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第11回目 ブックデザイナー祖父江慎インタビュー
長きに渡りフォントの魅力をお伝えしてきた本連載も、いよいよ残すところあとわずかとなりました。今回の連載では、実際にフォントを扱ってデザインを行うブックデザインの第一人者、祖父江慎さんのインタビューをお届けしたいと思います。その独特の感性をもとに紡がれる「言葉」は、フォントの過去と未来を的確に照らし出してくれています。デザインに興味のある全ての方に、是非読んでいただきたい内容となりました。
(テキスト:CINRA編集部) 連載『嘘じゃない、フォントの話』(supported by モリサワ) 第11回:ブックデザイナー祖父江慎インタビュー
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祖父江 慎

祖父江 慎
1959年生まれ。アートディレクター。意図的な乱丁や斜めの裁断など、装幀の常識を覆すデザインが人気を誇る。1990年、デザイン事務所コズフィッシュを設立。主なブックデザインに『伝染るんです。』(吉田戦車)、『どすこい(仮)』(京極夏彦)、『GOGOモンスター』(松本大洋)、『言いまつがい』(糸井重里)、『ユージニア』(恩田陸)、『ちいさなうさこちゃん』(ディック ブルーナ)などがある。

明朝体って、「こわい」文字?

祖父江さんが文字に興味を持つようになったきっかけから教えていただけますか?

祖父江:保育園のとき、うちで「ひろば」とかいう月刊誌を取っていたんですが、誌面が子ども用のページとお母さん用のページに分かれていて、それぞれ異なる書体が使われていたんです。子ども用はゴシック体、お母さん用は小さいサイズの明朝体でした。お母さん用の方には、子どもが病気になった場合の処置方法が病気の絵と一緒に書いてあったり、きっと夫婦生活の記事があったりだと思うんです。しかも漢字ばかりだったんですね。親に「ここ、なんて書いてあるの?」って聞いても、「そこは大人用だから子どもは読まなくてもいい」なんて言われて。その頃から、明朝体の文章には何か恐いことや、読んではいけないものが書いてあるんだというイメージが植え付けられちゃったのかもです。

祖父江さんが文字に興味を持つようになったきっかけなるほど。ただ、その頃はもちろん明朝体やゴシック体という名前は意識されていなかったと思い ます。そういった分類について意識的になっていったのはいつ頃なんでしょう?

祖父江:よく覚えていませんが、小学生から中学生あたりですかね。楽しいページはゴシック体、まじめなページは明朝体。文字に対して強い興味があったわけではないのですが、文章を読むのが苦手だったぶん、字の形をながめる時間が多かったのかもしれません。

自覚的に文字に対して興味を持ち始めたのは、大学に入ってデザインを始められた頃なのでしょうか?

祖父江:小学校の高学年の頃から、当時流行っていたイラストレーターの水森亜土ちゃんを真似して、丸い字を書いていたりはしましたけどね(笑)。それから、「自分書体」を作ろうともしましたよ。友達と一緒に秘密のスパイ文字を作ろうと。

それは面白いですね! 自分たちにしかわからない暗号のようなものですか?

祖父江:そうですね。対応表を持っていないと読めないような複雑なものでした(笑)。

大人には知られないように、興味のある秘密を伝えあったりできる。それも文字が持っている大事な価値のひとつですよね。

祖父江:でも文字って、物事を伝えにくいものなんですよ。

えっ、そうなんですか? 例えば、こうやって話すことにくらべて、ということでしょうか。

祖父江:はい。相手を見ながら話したり、吠えたりするほうが、ある意味では伝えやすいんです。言葉のニュアンスをちゃんと伝えるのはとても難しいし、誤解を生んでしまうこともありますからね。だから本の組版や書体選びが重要になってくるんです。

本の組版や書体選びが重要

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