レビュー

スクラップ扱いをされる「デザイン」を、スクラップ(切り抜き、抜粋)するクリエイター集団

杉浦太一
スクラップ扱いをされる「デザイン」を、スクラップ(切り抜き、抜粋)するクリエイター集団

同じフィールドの人々が集まって何かをはじめるというのは、だいたいの場合、「あたらしい」でもないし「おもしろい」でもない。それはきっと、当初抱えていた集まった「目的」が空洞化して、集まっている状態自体に心地よさを感じてしまうからだ。そうなると、その集団のパワーは、自分たちで思っている以上に、弱く、気持ち悪いものになってしまう。ようは、「ウチワ」っていうやつだ。

さて、scrap graphic。
見よ、このクリエイティブワークを。
興奮というより、唖然・・・。

比べてみるなら、手の届かないような有名ブランドの雑誌広告。あの写真の世界は、日常を生きる庶民にとっては異世界だ。異世界だからこそ、憧れる。だから、有名ブランドは有名ブランドであり続けられる。

一方で、このscrap graphicのクリエイターによる写真を見てみる。卓越した構図や光、画像処理で、この世界の高級感は、有名ブランドのそれに限りなく近い。それでいて、被写体は、まるで動き出すかのように、ぼくたちの日常に近い世界を生きている。

有名ブランドの広告写真の世界は実際のところ、手が届かないし、手をのばす気もそこまでしない(なんかひがんでいるような・・・)。手をのばした途端に、身の丈違いだったり、その世界が幻想なような気がしてならないのだ。それにひきかえscrap graphicのこの日常感。今を生きるこの日常が賞賛されているような美しさが、心強い。

この日常から出発しているポジティブなパワーが、ありがちな「ウチワ感」を払拭し、scrap graphicというユニットの未来への期待を高めていく。オナニーでもなく、仲良しこよしでもない、お互いを高め合うために集合しているようなクールで健全なつながりが、作品から見てとれるのだ。

※このコンテンツは旧「ピックアップアーティスト」の掲載情報を移設したものです

プロフィール

scrap graphic

TAKASHI NAKANO(smear graph)とテラダヒデジ(Tokyo Graphic Team cords)の2人が2009年2月よりスタートさせたデザインアイテムストア。メインコンセプトにコミュニケーションを掲げ、デザインによる繋がりを求め作品を創り続けている。

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