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もう自分たちの利益はいらない。後藤正文がアジカンに託した役割

もう自分たちの利益はいらない。後藤正文がアジカンに託した役割

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:永峰拓也

“IF YOU TOLERATE THIS YOUR CHILDREN WILL BE NEXT”。この曲は2011年にASIAN KUNG-FU GENERATIONが主催する『NANO-MUGEN FES.』に出演を果たしてもいるイギリスの国民的ロックバンド、Manic Street Preachersが1998年に発表し、大ヒットした曲である。“輝ける世代のために”という邦題がつけられているが、スペイン内戦をモチーフに書かれたこの曲は入り組んだテーマ性を持った曲であり、その歌いだしは「未来は君に孤独でいることを教え 現在は君に恐怖と冷淡さを教える」という、シビアな現状認識から始まっている。そして、その上でタイトルに冠せられた「もし君が黙認するなら、次は子供たちの番だ」という強いメッセージを放っているからこそ、この曲は素晴らしい。アジカンの新作からも、これと同様の現状認識と、未来へ込めた願いが感じられる。

2年8か月ぶりとなるアルバム『Wonder Future』の制作は、後藤正文が編集長を務める『The Future Times』の表紙を飾ったこともあるFoo Fightersのデイヴ・グロールにプロデュースを依頼するところから始まった。結果的にそれは叶わなかったものの、LAにあるFoo Fightersのプライベートスタジオ「Studio 606」でレコーディングが行われ、ナッシュヴィルで行われたミックスはニック・ラスクリネス(Foo Fightersをはじめ、EvanescenceやMarilyn Manson、Ashなどを手掛ける名エンジニア)が担当と、強力な布陣による制作を経て、素晴らしいロックアルバムに結実している。そして、後藤はこの日の取材において、今この時代にラウドなロックを鳴らすことの理由を非常に明確に語ってくれた。アジカンが新たなフェイズを迎えたということはつまり、この国のロックが新たなフェイズを迎えたのだと言っていいだろう。

「そろそろ次の世代に手渡していかないといけない」っていう気持ちが、かなり濃い目に立ち上がってる。

―『Wonder Future』を聴かせていただいて、「後藤さんのソロアルバムは『Can't Be Forever Young』だったけど、アジカンはずっと少年、つまり『Forever Young』かも」なんてことを思ったりもして。

後藤:どうなんですかね……やってる本人たちはどんどん年老いていて、近所のガキから「おじさん」って言われても、「致し方ない」っていう感じですけどね(笑)。まあ、自分自身が音楽をやることで、ある種の青春性を体現しようみたいな気持ちはもうないです。「そろそろ次の世代に手渡していかないといけない」っていう気持ちのほうが、かなり濃い目に立ち上がってるので。

後藤正文
後藤正文

―まさに、音楽を向ける先として、常に「Young」があるっていうイメージです。それは実年齢としての若い世代に対してでもあるし、世代的には上だったとしても、その人の中に残っている少年性や少女性に訴えかけるという意味も含めて。

後藤:うん、そういうところは捨てていないですね。おっしゃる通り、それは上の世代をバッサリ切ってるとかではなく、いろんな人の中にある少年少女の部分に語りかけているところはあります。

―ただ、今回の作品に関しては、サウンドとか音楽性の部分にもある種の少年性が反映されてるとも思うんですね。最初はデイヴ・グロールにプロデュースを依頼するところから始まったそうですが。

後藤:とりあえず「言ってみようシリーズ」みたいな(笑)。そこから始まって、結果的にはスタジオを貸してくれることになったし、自分たちの中にいるロックキッズをちゃんと起動させて、できあがったギターやドラムの音に対して真っ直ぐ喜ぶようなイメージで楽曲制作はしていました。無邪気な憧れだけではないけど、ある程度そういう部分も含んではいる。

―四人の演奏を軸としたロックアルバムになったのは、バンドの10周年を経て、ある種原点に回帰したような部分があったのでしょうか?

後藤:ラウドな8ビートのロックをやりたいねって話になって、そのときパッとイメージしたのがFoo Fightersだったんです。昨今の作品も素晴らしいじゃないですか? 『Sonic Highways』(2014年)も、その前の『Wasting Light』(2011年)もものすごくよかった。ああいう音楽性で、今でもキャリアハイになるような作品を出し続けてる。それは純粋にかっこいいし、そういう人たちのやり方を目の当たりにしたいと思ったんですよね。「どうやったらあんないい音になるんだろう?」っていう。

―実際、何かつかめましたか?

後藤:特にコツが言語化されてないことに驚きました。ジャッジに対する物差しや技術が、言語化されずにその土地やスタジオに張り付いてる感じがして、それを体感して帰ってきたのが一番大きいかもしれないです。そこで感じたことを、自分の身体を使ってもう1回立ち上げるしかない。次に作業をするときは、そのときの経験が自分の基準になると思うので、そういう意味で得たものは大きかったと思います。

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リリース情報

ASIAN KUNG-FU GENERATION 『Wonder Future』初回限定盤(CD+DVD)
ASIAN KUNG-FU GENERATION
『Wonder Future』初回限定盤(CD+DVD)

2015年5月27日(水)発売
価格:3,996円(税込)
KSCL-2587/8

[CD]
1. Easter / 復活祭
2. Little Lennon / 小さなレノン
3. Winner and Loser / 勝者と敗者
4. Caterpillar / 芋虫
5. Eternal Sunshine / 永遠の陽光
6. Planet of the Apes / 猿の惑星
7. Standard / スタンダード
8. Wonder Future / ワンダーフューチャー
9. Prisoner in a Frame / 額の中の囚人
10. Signal on the Street / 街頭のシグナル
11. Opera Glasses / オペラグラス
[DVD]
1. Easter / 復活祭(Music Clip)
2. Standard / スタンダード(Music Clip)
3. Recording Documentary @ Studio 606 & Rock Falcon Studio

ASIAN KUNG-FU GENERATION 『Wonder Future』通常盤(CD)
ASIAN KUNG-FU GENERATION
『Wonder Future』通常盤(CD)

2015年5月27日(水)発売
価格:3,146円(税込)
KSCL-2589

1. Easter / 復活祭
2. Little Lennon / 小さなレノン
3. Winner and Loser / 勝者と敗者
4. Caterpillar / 芋虫
5. Eternal Sunshine / 永遠の陽光
6. Planet of the Apes / 猿の惑星
7. Standard / スタンダード
8. Wonder Future / ワンダーフューチャー
9. Prisoner in a Frame / 額の中の囚人
10. Signal on the Street / 街頭のシグナル
11. Opera Glasses / オペラグラス
※初回デジパック仕様

ASIAN KUNG-FU GENERATION
『Wonder Future』アナログ盤(LP)

2015年6月24日(水)発売
価格:3,780円(税込)
KSJL-6182

1. Easter / 復活祭
2. Little Lennon / 小さなレノン
3. Winner and Loser / 勝者と敗者
4. Caterpillar / 芋虫
5. Eternal Sunshine / 永遠の陽光
6. Planet of the Apes / 猿の惑星
7. Standard / スタンダード
8. Wonder Future / ワンダーフューチャー
9. Prisoner in a Frame / 額の中の囚人
10. Signal on the Street / 街頭のシグナル
11. Opera Glasses / オペラグラス
※完全生産限定

イベント情報

『ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour2015「Wonder Future」』

2015年7月5日(日)
会場:埼玉県 戸田市文化会館

2015年7月8日(水)
会場:群馬県 ベイシア文化ホール

2015年7月11日(土)
会場:栃木県 宇都宮市文化会館

2015年7月18日(土)
会場:神奈川県 横浜アリーナ

2015年7月22日(水)
会場:北海道 旭川市民文化会館

2015年7月24日(金)
会場:北海道 札幌市民ホール

2015年7月28日(火)
会場:愛媛県 松山市民会館 大ホール

2015年7月29日(水)
会場:香川県 サンポートホール高松 大ホール

2015年8月24日(月)
会場:神奈川県 鎌倉芸術館大ホール

2015年8月25日(火)
会場:神奈川県 鎌倉芸術館大ホール

2015年8月29日(土)
会場:石川県 本多の森ホール

2015年8月30日(日)
会場:新潟県 新潟県民会館

2015年9月2日(水)
会場:埼玉県 大宮ソニックシティ 大ホール

2015年9月5日(土)
会場:静岡県 アクトシティ浜松

2015年9月6日(日)
会場:静岡県 富士市文化会館

2015年9月11日(金)
会場:岩手県 大船渡リアスホール

2015年9月13日(日)
会場:福島県 いわきアリオス

2015年9月18日(金)
会場:鹿児島県 鹿児島市民文化ホール第一

2015年9月20日(日)
会場:福岡県 福岡サンパレス ホテル&ホール

2015年9月22日(火)
会場:広島県 上野学園ホール

2015年9月23日(水)
会場:岡山県 倉敷市民会館

2015年9月25日(金)
会場:兵庫県 神戸国際会館 こくさいホール

2015年10月2日(金)
会場:岐阜県 長良川国際会議場

2015年10月4日(日)
会場:愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール

2015年10月9日(金)
会場:大阪府 オリックス劇場

2015年10月10日(土)
会場:大阪府 オリックス劇場

2015年10月12日(月)
会場:宮城県 仙台サンプラザホール

2015年10月15日(木)
会場:東京都 東京国際フォーラム ホールA

2015年10月16日(金)
会場:東京都 東京国際フォーラム ホールA

2015年10月24日(土)
会場:沖縄県 沖縄市民会館大ホール

料金:各公演5,940円
※3歳以上、要チケット

イベント情報

『ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2015「Wonder Future」- Latin America』

『SUPER JAPAN EXPO』
2015年11月14日(土)
会場:チリ サンティアゴ Movistar Arena

2015年11月15日(日)
会場:ブラジル サンパウロ Teatro Carioca

2015年11月18日(水)
会場:アルゼンチン ブエノスアイレス Teatro VORTERIX

2015年11月20日(金)
会場:メキシコ メキシコシティ Plaza Condesa

プロフィール

ASIAN KUNG-FU GENERATION(あじあんかんふーじぇねれーしょん)

1996年、大学の音楽サークルにて結成。2002年、インディーズレーベルより『崩壊アンプリファー』をリリース。2003年4月、同作がキューンミュージックより異例の再リリースとなり、メジャーデビュー。同年より新宿LOFTにて『NANO-MUGEN FES.』を立ち上げ、2004年からは洋楽アーティストも加わり、会場も日本武道館、横浜アリーナと年々規模を拡大し、2012年の夏には横浜アリーナ2DAYSにて10回目となるフェスを開催した。これまでに7枚のオリジナルフルアルバムをリリース。2013年、デビュー10周年を迎え、9月には横浜スタジアム2DAYSにて、10周年記念ライブを開催。後藤が描くリアルな焦燥感、絶望さえ推進力に昇華する圧倒的なエモーション、勢いだけにとどまらない「日本語で鳴らすロック」でミュージックシーンを牽引し続け、世代を超えた絶大な支持を得ている。

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cero“ロープウェー”

「この曲を最初に聞いた時になぜか、じっと佇む飴屋法水さんとメンバーの姿が浮かび上がってきて離れなかった」と語るのは監督を務めた仲原達彦。モノクロの8mmフィルムで撮られた何気ない風景やロープウェーの映像のはずが、なぜか現実離れした幻想的な感覚へと連れていく。昨年末にリリースされ、すでに耳に馴染んだはずの楽曲の世界がさらに広がり深まるような映像世界。(宮原)