自虐から自信へ。ゆりやんレトリィバァから考える、女芸人の今

自虐ネタって少なくなった? 女芸人が生み出す笑いの流れ

体型や容姿、ダメ恋愛などの自虐ネタで、ネガティブを笑いに転換させてきた数多の女芸人たち。世の女性たちが「これ私じゃん」と思うような、ある種の引け目やコンプレックスへの共感から生まれる笑いが多く存在しているが、そういった流れがここ最近少し変化してきたように思う。

ゆりやんレトリィバァが女子高生役として登場し、俳優・竜星涼と「胸キュン」をテーマにした8つのシーンを描き出す『恋する肌キュンmovie』が公開となり、再生数が3日で50万回を超えるなど注目を集めているが、彼女のその演技力や、彼女が生み出す笑いから、女芸人の笑いの潮流の変化を考えてみたい。

憧れの的になる女芸人や平成生まれの新世代が生む新しい笑いのエネルギー

もちろん、今でも女芸人の自虐ネタや容姿いじりなどは健在だし、多くの笑いを生み出している。ただ、そういったネタを繰り広げる芸人たちが、女優業や、美容・ファッション業界にまで活躍の場を広げている姿もよく目にする。お笑いという枠を飛び出して我が道を行く彼女たちの生き方、キャリアの重ね方に、世の女性たちが憧れるのもうなずける。

新世代の若手女芸人でいうと、ブルゾンちえみや先述したゆりやんレトリィバァが良い例だ。めきめきと頭角を現してきた平成生まれの女芸人の笑いのあり方も、自虐ネタとはまた違った方向に笑いの射程が広がっているように見える。

ブルゾンちえみの恋愛観に切り込んだネタは、彼女自身や女性を卑下することは全くなく、これまでのお笑いで支持されてきたダメ恋愛ネタとは一線を画している。むしろ自立した女性を演じながら「女に生まれて良かった!」と声高に言う姿には、ネガティブな共感ではなく、女性へのポジティブな共感を生みつつある。彼女たちが絶妙に描き出す「こういう女いるいる!」という共感も、自虐的なそれとは異なるものだし、「共感から生まれる笑い」の視点も変化してきているのではないだろうか。

ゆりやんレトリィバァはなぜビジュアルに頼り切らない?

そんな笑いの変化の渦中、そして新世代の女芸人の中でも、ゆりやんレトリィバァの存在はある種特異なものに見える。というのも、彼女も自身の体型や容姿をいじり倒せるはずだし、友近もゆりやんレトリィバァについて「お笑いのために生まれたようなビジュアル」と評している。彼女自身、芸人を目指したのも幼少期に吉本新喜劇を観て「ブスでもスポットライトが浴びられるんだ」と気づいたことだったというが、彼女が自分でビジュアルに頼り切らないネタでウケているのはなぜだろうか。

そもそも、ゆりやんレトリィバァは、NSC大阪校を主席で卒業し、『第47回NHK上方漫才コンテスト』ではピン芸人で初めて優勝を獲得、『R-1ぐらんぷり2017』では決勝にまで出場するという、超実力派の新星だ。オスカー女優のスピーチを真似たネタで世間に躍り出た彼女だが、ネタだけでなく、Instagramでも「気がついたら身に覚えのない場所に閉じ込められていた女性が、わずかな願いをかけて今の状況を録画記録する。」というテキストとともに、ハリウッド女優風の演技を披露した動画を投稿している。この動画は、初出演した日本テレビ系『メレンゲの気持ち』でも紹介され、久本雅美をはじめとするレギュラー陣もその演技力に太鼓判を押していた。

オスカー女優ネタも、彼女がもともと抱いていたというアメリカへの憧れや、帰国子女の友人たちの振る舞いからインスピレーションを得たネタだというが、このネタが成立しうるのは、彼女のビジュアルと自信たっぷりの演技のギャップ、そして英語の発音すらも再現する、その観察力の高さゆえだろう。

ゆりやんレトリィバァは、演歌歌手や女優など様々なキャラクターを変幻自在に演じ分ける友近を尊敬しているというが、彼女自身もオスカー女優だけではなく、様々なキャラクターになれる演技力を存分に持ち合わせていることが、『恋する肌キュンmovie』でも明らかだ。

同級生役の竜星涼に想いを寄せ、彼の一挙手一投足にドキッとしてしまう感情のゆらめきや失恋の絶望まで、普通の女の子が共感してしまうようなめくるめく感情を描き出す力は、彼女の魅力の一つと言えるだろう。

『恋する肌キュンmovie』より。竜星涼がゆりやんレトリィバァの頬についた絵の具を拭う
『恋する肌キュンmovie』より。竜星涼がゆりやんレトリィバァの頬についた絵の具を拭う

『恋する肌キュンmovie』より。失恋の瞬間
『恋する肌キュンmovie』より。失恋の瞬間

また、もともとミュージカルが大好きで、本格的に踊るシーンに憧れていたという彼女は、かなりキレのあるダンスも披露しており、彼女もまたお笑いのフィールドに留まらない才能の幅広さを世に示している。

ダンスシーン。振付の詳細も公開されている(サイトで見る

新世代の女芸人たちは、日々に感じる「面白い」という事柄はもちろん、「憧れ」や「好き」にも貪欲に向き合い、その陽性のエネルギーから笑いを生んでいるように思う。何も自分を卑下することはないのだ。むしろ自信を持ちながら、自分の好きなものを突き詰め、スタイルを持つこと、そしてなにより楽しむということを彼女たちから学びたい。女芸人が生む新たな笑いは、全ての女の子に自信をくれるはずである。

商品情報
『肌ラボ 極潤ヒアルロン液 ハダラボモイスト化粧水b』

容量:170mL



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