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9.11後のサンタの物語『ビリーバー』鈴木勝秀×川平慈英対談

9.11後のサンタの物語『ビリーバー』鈴木勝秀×川平慈英対談をdel.icio.usに追加 このエントリーをはてなブックマークに追加 9.11後のサンタの物語『ビリーバー』鈴木勝秀×川平慈英対談をlivedoorクリップに追加 9.11後のサンタの物語『ビリーバー』鈴木勝秀×川平慈英対談をlivedoorクリップに追加 (2010/08/27)

9月3日から、世田谷パブリックシアターを皮切りに舞台『ビリーバー』が全国4都市で上演される。演出は、元ハッカーのジャンキー青年を描いた『LYNX』などのオリジナル演劇をはじめ、『レインマン』『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』『ディファイルド』など名作の翻訳劇も手がける鈴木勝秀。彼が今回対峙したのは、ある米国人作家が9.11以降の喪失感漂う世界で静かに発した問いだった――。「あなたはサンタを信じますか?」。すべての現代人が抱く問題意識「いま、人が何かを信じる意味」を突いた壮大な作品を上演するにあたり、複数の役どころをこなすのは川平慈英。キャスターと俳優の顔を併せ持ち、舞台では『雨に唄えば』『Shoes On !』『オケピ!』などミュージカルを中心に活躍する。今回はストレートプレイでこの難題に挑戦。勝村政信、風間俊介、草刈民代という実力者揃いのキャストとの競演で浮かび上がる真実とは?

(インタビュー・テキスト:内田伸一 撮影:柏井万作)

PROFILE

鈴木勝秀
1959 年生まれ。早稲田大学在学中から演劇活動を開始し、87年に『ZAZOUS THEATER』(ザズゥ・シアター)を旗揚げ。主宰者として構成・演出を務める。現在はフリーで活動し、演劇作品から映画、テレビ番組まで幅広いシーンで脚本・構成・演出を手がける。近年の演出作に『LYNX』(2004年[再演])、『ディファイルド』(04年)、『ドレッサー』(05年)、『レインマン』(06/07年)、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(07/08/09年)、『フロスト/ニクソン』(09年)、『クローサー』(10)など。草サッカーチーム、FCAARDVARKの監督でもある。


川平慈英
1962年生まれ。学生時代はサッカー選手として活躍し、テキサス州立大にサッカー留学の後、上智大学へ編入。在学中に英語版ミュージカル『フェイム』に出演する。86年にミュージカル『MONKEY』でプロデビュー。近年の主な舞台出演に『GOLF THE MUSICAL』(06年)、『ハレルヤ』(07年)、『五右衛門ロック』(08年)、『TALK LIKE SINGING』(09年)などがある。第4回読売演劇大賞男優賞(96年の『雨に唄えば』コズモ・ブラウン役)。さらに自身が監修・出演するライブショー『J’s Box〜川平慈英の箱〜』ほか、映画やドラマへの出演、またナレーターやキャスターとしても活躍する。サッカー中継での熱血ナビゲーターぶりも有名。


『ビリーバー』あらすじ
地球に小惑星が近づき危険が迫る、とある時代。観測所で惑星の動きを追う天文学者のハワードは、偶然「八頭のトナカイと赤い服を着た男」を目撃する。サンタクロースを信じることになった男を中心にした、切なくも心温まる物語。9.11以降の世界を背景に、社会の矛盾の中、ただ信じることや愛することの意義を問う。
舞台『ビリーバー/Believer』オフィシャルサイト

「サンタを信じる大人」が出現したら

─まずは演出の鈴木さんから、舞台『ビリーバー』がどんな物語なのかお話し願えますか?

鈴勝:ひとことで言うと「サンタを信じた男の出現によって、彼の家庭、ひいては社会全体が混乱するお話」です。その男ハワードは天文学者で、論理的な人間なので単なる狂人扱いにもならず、では最終的にどうなってしまうのか? という筋書きですね。

─原作は、エミー賞作家のリー・カルチェイム。本作はワールドプレミアだとか。

鈴勝:アメリカ人の彼がこの話を書いた背景には、9.11事件に受けた大きな衝撃があります。当時、彼自身が妻子とニューヨークに住んでいました。多くの人々同様「神はなぜこんなことをしたのか? 神の存在を本当に信じてよいのか?」と悩んだと聞いています。

─日本人が考える以上に、あの事件には信仰の問題も深く関わるのでしょうね。

鈴勝:ええ。でも、ある意味、日本人には絶対書けない世界だけど、感じることは充分にできる物語。そういう翻訳劇ならではの魅力もあります。

─サンタを信じる天文学者・ハワード役は勝村政信さん。そして彼とは違う形で非常に重要な役割を、今日ご一緒の川平慈英さんが担うと聞きました。

鈴勝:カルチェイムの思い入れの強さからか、原作には膨大な数の登場人物とシーンが描かれていました。普通にやったら上演は不可能に近い。そこで、ハワードと彼の妻子を除いた多数のキャラクターを、誰かにひとりで演じ分けてもらえたら……と無茶を思い付いたわけです。今回それをやってくれる奇特な人が慈英さん(笑)。


9.11後のサンタの物語『ビリーバー』鈴木勝秀×川平慈英対談
左:鈴木勝秀、右:川平慈英対談

─サンタを信じた男と社会との衝突を、多角的に照らし出すのが川平さんでしょうか? 記者会見によれば、何と20役も演じるとか。牧師、大統領、子ども、そしてサンタその人や神様まで……。

川平:実は、その後に僕の役数は減ったんですよ(神妙な面持ちで)……16役くらいに。

─それ、あんまり減ってません(笑)! 軽くエディ・マーフィ越えですし。

川平:稽古を通して削ぎ落とした結果なんですが、まだ多い? ウッハッハ(笑)! 実は僕、ストレートプレイは久々なんです。舞台はずっとミュージカルを軸にやってきたから。不安もありましたが、こんなチャレンジはめったにできないと思って。この作品は良い意味で、大人が遊べる作品になると直感したのも大きいですね。

鈴勝:ひとつ確実に言えるのは、このアイデアの実現によって、今回の舞台版が原作を尊重しつつも、オリジナリティを帯び始めたということです。

2/4ページ:9.11後の世界に「それでも信じるもの」は必要か

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