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HARAJUKU PERFORMANCE +(PLUS)鼎談

HARAJUKU PERFORMANCE +(PLUS)鼎談

テキスト
但馬智子
写真:小林宏彰

年の瀬恒例のパフォーマンスの響宴『HARAJUKU PERFORMANCE +(PLUS)』が12月19日よりいよいよ開幕! 今回のキーワードは「パフォーマンスのアーキテクチャ」。このキーワードにより構築される今年のラインナップにはいったいが何が込められているのか? 混迷と変革の2009年にあって、はたして『HARAJUKU PERFORMANCE +(PLUS)』はパフォーマンスをめぐるゼロ年代の総括を示してくれるのか? はたまたテン年代というネクストジェネレーションの向かうべき方向へと導いてくれるのか? プロデューサーの小沢康夫氏と、今年のキーパーソンともいえるともに80年代生まれの劇作家/演出家の柴幸男氏とOpen Reel Ensembleの和田永氏が、パフォーマンスをめぐる「いま」を軽やかに、そしてポジティブに語り合いました。

(テキスト:但馬智子 写真:小林宏彰)

二人は初対面だけど、すでにお互いの本質をよく見抜いているよね(小沢)

小沢:唐突ですが、お二人はいくつだっけ?

和田:このあいだ、22になりました。いま大学4年です。

:僕は27です。

小沢:まさに、CINRA世代のアーティストですね。

和田:僕は夜な夜なCINRAチェックしてます。

:僕は、編集部に知り合いの知り合いがいて、CDマガジンの時代から読んでます。

小沢:今日お二人は初対面ですが、お互いの作品を映像などで見てもらってきているのですけど、印象はいかがでした?

和田:僕は柴さんの『ハイパーリンくん』という作品を見て、もうイメージの嵐で圧倒されました。僕もこの物語にある宇宙の話なんかが好きなんですが、結局は誰にも理解できない謎があるんだというところにつながっていったり、そういうロマンのようなものがラップという手法と組み合わさって、すごく新鮮に感じました。

『ハイパーリンくん』
『ハイパーリンくん』(撮影/青木司)

さらに、僕らには共通点があると思ったんです。というのは、僕はもともとバンドをやっていて、いまの活動の原点にあるのは音楽なんですが、その表現手段のひとつとしてオープンリールという道具を使い始めた。この機械と出会ったときにアナログの機械が持つ機構の面白さに惹かれたんです。出てくる音と機械の操作や動作がシンクロしている様子ですね。音楽を演奏しながら、その機械が持つ面白さもビジュアルとして見せる。そういった、構造をオープンにした別の手法を音楽に取り入れながら演奏をするというのが、僕のパフォーマンスなんです。つまり、柴さんにはあくまで演劇や物語という土台がある。それに、ラップや多重録音のような手法を表現の枠組みや仕組みとして取り入れて演劇をつくっている。僕たちはどこか通じていると思ったんです。

:じつは僕もまったく同意見なんです。僕はメディアアートの作品が好きでよく見るんですけど、ただ機械や機構だけが作品として提示されたものには、それほど衝撃を受けることはなくて。でも、和田さんの作品をYouTubeで見たとき、この機械を使ってどんな音楽が生まれ、どんなパフォーマンスになるかを念頭に置いたようなアピールの仕方に、すごくグッときたんです。つまり、音楽という土台があって、オープンリールという「楽器」からつくりあげていく発想、そしてそれがパフォーマンスとして成り立っている。根本から枠を一回つくり直して、自分が遊ぶための道具を新たにつくっていくというところが、とにかく面白い。僕はそういう意識でものづくりをすることがあって、だから和田さんの発想にすごく共感しました。

和田:自分の「枠組み」をイチから考えるのは面白いですよね。僕のオープンリールは、手段であり道具であり、目的はオープンリールを使ってクールな「音楽」を奏でることです!



小沢:いきなりディープな作品解釈とメッセージだね。初対面だけど、二人はすでにお互いの本質をよく見抜いていることがわかりました。でも、この鼎談を読んで初めて二人のことを知る人もいると思うので、まずは基本的なところからお願いします(笑)。和田君のOpen Reel Ensembleの紹介をしてください。

和田:僕が使っているオープンリールとは、約40年前に使われていた旧式のオープンリール式のテープレコーダーのことで、音を録音して再生するために使われていた機械です。それをPCで制御できるようにして、僕はそれを録音機というより楽器として使いながら音楽を演奏し、パフォーマンスをしています。このレコーダーはリールの回転によって磁気テープに音を録音したり、再生したりするのですが、この回転を素手で直に操作したり、PCを介して動作を制御したりしているんです。いまの時代から見るととてもローテクな機械なんですが、リールの回転と音とがシンクロしているところが、僕には「かわいい」なと(笑)。さらに音に関連した僕ら演奏家自身の動きを見せたら「面白いかも」と。とにかくオープンリールならではの音色や奏法を生かして、これを最大限使い倒すというパフォーマンスです。Open Reel Ensembleというプロジェクトを立ち上げたのは僕で、現在リール奏者は自分を含めて4人。メンバーとして大学や高校時代の仲間を集めました。

小沢:では、柴君にも同じ質問を。自分がやっていることを自分で説明するのは難しいかもしれませんが…。

HARAJUKU PERFORMANCE +(PLUS)鼎談
柴幸男

:僕は、かなりちゃんと演劇をやっているほうだと思うんです(笑)。ちょっとダンス的だったり即興性があったりもするんですけど、もともとは演劇らしい演劇から入っていて、それを自分でもやっているつもりです。そこに、演劇以外で使われている発想や構成や構造というもの、なかでも自分が面白いと思ったものを輸入して、自分が好きな演劇と混ぜてできないかなといつも思っているんです。

僕の作品は、先ほど和田さんが言ったように、たとえば、ラップのような芝居をやったり、CGのようにずっと歩き続ける人と人をつないで同一人物に見せかけるものをやったり、多重録音をつかったりします。例えば、PhotoshopやIllustratorにあるような「レイヤー」という感覚や構造を自分のなかでいちど消化して、演劇としてつくってみる。さらにそこから新しい物語を立ち上げていきたいというのが、ここ最近の僕の演劇です。

小沢:10月に三鷹(三鷹市芸術文化センター)で上演した『わが星』は現段階で柴君の最高傑作ですよね。

『わが星』
『わが星』(撮影/青木司)

:『わが星』は、僕の作品を上演するカンパニー「ままごと」の旗揚げ公演でしたが、宇宙の星の話で、上演時間80分のうち後半のほとんどがラップと芝居が溶け合っているような音楽的な作品です。□□□(クチロロ)の三浦康嗣さんにつくってもらった音楽や効果音など、僕がぜんぶ生でオペレーションしました。

小沢:いわゆる生演奏だったんですね。柴君がオペ席でノリノリで音をつけている、その愉しそうな雰囲気もまさにライブでした。「演劇にラップを導入して」と言葉で言うと陳腐な感じがするのですが、実際に見るとことはそう単純ではなく、演劇としての物語や時間軸がはっきりとあって、音楽的にもパフォーマンス的にも、見たことないものになっている。そういう完成度の高さがありましたね。

:ダンスが出てくる演劇や、音楽表現を取り入れている劇団もたくさんあって、僕の場合は普通に役者がいてセリフがあって、演出がついてて、という堅気の演劇をやっているつもりなんです。結果として演劇以外の人にも喜んで見てもらえてうれしいです。

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イベント情報

HARAJUKU PERFORMANCE + (PLUS) 2009
『HARAJUKU PERFORMANCE+2009』

2009年12月19日(土)、20日(日)、22日(火)、23日(水)
会場:ラフォーレミュージアム原宿

ロマンチカ・スペシャル公演
横町慶子 SOLO ACT VOL.01『かわうそ』

2009年12月19日(土)19:00
2009年12月20日(日)15:00 / 19:00
作・演出:林巻子
主演・振付:横町慶子
音楽監督:菊地成孔
声の出演:田口トモロヲ
料金:前売4,000円 当日4,500円

ロマンチカ・スペシャル公演
横町慶子 SOLO ACT VOL.01『かわうそ』

2009年12月19日(土)19:00
2009年12月20日(日)15:00 / 19:00
作・演出:林巻子
主演・振付:横町慶子
音楽監督:菊地成孔
声の出演:田口トモロヲ
料金:前売4,000円 当日4,500円

『パフォーマンスライブ』

2009年12月22日(火)19:30
2009年12月23日(水)13:00 / 18:00
出演:
黒田育世
はむつんサーブ
生西康典
contact Gonzo
トーチカ
柴幸男
Open Reel Ensemble
山崎広太
料金:前売3,500円 当日4,000円

主催:ラフォーレ原宿
企画制作:ラップネット、日本パフォーマンス/アート研究所
キュレーター:小沢康夫(日本パフォーマンス/アート研究所)

プロフィール

柴幸男<

1982年生まれ。愛知県出身。劇作家・演出家・ままごと主宰。青年団演出部所属。日本大学芸術学部在学中に「ドドミノ」で第2回仙台劇のまち戯曲賞を受賞。日常の機微を丁寧にすくいとる戯曲と、ループやサンプリングなど演劇外の発想を持ち込んだ演出が特徴。全編歩き続ける芝居(「あゆみ」)、ラップによるミュージカル(現代口語ミュージカル「御前会議」)、一人芝居をループさせて大家族を演じる(『反復かつ連続』)など、新たな視点から普遍的な世界を描き出す。東京を拠点に、地方公演やワークショップ活動など精力的に行っている。

和田永

1987年生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科在籍中。旧式のオープンリール式テープレコーダーを楽器として演奏するパフォーマンス・グループ 「Open Reel Ensemble」を主宰する一方、ミュージシャンとしても活動し、ギター、ピアノ、打楽器、電子楽器を演奏する。各種楽器を駆使して音楽/音響作品を多数制作。新作のパフォーマンス作品「Braun Tube Jazz Band」で第13回文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞受賞。

小沢康夫

プロデューサー、日本パフォーマンス/アート研究所代表。2003年、企画制作会社プリコグ設立。2008年に代表を退き、後進に譲る。同年、日本パフォーマンス/アート研究所を設立。コンテンポラリーダンス、現代美術、現代演劇、メディアアート、音楽など既存のジャンルにこだわることなく、独自の観点でプロデュースする。ラフォーレ原宿30周年企画「HARAJUKU PERFORMANCE + Special」、金沢21世紀美術館「二十一世紀塾」、美学校「超・日本・パフォーマンス論」、ヨコハマ国際映像祭2009オープニングパフォーマンス「停電EXPO」、「Postmainstream Performing Arts Festival 2010」など。

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RYOHEI KUBOTA “RISING”

ぼくのりりっくのぼうよみ、小山薫堂らからも注目される19歳のハンドパン奏者・久保田リョウヘイの“RISING”のPV。自然に溶け込むような佇まいから生み出される、まるみのある幽玄的なサウンドと情熱的なビートに身をもたげたくなる。演奏はYouTubeを見て独学で学んだらしい。圧巻です。(飯嶋)