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No Busesの「未完成」を楽しむバンド美学 作る喜びが救いだった

No Busesの「未完成」を楽しむバンド美学 作る喜びが救いだった

AVIOT「TE-D01d mk2」
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:タケシタトモヒロ 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)
2021/03/31

「そもそも僕らガレージロックだけをやりたかったわけではなくて」。2ndアルバムを完成させたばかりの心境を語る

左から:後藤晋也、杉山沙織、市川壱盛、近藤大彗、和田晴貴

―基本的には近藤さんが曲を作っているのですか?

近藤:1stアルバムくらいまでは、だいたい僕が作って、それをスタジオでメンバーと手直ししながら仕上げていきました。実は最近、2枚目のアルバムを作り終えたんですけど、そこでは僕がデモから作り込んだ曲もありつつ、余白を残してメンバーに考えてもらったり、スタジオで話し合いながら詰めていったりする部分もかなり増えて。なかには後藤が元ネタを持ってきて、そこから発展させていく曲などもあったので、結成当時とは作り方もかなり変わってきましたね。

―昨年リリースしたトリプルA面のシングル『Imagine Siblings / Number Four or Five / Trying Trying』から、すでにサウンドの変化は感じられますよね。

近藤:初期と比べたら全然違うと思います。実は、1stアルバム『Boys Loved Her』を出してすぐ次のアルバムの制作にとりかかったのですけど、コロナで制作がストップしてしまって。

No Buses『Imagine Siblings / Number Four or Five / Trying Trying』収録曲(Apple Musicで聴く / Spotifyで聴く

近藤:ぽっかりスケジュールが空いていた時期に、当初作っていたアルバムの方向性とは全く関係ない曲が2曲くらい書けたんです。それをメンバーに送ってからアルバムの方向性が変わっていって。もしかしたら、コロナ禍を経験していなかったら、アルバムのなかにそういう(毛色の違う)曲を入れたいと思わなかったかも知しれない。

後藤:そういう意味では、コロナ禍があったからこそできた作品ともいえますよね。ただ、そもそも僕らガレージロックだけをやりたかったわけではなくて。

近藤:そうだね。僕らが共通して好きだったラウドロックからの影響だって、あからさまに出すことはなくても、どこかで少なからず出ている気はするし。サウンドというより感覚面で、その辺を出してもおかしくないんじゃないかと。

それに日本に住んでいるわけだから、自分たちの音楽にはきっと日本っぽさもあるわけで。よくNo Busesは「洋楽っぽい」と言われるのですが、自分たちではそこまで意識しているわけでもないんですよね。「結構、日本っぽいサウンドなんだけどな」と思うときもありますし(笑)。

左から:後藤晋也、近藤大彗、杉山沙織、市川壱盛、和田晴貴

洋楽と邦楽の両方の要素を持ちながら、どちらっぽさにも傾かないNo Busesの独自のサウンドの秘密

―実際No Busesの音楽は、洋楽っぽくも邦楽っぽくもない、すごく絶妙なバランスで成り立っていると思います。

近藤:あ、それはすごく嬉しいです。いわゆるJ-POPと呼ばれる音楽は、低音やリズムで引っ張るというよりもメロディや歌詞でリードしていくものが多い気がしていて。僕らの曲も割と歌で引っ張っていく部分はあるんですけど、海外の音楽も好きだから低音やリズムにもこだわっている。

そのバランス感が、おっしゃっていただいたようにNo Busesらしさにつながっている気はしますね。ただ、そこも自分たちで意識してバランスをとっているわけではなくて、あとから聴いてそこに気づくような感覚なんですよね。

No Buses『Imagine Siblings / Number Four or Five / Trying Trying』収録曲(Apple Musicで聴く / Spotifyで聴く

―印象的なギターのリフが展開しながら繰り返されていたり、あとは英語で歌っているのは大きいでしょうね。

近藤:そう思います。たぶん外国の方が聴いても一発で日本の音楽だってわかるわけじゃないと思うんですよね。発音から英語圏じゃないことはわかるにしても、どこの国だかわからない音楽だと思ってるんじゃないかな。何だかわからないけど、妙なメロディだから聴いてみるかって感じというか。

―(笑)

近藤:で、よくよく聴いてみると「そういえばThe Strokesっぽいな」みたいな(笑)。あと僕はメロディや声をアンサンブルの一部だと捉えているんですけど、それも大きいのかなと思います。日本語で歌うとその意味がメロディに乗ってちらつくというか、アンサンブルの一部としてのボーカルの役割は薄れてしまう気がするんです。

―耳に「意味」が否応なく入ってきてしまいますからね。

近藤:個人的には、メロディは無機質に漂ってほしいというか。楽器としてメロディをとらえる心地よさを知ってほしいんですよね。僕は、自分が作る歌メロが好きなんですけど、それを心地よく聴きたいという気持ちから英語を使っているところもあるかもしれないです。なので、もし今後日本語がうまくハマっていくのであれば、日本語の歌詞を書いていく可能性も全くゼロではないです。

予期せずして国内外で話題を集めたことがかえって重荷に。近藤がバンドを辞めることも考えた当時の心境を明かす

左から:後藤晋也、近藤大彗、杉山沙織、市川壱盛、和田晴貴

―No Busesは実際にメキシコやロサンゼルスなどでも聴かれているようですし、YouTubeのコメントも英語のものが大半ですよね。初めて出したシングル『Tic』(2018年)がいきなり国境を超えて聴かれたわけですけど、海外のリスナーの耳にも届いていることに関しては、自分たちではどう捉えていますか?

近藤:率直に嬉しいですね。かといって、特に海外を意識しているわけはないし、海外に出たいと思っていたわけでもなかったんですけど(笑)。

―プレッシャーに感じたり重荷になったりしたところはありましたか?

近藤:それはありました。特に1回目に話題になったときは、「いい」という声もたくさんあったんですけど、やっぱり人の目に付くぶん、僕らのことを嫌いな人もいるわけで。

本当にただ音楽が好きで、自分たちでも音を鳴らしてみたかっただけの大学生バンドだったので(笑)、それがめちゃくちゃキツかったんですよね。正直1年、いや2年くらい、自分たちのYouTubeチャンネルを閲覧するどころか、アプリを起動することすら怖くなってしまって。今のアルバムにとりかかる前までは、自分の曲も聴けなくなって、作品を出すことも嫌になってしまっていた時期がありました。

左から:近藤大彗、後藤晋也
No Buses“Tic”を聴く(Apple Musicで聴く / Spotifyで聴く

近藤:しかもそれをメンバーにもうまく言えず、限界までひとりで抱え込んでしまって。一時期は真剣に辞めようかなとも考えていました。でもやっぱり曲を作る楽しさは毎回あったし、作るたびにどんどんいいものができていたので、それで少しずつ自信を取り戻していった感じでしたね。

後藤:僕は最初から「ネットなんてキレイなもんじゃない」と思っていたので(笑)、まあこんなものかなと思っていましたね。

近藤:僕はバンドをやるまでTwitterもInstagramも一切やっていなくて、かなりアナログな生活を送っていたから免疫力がなかったのも大きいです。ネットがキレイじゃないなんて知らなかった(笑)。

後藤:低評価が付いていないコンテンツなんてないと思うし、そこは仕方ないと自分の中で割り切っていました。ただ、近藤がその頃はずっと弱音を吐いてばかりいたので気にはなっていましたね(笑)。もう少し早く気づいて、力になってあげればよかったなって。

近藤:今はもう、だいぶ元気になったから大丈夫(笑)。

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製品情報

AVIOT「TE-D01d mk2」
AVIOT「TE-D01d mk2」

第一線で活躍する日本のサウンドエンジニアやアーティストの意見を取り入れたサウンドチューニングに加え、最大120時間*再生の超大容量バッテリーの搭載やワイヤレス充電対応など、マルチスペックが魅力のAVIOTのベストセラーモデル。
*チャージングケース併用時

プロフィール

No Buses(ノー バシーズ)
No Buses(ノー バシーズ)

2016年結成。2018年4月に1stシングル『Tic』を発表。そのMVは日本にとどまらず世界中で高い評価を受け、夏には『SUMMER SONIC 2018』出演。2019年8月に初の海外公演を韓国で行う。9月にリリースされた1stフルアルバム『Boys Loved Her』は「タワレコメンオブザイヤー」を受賞した。2020年にはBIM「Non Fiction feat. No Buses」に参加にジャンルを超えたコラボで驚かせた。国境を超えての活動が期待される今最注目のバンド。

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