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ヒップホップ・南米音楽との融合『NOMAD メガロボクス2』

ヒップホップ・南米音楽との融合『NOMAD メガロボクス2』

株式会社バンダイナムコアーツ
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:西村満 編集:黒田隆憲、CINRA.NET編集部

名作『あしたのジョー』を原案としながら、近未来を舞台にギアを装着して闘う格闘技「メガロボクス」に関わる人間たちの熱いドラマを描いた挑戦的なテレビアニメーション『メガロボクス』。その続編として2021年4月より放送・配信されている『NOMAD メガロボクス2』のBlu-ray BOX(特装限定版)が7月28日にリリースされる。

肉体とギアテクノロジーを融合させた究極の格闘技「メガロボクス」。その頂点を決めるトーナメント戦に、最下層の地下リングからたった3か月で頂点へと駆け上がり、奇跡の優勝を果たした主人公ジョー。

それから7年後の世界を描いた『NOMAD メガロボクス2』は、「移民」や「格差」など現代社会が抱える問題を取り上げながら、さらにオリジナリティーの高い作品に仕上がっている。前作に引き続きサウンドトラックを担当したのは、音楽プロデューサー / ドラマー / マルチクリエイターのmabanua。前作のヒップホップに加え、今作では南米音楽にも果敢にアプローチし彼自身の新境地をも切り拓いている。

今回は『メガロボクス』シリーズの監督を務めた森山洋と、mabanuaによる対談を実施。『メガロボクス』のザラついた映像とシンクロした音楽はいったいどのようにして生み出されたのか、じっくりと語り合ってもらった。

「ヒップホップをはじめとするブラックミュージックの要素をアニメに取り込みたかった」(森山)

―まずは前作『メガロボクス』がどのようにして生み出されたのか、その背景から教えてもらえますか?

森山:2018年が『あしたのジョー』連載開始50周年記念で、それに合わせてなにか新作アニメーションの企画ができないか? という話を2016年くらいにいただいていたんです。

そこからさまざまなアイデアをブラッシュアップしていくなかで、『あしたのジョー』を原案としたオリジナルアニメーション作品へと発展していき、晴れて2018年に放送開始となりました。

森山洋(もりやま よう)<br>1978年生まれ。マッドハウス出身。小池健監督、荒木哲郎監督作品でビジュアルコンセプトなどを担当。代表作に『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』(プロップデザイン)、『進撃の巨人』(ビジュアルコンセプト)、『甲鉄城のカバネリ』(コンセプトアート)など。『メガロボクス』でテレビシリーズ初監督を務め、その続編『NOMAD メガロボクス2』が監督2作目となる。
森山洋(もりやま よう)
1978年生まれ。マッドハウス出身。小池健監督、荒木哲郎監督作品でビジュアルコンセプトなどを担当。代表作に『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』(プロップデザイン)、『進撃の巨人』(ビジュアルコンセプト)、『甲鉄城のカバネリ』(コンセプトアート)など。『メガロボクス』でテレビシリーズ初監督を務め、その続編『NOMAD メガロボクス2』が監督2作目となる。

―最初の段階では、もっと原案に寄せたストーリーも候補にあがっていたのですか?

森山:そうですね。ただ、『あしたのジョー』の完全なリメイクをつくるつもりはなくて。いわゆる番外編や、力石徹を主役に据えた本編では描かれなかったサイドストーリーはどうだろう? みたいなアイデアはありました。

とはいえ、これまでの『あしたのジョー』をモチーフとしたアニメーション作品とは違ったアプローチがしたかった。どうせやるなら原案の世界観をいさぎよく取っ払い、テーマ的なものだけを引き継ぎつつ、ひねりのきいたものにしようと。

『メガロボクス』ティザーPV

―原案から引き継いだテーマというと?

森山:舞台は完全にオリジナルですが、『あしたのジョー』前半のメインプロットであるジョーと力石徹との出会いから闘いまでのプロットは引き継がせてもらっています。

―一度は力石徹に完膚なきまで叩きのめされた主人公・矢吹丈が、どん底から這い上がってくるという。

森山:はい。『あしたのジョー』はボクシング漫画ではあるのですが、ちばてつや先生の描く作品はどれも人間ドラマに重きを置いています。そういう地に足のついた物語を描くことは最初から目指していましたね。

左から:mabanua、森山洋

―mabanuaさんにサントラをオファーしたのはどんな経緯だったのでしょうか。

森山:『メガロボクス』の制作チームはみんな音楽好きなのですが、なかでもこだわっていたのがぼくと脚本家の真辺克彦さんでした。二人の間で音楽の方向性だけは、なんとなく一致していたんです。つまり、ヒップホップをはじめとするブラックミュージック、そういう要素を物語のなかに取り込めないか? と。

そのなかで、真辺さんからmabanuaさんの名前が上がって。唐突な提案だと思われるかな……と駄目もとで連絡してみたら快く引き受けてくださって嬉しかったですね。

mabanua:オファーをいただいて、ぼくはもう「これだ!」という感じでした。いつもいろんなアニメを見ながら「こういう作品だったらこんな曲がつけられそう」とか、「この作品だと自分のカラーは上手く出せないかも」と勝手に妄想していたので(笑)、「ついにドンピシャなのが来たな」と嬉しかったですね。

mabanua(まばぬあ)<br>ドラマー / プロデューサー。自身のソロ作品や参加しているOvallとしての作品のほか、プロデューサーとして100曲以上の楽曲を手がけ、多数のCM楽曲や映画、ドラマ、アニメの劇伴も担当。また、Toro y Moi、Chet Faker、Madlib、Thundercatなど海外アーティストとも多数共演。これまで手がけた劇伴は、アニメ『メガロボクス』シリーズのほか『坂道のアポロン』『BNA ビー・エヌ・エー』、映画『ハード・コア』『とんかつDJアゲ太郎』、ドラマ『僕たちがやりました』など。
mabanua(まばぬあ)
ドラマー / プロデューサー。自身のソロ作品や参加しているOvallとしての作品のほか、プロデューサーとして100曲以上の楽曲を手がけ、多数のCM楽曲や映画、ドラマ、アニメの劇伴も担当。また、Toro y Moi、Chet Faker、Madlib、Thundercatなど海外アーティストとも多数共演。これまで手がけた劇伴は、アニメ『メガロボクス』シリーズのほか『坂道のアポロン』『BNA ビー・エヌ・エー』、映画『ハード・コア』『とんかつDJアゲ太郎』、ドラマ『僕たちがやりました』など。

―『メガロボクス』のどのあたりがドンピシャだと思ったのですか?

mabanua:『メガロボクス』の世界観って、未来的でもあると同時にレトロ感というか、アナログな感覚もあって。ぼくが好きな音楽も、そういう新しいものと古いものが合体したようなテイストのものが多いんですよ。

なので、オファーをいただいたときは、「これをぼくが受けなくてどうするんだ?」という謎の使命感が湧いていましたね(笑)。運命を感じたというか、神様がチャンスを授けてくださったなと。

森山:嬉しいです。最初の打ち合わせでは、音響監督の三好慶一郎さんをはじめ主要な制作スタッフに集まっていただき、顔合わせを兼ねてざっくりと作品全体の説明をするつもりだったんですよ。

そこから少し音楽の話に切り込んでいけたらいいな……くらいに思っていたのですが、もう会ったその日から「こんな音楽はどうかな?」みたいに、具体的な話になって(笑)。

mabanua:あははは、そうでしたね。

森山:その顔合わせの後、劇中で必要な劇伴曲のリストを三好さんに出していただき、それを一つひとつ紐解きながらmabanuaさんとの細かい打ち合わせを重ねていきました。

そこでは好きな映画の話とか、「この作品のあのシーンはカッコいいですよね」みたいな、お互いが持つ映像や音楽に対する「イメージの共通項」を探ったりもしていましたね。

―そこで上がったのは、たとえばどんな作品だったのですか?

mabanua:『オンリー・ゴッド』(2013年)の音楽の使われ方がいいよね、という話をした覚えがあります。RZA(Wu-Tang Clan)が音楽を手掛けた日本のアニメ『アフロサムライ』(2007年)の話も出ましたよね。

『オンリー・ゴッド』予告編

森山:当時はまだ、アニメにヒップホップが起用されている印象的な作品が少なくて。そのなかで『アフロサムライ』や『カウボーイビバップ』は、『メガロボクス』をつくるうえでインスパイアされました。なので、mabanuaさんにも知っておいていただきたかったんですよね。

森山洋
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作品情報

『NOMAD メガロボクス2』Blu-ray BOX 特装限定版(Blu-ray)

2021年7月28日(水)発売
価格:38,500円(税込)
BCXA-1629

プロフィール

森山洋(もりやま よう)

1978年生まれ。マッドハウス出身。小池健監督、荒木哲郎監督作品でビジュアルコンセプトなどを担当。代表作に『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』(プロップデザイン)、『進撃の巨人』(ビジュアルコンセプト)、『甲鉄城のカバネリ』(コンセプトアート)など。『メガロボクス』でテレビシリーズ初監督を務め、その続編『NOMAD メガロボクス2』が監督2作目となる。

mabanua(まばぬあ)

ドラマー / プロデューサー。自身のソロ作品や参加しているOvallとしての作品のほか、プロデューサーとして100曲以上の楽曲を手がけ、多数のCM楽曲や映画、ドラマ、アニメの劇伴も担当。また、Toro y Moi、Chet Faker、Madlib、Thundercatなど海外アーティストとも多数共演。これまで手がけた劇伴は、アニメ『メガロボクス』シリーズのほか『坂道のアポロン』『BNA ビー・エヌ・エー』、映画『ハード・コア』『とんかつDJアゲ太郎』、ドラマ『僕たちがやりました』など。

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