美人すぎるシンガーと呼ばれた藍井エイル。チャート上位を賑わすアニソンを今知っておくべき理由

『ミュージックステーション』放映後、「美人すぎるシンガー」としてネットがざわついた

5月8日、事件は起こった。テレビ朝日系の音楽番組『ミュージックステーション』が初めて、アニソン出身の二人の歌姫の競演を試みたのだ。一人は昨年、今年と2度の武道館公演を成功させたLiSA。そしてもう一人が、番組当日にTwitterの「HOTワードランキング」で急上昇を果たした藍井エイルだ。藍井エイルは、圧巻の歌声と迫力あるパフォーマンス、そして抜群のスタイルとクールビューティーなルックスで、「美人すぎるシンガー」として番組放映後にネット上で大きな話題を呼んだ。疾走感に満ちたロックサウンドをバックボーンに、シンガーとしての実力を蓄えてきた二人は、「アニソン界には、こんなに魅力的な女性シンガーがいたのか!?」という新鮮な驚きをお茶の間に与えてくれた。

バンド、シンガー問わず、音楽活動を続けてきた有名アーティストがアニメ主題歌を担当すれば多くのニュースに取り上げられるが、アニメ主題歌でデビューを果たしたアーティストについて、一般的なメディアで語られる機会は(悲しいかな)少ないのが現状だ。CD不況と言われて久しい国内音楽マーケットにおいて、ヒットチャート上位を常に賑わし、一人気を吐く状況を作り上げているアニソンというカテゴリーは、CD売り上げもライブ動員においても巨大なマーケットを形成しながらも、そこで活躍するアーティストたちは、未だ知る人ぞ知る存在。実力派が多数顔を揃えているというのに、なんとももったいない話だ。

ハードロックのギターをハイトーンボイスで切り裂く、「アニソン」の枠に収まらないシンガー

なかでも最初に紹介した藍井エイルは、2015年、最も知名度を高めるであろうアーティストだ。札幌市で生まれ育った彼女は、2011年10月にテレビアニメ『Fate/Zero』のエンディングテーマに抜擢された1stシングル“MEMORIA”でメジャーデビュー。人気アニメの主題歌を次々と担当し、これまでシングル10枚、オリジナルアルバム2枚を順調にリリースしてきた。今年5月からスタートし、6月27日の東京・豊洲PITでファイナルを迎える全国ツアー『Eir Aoi LIVE TOUR 2015 -BEYOND THE LAPIS-』は、全国9会場を速攻でソールドアウトする人気ぶりを見せつけている。

そんな彼女の一番の魅力は、やはり歌声だ。以前、音楽雑誌でインタビューさせてもらった際に「やっぱり私って、太陽サンサンで明るくハッピー!よりも、夜空と月みたいなイメージのほうが自然なんでしょうね」(『リスアニ!』Vol.21)と語っていたように、藍井エイルの歌声には深い憂いが満ちている。彼女の代表曲は、『ミュージックステーション』で披露された“IGNITE”しかり、ハードロック系ギターをベースに、ヘビーで疾走感あふれるロックナンバーが多い。急き立てられるような鋭いビートに溜め込まれた陰りを、サビでは空を切り裂くような力強いハイトーンにかえて、みなぎる衝動を爆発させて圧倒的なカタルシスを突き刺してくる。そのヒリヒリとした手触りは、じつにロックだ。


藍井エイルの歌を際立たせるのは、実力派ロックミュージシャンたち

だが一転、ミディアムテンポの、例えば最新シングルの“ラピスラズリ”のような物語性の高い楽曲では、豊かな感情を大きなスケールで叩き込んでくる。さらに“虹の音”や“クロイウタ”のようなバラードでは、言葉の一つひとつに繊細な想いを込めた豊かな表現力で胸を打つ。天性の歌声と、表現を表現たらしめる歌唱テクニック。その2つが融合した、優れた「歌心」は藍井エイルの最大の武器だ。


藍井エイルの「歌心」を際立たせているのが、作家陣の見事なクリエイティブワークだ。彼女の楽曲は、本人が「Eir」名義で歌詞を書くことも多く、多彩なコンポーザーやリリックメーカーとコラボレーションしているのだが、とくに最近はロックミュージシャンとの共同作業が盛んだ。エイル自身も大ファンだというAoのギターボーカル・安田貴広、元serial TV dramaのギタリストで現在は元ステレオポニーのAIMIと共にALiCE IN UNDERGROUNDとして活動中の新井弘毅、ももいろクローバー時代のももクロや乃木坂46への楽曲提供でも知られるベーシストの黒須克彦など、熱心な音楽ファンやミュージシャンに認められる実力派たちが参加。現在ツアー中である彼女のライブサポートメンバーにも新井弘毅、黒須克彦に加えて、元Hysteric Blueのドラマー・楠瀬タクヤ、 SIAM SHADEのボーカル・栄喜やKAT-TUNのサポートギターでもお馴染みの土屋浩一、そしてバンマスとしてAKB48などに楽曲提供しているキーボーディスト・重永亮介が参加しており、圧倒的な「ロック」を提示している。

まるで映像作家のように暗闇も光も描く、藍井エイルの作詞能力

そして、藍井エイルの6月24日リリースの3rdアルバム『D'AZUR』は、そんな彼女のロックスピリッツと歌心が、さらに一段階上のステージに昇華されたことを確実に感じさせる内容になった。彼女が描く歌詞世界は、一貫したテーマに裏打ちされている。怯え悩みながら進む暗闇にかすかに見える光を、諦めることなく追い求め、もがきながら突き進むこと。そこで受けた傷や悲しみは、決して消えない、忘れることもない。だからこそ、人は勇気を持って強くならなければならない――。混迷する現代に生きる人なら誰もが抱えている痛みを、藍井エイルはヘヴィなサウンドと歌声と言葉で、映像作家のように鮮やかに切り取っていく。“IGNITE”“ラピスラズリ”“GENESIS”といったドライブ感あふれるヒットシングルが放つまばゆい魅力もさることながら、アグレッシブでプログレッシブなラウドデジロック“Quit”で見せる暴力的なまでの衝動は、彼女が秘める熱さの証明でもある。

この夏からは、パリ、ロンドン、サンフランシスコ、アトランタ、シンガポールなど、『ROCK THE WORLD!』をタイトルに掲げたワールドツアーへと赴き、11月2日には初の日本武道館公演へと凱旋する藍井エイル。世間がアニソンという言葉から受け取る「枠」は、彼女にとっては狭すぎる。世界をロックしながら駆け巡る彼女自身の疾走が、その狭い「枠」をエモーショナルにぶち壊していくはずだ。

リリース情報
藍井エイル
『D'AZUR』初回生産限定盤A(CD+BD+Photobook)

2015年6月24日(水)発売
価格:4,000円(税込)
SECL-1714/15

[CD]
1. awakening
2. IGNITE
3. ラピスラズリ
4. ゆらり
5. シンシアの光
6. Quit
7. Bright Future
8. JUMP!!!
9. 幻影
10. ずっとそばで
11. GENESIS
12. ツナガルオモイ
13. 青の世界
14. BREAK OUT!
[Blu-ray]
1. IGNITE(Music Video)
2. ツナガルオモイ(Music Video)
3. GENESIS(Music Video)
4. ラピスラズリ(Music Video)
5. シンシアの光(Music Video)
6. Making of「D'AZUR」
※オリジナルストーリー仕立ての豪華フォトブック付き

藍井エイル
『D'AZUR』初回生産限定盤B(CD+DVD+Photobook)

2015年6月24日(水)発売
価格:3,700円(税込)
SECL-1716/17

[CD]
1. awakening
2. IGNITE
3. ラピスラズリ
4. ゆらり
5. シンシアの光
6. Quit
7. Bright Future
8. JUMP!!!
9. 幻影
10. ずっとそばで
11. GENESIS
12. ツナガルオモイ
13. 青の世界
14. BREAK OUT!
[DVD]
1. IGNITE(Music Video)
2. ツナガルオモイ(Music Video)
3. GENESIS(Music Video)
4. ラピスラズリ(Music Video)
5. シンシアの光(Music Video)
6. Making of 「D'AZUR」
※オリジナルストーリー仕立ての豪華フォトブック付き

藍井エイル
『D'AZUR』通常盤(CD)

2015年6月24日(水)発売
価格:3,000円(税込)
SECL-1718

[CD]
1. awakening
2. IGNITE
3. ラピスラズリ
4. ゆらり
5. シンシアの光
6. Quit
7. Bright Future
8. JUMP!!!
9. 幻影
10. ずっとそばで
11. GENESIS
12. ツナガルオモイ
13. 青の世界
14. BREAK OUT!

プロフィール
藍井エイル
藍井エイル (あおい えいる)

11月30日生まれ。北海道札幌市出身。AB型。2011年10月、『MEMORIA』(TVアニメ『Fate/Zero』ED)でメジャーデビューを果たし、オリコン初登場8位を記録。これまでに発表された2枚のオリジナルアルバムも、『BLAU』が4位、『AUBE』が6位と、どちらもオリコンで初登場トップ10入りを果たす。また、数多くの海外ライブイベントにも出演し、自身のFACEBOOKページには世界中から多くのいいね!が寄せられるなど海外からの支持も大きい。圧巻の歌唱力と、クールビューティーなビジュアルを武器に、今もっとも勢いに乗る要注目超実力派女性ボーカリスト。



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