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淋しさを埋めることなく、ただ眺めている。そんな音楽があってもいいと思った。

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「淋しさ」に救われて conchillインタビュー

「淋しさ」に救われて conchillインタビューをdel.icio.usに追加 このエントリーをはてなブックマークに追加 「淋しさ」に救われて conchillインタビューをlivedoorクリップに追加 「淋しさ」に救われて conchillインタビューをlivedoorクリップに追加 (2008/09/02)

人間は誰だって心のどこかに孤独を抱えていて、ふとした時に「淋しい」と思うことがあるだろう。そしてそんな時、元気や勇気をくれる身近な存在が音楽だったりする。でも、考えてみればその「淋しさ」をわざわざ埋める必要ってあるのだろうか?

今回インタビューをお届けするconchill(コンチル)というバンドは、「その『淋しさ』をただ眺めている、そんな音楽があってもいいと思った」と言う。「トリップフォーク」と名付けられた彼ら独自の音楽世界は、既存のポップ・ミュージックとは違った方法論で聴き手と接触する。その本質について、作曲を手がける柴田裕介、角田朋幸に伺った。

(インタビュー:柏井万作)

PROFILE

2005年より東京にて活動を開始。男女混声、アコースティックギター、エレキギター、ドラムによるベースレス編成。フォーク、エレクトロニカ、Hip Hop等メンバーのルーツとなるジャンルをバンド独自の解釈で色付けし合い、邦楽洋楽の枠を超えた時代性豊かな音楽を確立。叙情的な歌詞表現や、楽曲に対するストイックな姿勢は、様々なアーティストからも高く評価されており、良質な日本語ポップの継承者として、今なお進化を続けている。
conchill website
CINRA.NET > アーティストファイル conchill

conchillの音楽に歩み寄ってくれた人はきっと、
「音楽の聴き方」という点で、引き出しが増えると思うんです。

─conchillは「トリップフォーク」と名付けられた独特なサウンドが印象的ですね。

柴田:今でこそ自分たちの音楽を「トリップフォーク」なんて言ってますけど、バンド結成当初は、今のようなサウンドとは少し違ったんです。“sweet”という曲があるんですけど、この曲を僕が最初に作って、「こういう音楽をやろう」と角田くんに持ちかけたことでこのバンドは始まったんです。今考えるとそれが全てでしたね。この曲を育てる過程で自然と曲も増えたし、この曲のアレンジを考えることこそが、今のconchillの音に向かう第一歩だったように思います。

─“sweet”を作ったことで、conchillの方向性が決まった?

conchillインタビュー

角田:そうですね。“sweet”を作った時はまだ僕と柴田くんしかいなかったんだけど、僕たち二人が同じバンドを組むなら、こういう方向性がいいだろうってすぐに思えた。そういう意味では、サウンドそのものよりも、楽曲ありきで始まったようなところはあるんだと思う。

柴田:この曲って、本当に不思議な曲なんですよ。簡単なコード進行なのに、どこにも似たものは存在しない。なので、毎回ライブでも欠かさず演奏するし、もちろん練習でもやるし、それでも飽きることはないし、やりきれたと思うことも決してない。少しずつ少しずつ形にしていって、今の「トリップフォーク」にしていったんです。

─バンドって初期の曲は遺物にしてしまうことも多いと思いますが、バンド1曲目にして本当に大切な曲なんですね。

柴田:音楽って楽曲それぞれに「持久力」というものがあると思うんですよ。100年聴けるものと、次のアルバムが出るまでしかもたないようなものがある。大げさだけど“sweet”は僕たちが死んでも残っていくような不思議な力がある曲なんじゃないかと思えるんですよね。僕は物事はできるだけ頭の中で解決させたい人間なんですけど、この曲はそんな頭の中を超えている感じがしていて。いい歌詞や曲って、頭の中で作るんじゃなく、やはりどこか無意識的に生まれることが多くて、この曲を作った時はその感じが特に強くありましたね。

─“sweet”といえば、「世界」という言葉を繰り返し歌い続けるのが印象的ですね。

柴田:そうやって言葉を繰り返し続けることにはこだわりがありますね。きっと、それは自分が言葉を噛み締めているような気がするからで、同じフレーズを何度も繰り返すことで、リスナーも必死に意味を解釈しようとしてくれることがあるからだと思います。

─conchillの音楽自体、リスナーが自由に楽しめる余地がありますよね。

柴田:そうですね。僕たちはライブハウスでも比較的小さい音で演奏してたり、レコーディングでもなるべく楽器本来の響きを大切にしているんです。今は街中でも大きな音が溢れているし、CDにしてもライブにしても音が大きいのが当たり前じゃないですか。そういう音楽ももちろんあっていいと思うんですけど、そんな音楽ばかりになっているのはなんだか変な感じがする。無理に主張してでも聴かせようとするものが多すぎるんですよね。

conchillの音楽は逆で、さほど自己主張は強くない。耳を澄ましてこそ、心地よく聞こえるものなんだと思います。そういう意味では、conchillの音楽は、そうやってお客さんが「耳を澄ます」ことで1歩前に近づいて来てくれないと、意味だったり良さがなかなかうまく伝わらないのかもしれません。

─それはなかなか難しいチャレンジですよね。今は分かりやすく作らないと見向きもされないほど情報量が多いですし。

柴田:「分りやすい」とか「楽しみやすい」音楽の方が受け入れられやすいのは分っているし、それを無視するつもりはないんですけどね。だから僕たちが努力しなければいけない部分もあるんですけど、それでもこれが一番conchillらしいやり方なんだと思います。

conchillの音楽は、他の音楽に比べるとメリハリにかけるんでしょうけど、この音楽に歩み寄ってくれた人はきっと、「音楽の聴き方」という点で、引き出しが増えると思うんです。もっと言えば、人の日常の言葉にももっと耳を傾けるようになるんじゃないかと思う。自分がconchillというバンドをやっている意味はきっとそういうところにあるから、このアルバムがそうしたキッカケになれば嬉しいですね。

2/2ページ:「ただそこにあるだけの風景」に救われた経験から…

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