
竹内唯人が10代最後に歌ったこと 過去と自分自身を見つめて語る
竹内唯人『THE FIRST』- インタビュー・テキスト
- 天野史彬
- 撮影:寺内暁 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)
ABEMA『オオカミちゃんには騙されない』にも出演していた竹内唯人が、音楽活動を開始して1年を迎え、1st EP『THE FIRST』をリリースした。竹内本人と共に、Matt Cab、BBY NABE、MATZ、UTAなど、多彩なミュージシャンが詞曲にクレジットされた本作は、様々なミュージシャンの才能や技術にまみれ、彼らに導かれることにより結果として、竹内唯人という表現者の個性……そこにある身体性やポエジーをハッキリとした輪郭で聴き手に提示することに成功した作品に仕上がっている。
歌とラップの狭間をいくフロウにはヒップホップを自然と消化してきた世代のシンガーとしての強固な表現力を感じるし、軽快な言葉遣いのなかに物事の両犠牲を捉える本質を忍ばせた歌詞には、彼の「観察者」としての眼差しが垣間見える。洗練されたポップスとして楽しめると同時に、作品が持つ、その「奥行き」も深く堪能できる一作だ。
以下のインタビューでは、そんな記念すべき第一作『THE FIRST』の話や音楽活動をはじめてから1年間での変化について、竹内唯人の根っこにある人間性、このコロナ禍に彼が抱いた想いなどを語ってもらった。取材現場で直接対峙した竹内唯人は、嘘偽りのない、正直で、真摯で、チャーミングな青年だった。

竹内唯人(たけうち ゆいと)
2001年1月9日生まれの19歳。ABEMA『オオカミちゃんには騙されない』に出演し、スタイリッシュなビジュアルと気さくなキャラクターとのギャップが同世代から人気を集める。2019年10月にLINEの音楽レーベル「LINE RECORDS」よりアーティストデビューを果たし、活躍の場を広げている。2020年12月10日、1st EP『THE FIRST』をリリースした。
やんちゃな学生時代を経て、家族に見守られながら一歩ずつ前に進んできた音楽活動1年目を振り返る
―唯人さんが音楽活動を始められて1年が経ちましたが、1年前の自分と今の自分を比べて、変化は感じていますか?
竹内:やっぱり、仕事が音楽になったのが一番大きいです。やりたいことが仕事になったってことなので。
―音楽はずっとやりたかったんですか?
竹内:小さい頃から音楽を超やりたかったというわけではないんですけど、歌番組に出ている人を「いいなあ」と思って見てはいましたね。
あと、お父さんにも「音楽をやれ」と言われていたんです。でも、周りの子から外れて音楽教室に通いたくなくて、自分から音楽を選ぶことはなくて。でも、高校生くらいの頃にちょっとだけ音楽と触れる機会があったんですけど、その頃くらいから、「音楽やりたいな」と思いはじめました。
竹内唯人『THE FIRST』を聴く(LINE MUSICで聴く)
―お父さんはなぜ唯人さんに音楽を勧められていたんですかね?
竹内:それがわかんないんですよね。昔から、お父さんは細かいし、ウザいんですよ(笑)。
―ははは(笑)。
竹内:でも、結局お父さんの言うことって全部当たるんですよね。一人暮らしをはじめるときも「そこは家賃が高いからやめとけ」と言われたんですけど、それもそのとおりだったし(笑)。きっと、お父さんの言うことに根拠はないんでしょうけど、僕の性格とかを見越して「やれ」とか「やめろ」と言ってくる。そして、結局はそれが全部当たるっていう。
―唯人さんが作った曲も、お父さんは聴かれているんですか?
竹内:新曲を出したら毎回、「聴いたよ」ってLINEで連絡がきますね。「ここはどういう気持ちで歌ったの?」とか、「ここはもっと気持ちを込めて歌うべきだったんじゃない?」とか、「この曲、生で歌えるの?」とか言ってくるんです。ウザいから、話を終わらせるために「はーい」とか返すんですけど、そうしたらすぐに電話がかかってくる。で、同じことを直接言われるっていう(笑)。
―(笑)。唯人さんの活動をすごく応援してらっしゃるんですね。
竹内:新曲が出るたびに、家族のグループLINEのプロフィールに設定するBGMをその曲に変えてくれているみたいです(笑)。聴いてくれてありがたいです。
―高校生の頃に音楽に触れたというのは、具体的にどういった形だったんですか?
竹内:文化祭でバンドをやることになって。Green Dayの“Basket Case”をやったんですけど、そのときにドラムを頼まれたんです。それまで音楽はやったことなかったけど、リズム感はあったので、ドラムはすぐに叩けたんですよね。
授業は嫌いだったし、音楽の授業も真剣に受けていなかったので、ちゃんと楽器に触れたのは、そのときが初めてでした。ただ、僕は昔から目立ちたがり屋で。バンドでも人の後ろでドラムを叩いているのが、当時の自分にとっては、どこか脇役みたいでイヤで。「音楽でも前に出たいなあ」と思うようになって、そのときから「歌をやりたい」と思うようになりました。
―すぐにドラムが叩けたというのも、すごい話ですよね。
竹内:お父さんとお母さんに「勉強をしろ」と言われ続けてストレスが溜まって、ずっと音楽を聴きながら床を叩いていたんです。そうしたら、いつの間にか叩けるようになっていました(笑)。
リリース情報

- 竹内唯人
『THE FIRST』 -
2020年12月10日(木)配信
1. MY FRIENDS
2. Good Time
3. MOMENT
4. Drive
5. ニビイロ
6. At That Place and Time
7. Silence
プロフィール

- 竹内唯人(たけうち ゆいと)
-
2001年1月9日生まれの19歳。ABEMA『オオカミちゃんには騙されない』に出演し、スタイリッシュなビジュアルと気さくなキャラクターとのギャップが同世代から人気を集める。2019年10月にアーティストデビューを果たし、活躍の場を広げている。2020年12月10日、1st EP『THE FIRST』をリリース。