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木梨憲武のジャンルに縛られない働き方。下の世代にも学ぶ理由

木梨憲武のジャンルに縛られない働き方。下の世代にも学ぶ理由

『木に梨はなる ~頭の中の大宇宙~』
インタビュー・テキスト
麦倉正樹
撮影:杉田裕一、中川容邦 編集:後藤美波(CINRA.NET編集部)

「新しいことを楽しむには、上手いとか下手とかじゃなくて、そこにどこまで全力で思い入れられるか」

―「直接会って、ざっくばらんに会話する」というのは、20代の頃から現在に至るまで、木梨さんの一貫したスタイルになっているような気もします。

木梨:まあ、自分が20代の頃って、現場に行ったら、とにかく年上の人たちがいっぱいいたわけですよ。テレビ局の人とかも含めて、まわりのスタッフが全員年上で、その人たちと毎日のように飲みに行って……。

それこそ、そこに秋元(康)さんがいたり、テリー伊藤さんがいたりして、「今度、こういうことをやろう!」とか「こういう感じのことをやったら面白いんじゃない?」みたいなことを、まだ何も決まってないのに言ってくれたりして。

で、「なるほど! 面白そうですね!」とか言ってたら、そのあと実際、そういう場所が用意されて……あとはこっちが、そこで自由演技をするだけっていう(笑)。

全部が全部上手くいったわけじゃないけど、「了解しました!」って言って、自由演技を続けているうちに、できることがどんどん増えていった。

木梨憲武

―当時のとんねるずは、その破天荒なキャラクターはもちろん、「お笑い」というジャンルに縛られることなく、どんどん活動範囲を広げていくところが、とても画期的で魅力的だったように思います。たとえば、音楽活動もそうですよね。

木梨:それも同じですよね。とんねるずで音楽をやり始めたときも、「歌をやってみたら、面白いんじゃない?」みたいな話があって、「いいっすね!」って言ってたら、そういう場所が用意されてた(笑)。

そういう場所にはいろんなプロの人たちがそろっていて、それまで知らなかったことを知れるわけじゃないですか。あとはもう、こっちの気持ちだけというか。

それだったら、あの人に曲をお願いしてみようかとか、衣装も含めてビジュアルはどんな感じでいこうか、コンサートをやるなら誰に相談しようかって、全部つながっていくんですよね。

―なるほど。

木梨:それはアートも同じで。別に美術を専門的に勉強していたわけじゃなくて、もともとは番組のワンコーナーがきっかけだったんですよね。そのコーナーをアーティストの日比野克彦さんが、手伝ってくれていたんですけど、あるとき日比野さんが「ノリちゃん、絵なんて自分の好きなように描けばいいんだよ」って言ってくれたんです。

で、「了解!」って言って描き始めたら楽しくなっちゃって、それからずっと描き続けてる。音楽もそうだけど、新しいことを楽しんでやるうえで大事なのは、上手いとか下手とかじゃなくて、そこにどこまで全力で思い入れられるのか。やったことがないことも楽しんでやれるかどうかは、どれだけ思い入れられるかの「大会」だと思っているんですよね。

木梨憲武展は全国各地の美術館を巡回している

―お笑いはもちろんですけど、音楽やアートの世界でも、『NHK紅白歌合戦』に出たり美術館で展覧会を開催したり、かたちとして結果を残しているところがすごいですよね。

木梨:いやいや。褒めるコメントは、いくらでも書いてほしいけど、まあ、昔から遊んでいるおじさんですよ(笑)。番組とかでも新しいことを始めると、いろんな人に会えたり、知らないことを知ったりできるじゃないですか。しかも、みんなその道のプロフェッショナルだから。それはもう、楽しくてしょうがないですよね。

木梨憲武

―そういうオープンマインドな姿勢は、そもそもどのように培われていったのでしょう?

木梨:これは人にもよるとは思うんだけど……たとえば、テレビに出るときに、他の出演者よりも尖ったものとか、センスの良い笑いだけを求めようとすると、どうしても細かい部分に命をかけていくような感じになっていくじゃないですか。

それでウケればいいんだけど、いっぽうで誰にも理解されないまま、それでいいんだって突き進んでしまうこともありますよね。

木梨憲武

―それは、お笑いに限らず言えることかもしれないですよね。良く言えばストイックだけど、じつは視野が狭くなっているだけなのかもしれないっていう。

木梨:もちろん、そういうやり方が得意な人もいると思うんです。それは性格もあるから。誰が何と言おうと自分ひとりで判断する人もいれば、まわりにいる人たちや、信頼しているチームの意見に耳を傾ける人もいるわけで。俺は後者のタイプなんですよね。

まわりの人たちが「最高だよ!」って言ってくれるなら、そこを突き進んでいけばいいけど、「違うな」ってなったら、そこはいかないほうがいいっていう。

まあ、信頼している仲間たちに「ちょっと違うな」って言われたら、その落ち込みようはハンパないんだけど(笑)。でも、ひとりぼっちだと、その方向が本当に合っているのか、確認と反省ができないじゃないですか。

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番組情報

『木に梨はなる ~頭の中の大宇宙~』
『木に梨はなる ~頭の中の大宇宙~』

2021年6月14日(月)20:00~隔週WOWOWにて配信・放送
※WOWOWオンデマンドでは無料トライアル実施中

プロフィール

木梨憲武(きなし のりたけ)

お笑いタレント、歌手、アーティスト、俳優、司会者。お笑いコンビ「とんねるず」メンバー。「オールナイトフジ」「ねるとん紅鯨団」「とんねるずのみなさんのおかげでした」等、数々のバラエティー番組を担当。とんねるずとして活躍する一方、アトリエを持ち、画家としても活動している。1994年に「木梨憲太郎」名義で愛知県名古屋市で開催した初個展『太陽ニコニカ展』から日本国内では9度の個展を開催。開催会場はのべ30会場。アメリカ・ニューヨーク(2015年)およびイギリス・ロンドン(2018年)での2度の海外個展でも成功を収める。

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