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PIZZA OF DEATHの新星、KUZIRAが受け継ぐアティチュード

PIZZA OF DEATHの新星、KUZIRAが受け継ぐアティチュード

KUZIRA『Superspin』
インタビュー・テキスト
TAISHI IWAMI
撮影:山口こすも 編集:黒田隆憲

若者が選挙に行かないとか政治に無関心とか言うじゃないですか。世代の近い僕らだからこそ、彼らに伝えられることってあると思う(末武)

―1曲目の“Power Bank”で朝起きて、2曲目の“Throw Your Cell Away”でワイドショーやさまざまな情報にうんざりしてスマホを捨てる流れからも、ストーリー性を感じました。

末武:スマホって便利な反面、持っていないと落ち着かなくなったり、情報に縛られて窮屈な気持ちになったりすることもある。この歌詞を書いた動機は、そういうときに自分を解放できるのがライブなんだって思ったことです。そこから、よくいろんなところで議論されているサブスクの話にも繋がっていて。

左から:熊野和也、末武竜之介、シャー:D

―KUZIRAは最近までサブスクを利用していませんでしたが、懐疑的な部分があったのでしょうか。

末武:いえ、ただタイミングを逃して遅くなっただけですね。僕自身もサブスクはめちゃくちゃ使います。フィジカルだけだと出会えなかったであろう音楽もたくさんありますし。でもCDショップに行って買い物して、家に帰って封を開ける瞬間のドキドキ感とか、そのドキドキ感が楽しみなのに途中で我慢できなくて電車のなかで歌詞カードだけ読んじゃったとか、あるじゃないですか。僕らはおそらく最後のCD世代。そういう情緒が好きだっていう素直な気持ちで、フィジカルを所有する喜びが減っていく世の中に抗いたかったんです。

―そして3曲目の“Spin”までのアンセミックな強さから一転、4曲目の“Sad (Regrets)”では、いなくなった大切な人への後悔の念を歌われています。

末武:“Sad (Regrets)”のメロディはもともとあって、歌詞をどうするか考えていたタイミングで祖母が亡くなったんです。そこでもっと思っていることを話せばよかったとか、もっと会いに行けばよかったとか、そういった後悔の念も、幸せな思い出や愛もちゃんと背負って生きていこうって思って。それもまた「紡ぐ」行為です。アルバムのタイトルに入れた「spin」とリンクしてきますね。

KUZIRA“Spin”MV

―“He”は先ほどお話しになられた医療現場にいて感じた問題や、暴力や差別といった社会問題にもっともダイレクトにアプローチした曲です。

末武:僕らはPIZZA OF DEATH RECORDSのなかでもっとも若いバンドです。よく若者が選挙に行かないとか、政治に無関心とか、言うじゃないですか。確かにそれは否定できない。でも世代の近い僕らだからこそ、彼らに伝えられることって大いにあると思うんです。僕らなりに黙って見過ごす風潮を止めたいという想いをぶつけた、象徴的な曲です。

―続いてはサウンド面について話を聞かせてください。まずシャー:Dさんは新加入してからここまでの感触はいかかがですか?

シャー:D:KUZIRAはメロディがよくてツインボーカルであることがもっとも大きな強みだと思います。あとは、言いたいことややりたい音楽性と、実際に出てくるものの距離が近いというか、初期衝動を詰め合わせたようなサウンドが好きなんです。そこで、今回初めて制作に携わるにあたって、KUZIRAらしさを崩さずに自分の持ち味を出していくことに努めました。結果、二人の良さを前面に押し出しながら自分らしいプレイができたと思います。でも、もっと二人に寄り添ったほうが面白いことになりそうな部分もあって、今作は今作で満足しつつ、次のことも少し見えたような気がします。

シャー:D

―アレンジやレコーディングのプロセスで変わったことはありますか?

末武:今まではスタジオに入って、僕が曲のイメージを口頭で伝えてセッションしながら作っていたんです。それに対して今回はDAWソフトを使ってしっかり打ち込んだデモを持っていったうえで、二人と話し合いながら演奏して作っていきました。結果これまでよりすごくスムーズになりましたね。とはいえドラムはそんなに詳しくないので、いちおうリズムを入れたものをシャー:Dくんに全振りしましたけど。

―ポップパンク / メロディックパンクを軸に、さまざまなジャンルの要素を採り入れた曲の展開が、今まで以上に豊かになったように感じました。

末武:僕はポップパンク / メロディックパンクやミクスチャーロックが好きで、熊野はスカやレゲエも好きだし、シャー:Dくんはもっとヘビーでラウドなロックも聴くし、それぞれの特徴を活かしやすくなったことは確かですね。どこにどういう要素を入れたら面白くなるか、ソフトで作り込んだデモがちゃんとある分、曲としっかり向き合えたことで、バリエーションが生まれました。

左から:シャー:D、末武竜之介、熊野和也

熊野:前のやり方だと、竜之介の思っていることが汲み取れないこともあったので、やり方を変えてよかったと思います。今回はデモがしっかりあったら客観視もできるし、自分たちの魅力が拡張していくような感触はありました。

末武:コロナ禍で今まで以上にいろんな音楽を聴くようになって、そこで感じた熱量を保ったままアウトプットに落とし込めたことも大きな利点ですね。今回だと、“Change”にはEDMから着想を得たハンズクラップも入っていますから。

―“Change”は幅の広がりを象徴する曲だと思いました。ブルーズ / ハードロックっぽいリフに始まり、スカパンクありポップパンクあり、そして間奏でEDMのビルドアップに近い展開がある。ハンズクラップは今までにやっていない打ち込みですし、KUZIRAの未来を示すような意味合いもあったように思うのですが、いかがですか?

熊野:同じようなことを言われたことがあります。でも実際のところは、時間のリミットが迫っているなか駆け込みで作った曲で大意はないんです。最後にやりたいことを思いっきり詰め込んだ結果、今までにないタイプの曲になりました。

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リリース情報

KUZIRA『Superspin』
KUZIRA
『Superspin』(CD)

2021年5月26日(水)発売
価格:2,750円(税込)
PZCA-93

1. Power Bank
2. Throw Your Cell Away
3. Spin
4. Sad (Regrets)
5. He
6. The Feeling
7. Crank In
8. Together Forever
9. ByeFor Now
10. Change
11. I'm Cool
12. Under The Snow
13. Speak Up

プロフィール

KUZIRA(クジラ)

2017年に本格始動したメロディックパンクバンド。末武竜之介、熊野和也、シャー:Dの三人。2018年8月TRUST RECORDSよりリリースしたデビューミニアルバム『Deep Down』が無名の新人ながらタワレコメンに選出。『Deep Down』を携え約80本に及ぶ初のリリースツアーを開催。東岐阪ツアーファイナル、名古屋での裏ファイナル2daysチケットは即完。2019年8月1st EP「Pay The Piper」をリリース、約半年間に及ぶ全国32ヶ所のリリースツアーを開催。2019年9月Ken Yokoyama『Still Age Tour Ⅱ』に参加。2021年3月 新ドラマーとしてシャー:Dが加入。2021年5月1st Full Album『Superspin』をPIZZA OF DEATH RECORDSよりリリース。

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