レビュー

「キャラクターイラストレーション」をテーマに据えた「カワイイ中毒」な作品たち

安野泰子
2010/08/20
「キャラクターイラストレーション」をテーマに据えた「カワイイ中毒」な作品たち

キャラクターにとって「カワイイ」という性質は、より多くの人々から愛されるための必須条件だろう。ただ松浦さんの手掛けるキャラクターは、単なるカワイさにはとどまっていない。一見ふんわりとした妖精のような佇まいでも、その目はビー玉のように冷たく透き通って虚空を見つめている。また私たちが作品の前に立てば、ぐっと睨みつけるようにして相対される。彼らは決して愛くるしい笑顔で微笑みかけてはくれない。それはちょうど、暗闇からふいにあらわれ一瞥をくれてスッと消える、夜更けの道端で出くわす野良猫のように、どこかトガっていてクールな存在だ。

しかしそれでいて松浦さんの作品は、ダイナミックな構図や色彩効果もあり、「激しさ」を併せもっていると言える。キャラクターたちは画面から飛び出さんばかりの躍動感に溢れており、さながら俵屋宗達の描いた風神雷神の屏風絵のように、突風が吹き雷が落ちるような激しい「ざわめき」を感じさせる。

「カワイイ」要素に加えて「クールさ」、そして対極にある「激しさ」のスパイスが絶妙にきいたキャラクターたち。その作品世界に触れることで、今回の個展のサブタイトルにもなっている「Sweet Addiction=カワイイ中毒」に、まさに私たちはなりかねない。

※このコンテンツは旧「ピックアップアーティスト」の掲載情報を移設したものです

プロフィール

松浦浩之

1964年東京生まれ。グラフィックデザイン業務に携わったのち、1999年より「日本のキャラクター文化」をテーマに作品を制作。2005年に東京画廊で開催された個展『Super Acrylic Skin』でアーティストへと転身して以降、絵画、立体、版画など作品の形式を広げながら、国内外で作家活動を行う。近年では2008年と2009年に台湾の誠品画廊、2009年に北京のBTAPで個展を開催するなど年々国際的な注目を集めている。

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