「何者か」にならなくてもいい。辻愛沙子と語る、変化する若者文化と自分らしさ、幸せの価値観

「自分らしくあればいい」「皆違って、皆いい」とは言うけれど、「自分らしさ」とは何だろう。その一方で、SNSを覗いてみれば、誰かがある日、突然人気者になって、多くの人たちに影響を与えている。やはり、自分も何者かにならなければいけないのか。

そんな予測不可能な時代のなか、ブランドスローガン、「幸せの、チカラに。」を掲げるパナソニックグループは、若い世代へ向けたコミュニケーションの一環として、オリジナル楽曲『ロードスター』を発表した。

幅広い世代にブランドコミュニケーションを行なう辻愛沙子は、パナソニックのこの試みにどのような「変化」を読み取ったのだろうか。同企画の発起人でもあるパナソニックの田中麻理恵と、変わりゆく世代の「意識」と時代の「変化」について、率直に語り合ってもらった。若者たちの「幸せ」は、どこにある? 白熱した議論は企業ブランディングから若者文化にまで及んだ。

パナソニック『ロードスター』。パナソニックグループ社員がオリジナル楽曲を制作し、歌心のある社員たちが代わる代わる歌い上げた。MVにそのレコーディング風景を収め、発信した

なぜパナソニックは音楽をつくる必要があった?

―辻さんは、今回のパナソニックの曲を聴いて、どのような感想を持ちましたか?

:まず驚きました。パナソニックといえば、日本を代表する、老舗大企業じゃないですか。スーツにネクタイというような硬いイメージがあったんですけど、この動画を見たら、すごくカジュアルな感じだし、「パナソニックの人たち」ではなく、ひとりひとりご自身の顔を出して出演していたのも印象的でした。何よりも皆さん、歌がすごく上手い。

―皆さん上手でしたよね。

:会社を背負いつつも、自分たちが伝えたいメッセージを、自分たちの言葉で発信するというか、それをサポートしてくれるような、懐の深い会社なんだと思いました。

あと、先ほどの顔出しや個人名はもちろん、その人が所属する部署名まで表記されていて、いろんな部署が横断的に参加していることがわかったし、一人ひとりが自分の名前で立っていく会社なんだなっていうのをあらためて感じました。

―その発起人が田中さんということになるわけですが、今回の企画は、どのような経緯で生まれていったのでしょう?

田中:そもそもの目的としては、若い世代とのコミュニケーションですね。いまのパナソニックには、若い人たちをメインのターゲットとしたヒット商品がなかなかないのですが、将来のお客さまであり、一緒に働いてくれる仲間かもしれない。

そうした人たちに、パナソニックというブランドを知ってもらうためには、どういうコミュニケーションをしていったらいいだろうかと考えて、具体的な商品がないならば、理念でつながるしかないと思い、プロジェクトが始まりました。

―なるほど。

田中:いま、パナソニックグループが掲げている「幸せの、チカラに。」というブランドスローガンは、私たちの存在意義をスローガン化したもので、創業者である松下幸之助の言葉に、「物心一如の繁栄」というのがあるんですね。

ものの豊かさに関しては、ある程度繁栄したというか、いまの日本は、物質的には豊かになったのかもしれないけど、その「物心一如」の「心」のほうがどうかといったら、そこはちょっと置いてきぼりになってしまっているようなところがあるように思っていて。

そこからいまの社長が「幸せの、チカラに。」というスローガンを定めたんです。私たちも若い人たちと一緒に、これからの暮らしの理想や幸せを、「対話」によって考えていこうということで、まずは「q&d」というオウンドメディアを始めました。

:Q&Aの「アンサー」ではなく「ダイアローグ(対話)」、いいですね。

田中:ただ、文字情報だけの表現だけでは、やっぱりリーチできる層に限りがあるし、もっといろんなレイヤーでコミュニケーションをとっていくことが必要だよねっていう話になって。それで私が、「音楽」というのを、1つ表現方法として提案したんです。

人気アーティストを起用するより大切なことがあった

―でも、有名アーティストを起用することもできましたよね。楽曲制作から歌唱、さらには動画に至るまで、社員が担当しているところがユニークですよね。

田中:そこはすごく意図したところで、コンセプトに直結しているところだと思っています。「幸せの、チカラに。」なるのはパナソニックだから、そこの主語は、やっぱり全部パナソニックでありたいと思ったんですよね。

人気アーティストの方にお願いしたほうが、動画の再生回数とかにも効果があると思うんですけど、今回の企画に関しては、パナソニックがいま何をやりたいのかという思想の部分を、すごく大事にしてつくっていきたいと思っていたので。

:そこがとても素敵だと思いました。私の会社は普段ブランディングをメインに行なっているんですが、クライアントさんと協議するなかでもすごく悩むポイントで。その商品とかブランドの認知を上げていくことや、話題にしてもらえるようバズ的施策を考えたくなる気持ちも分かるんです。

でも、そういった瞬間的なKPIを目指す前に、まずその商品 /企業が何のために世の中に存在していて、どんな思想や哲学を持っていて、どんな課題を解決するためにあるのかっていうほうが、わたしは重要だと思っていて。

田中:すごくわかります。

:いつも「そこから考えましょう」と提案をさせていただくのですけど、一方で、先ほどお話ししたように手法の話とかインプレッションの話も重要視されがちだったりする。もちろん、それも不必要とはいわないですが、バランスと順序が大事だと思っていて。いまは、数値化しやすい目標につい委ねたくなってしまう時代なんだろうなと。

何ならキャスティングも、どんな人かよりもフォロワー数で決めるケースもよく耳にしますし、その結果ブランドとの親和性が生まれずにインプレッションも伸び悩む、という事例が最近増えているように見受けられます。

学生たちとの対話から見えた「幸せ」

―いまは影響力が可視化どころか、それが数値化されてしまいますよね。

:数字が1つの説得力になるのは、ものすごくわかるんですけど、それよりも自分たちが何を伝えたいのかっていう動機や、何のためにこれをやるのかっていう目的に立ち返えることが大切なんですよね。田中さんがおっしゃった話もそこが印象的で、すごくいいなって思いました。

田中:ありがとうございます。

:『ロードスター』は歌詞も田中さんが書かれたんですよね?

田中:そうですね。中学生、高校生、大学生の人たちに話を聞いて、それをもとに、私が歌詞をつくっていったという感じです。

ただ、それも歌詞にそのまま使える「言葉」を集めるというよりは、いわゆる「Z世代」と呼ばれている彼 / 彼女たちが、どういう状況で、どんなことを感じたとか、そういう経験とか体験の部分を集めてきたようなところがあって。それを私のなかで一回咀嚼して、歌詞にしていきました。

:この<小さなことで笑える この瞬間を いつも忘れないで>という歌詞も、すごくいいですよね。

田中:学生さんたちと話したり、アンケートをとったりするなかで、最後に「幸せを感じるときって、どういうときですか?」という質問を入れさせてもらったんですね。

そうすると、ほぼ全員が、自分が悩んでいることとまったく関係ないことを、家族や友人と話しているときって答えていて。他愛もないことを話して大笑いしたり、皆で一緒に歌ったり踊ったりしているときが幸せだったと思いますって書いていて。だから、「その瞬間を忘れないで」という歌詞を、どこかに入れたかったんですよね。

ブランディングは「大地を耕す」

―実際に若者たちと触れ合うなかで、あらためて何か感じるようなところはありましたか?

田中:幸せが些細なことであるがゆえ、敏感さや繊細さのようなものを感じました。先ほどの話とも重なりますが、有名アーティストやインフルエンサーを立てて、その人に前に出てもらったとしても、この温度感をリアルには感じとれなかったと思いますし、ここまで深い対話にはならなかったんじゃないかと思います。

:ああ、めっちゃわかります。

田中:インフルエンサーさんの向こう側に企業が見え隠れすると、「それは、ちょっと違うよね」みたいな感じで、一歩引いてしまうようなところが、若い人たちの空気感としてあるように感じたんです。

発信力のある人によるコミュニケーションって、表層的にはすごく広がると思うし、いわゆる「販促」だったらそれでいいのかもしれないですけど、ブランドのコミュニケーションをしたい場合、本当にそれでいいのかなって思って。

ときの人を登場させ、パッと消費するみたいなコミュニケーションではなく、ちゃんと心に届くようなコミュニケーションをするためには、たとえ長い時間がかかっても、蓄積されるものでなければならないと思って。

:めちゃめちゃ大事だと思います。とくにデジタルの世界では「刈り取り」っていう言葉が使われたりするじゃないですか。数値で可視化されるので、ターゲットの規模がどのくらいで、それに対してどうアプローチできるか。

もちろん、それが必要な領域もありますけど、言葉どおり刈り取りだけをし続けていくと、そのあとは焼け野原になってしまう。

一見、短期的利益や目先のリターンが見える化しづらくても、本当はそこを耕して、種をまいていくことが大事なんですよね。そうじゃないと、何も育たなくなるし、ブランディングというのは、大地を耕していくようなものだと思うんです。

田中:あと、ビジネスの世界にいて、なおかつブランディングを担当していると、やっぱり世代的なものに対して、自分にも先入観があることに気づきました。

学生の皆さんとお話するにあたって、それこそ「Z世代」の人は、どんなことを考えているんだろう、ちゃんとついていけるかなっていう不安がちょっとあったんですよね。

だけど、実際に会ってみて、コミュニケーションを取り始めたら、じつは「違い」って、そんなにないのかなって思ったところがあって。いまの若い人たちが不安に思ったり、悩んだりしていることって、世代の異なる私でも共感する部分があるなっていう。

:うんうん。

田中:「Z世代」というマーケティング用語を使って、ターゲティングしてしまうから、価値観の異なる世代と思いがちですが、「幸せについて一緒に考えよう」とか、そういった芯の部分にあることは自分とそう変わらないなって思えたんですよね。

「自分探し」はどんどんしんどくなる

:歌詞の冒頭に、<ひとり帰る道 頭は置き去り 僕が間違ってたのかな うまく言えなかったのかな ぐるぐる回り続けてるけど 今日もまた何も変わらない>っていうフレーズがあるじゃないですか。

ここすごく共感しました。一生懸命もがいているけど、進めているのか自分ではわからない。そんな不安を感じたことがある社会人はきっと多いんじゃないかなと。

田中:さっきお話した「q&d」で、音楽ジャーナリストの柴那典さんと対話させていただいたことがあって(※)。そのときに柴さんが、バブル崩壊以降は、もう全員「自分探し」をしているんですよ、と話してくださって、すごく納得したんですよね。

音楽でいったら、それこそMr.Childrenの『終わりなき旅』に代表されるような「自分探し」の時代が、そのころからずっと続いているとおっしゃっていて。

Mr.Children『終わりなき旅』を聴く

※q&d「『推し』の背景にアイデンティティの不安?ポップミュージックから見る、10代の今」(記事はこちら

辻:たしかに。

田中:中高生、大学生の言葉をもとにしてつくった歌詞だけど、私よりちょっと上の世代の人たちをはじめ、今回歌ってくれたメンバーたちも、皆すごく共感できるって言ってくれたんです。

あと、もう1つ柴さんが言っていたのは、いまはSNSで自分よりもすごい人たちが、一気に見える時代になっているから、「自分探し」は、どんどんしんどくなっていると思うっていうことで。

―そういう側面は、たしかにあるかもしれないです。

田中:そうなんですよね。ただ今回、若い方たちとお話して、もしかしたら、いまの人たちは、その先に行きつつあるのかなっていうのも、ちょっと思ったんです。

彼らは彼らで、いいものはいいと思うし、すごい人はすごいと思うけど、「自分は自分」みたいな、ある程度自分のアイデンティティーを割り切っているような、ブレイクスルーした時代感を感じたりもして。

「何者かになれ」と言ってた大人たちが幸せに見えない

:いまの田中さんの意見はめちゃめちゃわかります。そこには、感覚として2つ軸があるような気がしていて。1つは、「自分探し」というか、「何者かになれ」というプレッシャーに疲れ始めているという軸。その一方で、アナログ回帰みたいな軸もある気がするんです。どちらか一方ではなく、その2つが重なっているような気がしています。

コロナを挟んだこの3年で、若い人に限らず、価値観の変容が著しくあると思うんです。個人がメディア化していく過程を振り返ると、タレントから読者モデル、インフルエンサー、YouTuberと、昔に比べて誰もが「何者」かになれるチャンスは増えている。

こうした文脈では、「自分も何者かにならないと」とか「有名にならないと」みたいな圧が生まれていた感じがあったけど、それがまさに先ほど田中さんがおっしゃられたとおり、ちょっとブレイクスルーした感じが、この2年ぐらいのあいだにあったように思っていて。

―というと?

:たとえば、SNSを見てもBeRealのようなアプリが流行っているじゃないですか。従来のSNSは基本的に、誰かに見せるためのすてきな写真や強い言葉を用意する必要があったけれど、BeRealの場合は、突然メンションが届いて、その瞬間の写真を撮ってアップするような仕様になっているんですよね。

あまりに突然なので、ラッピングしようがないというか。それはすっぴんのときかもしれないし、コンビニ弁当を食べているときかもしれない。でも、こういう瞬間って、世代に限らず、どれだけキラキラして見えるような人でも絶対あるはずです。

「映え」とか「盛り」も楽しいけれど、それだけじゃ疲れてしまうから、もっとリアルなところでもつながりたいっていう。プリクラの歴史を見ても、盛る方向からどんどんナチュラルな感じになっているし、自然体であろうという文脈が、すごい増えてきているような気がするんです。

―全員が全員、何者かにならなくていいと。

:だって、人は誰しも生まれたときからすでにその人自身なわけで、別の「何者かになれ」ってこと自体がそもそも変じゃないですか。それに、「何者かになれ」というプレッシャーのなかで生きている大人たちを見ると、焦りとしんどさを感じたりすることもあります。

誰かがつくり上げた幻のような「何者か」を追い求めるより、自分らしさを磨いていきたい、そんな時代になってきているのかなと思います。

「自分らしく」というプレッシャーを越えて

―もう1つのアナログ回帰という軸は?

:デジタルネイティブ世代たちが、こぞってアナログな文化にハマっていっているのを最近強く感じるんです。たとえば、ギラギラしたパーティーや派手なイベントより、陶芸やタフティング、クラフトジン、お香のような手触りのあるものづくりや文化を楽しめる人たちの方がイケている。

そんな空気感が若者たちのあいだで広がっているように思います。ほかにも、レコードやフィルムカメラが流行っているのも同じ流れだととらえています。等身大の自分を超えた姿を演出するのに疲れが出ていて、アナログの唯一無二感みたいなものを求め始めている気がするんです。

―たしかにいま人気がありますね。

:ただその一方、TikTokですごいインスタントなコンテンツをアップしたり、試聴したりして楽しんでいる。何者かを目指すか、自然体であろうとするか、そういう二項対立ではなく、そのあいだでバランスをとりながら、自分にとってのいい塩梅を見つける人が、最近増えている感じがするんですよね。

田中:そうですよね。その背景には、「多様性」という言葉の定義というか、その「幅」みたいなものが、どんどん広がってきたのもあるのかもしれないですよね。多様性がOKならば、自分はこのままでOKみたいな。

:「何者かになれ」とか「自分らしさを見つけろ」とかいろいろいわれるけど、そもそも自分は自分だし、とりあえずここにすでに自分はいるしそれでOK、みたいな、すごく等身大な空気が醸成されつつあるように思います。

―ただ、田中さんは、パナソニックの社員でもあるわけで。それこそ、会社の上の世代の人たちから、今回の企画に対して横やりが入ったりはしなかったんですか?

田中:もちろん、パナソニックには高度経済成長期や、バブル期を知っている方々も、たくさんいて「やっぱり、自分たちとはちょっと価値観が違うな」という話はありました。何が違うんだろうねっていう話を、同僚たちと話したんですけど、そのときに「上の世代の人たちは、頑張る軸が、一本だったからじゃないか?」っていう意見が出てきて。

上の人たちからすると、いまの若い人たちは、根性が足りないとか、そういうふうに見えるのかもしれないけど、私が接した若い世代をはじめ、新入社員とかだと、もう「Z世代」を地でいく人たちなんです。

彼らを見ていたりすると、頑張る軸が仕事だけではないんですよね。仕事以外の軸をいくつも持っていて、それぞれが「目指す自分」に繋がっている。頑張りの「総量」みたいなものは同じで、それが分散されているだけじゃないかなって思って。

「幸せ」も「痛み」も共有していきたい

:先ほどの話に関連させると、私は小さな会社ですが、クリエイティブを通じて、社会課題にどう向き合っていくかを真剣に考えています。会社の代表として、売り上げがないと社員皆が食べていけなくなるので、数字を追うことも大事。

でも、同じくらいに、こういう活動を永続的にやっていくためには、どういうマネジメントが必要なのか考えることも重要なんですよね。

それは会社としてもそうだし、私個人としても同じなんです。仕事かプライベートかとか、そういう概念すらなくて、そこに共通する「自分」というものにとって、バランスのいい生き方をするために頑張るっていう。

田中:いろんな軸があって、仕事とプライベートという二者択一みたいなものですらないような感じはありますよね。

:また、私自身「Z世代」の代表として、や「Z世代とは」といったような質問や取材をいただくことがあるんですけど、そのたびに「世代」ではなく「時代」です、と答えているんです。

もちろん、年代ごとに特徴はあるかもしれないけれど、そもそも個人差があるし、人それぞれ違うのに大きな主語で括ることに違和感があって。不必要に世代間の対立構造をあおることにもつながると思うんですよね。でも、すべての人が共有している「いまの時代」は語ることができる。

―なるほど。「世代」は違っていても、生きている「時代」は同じですもんね。

:もちろん、どの年代のときに、どういう情報に触れたかという世代によっての傾向みたいなものはあるとは思います。ただ、そういう世代としての傾向みたいなものを、「Z世代の価値観」みたいにいわれますけど、それってじつは、世代にかかわらず、皆同じように、なんとなくの空気感として共有しているはずなんですよね。

必要なのは「世代」ではなく「令和のいま」をとらえていく、そういう感覚がなのかなと。さきほどの田中さんの話じゃないけど、実際会って話してみたら、皆同じ時代に生きている、同じ人間なんだから。

田中:そうなんですよね。

:逆にいうと、同じ世代であっても、絶対わかり合えない人ってのもいるわけじゃないですか。「世代」も大事だけど、それよりも「時代」だし、「男女差」よりも「個人差」だしっていうのは、すごく思いますよね。

―最後に1つ、辻さんにお聞きしたいのですが、パナソニックの「幸せの、チカラに。」ではないですけど、辻さん自身も、社会課題の解決が自身の「幸せ」につながるような価値観を持っているように感じました。

:そうですね。それは「幸せ」だけではなく「痛み」も同じだと思っています。自分が当事者として何かをされたとか、自分がその権利をはく奪されているから嫌だっていうよりかは、同じ社会を生きている誰かが、つらい思いをしている社会で生きているのがしんどいみたいな感じなんですよね。

「幸せ」もそうだし、「痛み」も同じ社会のなかで、共有していきたい。実際、自分がしんどいときって、「しんどいです」って言うのが大変じゃないですか。なので、役回りとして、いま自分は元気だから頑張って声をあげるけど、私がダメなときは誰か頼むみたいな。真面目なんだけど、肩に力を入れすぎない。社会課題に向き合うって、バトンをつなぎながら長距離走を走っていくような感覚なんですよね。

辻愛沙子のTwitterより
プロフィール
辻愛沙子 (つじあさこ)

1995年生まれ。株式会社arca代表取締役、クリエイティブディレクター。日本テレビ「news zero」の水曜日パートナーとして出演し、若い世代のオピニオンリーダー的存在に。クリエイティブを通じて社会課題にアプローチする「クリエイティブ・アクティビズム」を掲げ、広告やブランディングなどのさまざまなプロジェクトをとおし、企業とともにジェンダーや気候変動などさまざまな社会課題への取り組みを行なっている。

プロフィール
田中麻理恵 (たなかまりえ)

京都市立音楽高等学校(現京都市立京都堀川音楽高校)、神戸大学発達科学部を卒業後、2010年にパナソニック入社。海外営業部門での経理業務、本社経理企画室でのCFOスタッフを経て社内制度を利用しブランド部門へ異動。北米で開催されるベンチャーの登竜門、『SXSW(サウス•バイ•サウスウエスト)』などへの出展を担当後、現在はデジタルを中心としたブランド発信のコンテンツ企画に従事。



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