大学の入学試験問題にも著書一部が引用され採用されたり、音楽ファンに圧倒的な支持を得るポップス界のマエストロ。

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