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ポケモンGOや『君の名は。』の成功はなぜ? チームワークを考察

『ベストチーム・オブ・ザ・イヤー2016』
テキスト
加藤直宏
編集:飯嶋藍子
ポケモンGOや『君の名は。』の成功はなぜ? チームワークを考察

『ベストチーム・オブ・ザ・イヤー』が考える成果につながるチームワークのありかた

2016年11月16日、『ベストチーム・オブ・ザ・イヤー2016』(以下、『BTOY』)の表彰式が、新宿LUMINE 0にて盛大に催された。この式典は、ビジネスやスポーツなどの各業界において、その年に最もチームワークを発揮し、国内外で高い実績、評価を獲得した商品やサービスを作り上げたチームを表彰するというもの。2008年以来、毎年開催されており、今年で9回目を迎えた。

個人の記録や功績を称える式典は多くあるが、『BTOY』はチームワークにフォーカスしていることが最大の特徴。委員長を齋藤孝、総合プロデューサーをおちまさとが務める『BTOY』実行委員会は、チームおよびチームワークについて「ある目標に向かって集まった組織体(チーム)が、目標を達成するため、チームメンバーで役割を分担して協働すること」と定義し、「昔ながらの、絆や団結といった精神論で表現されやすい『同質的・集団的なチームワーク』ではなく、チームの目標とメンバーのスキルが明確で、一人ひとりがリーダーシップを発揮できる『多様性、異質性を持つチームワーク』が成果につながる」と提唱している。

『ベストチーム・オブ・ザ・イヤー』実行委員会会長の齋藤孝
『ベストチーム・オブ・ザ・イヤー』実行委員会会長の齋藤孝

最優秀賞の「Pokémon GOチーム」が大切にしていたこととは

今後ますますグローバル化が仕事や生活に浸透していく中で、会社や業種の枠組みを越え、また言語や文化を越境してチームを編成し、プロジェクトに取り組むという局面はさらに増えていくだろう。そんな中、新たなチームワークの考え方は、多くの人にとってより重要なものになっていくはずだ。

興味深いのは、このアワードが、明確な目的を持ったひとつのプロジェクトである点だ。実行委員会が「日本のチーム力が世界を変える」というスローガンを掲げているように、単に功績を称えるだけに終わらず、チームワークによって生み出された知恵、発想、ノウハウなどを蓄積し、一般に向けて公開することで、社会というひとつのチームに共感や活力を与えていくという大きな役割も担っている。

軽く数冊分の本が出来上がってしまいそうな内容のオフィシャルホームページも、ビジネスや活動の大いなるヒントとして、一見の価値がある。表彰式では、受賞チームの代表者が、その業績や活動を振り返りつつ、どのようにチーム力を組織し、それがどのように成果に結びついたのかなどを語った。

最優秀賞の「Pokémon GOチーム」
最優秀賞の「Pokémon GOチーム」

今年最優秀賞に輝いたのは、今年7月にリリースされると同時に、世界中を熱狂させたゲームアプリ『Pokémon GO』に携わった「Pokémon GOチーム」だ。株式会社ポケモン、株式会社ゲームフリーク、位置情報技術とAR技術を組み合わせたゲーム『イングレス』などでも知られるアメリカの企業・株式会社ナイアンティックの3社からなる国境を越えたこのチーム。株式会社ナイアンティックの代表取締役社長・村井説人は今回の受賞を受け、「チームのみんなが『家の外にゲームを持ち出そう、より健康的なものを作ろう』というビジョンを持ち、会社、国境、言語、そして文化といった様々な障壁を乗り越えて、それぞれの意見を尊重し、作ってきました」と語り、多様なバックボーンを持つチームにおいて、共通のビジョンをメンバー全員が持つことの重要性について触れた。

どうしたらみんな共通のビジョンが持てる? 受賞チームから学ぶ

そして優秀賞は、リオ五輪で3大会ぶりの金メダルを獲得した「体操男子団体チーム」、国際的に新元素として認定された元素を合成・発見した「113番元素(ニホニウム)発見チーム」、歩行が困難な方が日常生活を送るためだけでなく、リハビリをサポートする世界唯一の車椅子の開発を行なった「COGYプロジェクトチーム」、今年8月に公開されてロングランを続け、興行収入180億円を突破した映画『君の名は。』チームの4組だ。

映像で登場した「体操男子団体チーム」の内村航平
映像で登場した「体操男子団体チーム」の内村航平

映画『君の名は。』チーム
映画『君の名は。』チーム

「Pokémon GOチーム」のみならず、今回の受賞チームに共通する点は、「メンバーがプロジェクトや活動のビジョンや志をしっかりと共有している」ことであると感じた。しかし、さまざまな文化や背景を持つ人間の集合体の中において、この部分をマネージメントすることは、決して容易なことではない。では、どうしたら、メンバーが共通のビジョンを持つことができるのか?

「車椅子の歴史は2500年前に遡る。その間、数えきれない方が、再び自分の脚を使って移動したり、立って歩くことを諦めてきました。が、COGYにより、もう一度自分の脚で動くこと、立って歩くことを叶えている方がたくさん現れ始めています」と語ったのは、「COGYプロジェクトチーム」株式会社TESSの代表取締役・鈴木堅之。

「COGYプロジェクトチーム」株式会社TESSの代表取締役・鈴木堅之
「COGYプロジェクトチーム」株式会社TESSの代表取締役・鈴木堅之

COGYの青写真になる研究は東北大学で30年前からはじまっていたそうだが、何度も暗礁に乗り上げそうになりながらも、製造・販売まで漕ぎ付けたのは、「下半身がまったく動かせない人たちをもう一度立って歩かせたい」という鈴木の強い信念と志があったからに他ならない。この想いが多くの協力者の心を動かした。

「113番元素(ニホニウム)発見チーム」は、原子核同士をぶつけて融合させる方法でその発見に至った。400兆回という想像を絶する回数衝突させ、ニホニウムができたのはたったの3個だったという。森本幸司(仁科加速器研究センター 超重元素研究グループ「超重元素分析装置開発チーム」チームリーダー)は、「元素が自然界にあるかを知ることは、純粋に興味深く、また未来の科学の発展のためにも意義のあることなんです」と語る。

森本幸司(仁科加速器研究センター 超重元素研究グループ「超重元素分析装置開発チーム」チームリーダー)
森本幸司(仁科加速器研究センター 超重元素研究グループ「超重元素分析装置開発チーム」チームリーダー)

その言葉にあるように、徹底的に仮説を信じ、気の遠くなる実験の繰り返しの中でもモチベーション高く維持できたのは、メンバーがその活動に対する誇りと信念を共有しているから、ということに尽きる。今回の表彰式では、このことの重要性を改めて強く感じさせられた。

どのチームのコメントも我々の普段のビジネスや活動に落とし込めるヒントを持った示唆に富んだものばかりだった。「チームワーク」という観点でプロジェクトを見ることで、「個」とはまた別のベクトルの奥行きや物語が見えてくる。

イベント情報

『ベストチーム・オブ・ザ・イヤー 2016』

最優秀賞:
Pokémon GOチーム
優秀賞:
体操男子団体チーム
113番元素(ニホニウム)発見チーム
COGYプロジェクトチーム
『君の名は。』チーム

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