特集 PR

KYGOの変化をどう読み解く?世界トップのEDMアクトも分析

KYGO『Kids In Love』
テキスト
宇野維正
編集:山元翔一
2017/11/20
  • 97
  • 2

KYGOの変化をどう読み解く?世界トップのEDMアクトも分析

デビュー作で巨大な成功を手にしたKYGOが、2作目で変化を遂げようとするワケ

Apple Musicで独占公開されているKYGOの映像作品『ストール・ザ・ショウ』(2017年)は、彼のサクセスストーリーを描いたよくできたドキュメンタリーであるだけでなく、現在のダンスミュージックシーン、ポップシーンをより深く理解する上でもとても興味深い作品だ。現在26歳、作中ではまだ24歳のノルウェーの青年KYGOが、彼よりもさらに若い大学を出たばかりのアメリカ人マネージャーと二人三脚でスターダムを登っていく、まさにその瞬間をとらえた同作。

KYGO『ストール・ザ・ショウ』(Apple Musicで見る

音楽的な才能(KYGO)と、的確な戦略(マネージャー)と、音楽業界の構造をすっかり変えてしまったリスナー環境(ストリーミングサービス)、そのいずれが欠けても、現在のKYGOの大躍進はなかったこと。そして、一度上昇気流にのると、億単位でストリーミング再生回数が増えていき、あっという間にアーティストを取り巻く状況が変わっていくことがよくわかる。

しかし、アーティストとオーディエンスに大きな高揚感をもたらすスピード感のある成功は、同時にアーティスト自身を追い込むことにもなる。EDMのシーンにおいて頭角を現し、さらにその一大潮流であるトロピカルハウスの立役者となったKYGOにとって、今回の2ndアルバム『Kids In Love』での変化は必然だった。「今の時代は、常に二歩先を行く必要がある」――『ストール・ザ・ショウ』のなかでもそう語られているように、シーンの最前線で、数万人のオーディエンスの前に立って、メインストリームのポップの世界でヒットも飛ばしているダンスミュージックアクトには、常に次の一手が求められている。成功に胡座をかいて、同じ場所に安住することは許されないのだ。

2015年に発表したKYGO初のオリジナル楽曲。同楽曲をリリース後、KYGOはSpotify史上最速で再生回数10億回を突破したアーティストとなった KYGO『Kids In Love』収録曲

Avicii、カルヴィン・ハリスら、次のフェーズに以降する世界トップのEDMアクトたち

ここ数年、我々は多くのトップEDMアクトの大きな変化を目撃してきた。スタジアムで初の日本公演も実現した2016年のツアーを最後に、ライブ活動からの引退を表明したAviciiは、今では母国スウェーデンの自宅に引きこもり、よりアコースティックなサウンドと人間味の溢れた歌の領域を探求している。

Avicii『Without You』(2017年)収録曲

2015年にラスベガスのクラブのレジデントDJとして契約を交わしたカルヴィン・ハリスは、ロサンゼルスに居を定め、目が眩むほど豪華なゲストたちをスタジオに招集してアメリカ西海岸ヒップホップの影響下にある傑作アルバム『Funk Wav Bounces Vol. 1』(2017年 / 参考記事:カルヴィン・ハリスの2017年の新作は、10年後のシーンの鍵を握る)を作り上げた。しかし、そんなカルヴィン・ハリスもライブの現場ではまだ新しいスタイルを打ち出そうとはしていないことが、ラスベガスのクラブ以外では久々のステージとなった、日本での今年の『SUMMER SONIC』のパフォーマンスで明らかになった。カルヴィン・ハリスのようなスタジオ作品とライブ(DJ活動)のダブルスタンダード――それもまた、アーティストが自身の音楽的モチベーションと商業的価値を両立させる上でのひとつの解決方法なのだろう。

Page 1
  • 1
  • 2
次へ

リリース情報

KYGO『Kids In Love』日本盤
KYGO
『Kids In Love』日本盤(CD)

2017年11月15日(水)発売
価格:2,376円(税込)
SICP-5602

1. Never Let You Go (feat. John Newman)
2. Sunrise (feat. Jason Walker)
3. Riding Shotgun (with Oliver Nelson feat. Bonnie McKee)
4. Stranger Things (feat. OneRepublic)
5. With You (feat. Wrabel)
6. Kids in Love (feat. The Night Game)
7. Permanent (feat. J.Hart)
8. I See You (feat. Billy Raffoul)
9. Stargazing (feat. Justin Jesso)
10. It Ain't Me (with Selena Gomez)
11. First Time (with Ellie Goulding)
12. This Town (feat. Sasha Sloan)
13. It Ain't Me (with Selena Gomez) (Tiesto's AFTR:HRS Remix)
14. First Time (with Ellie Goulding) (R3hab Remix)

プロフィール

KYGO
KYGO(かいご)

ノルウェー、ベルゲン出身のDJ / プロデューサー。南国を連想させる、ゆったりとしたビートが特徴的な「トロピカルハウス」の火付け役として注目を浴び、自身初のオリジナル楽曲“Firestone ft. Conrad Sewell”などが大ヒット。その後、Spotify史上最速で再生回数10億回を突破したアーティストとなった。2016年5月にはデビューアルバム『Cloud Nine』をリリース。全米ダンス / エレクトロニック・アルバム・チャートで1位、全英チャート3位に加え、全世界18か国のiTunesチャートで1位、ここ日本でもiTunes総合アルバム・チャート2位、ダンス・アルバム・チャートでも1位を獲得し、EDMの新しいムーヴメント、癒し系EDM=「トロピカルハウス」の火付け役として、世界中のダンス・ミュージック・ファンのみならず、ポップスファン、ロックファンからも絶大な支持を得た。その後もApple Music限定のドキュメンタリー映画『ストール・ザ・ショウ』公開や、『ULTRA FESTIVAL JAPAN』への2年連続ヘッドライナー出演を経て、EP『Stargazing EP』をリリース。セレーナ・ゴメス、エリー・ゴールディングに加えU2とのコラボ曲“You're The Best Thing About Me feat. U2”(U2 vs. Kygo)を発表。2017年11月、2ndアルバム『Kids In Love』をリリースした。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

キセル“富士と夕闇”

キセルを聴くと、特別なものは本当に言葉にするのが難しいなと思う。3年ぶりのアルバムより、“富士と夕闇”のMV。日常を切り取っているはずなのにサイケデリックで、二人と一匹を映しているようで景色ばかりが目に入る映像の不思議が、妙にキセルにはまっている。監督はVIDEOTAPEMUSIC。浮遊感ある音も相まって、忙しない現実も融解するよう。(山元)

  1. クドカン&又吉の生放送『おやすみ日本』SPに細野晴臣、勝地涼、峯田和伸ら 1

    クドカン&又吉の生放送『おやすみ日本』SPに細野晴臣、勝地涼、峯田和伸ら

  2. スピルバーグ新作『レディ・プレイヤー1』新映像 ガンダムや春麗ら登場 2

    スピルバーグ新作『レディ・プレイヤー1』新映像 ガンダムや春麗ら登場

  3. 西寺郷太がプライベートスタジオで語る、NONA REEVESの20年 3

    西寺郷太がプライベートスタジオで語る、NONA REEVESの20年

  4. 2017年公開作を一挙上映 年末恒例企画に『ムーンライト』など22本 4

    2017年公開作を一挙上映 年末恒例企画に『ムーンライト』など22本

  5. 片山萌美の足がでんでん&淵上泰史を狂わせる 谷崎原案『富美子の足』予告 5

    片山萌美の足がでんでん&淵上泰史を狂わせる 谷崎原案『富美子の足』予告

  6. 生田斗真×瑛太の極限の友情 『友罪』特報映像&自撮り風ビジュアル公開 6

    生田斗真×瑛太の極限の友情 『友罪』特報映像&自撮り風ビジュアル公開

  7. 『逃げるは恥だが役に立つ』、大みそか&元日に地上波で全話一挙に再放送 7

    『逃げるは恥だが役に立つ』、大みそか&元日に地上波で全話一挙に再放送

  8. Perfume支えるテクノロジーに迫るNHK特番 案内人に真鍋大度&ムロツヨシ 8

    Perfume支えるテクノロジーに迫るNHK特番 案内人に真鍋大度&ムロツヨシ

  9. 『デザインあ展』が5年ぶり開催 中村勇吾、小山田圭吾も参加 9

    『デザインあ展』が5年ぶり開催 中村勇吾、小山田圭吾も参加

  10. コップのフチ子が1500種以上集う『あなただけのフチ子展』、初公開原画も 10

    コップのフチ子が1500種以上集う『あなただけのフチ子展』、初公開原画も