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初音ミクにみる新しい文化 FLEETインタビュー

初音ミクにみる新しい文化 FLEETインタビュー

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:柏井万作
2011/01/28
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あなたは初音ミクに代表されるボーカロイドに対してどんな印象を持っているだろうか? 正直に言えば、僕は今回FLEETこと佐藤純一に取材をするまでボーカロイドにはほとんど触れたことがなく、関心もあまりなかった。「音楽ファン」を自認する人の中にも、僕と同じような人は決して少なくないのではないかと思う。しかし、まずは佐藤が昨年Twitterでのやり取りをまとめた「初音ミク文化論:身体性なきボーカロイドの跳躍」に目を通してもらいたい。ここで語られている内容は実に興味深く、佐藤のブログから引用すると「全てがサブジャンル化し孤立してしまった音楽シーンを、ボカロという共通言語で包摂し、新たな文脈を生み出すことに成功した」のだという。

ここでさらに面白いのが、元々佐藤がバンドシーンの出身であるということだ。FLEET3年ぶりの新作『TRANSIT』も、ミックスの益子樹を筆頭に多くのゲストを迎え、生のバンド・サウンドと打ち込みが絶妙にブレンドされた作品に仕上がっている。そんな彼が何故ここまでボカロシーンに惹かれるのか? そして、何を目指すのか? それをぜひ、多くの人に知ってもらいたい。ちなみに、1月14日の深夜にアップされたFLEET初のボーカロイド楽曲“Cipher(サイファ)”はすでに再生回数4万を超え、多くの議論を巻き起こしている。

(インタビュー・テキスト:金子厚武 撮影:柏井万作)

その当時はまだ、「インターネット発」みたいに言われることに複雑な思いもあったんです。

―『TRANSIT』、実に3年ぶりの新作ですね。

佐藤:この3年間って、FLEETだけじゃなくて、世の中的にものすごく大きな変化が起こったと思うんですね。ポストモダンって言われて久しいですが、本当の意味で世の中がポストモダン化したのって、この2、3年だと思うんですよ。それが何でかって言うと、やっぱりインターネットが果たした役割はすごく大きくて。

―もちろんそうですね。

佐藤:それまでもインターネットはあったけど、回線が遅かった。それがブロードバンドが一般化して、YouTubeとかの動画サイトや、ソーシャル・メディアみたいなものが出てきた。その流れとFLEETの流れを重ね合わせると、FLEETの活動を始めたときっていうのはその黎明期で、インターネットを積極的に利用して世の中に出て行くことにそれなりに成功を収めることができたんですね。

初音ミクにみる新しい文化 FLEETインタビュー
佐藤純一

―ご自身のホームページで楽曲を公開したわけですもんね。

佐藤:今はニコ動とかYouTubeでオリジナル曲を聴かせるのは当たり前ですけど、FLEETが活動を始めた2005年ぐらいはまだそういうサービスもなくて。そういう中でFLEETは自分のホームページに曲をアップして、その曲が話題なったことがメジャーからのリリースにつながったんですけど、その当時はまだ、「インターネット発のバンド」みたいに言われることに複雑な思いもあったんです。

―ああ、わかるような気がします。

佐藤:「rockin'on」的なと言うか、既存のロックシーンの流れの中で評価されたいって気持ちが当時はあって、ネット発というある種特殊な立ち位置ではなく、他のバンドたちと同じ土俵で何かをやりたいと思ってたんです。そんな思いも抱えつつ07年に前のアルバムを出したんですけど、そこからの3年間でさっき言ったように世の中がガラッと変わっていく中で、そのネットによる変化のスピードとエネルギーを目の当たりにして、「いやもう、これからはこれしかないよな」って(笑)。自分はそこから出てきたんだし、FLEETどうこうじゃなくても、世界全体がそっちに向かっているのは自明で、そうなるべきだしそうならざるを得ない、と確信を深めたのがこの3年間でしたね。

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リリース情報

FLEET
『TRANSIT』

2011年1月26日発売
価格:1,800円(税込)
ポニーキャニオン / PCML-1002

1. oozora base
2. -ward
3. Transit
4. skip like jet spurt
5. she is the sun
6. path
7. shooting star

プロフィール

FLEET

2004年春、デザイナーだった佐藤純一を中心に結成。MyspaceやYoutubeの普及以前にHP上で発表した楽曲が話題に。ポストロックやエレクトロニカといったキーワードを感じさせながら佐藤純一の独自のセンスと歌心あるメロディーで構築された音楽性が公表を博す。最新作「TRANSIT」完成をもってオリジナルメンバーの池田雄一、仲井朋子が脱退。FLEETは佐藤純一のソロユニットとして再始動する。

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